IP電話とは「インターネット回線を用いた電話」
IP電話とは「インターネット回線を用いた電話」のことで、「Internet Protocol」の各単語の頭文字を取り、IP電話と呼ばれています。
IP電話が生まれた背景には、インターネットの急速な発展があります。2000年代には、ブロードバンドによる高速通信が月額一定料金で利用できるようになりました。
そのインターネット回線を音声通話に代用することで、無料で世界中の人と電話できるようになったのがIP電話の始まりと言われています。
IP電話は、音声を電気信号に変換して相手に届け、その電気信号を音声に復元することで通話ができるようになる仕組みです。インターネット回線なので、電子メールで声を届けることができる他、複数の拠点をつないだ通話やテレビ電話も可能とします。
そのため最近では、多くの企業がIP電話を導入しており、顧客からの問い合わせに直接応答するなど業務の効率化をはかっています。
IP電話を3つの種類別に解説
次にIP電話の特徴について種類別に紹介します。
- 0AB-J型
- 050型
- 電話番号不要型
順に解説していきます。
0AB-J型
0AB-J型のIP電話は、固定電話で使われている「03」や「06」などから始まる全10桁の電話番号形式のことです。
総務省の電気通信番号制度において「固定電話番号」に位置しているので、「市外局番-市内局番-加入者番号」の並びになっています。そのため、0AB-J型番号から電話先の拠点がどの地域なのかを判別できます。
そして、固定電話相当の通話品質や機能を実現することが求められており、総務省の定める4つの基準を満たしていないと0AB-J型の番号を取得することはできません。
4つの基準とは「接続品質」「総合品質」「安定品質」「ネットワーク品質」です。これらの基準を満たすことで、音声の遅延など通信トラブルの心配はなくなります。
他にも条件として、「緊急通報(110、119等)や災害時の優先通信ができること」「ファクシミリが使えること」などが定められています。
またよく耳にするひかり電話は、IP電話の0AB-J型に該当し、フレッツ光やSoftBank光などの光回線を利用したIP電話です。
050型
050型のIP電話は、「050」から始まる携帯電話のような11桁の電話番号形式のことです。0AB-J型の番号が割り当てられないIP電話用の番号として導入されました。
「050」はIP回線であることを意味しており、そのあとは「通信事業者の識別番号」-「加入者番号」が示されています。通信事業者を判別することができるのが特徴です。
また、地域性を示す情報がないため、携帯電話やスマートフォンなどの移動体通信端末でも電話を利用することが可能です。
050型IP電話にも一定の通信品質の基準はありますが、0AB-J型とは違って「安定品質」「ネットワーク品質」の規定がありません。そのため、ネットワーク状況によっては、0AB-J型と比べると通信トラブルが生じやすい可能性があります。
他にも、110や119などの緊急通報ができないという特徴があります。
電話番号不要型
電話番号不要型とは、LINE、Skype、Facebookなどのように、電話番号なしで通話ができるIP電話のことです。
音声通話の手段として用いられているのはVoIP(Voice over IP)という技術で、サーバーを通して音声のデータ変換を行い、相互に音声を送信する仕組みです。
電話番号不要型の1番のメリットは、同じアプリ同士の場合、通話料が無料ということです。そのため、かなりコストを抑えられます。しかし、アプリでの連絡先を提供していない施設やサービスとの通話ができないデメリットもあります。
他にも、電話番号不要型は位置情報が付与されていないため、110や119などの緊急通報番号へ発信できない特徴があげられます。
IP電話と固定電話との違いを解説
次に、IP電話と固定電話との違いについて紹介していきます。
- 料金の違い
- 通信の違い
順に説明していきます。
料金の違い
【固定電話】
- 導入費35,000円前後(電話加入権を購入した場合)
- 通話料金1,500円~2,000円前後
【IP電話】
- 導入費2,000円~3,000円前後(インターネット回線契約済みの場合)
- 通話料金500円前後
