セグメントとは「見込み客を特定の条件に絞り込んだ集団」
セグメントとは、マーケットの中で特定の条件に絞り分けた集団のことを指します。
たとえば、「年齢や性別」「地域や人口」「価値観や心理的特徴」のようなユーザーが市場を利用するまでの傾向が似ているグループです。
自社がアプローチしたいと考えているマーケットの顧客を似ている傾向にセグメント分けすることによって、各セグメントのニーズを把握しやすくなり、集中したアプローチが可能になります。また、上記のようなセグメントを設定する行為を「セグメンテーション(市場細分化)」と呼びます。
セグメンテーションは、マーケティングの初期段階で行われる戦略のひとつであり、次の工程であるターゲティングとポジショニングにつなげるための重要な工程です。
【注意】セグメントとターゲットを混合しないこと
セグメントを考える上で注意しなければならないのが、ターゲットと混合させないことです。
この2つの言葉は意味合いが似ていますが、似て非なるものでしっかりと区別して考える必要があります。
・セグメント:マーケットから特定の条件で絞り込み共通の性質を持つグループ
・ターゲット:セグメントされたグループの中からターゲットを選び、自社のサービスや商品を売り込みたい一部のセグメント
上記のようにターゲットを選ぶことは、適切なセグメントを行った後に始まる戦略のため、似て非なるものだと理解しましょう。
かつセグメントを正しく行わないとターゲット選びの方向性も相違してしまうため、セグメント戦略は重要なポイントです。
セグメントで大切な4つの条件
セグメントを行っていく上で、重要とされている4Rを紹介します。
- Rank(優先順位の決定)
- Realistic(利益の有効規模)
- Reach(価値を効果的に提供)
- Response(ユーザーからの反応を分析)
上記の4Rは「4つのRの原則」と呼ばれ、セグメントを行いターゲットを選定していく上で、4Rに基づいてチェックをしているかが重要なポイントになります。
また、マーケティングを行っていく上で担当者がデータの照合や収集がしやすい環境を作るためにも4Rを基にセグメンテーションする必要があります。
ひとつずつ確認していきましょう。
①Rank|優先順位の決定
Rankとは、セグメント化したグループから自社の経営戦略に基づき、顧客を優先度順にランク付けできているかを評価します。
自社の得意分野を活かせるマーケットや競合が少ないニーズなど、強みを活かせるマーケットは優先順位が高くなると考えられます。
②Realistic|利益(売上)の有効規模
Realisticとは、セグメンテーションしたセグメントで利益が見込める規模があるかないかで評価できます。有効規模が小さなマーケットでは、よいターゲットを設定したところで利益が十分見込めるとは判断できません。
たとえターゲットがマッチしていても考えていた利益がでない規模であるならば、自社サービスの成長は見込めず赤字になる可能性が高いです。そのため、慎重に見極める必要があります。
③Reach|価値を効果的に提供
Reachとは、ターゲット選定した顧客に対して自社の価値を届けられるのかを指す指標になります。
たとえば、「自社のWeb広告でアクセスされるのか、流通ルートで利益がでるのか」のようなポイントを考え、届けられる見込みがないのであれば早急に見直す必要があります。
④Response|ユーザーからの反応を分析
Responseとは、設定したセグメントにアプローチしたと仮定し、ユーザーからの反応をチェックし分析できるのかを指した指標になります。
ビジネスの成果を判断する基準のひとつであり、今後のサービス発展を見込めるかどうかの基準も判断できる指標になるため、重要なポイントです。
代表的なセグメントの分類方法4つ
そもそも有効的なセグメンテーションを行う際、どのように分類すればよいのかのイメージが湧かないものです。セグメントの代表的な分類方法は下記の4つになります。
- 地理的変数(国や地域・気候や人口・宗教や文化)
- 人口動態変数(年齢や性別・学歴や職業・家族構成)
- 心理的変数(価値観やライフスタイル・性格や嗜好)
- 行動変数(曜日や時間・購入頻度や購入経路)
現在は上記4つの変数により分類する方法が主流になっており、自社のマーケットを分けることができます。
4Rと同様にセグメンテーションする上で重要な工程になりますので、ひとつずつ確認していきましょう。
①地理的変数
地理的変数とはジオグラフィック変数とも呼ばれ、「国や地域・気候や人口・宗教や文化」のような地理的要素から分析しセグメンテーションする方法になります。
たとえば、暖房機器やエアコンなどの空調機器、または住宅の構造のマーケットでは、北海道と沖縄では気候の違いから商品価値も変わります。
