メールマーケティングとは
メールマーケティングとは、企業が顧客や見込み顧客に対し、メールで商品やサービスの販売促進などをする手法です。顧客との関係強化やブランド認知度向上などを期待できます。他のマーケティング手法と比べて費用対効果が高い点が、メールマーケティングの特徴。また、顧客と直接コミュニケーションがとれることも大きなメリットです。
代表的なデジタルマーケティング手法
メールマーケティングは、代表的なデジタルマーケティング手法の1つです。メールで顧客とコミュニケーションを取り、集客やコンバージョンにつなげることを目的としています。1990年代後半から、マーケティング業界ではメール広告が発展しましたが、SNSやECサイトの普及に伴い、プッシュ通知機能や、実店舗とデジタル店舗をつなぐ役割も果たしはじめました。
現在では、メール広告には以下の種類が存在します。
- メールマガジン
- メール広告
- ステップメール
いずれもメールを使い、顧客や潜在顧客とコミュニケーションが取れるのがメリットです。
メールマーケティングの重要性は高い
総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」2023年度版によると、メールの利用時間は、全世代で平日40分を超えているといわれています。利用時間だけならSNSのほうが多いですが、ビジネスではメールもまだ主流といえるのです。特に中間管理職を務めるビジネスマンの多い40代では、メールで情報を受け取り、商品やサービスを購入する傾向があります。
また、SNSで情報を発信するには、媒体ごとの操作方法を覚えなくてはなりませんが、メールマーケティングなら、普段使っているメールツールを活用して簡単に広告やマガジンを配信できます。ほかのデジタルマーケティング施策と比較すると、メールマーケティングは実行ハードルを下げられるのがメリットといえるでしょう。
メールマーケティングの種類と特徴
メールマーケティングの種類は、主に以下が挙げられます。
- 自動で送信するステップメール
- 顧客の行動で変わるシナリオメール
- 送信先や内容を厳選したセグメントメール
- 再行動を促す休眠顧客発掘メール
自動で送信するステップメール
特定の日付や顧客のアクションに合わせ、あらかじめ用意したメールを送るのが、ステップメールです。ステップメールには、以下のようなものがあります。
- 資料請求のお礼→導入事例の紹介→お得なキャンペーン紹介の紹介
- 商品購入のお礼→おすすめの関連商品の紹介→商品の継続利用の優待情報
3日、1週間、1ヵ月などに分けて、段階を追うごとにメール送信をするのがステップメールの基本です。定期的なメール配信を行うことで、ユーザーの心をサービスや商品に長期にわたり惹きつけられます。
顧客の行動で変わるシナリオメール
送信したメールの開封の有無や、メールで紹介した商品の購入の有無などで、次に配信するメールが変わるのがシナリオメールです。どのような条件でどのようなメールを送信するかは、送信側が自由に設定できます。例えば、「メール受信者がAのメールを開封したらBのメールを開封後〇分後に送る。開封しない場合は、Cのメールを〇月〇日に送る」というイメージです。
シナリオメールを作成する際に重要なポイントは、以下の3つです。
- ユーザー行動にあったシナリオ配信をする
- メールの開封の有無で配信するメール内容を変える
- メルマガ配信解除者が出ないように、ユーザーニーズを意識する
すべてのユーザーに対し、適切なシナリオメールを送るのは難しいですが、自動CSV機能などを搭載したメールツールを使えば、効率的に適切な内容をユーザーに送ることが可能です。
送信先や内容を厳選したセグメントメール
見込み顧客を性別や年齢、特定のインターネットページの閲覧などで分類し、メールを送信するのがセグメントメールです。「ターゲティングメール」とも呼ばれ、顧客別に送信内容を厳選できるのがメリットで、ステップメールと組み合わせて、利用されるケースも多いです。
セグメントメールは、適切なユーザー抽出を行って配信する必要があるため、メールを送れるユーザー数も限られます。メールを送る対象が絞られてしまうため、ステップメールなどと併用しながら用いるのがおすすめです。
再行動を促す休眠顧客発掘メール
一定期間、購入などの行動がない顧客に再アプローチをする目的で送るのが、休眠顧客発掘メールです。休眠顧客発掘メールには「今、商品を購入したらお得になる」などの販促と相性が良いのが特徴です。「期間限定」や「このメールが届いた方限定」などの文面を使って、クーポンを配信し休眠ユーザーをひきつけると良いでしょう。
メールマーケティングをする3つのメリット
