アーンドメディアとは?
アーンドメディアとは、消費者や報道関係などの第三者から情報発信されるメディア(媒体)です。
そもそもアーンドメディアは、トリプルメディアのひとつに分類されます。トリプルメディアとは企業と消費者をつなぐ3種類のメディアのことで、以下の3つが該当します。
- アーンドメディア
- ペイドメディア
- オウンドメディア
アーンドメディアは企業が自社商材について紹介するわけではなく、消費者や報道関係などが情報発信者となって自社商材を紹介してくれます。この際、企業から情報発信者に対価は支払われないため、有料広告とも異なります。
企業が自社商材について紹介すると宣伝色が強く出てしまうこともあり、ターゲット層が敬遠してしまう場合もあります。しかしアーンドメディアは第三者が客観的な視点から情報を発信してくれるため、企業の宣伝色が限りなく弱まり、ターゲット層が受け入れやすくなるのです。
Earnedとは「(信用を)得る」という意味からも、企業主体ではなく第三者からの情報のため信頼を得やすいということが理解できるでしょう。
ペイドメディアとの違い
トリプルメディアのうちのひとつが「ペイドメディア」です。
ペイドメディアとは、Paid=有料という意味から、有料広告を出稿できるメディアを指します。
具体的には、テレビや雑誌などのマスメディア、Web広告、交通広告などが挙げられます。
ペイドメディアのメリットは、露出を増やすことができ認知度の拡大ができる点です。マスメディア広告や交通広告は多くの人の目に触れるため、潜在層にもアプローチできます。Web広告はターゲットを絞って配信することもでき、効率的なアプローチができるでしょう。
ただし広告出稿にはコストがかかるため、長期的に取り組むためには充分な予算を用意しておく必要があります。
一方、アーンドメディアはコストをかけずに運用できますが、発信する情報の内容をコントロールできません。そのため、ペイドメディアとアーンドメディアを組み合わせることが効果的です。
なお、ペイドメディアについては以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご参考ください。
オウンドメディアとの違い
トリプルメディアのうちのもうひとつが「オウンドメディア」です。
Owned=所有という意味から、自社で所有しているメディアを指します。
Webサイトや自社ブログなどを指す場合が多いですが、広義ではカタログやパンフレットなども含まれます。
最近ではコンテンツマーケティングでオウンドメディアを活用する事例が多く、ユーザーにとって有益な記事コンテンツを制作・発信することで検索エンジンやSNSなどからの流入を獲得する手法が、特に多い傾向です。
アーンドメディアでは情報の内容はユーザー任せになるため、ネガティブな情報や、自社では意図しない内容の情報が発信されることもあります。しかしオウンドメディアは発信する情報の内容は自社でコントロールできるため、ユーザーにとって価値の高い情報を提供したり、自社商材を魅力的に伝えたりすることが可能です。
とはいえ、宣伝色が濃くなってしまうと嫌悪感を示すユーザーもいるため、注意が必要です。
なお、オウンドメディアについては以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご参考ください。
シェアードメディアとの違い
トリプルメディアに加えて、近年注目を集めているのが「シェアードメディア」です。
シェアードメディアとは、Shared=共有という意味から、SNSなどの情報を共有することに特化したメディアを指します。
アーンドメディアとの線引きが明確化されているわけではないため、「アーンドメディアの一部がシェアードメディア」という見解や、「インフルエンサーや報道機関からの情報発信はアーンドメディア、SNSはシェアードメディア」という見解などが見受けられます。また、トリプルメディアの各メディアとシェアードメディアの4つの頭文字を合わせて「PESO」と言われることもあります。
いずれにしても、シェアードメディアは情報の共有を目的としたメディアであり、主にSNSのことを言うと覚えておきましょう。
アーンドメディアの種類
アーンドメディアとは、どのようなメディアが該当するのでしょうか。主な種類を紹介します。
レビューサイト
ユーザーからの口コミで構築されたレビューサイト(口コミサイト)は、アーンドメディアの代表とも言えます。
たとえば飲食店を探す際、「料理はおいしいのか?」「雰囲気は良いのか?」などが気になりますよね。そこでレビューサイトを確認することで、実際に行ったことのあるユーザーの客観的な評価を知ることができ、お店を決める際の判断材料となるでしょう。
このように、レビューサイトのようなアーンドメディアは、消費者の意思決定に大きな影響を与えます。
SNS
情報収集の際、レビューサイト以外にもTwitterやInstagramなどのSNSで検索するという人も多いでしょう。最近では「ググる」ではなく「タグる」という言葉も登場しているように、SNSの投稿に付いているタグをもとにして検索行動をするユーザーも少なくありません。
