チャットツール導入時の注意点
チャットツールを導入する際の注意点は以下のとおりです。
- 運用に必要な機能が備わっているか
- 予算に見合ったプランか
- セキュリティ対策が万全か
- 自社のシステムと互換性があるか
- ユーザービリティが優れているか
順に解説します。
運用に必要な機能が備わっているか
チャットツールはチャットのほかにファイル共有やタスク管理、ビデオ通話・音声通話など、業務遂行に役立つ機能があります。しかし、全従業員がツールを使いこなせるとは限りません。
使いこなせない従業員はツールから疎遠になり、チャットツールの使用が減少する懸念があります。また、すでにWeb会議システムを導入している場合、チャットツールの機能と重複し、人によって使用するツールが変わったり余計なコストが発生したりすることとなります。
チャットツールの導入目的を決め、導入済みの他ツールと機能が重複していないか確認しながら選定するのが重要です。
予算に見合ったプランか
チャットツールの料金形態はサービスによって異なりますが、「初期費用」「利用料金」「オプション料金」が発生するのが一般的です。チャットツールの導入段階が「初期運用なのか」または「長期を見越した段階か」で契約するアカウント数が異なり、予算やコストが変わります。
支払方法は、年払いと月払いの2種類があり、年払いであれば割引されるケースが多々あるため、長期を見越した導入の際は年払いでの契約がおすすめです。
事前に目的と予算を明確化し、見合ったプランで見積もりしてみましょう。
セキュリティ対策が万全か
ビジネスに適したセキュリティ対策を施されたチャットツールであるか確認が必要です。
ウイルスメールやフィッシング詐欺メールなどといった迷惑メールと同様の被害を出さないよう、チャットツール選定時は、IPアドレス制限やアクセスログ閲覧といったセキュリティ対策が施されているツールを選ぶ必要があります。
自社のシステムと互換性があるか
シフト作成ツールや経費精算システムなどのバックオフィス系ツールは、チャットツールとAPI連携できる場合があります。検討中のチャットツールと導入済みのバックオフィス系ツールに互換性があるか確かめておくとよいでしょう。
互換性があれば、各バックオフィス系ツールからチャットが使えるため、業務効率化につながります。
ユーザービリティが優れているか
操作が複雑なツールは日々の業務効率を低下させるだけでなく、ツールへの不満も高めます。「元のツールに戻してほしい」「他のツールに変えてほしい」などと抵抗されてしまっては、チャットツールの利用が浸透しません。
社内に浸透するよう、ストレスなく簡単な操作で使える「ユーザビリティが優れたツール」を選ぶのがポイントです。
導入時には、ITリテラシーがさまざまな複数人の従業員にトライアル運用してもらい、使い勝手を確かめてみるのもよいでしょう。
チャットツールのデメリットと対処法
チャットツールのデメリットと対処法は以下のとおりです。
- 重要な情報が流れやすい
- 認識を合わせるのが難しい
- 無駄なコミュニケーションコストが発生しやすい
- 既存の連絡手段との使い分けが難しい
それでは順に解説します。
重要な情報が流れやすい
件名ごとに話題が分かれたメールとは異なり、チャットツールはすべてのやり取りが流れるように表示されます。
過去のメッセージを振り返ろうとしてもメッセージを見つけにくいのがチャットツールの難点です。そこで、重要なメッセージにはブックマーク機能を活用し、メッセージを振り返られるように工夫するのが大切です。
また、1つのチャット内に複数人いると、誰に伝えたい内容なのかわからなくなったり、どの話題の連絡なのかわからなったりして、会話に混乱をきたす場合があります。その結果、返信が漏れて話題が完結しないといったリスクが出てきます。
「宛先」「話題内容」を簡潔に書くなど社内ルールを設けるほか、題名を付け、話題ごとにチャットできるslackのようなチャットツールを利用するのも1つの手です。
ただし、slackのような話題ごとにチャットを行う形式は、LINEのように話題が流れていくチャット形式に慣れている人にとって使いづらく、ミスも多発しやすいため慣れる期間が必要となります。
認識を合わせるのが難しい
文章のみのコミュニケーションは相手の表情が読み取れず、認識を合わせるのが難しくなります。相手に伝わる文章を心掛けて書かなければ用件が伝わらず、認識違いや文章を理解する時間を無駄にしかねません。
そのほかにも、短文でレスポンスよく会話を続けていると、お互いに時間を無駄にするため、時と場合によって文章の書き方を変える工夫が必要です。
文章のみにこだわらず、図や表を作成したり、必要に応じてビデオ通話に切り替えたりして用件を伝えるとよいでしょう。
無駄なコミュニケーションコストが発生しやすい
チャットツールは、周囲にやりとりが見られにくいため、業務外の会話を行う可能性が高まります。無駄なコミュニケーションに時間を使い、生産性が落ちてしまう場合もあるため、ルール整備が必要です。
また、業務時間外の連絡対応はワークライフバランスがとれなくなり、負担に感じる従業員も出てきます。とくにシフト制やフレックスタイム制の企業は従業員の就業時間が異なるため、情報共有の工夫が必要です。
既存の連絡手段との使い分けが難しい
電話とメールを主流に仕事をしていた場合、そこにチャットツールが加わると連絡手段の使い分けに悩みます。
チャットツールと既存の連絡手段の使い分け方が異なると、従業員はフラストレーションが溜まるため、社内ルールを決めておくとよいでしょう。
以下は、メール・電話・チャット・Web会議システムの一般的な使い分けの考え方です。
連絡手段 | 使い分け |
メール |
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電話 |
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チャット |
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Web会議システム |
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まとめ
チャットツールの導入にはさまざまな注意点がありますが、適切に活用すればコミュニケーション活性化や業務効率化につながります。
導入前には、かならず導入目的を明確化し、運用ルールを決めておくことが重要です。デメリットについても事前に把握し、対処法を考えておくことでスムーズな導入・運用ができるでしょう。