上記から、IP電話は導入費用と通話料金が非常に安いことが見て取れます。コストを抑えられる理由として、IP電話はアナログ回線の導入が不要であったり電話購入権の費用が不要であるためです。
一方で、固定電話の通話料金の場合、距離が遠い相手ほど多くの交換局を介するため、料金が高くなる特徴があります。
通信の違い
IP電話と固定電話の仕組みで、大きな違いとしてあげられるのは、通信に使われる回線の種類や技術です。
固定電話は、電気信号に変換した音声を電話回線を通してやりとりするため、電話回線の契約が必要です。その電話回線は、通話専用の回線となるため、音質が安定している傾向があります。また、電話局が中継していることも特徴です。
しかし、電話の相手との距離が遠くなるほど、通話の品質が低下してしまう面もあります。
一方、IP電話はインターネット回線を使ったサービスのため、サービスや条件によっては高音質での通話が可能です。電話の相手との距離が遠くても、通話品質に変わりはありません。
ただし、インターネット回線で障害が発生すると、通話が途切れるなどの問題が出てくる可能性があります。
IP電話のメリット3選
次にIP電話のメリットについて見ていきましょう。
- 低コストで利用可能
- スマートフォンと併用しやすい
- すぐに導入できる
順番に解説していきます。
メリット①低コストで利用可能
IP電話は、同じインターネット回線内であれば、接続料がかからない仕組みとなっています。そのため、無料で利用できるケースが多いです。
たとえ相手先が異なるインターネット回線や固定電話、携帯電話の場合でも通話料は安く抑えられます。基本料金が安く設定されていたり、距離によって通話料が高くなることもなく、通話料金は全国一律です。
またIP電話は、専用の電話機を新たに購入する必要がないためコスト削減に繋がります。今まで使用していた固定電話の電話機があれば、IP電話でもそのまま利用できます。
メリット②スマートフォンと併用しやすい
IP電話は、スマートフォンにアプリを入れるだけで併用することができ、電話機が不要です。
スマートフォンと併用すると、通話記録などの利用状況をクラウドで確認や管理ができるのでお勧めです。複数の拠点をつないだ通話やテレビ電話も可能となるため、利便性も上がります。
また、スマートフォンの電話番号とは別でIP電話の番号を取得すると、1台のスマートフォンで2種類の電話番号の使い分けもできます。
メリット③すぐに導入できる
固定電話の導入時には、電話機器の購入や配線工事などで費用や手間がかかってしまいます。
それに対しIP電話は、すでにインターネット回線を契約している場合、機器の設置や配線工事が不要です。インターネット環境が整っていれば、固定電話よりも工事にかかる時間やコストを抑えることができます。
手軽に導入でき、すぐに利用できる点が大きなメリットといえます。
IP電話のデメリット3選
最後に、IP電話に関するデメリットを3つ紹介します。
- 通信問題が生じる
- 電話番号を変えないといけない
- 一部の電話番号が使えない
順番に解説します。
デメリット①通信問題が生じる
IP電話は、固定電話と比べると通信品質が不安定になりやすい特徴があります。
理由として、固定電話は音声信号をそのまま電話回線で通過しているのに対し、IP電話はインターネット回線で音声信号を電気信号に変換しているからです。
インターネット接続が不安定な時や回線が混雑した時には、通話が途切れることがあるかもしれません。仕事の電話中に通信障害が起きてしまう事はなるべく避けたいですよね。
IP電話の導入を検討している場合、無料体験などを活用して、事前に通話品質を確認することをお勧めします。
デメリット②電話番号を変えないといけない
IP電話は、市外局番から始まる番号は使用できないため、「050」から始まる新しい番号に変えなければなりません。
電話番号が変更したことを周りの人へ伝えるのは、時間や手間がかかってしまいます。
デメリット③一部の電話番号が使えない
IP電話では、119番や110番といった緊急通報番号や、0120から始まるフリーダイヤルなど、一部接続できない番号が存在します。「050」から始まる電話番号は、位置情報の提供機能がないためです。
ただし、最寄りの警察署や消防署には直接電話をかけられるので、万が一のために、最寄りの警察署や消防署の連絡先を登録しておくと良いでしょう。