メールマーケティングのメリットは、以下の3つです。
- 紙媒体よりもコストカットができる
- 顧客の属性や状況に合わせた訴求ができる
- 開封率やクリック率などの効果を測定し改善ができる
紙媒体よりもコストカットができる
メールマーケティングは、デジタルで実施できるため、印刷費用などのコストがかかる紙のダイレクトメールよりも安価に実施できます。また、郵送と違い手間をかけず、送信の数も増やせるのもポイントです。1度に万単位を送信する場合でも、数十人に送信する場合と比べて手間があまり変わらないのは、大きなメリットといえます。
もし、メールマーケティング用のツールを導入する場合でも、導入費や毎月のコストはそこまで高くなく、導入によって配信や分析にかかる人件費を抑えられます。必要な予算の面では、気軽に挑戦できるマーケティング手法と言えるでしょう。
顧客の属性や状況に合わせた訴求ができる
顧客が購入意欲を失わないように、必要としている情報を厳選して送れるのもメールマーケティングのメリットです。シナリオメールやステップメールなどで、顧客が興味を持っている情報だけを送り、属性や状況に合わせた訴求が可能になります。顧客の興味に柔軟な対応ができるため、よりサービスへの関心を高め、購入意欲を促進できる可能性が高く、特に40代以上のビジネスマンに対しての反応率は、普通の広告よりも高い傾向にあります。
開封率やクリック率などの効果を測定し改善ができる
メールマーケティングでは、顧客の行動から開封率やクリック率などの情報を取得できます。紙の資料を送る場合と比べ、顧客のリアクションや行動が分かるのは大きな強みです。反応に合わせて、より興味をもってもらえる内容への改善を検討できます。開封率やクリック率などの効果を測定するツールを導入すれば、集計も簡単なため、マーケティングに必要な顧客情報などを獲得する目的でも、メールマーケティングは役立つでしょう。
メールマーケティングをする際の注意点
メールマーケティングの注意点は、以下の2つです。
- 効果の実感までに時間がかかる
- 送信するメール作成に人的コストが発生する
効果の実感までに時間がかかる
メールマーケティングでは、1回メールを送信しただけでは顧客との関係性は築けません。顧客の意識変化をさせるためには、ある程度の期間が必要です。効果を実感するには中長期で取り組む必要があることを理解しておきましょう。
送信するメール作成に人的コストが発生する
顧客の反応が見込めるメール内容にするため、ターゲットに合わせた作り込みをしなくてはなりません。送信は自動化できても、メール内容は基本的に人力で作る必要があります。質の低いメール内容であれば、顧客が離れてしまうリスクもあるため気を付けましょう。
質が高いメールを作成するためには、ノウハウを持った人材が必要です。企業によってはメールマーケティングをするために、外注でメールを作成する人材を雇うところも多いです。社内にメールマガジンに関する知識を保有する人材がいない場合には、人材育成をするか、外注に頼るかも決めておくと良いでしょう。
メールマーケティングを実践する流れ
メールマーケティングを実践する流れは、以下の4つのステップです。
- 最終目的とKPIを決定する
- 顧客のメールアドレスを収集・集約する
- メール内容を作成して送信する
- 顧客の反応・行動を分析する
最終目的とKPIを決定する
まずは、最終目的とKPIを決定しましょう。「資料請求〇件」など、明確な最終目的を設定してみてください。
最終目的から逆算した、メールの開封数やメール内のリンククリック数の目標が「KPI」です。何を達成したいのかや、どのくらいのKPIを目標とするのかで、マーケティングの手法は変わります。初回の設定は非常に重要なため、慎重に設定を行いましょう。
顧客のメールアドレスを収集・集約する
メールマーケティングの効果を高めるためには、メールの送信数を増やす必要があります。営業が個別で持っている名刺を集約したり、公式サイトの資料請求などでアドレスを収集して配信リストを増やしましょう。
メール内容を作成して送信する
顧客メールアドレスを集めたら、カスタマージャーニーや具体的なペルソナを作成します。具体的には以下の要素を盛り込み、施策を実施するのが効果的です。
- 年齢
- 性別
- 職業
- 家族構成
- 解決したい悩み
メール送信は、ツールを使うと自動化も可能です。手動で送信するよりミスも少ないため、予算の都合が合うなら積極的に利用してみてください。
顧客の反応・行動を分析する
メールをただ送信しただけでは、マーケティング効果を最大限に活かせません。文面のA/Bテストなどで効果を分析し、顧客の反応や行動は改善されたのかをチェックしましょう。顧客の反応や行動として目安にできる数値は、以下の通りです。
