kyozon.編集部は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から急遽オンライン開催になった会場を訪問した。スタッフの緊迫感とパネラーの和やかな雰囲気を感じながら参加させていただいたイベントの様子を一部お伝えする。
急遽オンライン開催となった『標-しるべ-』は
常時400人が視聴
マーケターという職種は昔からあるが、社内の定量/定性情報を組み合わせて、効果のあるマーケティング施策を打ち出すためにはスキルが必要となる。私自身もマーケティングに関わる一人として、スキルを磨くには書籍から理論を学び、経験から実務を積むことに加え、 先駆者の成功と失敗から道しるべを見つけることが近道である。と感じていた。
日本政府が「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を発表したのが2月25日(火)。同日にSATORI株式会社は会場開催(当初は渋谷ヒカリエを予定)を断念し、すぐにオンライン開催に舵を切った。私を含め楽しみにしていた申込者も多かったと思うので、開催にこぎつけたスタッフ皆様には感謝の想いである。
当日はメインセッションのみとなったが、同社の100人以上が入るだろう研修室に専用セットを組み、角度を変えたカメラ3台が正面ステージに向けられていた。会場に入る際はアルコール消毒、マスク着用を行うことを事前に説明された。青のTシャツを来た出演者と黒のジャンパーを着たスタッフは、開始ギリギリまで準備と打ち合わせを重ねていた。
13時と同時にアナウンスが開始し、ライブイベントがスタート、現場とライブを両方見ると、数十秒のディレイでほぼそのまま放送だった。
マーケティング20年の歴史から
“いま必要なマーケティングスキル”を紐解く
オープニングセッションは、SATORI株式会社の代表取締役 植山浩介氏と株式会社シナプス/株式会社ウィンスリーの村上佳代氏が、 マーケティング業界の過去20年を振り返りながら、今ビジネスに関わる すべての方に必要な“マーケティングスキルとは?”について語った。
「マンガでわかるWebマーケティング―Webマーケター瞳の挑戦!―」の著者でもある村上氏は、これからマーケターの道を究めていこうとする視聴者へ、
「20年前にインターネットが普及し、当時最新だったものが、今では当たり前になり、古くなってしまった。数年でテクノロジーが変わり社会も変わり、すぐに陳腐化するようになってしまった。そのような時代の中で、 自らがどのような存在になるのかが大事になった。
価値のある存在に自らを高めるためには、過去の知識だけでは通用しなくなり、常にインプットを続けて、 知識の組み合わせからアウトプット出せることが求められている。マーケティングの領域で活躍をしていくには、自分の軸足を決めたうえで、領域を広げていくキャリアの積み方が良い。
その根底にあるのは 『自分がやっていることに情熱を持てるか?』ということ。」
と熱いメッセージを送った。
将来を見通すことが難しい時代こそ
世界観が求められている
テクノロジーの進化が早くなり、今後数年で何が当たり前になるのか、将来を見通すことが極めて難しくなった。そのような時代背景の中で、植山氏は2つポイントがあると語った。
「1つ目は、 リアルなものよりカタチのないもの(情報やゲームやSNSなど)にお金と人が集まり、社会が動かされるようになった。この20年で時価総額Top10がほとんどICT企業になったということが大きな変化。物理的な制約がない産業が主流となり、YouTuberやe-Sportなどもその一部でしょう。
2つ目は、これまで以上に機能と価格以外の“ブランド”や“世界観”を大事にする顧客が増えているということ。BtoBであっても顧客はビジョンを見据えてツールを選定しはじめており、 顧客とともに世界観を作り上げることが必要だと感じる。」
インターネットやデジタルといった、時代を変えるイノベーションが一般化して、次に起こる波はその技術を使ったサービス(SaaSなど)の一般化である。サービスが一般化する過程では、ビジネスの優位性はサービスの思想=コンセプトに起因する。サービスを提供する側としては、利用者に明るい未来を示し寄り添うことが求められてると感じた。