【最新版】IP電話を取り巻く環境の変化を解説
2022年12月、NTTは長年提供してきたISDN回線サービス「INSネットディジタル通信モード」を、2024年1月から地域ごとに段階的に終了させることを発表しました。
これにより、固定電話網からIP電話網へと切り替わるため、電子データ送信にINS回線を使用していた場合は、今まで通りの利用ができなくなります。
そもそもINS回線とは、「デジタル回線(ISDN)」のことを指します。従来は、1契約で2回線以上設置でき、なおかつ電話番号が2つ割り振られる特徴もあったため、企業でよく利用されてきました。
しかし近年は、光回線が主流となってきたため、INS回線がほとんど使われなくなっていました。このような背景から、NTTは同サービスの終了を発表しています。
INS回線は、POSレジや保険請求など色々な用途で利用されているため、同回線を導入している事業者はサービス終了までに、IP電話へと早い切り替えの対応が必要になってくると考えられます。
【kyozon編集部ピックアップ】おすすめの業務効率化サービスをご紹介
IP電話は業務を効率化するために用いられる便利なサービスですが、IP電話の他にも業務効率化できるツールとして、メールなども挙げられるでしょう。
ここからは電話やメールなどをビジネスで使用する際に、さらに業務が効率化する便利なサービスをご紹介します。
オトコル
内容 | |
提供会社 | アイザック株式会社 |
価格・プラン | 要問い合わせ |
無料トライアル | なし ※期間限定のキャンペーンあり |
主な特徴 |
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オトコルは電話発信業務の効率化を実現する、法人向けの電話発信自動化サービスです。顧客に伝えたいメッセージをオトコルに登録すれば電話開始時間に自動で発信、1時間あたりに5,000件ものコールが可能です。
メッセージの順番や電話番号は直感的な操作で簡単に登録が可能、1分程度で入力が完了します。電話業務に関する教育やコール業務で新たに人を雇う必要もなくなり、電話業務に係るコストを大幅に削減することができます。
オールインワンBPO型営業支援サービス
内容 | |
提供会社 | 株式会社Sales Lab |
価格・プラン | 要問い合わせ |
無料トライアル | なし |
主な特徴 |
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セールスリードの獲得からクロージング、商談成立まで、各営業プロセスの問題点を抽出、改善し、成果創出までの営業支援を実行するアウトソーシングサービスです。
独自開発したセールスプラットフォームを活用し、自動的に蓄積されたデータをもとに、最適な営業コミュニケーションを提案。データとテクノロジーを効果的に組み合わせながら、営業活動の変革へと導きます。
配配メール
内容 | |
提供会社 | 株式会社ラクス |
価格・プラン |
※価格詳細は要問い合わせ |
無料トライアル | あり |
主な特徴 |
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配配メールはアポイント獲得や集客など、一連の営業活動をサポートし、業務を効率化するメールマーケティングサービスです。メール配信に特化したシステムのため、配信までに必要なステップは4つのみ。初心者でも使いやすい仕様になっています。
以前は人が行っていたメール分析や検証は、配配メールの便利機能が代わっておこなうことが可能。従来の作業時間を大幅に短縮することができます。コンサルタントによる運用・改善提案など手厚いサポートも受けられます。
まとめ
以上、本記事ではIP電話の導入を検討している方に向けて、IP電話の基礎知識と導入のメリット・デメリットを中心に解説しました。IP電話は、固定電話と比べると導入がしやすく、電話料金を抑えられます。
メリットやデメリットを理解した上で、上手にIP電話を使えば、毎月の固定費を賢く節約できるでしょう。
2024年のディジタル通信モード終了も踏まえ、IP電話が自分に適していると思った方は、導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。