- 開封率
- 不到達率
- クリック率
- 購買解除率
これらの数値は、分析ツールを使えば手早く簡単に把握できます。設定した目標を達成できるよう、施策の改善を繰り返しマーケティングを成功させましょう。
【kyozon編集部おすすめ】メールマーケティング向けツール・サービス2選
kyozon編集部おすすめの、メールマーケティング向けツールやサービスは以下の2つです。
- 配配メール
- Engage Cros
配配メール
・メールマーケティングのコンサルタントに、運用を支援してほしい
・マーケティングノウハウの提供をしてもらい、自社に技術を蓄積したい
・アポイントの数を素早く増やしたい
1年間でアポイントの数が4.5倍になった実績がある配配メールは、メールマーケティングのコンサルタント支援が受けられるサービスです。メール配信を楽にしてくれる機能はもちろんのこと、プロのマーケターからノウハウの提供やアフターフォローが受けられます。
直感的で使いやすいメールツールと、追加費用なしのフォローアップが特徴。初めてメールマーケティングをする担当者に、非常におすすめのツールです。無料トライアルもあるので、気軽にお試しができるのも嬉しいポイントです。
- 業種:IT / 通信 / インターネット系
- 会社名:-
- 従業員規模:2〜10人
- 部署:マーケティング部
- 役職:係長・主任クラス
Engage Cros
・短時間で大量のメール送信がしたい
・長文が簡単なツールを活用したい
・リアルタイムでファイルをアップロードしたい
UIがとてもシンプルで、SQLなどの専門知識がなくともチューニングができるMAツールです。メールの到達率は99.9%で、1時間に4100万通を送信できます。あらかじめメールを設定しておき、必要に応じて大量送信したい企業に向いています。ファイルアップロードをトリガーにしてデータ連携を行っており、テンプレートを使った高速化も可能なため、手早く簡単にメール送信ができます。
ソフトの提供だけでなく、さまざまな局面で専任のサポートチームがマーケティングを助けてくれるのも嬉しいポイントです。導入だけでなく運用も助けてくれるため、社内にメールマーケティングチームがない会社にもおすすめなツールです。
メールマーケティングについてよくある質問
メールマーケティングに関するよくある質問は、以下の通りです。
- メールより、LINEマーケティングの方が効果がある?
- メールマーケティングで、知っておいた方が良い用語は?
メールより、LINEマーケティングの方が効果がある?
メールマーケティングと同じく、見込み顧客や顧客と接点を持てるマーケティングチャネルに、LINEの公式アカウントがあります。特徴は似ているものの、役割には違いがあるため注意が必要です。
LINE公式アカウントは、クーポン配信等の機能と相性が良い傾向にあります。一方で、ECサイトでの1回の買い物に使う金額は、LINE公式アカウントよりもメールマガジンの方が高いという調査結果もあります。どちらか片方だけでなく、両者の長所を活かして併用すると良いでしょう。
メールマーケティングで、知っておいた方が良い用語は?
以下の用語を押さえておけば、メールマーケティングに役立ちます。
| 内容 |
開封率 | 送信されたメールが実際に開封された割合 |
HTMLメール | HTMLコードを用いてデザインされたメール |
テキストメール | テキストのみで構成されたメール |
レスポンシブメール | さまざまなデバイスで最適に表示されるように設計されたメール |
ホワイトペーパー | 技術情報や専門知識をまとめた資料 |
コンバージョン(CV) | 顧客が購入や資料請求など企業が望む行動を行ったこと |
コンバージョン率(CVR) | メールを送信した人数のうちコンバージョンに至った人の割合 |
オプトイン | ユーザーが事前にメール配信の許可を選択している状態 |
オプトアウト | ユーザーが事前にメール配信の停止を選択していない状態 |
リードナーチャリング | 見込み顧客を育成し、購買意欲を高めるためのマーケティング手法 |
まとめ
メールマーケティングは、効率的な顧客獲得のために必要な施策です。ターゲットを絞り込みメール内容を作り込めば、顧客の心を動かし商品やサービスの購入へ導けます。
しかし、メールを人力で送信するのには、限界があるため、支援サービスやツールを活用して、業務の効率化を図るのがおすすめです。記事内で紹介した便利ツールを使い、効率よくメールマーケティングを進めてみてはいかがでしょうか。