SNSは、ユーザーのフォロワー、さらにそのフォロワーなど、どんどん情報が拡散されていく点がメリットです。インフルエンサーなどのフォロワーが多いユーザーが自社商材を紹介してくれれば、大きな効果が期待できるでしょう。
報道メディアでの紹介やブログへの掲載
テレビや雑誌などのメディアで紹介されたり、第三者のブログに掲載されたりした場合も、アーンドメディアに該当します。
自社サービスがテレビの特集で紹介された 自社の商品が雑誌に掲載された ブロガーがブログで紹介してくれた たとえば、上記のような場合です。
ただし、紹介してもらうために費用を支払っている場合はアーンドメディアにはなりません。
このように報道メディアや第三者のブログで紹介してもらうためには、PR活動が必要になります。プレスリリースを発信するだけでなく、報道関係者やブロガーなどに積極的に働きかけ、関係性を作ることが重要です。
アーンドメディアのメリット・デメリット
マーケティング活動にアーンドメディアを活用することは、多くのメリットがある反面、気をつけなければならないデメリットも存在します。メリット・デメリットの両方の側面を理解して、アーンドメディアを活用しましょう。
アーンドメディアのメリット
まずは、アーンドメディアを活用するメリットを紹介します。
拡散性が高い
アーンドメディアのひとつであるSNSは、投稿内容がシェアやリツイートなどされると、どんどん拡散されていき、いわゆる「バズる」状態になります。
たとえば、新商品が拡散されれば認知を拡大できますし、自社のポジティブな口コミが拡散されればブランドイメージの向上につながります。
多くのフォロワーがいるインフルエンサーが自社商材を紹介してくれれば、自社のことを知らないフォロワーにも情報を届けられます。今までリーチすることが難しかった層にもアプローチできるようになる点は、大きなメリットと言えるでしょう。
また、コストが発生していないため、万が一バズらなかった場合にもリスクはほとんどありません。
直接的なコミュニケーションが取れる
ユーザーがSNSやブログで自社商材について紹介してくれた際、企業側がコメントを返信することが可能です。ポジティブな内容の投稿にお礼のコメントをするほかにも、ネガティブな投稿にも丁寧に対応することで、企業イメージをアップにつながることが期待できます。
直接的なコミュニケーションによって、やり取りをしているユーザー本人だけでなく、そのやり取りを見た他のユーザーからも好印象を持ってもらえるでしょう。
信頼を得やすくなる
アーンドメディアで情報を発信しているのは、実際のユーザーがメインです。企業とは利害関係のない第三者的な立場のため「客観的な視点で評価している」ということが他のユーザーにも伝わり、情報の信頼性が高いと判断してもらいやすくなるでしょう。
企業が発信している情報はどうしても宣伝色が強くなることもあり、ユーザー側は「これは本当のこと?」などと疑いを持つこともあります。
しかし企業とは関係のない第三者が情報を発信していると「この商品は本当に良いものなのかもしれない」と信頼しやすくなるのです。
被リンクを獲得できる
アーンドメディアで多くの情報が発信されれば、品質の高い被リンクを獲得できます。
被リンクとは「バックリンク」とも言い、自社サイトや商品紹介ページなどのURLを外部サイトに掲載してもらうことです。
被リンクが発生する際には、「この商品をおすすめしたい」「この情報をみんなに知ってほしい」などの理由から、外部サイトで自社サイトを紹介したりSNSにURLを貼り付けたりする場合が多いでしょう。そのため、被リンクの数や質もSEOに影響します。
アーンドメディアで自社や商材について言及されて被リンクが発生すると、検索エンジンからは「有益なサイト」と判断され、検索順位に影響すると考えられます。
なお、被リンクについては以下の記事でも解説しているので、あわせてご参考ください。
アーンドメディアのデメリット
アーンドメディアを活用するメリットは複数ありますが、その一方で注意すべきデメリットもあります。
情報をコントロールすることができない
アーンドメディアは情報発信者側の主体的なアクションで成り立っているため、どのような情報を発信するのか、企業側で指示することができません。
クレームのような内容、企業側の本意では内容、誤った内容などが投稿される可能性も充分にあります。
発信される情報がネガティブな内容でも、企業側は情報操作ができない点には注意しましょう。
炎上してしまうことがある
アーンドメディアのなかでも、特にSNSは炎上に注意する必要があります。
拡散性の高さゆえに、ネガティブな情報に尾ひれがついて拡散され、炎上騒動になってしまう事例も珍しくありません。
炎上してしまうと、自社のブランドイメージが低下するだけでなく、売上減少につながる場合もあるでしょう。
メディアのルールに従わなければならない
アーンドメディアは自社で運営しているメディアではないため、各メディアのシステムや規則に従わなければなりません。 急にメディア自体のサービスが終了することもあり、蓄積された情報が突然なくなってしまうこともあるでしょう。