知識よりも“考え方の方程式”や“人間関係”が資産
セッションでは視聴者からオンラインで寄せられた質問にパネラーが答える形式でコミュニケーションがとられた。
「日々めまぐるしく変わる時代で活かし続けられる知識は何か?」という問いに対し、「ずっと役立つ知識はない、アウトプットし続けるためにはインプットし続けることが必要。 知識よりも人間関係を築くことが資産になる」と植山氏は回答。村上氏は、「新しいと思われた知識も陳腐化し、不良債権化する。 考え方の方程式を身に着けることのほうが重要」と続けた。
セッションの中で村上氏は、 マーケティングとは「選ばれること、そして選ばれ続けること」と定義していた。サブスクリプション型のサービスが増え、サービスの継続的な提供がマネタイズの源泉となった近年においては、マーケティングは顧客との関係を築くことに加えて、さらに関係性を深めていくことが重要になっていることを再認識した。
ビジネスに関わる全ての方にとって、さらに重要性が高まるマーケティングスキルとは、知識を基礎として、時流をよみ、その瞬間に必要なアウトプットを自身の考えとして周囲に伝えることであった。社内であれば同僚や関係部署、社外であれば顧客や協力会社といった関係者を巻き込むことがマーケティングなのだと感じたオープニングセッションであった。
各セッション最後には登壇者のおすすめ書籍が紹介された
当日のプログラム
オープニングセッション以降も 「営業&マーケティングの力を養う1日」というテーマに合わせて、多方面で活躍するパネラーを交えたセッションが開催された。
セッション1:“マーケティングを組織に浸透させる” 部門間の壁を突破してきた先輩から学ぶ!強い組織の作り方
必要なマーケティングスキルを理解したビジネスパーソンが、 “効果的にマーケティングを根付かせることにより組織を強くするためにはどうしたらよいのか?”を語るセッション
株式会社ユーザベース 酒居 潤平 氏
コニカミノルタジャパン株式会社 富家 翔平 氏
株式会社LEAPT 戸栗 頌平 氏
弁護士ドットコム株式会社 岩熊 勇斗 氏
セッション2:“課題解決の第一歩” 先人の失敗経験から学ぶ!マーケ初心者は何から手を付けるべきか
組織的なマーケティング施策によって効果を上げていくために生じる課題に “具体的になにから?どんな施策から手をつけるべきなのか?”を登壇者の失敗経験を含めて語るセッション
株式会社才流 栗原 康太 氏
アライドアーキテクツ株式会社 藤田 佳佑 氏
株式会社ベーシック 河村 和紀 氏
株式会社セレブリックス 今井 晶也 氏
セッション3:“自身の成長 -キャリアを考える-”現役マーケターを分析 ~わたしのキャリアチェンジのきっかけ~
身につけたマーケティングスキルや経験を活かして、 “自身のキャリアをどう進化させていけばよいのか?”ロールモデル事例から知っていただくセッション
株式会社インプレス 四谷 志穂 氏
株式会社リンク 小川 泰範 氏
Repro株式会社 井上 裕司 氏
ワークスモバイルジャパン株式会社 青木 由佳 氏
セッション4:
“圧倒的な成果と勝負の勘所” 伝説のマーケター“劇薬”の流儀
“成功し続けるマーケターになるためにはどのようなマインドを持てばよいのか?”を伝えるセッション
Niantic, Inc. 足立 光 氏
「SATORI」について
「SATORI」は、”見込み顧客を増やす” 国産マーケティングオートメーションツールです。リード情報(メールアドレスを含む個人情報)獲得前の、匿名ウェブユーザーに対してのナーチャリングを実現することで、これまでのMAツールにくらべて、大量の見込み顧客創出を実現することができます。
会社名:SATORI株式会社
所在地:〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町23-21 渋谷区文化総合センター大和田 11F
代表者:代表取締役 植山 浩介
設立年:2015年9月
資本金:15億1311万円(払込済資本)
事業内容:マーケティングオートメーションツールの開発・販売
ウェブサイト: https://satori.marketing/