また、海外のマーケットでは宗教の違いから「飲酒禁止」「豚肉禁止」「肌の露出禁止」のような観点から需要のある商品・サービスも変わると考察できます。また、精度の高いマーケティングを行うためには、地理的変数をその他の変数と組み合わせて考えることもポイントです。
②人口動態変数
人口動態変数とはデモグラフィック変数とも呼ばれ、「年齢や性別・学歴や職業・家族構成」のような属性を分けてセグメンテーションする方法になります。
たとえば、「40代・女性」「大卒・営業職」「男性・未婚」のような把握が容易なため活用されることが多い方法であり、商品やサービスがユーザーと密に結ばれる特徴があります。
③心理的変数
心理的変数とはサイコグラフィック変数とも呼ばれ、「価値観やライフスタイル・性格や嗜好」のような顧客の心理的要素からセグメンテーションする方法になります。
たとえば、ファッションにたとえると「ハイブランドの洋服を好むユーザー」「リーズナブルで機能性の高い洋服を好むユーザー」「最先端の流行りを好むユーザー」のような分け方が可能です。
昨今では、SNSやインターネットの情報を収集できるデータの拡大にともない重要度が高くなってきた変数です。
④行動変数
行動変数とはビヘイビアルとも呼ばれ「曜日や時間・購入頻度や購入経路」のような顧客の行動パターンを分類しセグメンテーションする方法になります。
たとえば、化粧品にたとえると「月に一度だけ購入するユーザー」「定期購入しているユーザー」「化粧品の内容によって購入しているユーザー」のような分け方が可能になります。
購入経路も、ドラッグストアで購入しているユーザーや百貨店で購入しているユーザー、ネットショップで購入しているユーザーなどの分析ができます。
昨今では、心理的変数と同様にSNSやインターネット、ECサイトの普及により容易に測定でき、顧客の購買行動やニーズに対して正確に測定できるようになった変数です。
セグメント後に実行するSTP分析と2つのマーケティング戦略
適切なセグメントが完成したら、STP分析を用いてターゲティングとポジショニングを立案する必要があります。
マーケティング戦略を練るための重要なポイントですので、ひとつずつ確認していきましょう。
STP分析
自社が新規参入するにあたり、「マーケット全体のどの分野が自社に優位か、競合優位性のもてるポジショニングはどこか」を考えることが、マーケティングフレームを決めるポイントです。
これを「STP分析」と呼びます。
STP分析とは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字であるS・T・Pをとった略語です。
これまで紹介したセグメント(セグメンテーション)はSTP分析の基礎になる部分であり、的確に行うことでターゲティングとポジショニングの戦略を立案できます。
戦略①ターゲティング
STP分析のターゲティングとは、セグメント化したグループの中から自社のターゲットにする領域を決定する戦略を指します。
顧客の数や将来性は十分か、ターゲットに設定するセグメントの規模は自社の商品・サービスに見合っているかを考慮しターゲティングする必要があります。
また、ターゲティングする際にターゲットが多すぎれば、広告に使用する費用が高くなり費用対効果が少なくなることもあります。
逆にターゲットが少なすぎるのであれば、集客数も少なく利益も見込めません。自社が携わるマーケットに応じたターゲティングが重要になります。
戦略②ポジショニング
STP分析のポジショニングとは、ターゲティングによって設定したターゲットに対して、どの方法で自社の商品・サービスを認知させるか、売り出していくかを戦略的に決定します。
認知方法だけでなく、競合他社との優位性を考慮しての検討が重要であり、差別化を図れるポジショニングがとれないのであれば、ターゲティングに戻り適切なターゲットを練り直す必要もあります。
まとめ
以上、本記事ではセグメントの意味や考え方、そしてセグメント後の戦略方法を中心に解説しました。
- セグメントとは「似ている傾向にグループ分けした集団」
- グループ分けするための大切な4つの条件と分類方法
- セグメント後に実施するSTP戦略
セグメントは、マーケティング戦略を練るための第一歩であり、自社の商品・サービスを普及させるための肝です。
昨今では多種多様な顧客のニーズや購買行動が把握しやすくなっており、基礎であるセグメントを疎かにしてしまうとマーケティングとしての成功が難しくなります。
そのため、セグメントの知識はマーケティングの最重要ポイントです。
この記事をきっかけに、マーケティングの考え方が洗練され、自社の利益につながりましたら幸いです。