オウンドメディアはコンテンツを蓄積していき資産にできますが、アーンドメディアに蓄積されたコンテンツはメディアの方針次第でなくなる可能性もあるため、アーンドメディアだけでなくオウンドメディアやペイドメディアも併用することが重要です。
アーンドメディアの活用事例
アーンドメディアを活用してマーケティング戦略が成功した企業も多く存在します。アーンドメディアの活用事例を3社紹介します。
無印良品(良品計画)
無印良品は、Twitter、Facebook、Instagram、LINEといったSNSを駆使してユーザーに情報を発信しています。商品紹介やセールのお知らせ、さらには無印良品の商品を使ったコーディネートやレシピなど、多様な情報を提供。いずれも価値の高い情報のため、多くのユーザーが拡散しています。
さらに、ユーザーの投稿もチェックして、商品開発や改良などに活かしています。
ハーゲンダッツジャパン
ハーゲンダッツジャパンは、TwitterやInstagram、LINEなどのSNSを活用しています。ポップなアイスの写真を掲載し、ユーザーの目に留まる投稿が特徴です。
Twitterの文末に「食べてみたい!という方は、RT」と記載して拡散を促したり、LINE限定のキャンペーンを実施してLINEへ誘導したりするなどの工夫がされています。
シャープ
シャープは、特にTwitterで人気のアカウントです。「中の人」が投稿している内容が面白く、ユーザーの親近感につながっています。
また、他のユーザーの投稿をリツイートしたり返信したりしているため、SNS上でユーザーとのコミュニケーションが盛んに行われています。
アーンドメディア活用のポイント
アーンドメディアは自社でコントロールが難しいため、成果につながるまでには中長期的な取組みになります。そのためアーンドメディアを活用して成果を最大化したい人は、以下のポイントを意識しましょう。
SNSで情報を発信する
アーンドメディアは第三者から発信される情報から成り立ちますが、企業側からの情報発信も怠ってはいけません。せっかくユーザーがSNSで投稿しても、企業側に情報が届いていなければ情報を発信する意義を見失い、投稿してくれなくなってしまうでしょう。
企業が自ら投稿し、ユーザーに価値のある情報を提供することで、ユーザーの信頼を得ることができます。また、ユーザーの投稿をリツイートしたり「いいね」を押したりすることで、ユーザーとのコミュニケーションを醸成できるでしょう。
ブランディングを行う
競合との差別化ができずに埋もれていると、ユーザーの目に留まりません。ユーザーが自発的に「この商品を紹介したい」「この企業を知ってほしい」と思えるよう、自社のブランド力を高める取組みは必須です。 ブランディングを行うためには、まずは自社の強みや特徴を明確にしてユーザーに情報を発信します。SNSやWebサイトなどのオンラインチャネルのほか、リアルイベントやセミナーなども効果的です。
炎上対策を取る
先述の通り、SNSは炎上に気をつけなければなりません。事前に炎上対策を行っておくと、いざと言うときに安心です。
炎上対策には、一例として以下の方法があります。
- ソーシャルメディアポリシーの策定
- 自社アカウントの運用ルールの策定
- ユーザーの投稿内容のチェック
もちろん、そもそも炎上が起きないよう、日々の取組みや態度に注意することも重要です。
インフルエンサーとタイアップする
アーンドメディアで大きな反響が期待できるのは、インフルエンサーに投稿してもらったときです。とはいえ、自然発生的にインフルエンサーに紹介してもらうことはなかなか難しいため、インフルエンサーとタイアップを組むことも効果的です。
インフルエンサーを起用する際には、自社のターゲットとなるユーザー層に影響力のあるインフルエンサーを選びましょう。また、インフルエンサーに投稿してもらう際にはPRとして投稿しなければいけないメディアもあるため、各メディアのルール確認は必須です。
長期的な戦略を立てる
アーンドメディアを活用する際には、すぐには成果につながらないことを理解しておきましょう。自社でコントロールすることが難しいメディアのため、しっかりと戦略を練って取り組むことが重要です。
すぐにユーザーに投稿を促すのではなく、まずはユーザーが投稿したくなるような仕組み作りから始めます。リツイートキャンペーンを実施したり、SNS上でコミュニケーションを取ったりする方法があります。
また、軌道に乗っても継続してモニタリングを行い、成果を検証していきましょう。認知拡大だけでなく、商品購入やサービス継続などのコンバージョンにつなげていくことが大切です。
まとめ
アーンドメディアは、トリプルメディアのうちのひとつであり、マーケティング戦略において重要な役割をもちます。ただし、自社のコントロールが難しいメディアでもあるため、中長期的に継続して取り組んでいく必要があります。
人は、意思決定の際に、第三者の客観的な評価を参考にすることが多い傾向です。そのためアーンドメディア活用がうまくいけば、大きな成果が期待できるでしょう。
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