BtoB(B2B)マーケティングとは
BtoBマーケティングとは、「企業」対「企業」の取引を円滑化するために行うマーケティングの仕組みづくりやその一連の活動を意味します。
今回はこのBtoBマーケティングの基本について解説していきます。
BtoCとは違うBtoBマーケティングの特徴
— | BtoC | BtoB |
---|---|---|
対照 | 生活者 | 法人や団体 |
購買に関与する人数 | 1人 | 複数かつ多層 |
利用者 | 多くの場合で購入者と同じ | 購買者と同じとは限らない |
購買目的 | 所有、体験、もしくは課題解決 | 課題解決 |
検討期間 | 短期間の傾向 | 長期間の傾向 |
購買の際に重視される点 | ブランドや付加価値も影響 | 機能や実績中心 |
購入チャネル | 販売員やECサイト | 営業担当者 |
BtoBとBtoCの一番の違いは、「買うかどうか」を判断する意思決定者が大きく異なります。
BtoCでは「購入」、個人でモノを買い入れるため、基本的にECサイトや店頭で支払いをする消費者本人が「買うかどうか」の判断を下します。
そのため、訴求内容は製品やサービスを使用する個人が抱える課題やニーズを想定した感情に訴えるマーケティング施策が有効になってきます。
しかしBtoBの場合は「購買」、組織や企業で「買うかどうか」の判断を下さなくてはなりません。また、1件当たりの単価も高額で、窓口となる担当者が製品を認知して興味を持ったとしてもすぐに購買へはつながりにくいです。
そのため、訴求内容も購買につなげるには競合他社との比較材料として使える導入コストや費用対効果、会社の実績などの優位性を示すような客観的なデータで伝えるのが有効になります。
BtoBマーケティングが必要な理由
BtoBマーケティングが現代に必要になっている理由はいくつかあります。
顧客企業の行動が大きく変化
以前は、企業の購買担当者が何らかの課題に直面した場合、その多くは人(営業担当者)からの情報収集きっかけで商談が始まるというケースがほとんどでした。
しかし、インターネットの登場以降、課題を解決するための情報源は「人」から「検索エンジン」へと移行し、営業担当者と直接話すタイミングは、ある程度製品・サービスの選定をした後に行われることが多くなっています。
BtoBマーケティングの重要性
実際、米国のCorporate Executive Boardが発表したThe Digital Evolution In B2B Marketing という調査資料では「BtoBでは顧客の購買プロセスの57%が、営業担当者に会う前にすでに終わっている」という事実が明らかにされています。
参考:The Digital Evolution in B2B Marketing
この57%の中にはもともと主流であった展示会も含まれていますが、現在は下記のようなインターネットを介した情報源が主流となっています。
- SNS
- メール
- ホワイトペーパー
- セミナー(ウェビナー)
- SEM(リスティング広告・SEO) など
また最近では、セミナーがウェブ開催になるなど、業務のテレワーク化によってウェブ上でのやり取りがより主力となってきているため、今後も重要度は右肩上がりとなりそうです。
BtoBマーケティングのフレームワークが変化している
マーケティングのフレームワークとしてまず取り上げられるのが、「4P」です。
しかし昨今では、今までが“モノ”にフォーカスされていたマーケティングから“人”にフォーカスされることが求められていて、「Person(人)」を追加した5Pとしてまとめられることも増えていました。
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(チャネル)
- Promotion(販促)
- Person(人)
さらに新たなフレームワークSAVE
実は、デジタルが盛んな現代版のマーケティングがあるのをご存じでしょうか?それが「SAVE(顧客体験目線)」です。
- Solution(解決策)
- Access(接触・接点)
- Value(価値)
- Education(教育・啓蒙)
製品の技術や品質が高ければ売れるのではなく、あくまでお客様のニーズが原点となっています。つまり、マーケティング視点が市場に移ってきているということです。
そのため、4PとSAVEを並べて比較すると、4Pが売り手目線なのに対し、SAVEはさらにUX(ユーザーエクスペリエンス)に配慮した顧客体験目線のマーケティングフレームということがわかります。
- Product(製品)→ Solution(解決策)
顧客の要望や問題を解決するために必要な製品・サービスであるか?
- Place(チャネル)→ Access(接触・接点)へ
販売チャネル(購入前後ふくめ)を理解した上で、いかに顧客との接点と接触時間をつくり出すことができるか?
- Price(価格)→ Value(価値)へ
多くの中から選んでもらえるだけの優位性を生み出せているか?それはどのような点なのか?
- Promotion(販促)→ Education(教育・啓蒙)へ
価値ある製品・サービスであることを理解してもらうために、何をどのように情報提供していくべきだろうか?
BtoBマーケティングの基本プロセス
ではBtoBマーケティングを行っていくためにはどのような流れで顧客との契約を結んでいくのか?その基本プロセスについて紹介します。
顧客のニーズを知る
顧客満足度の調査や見込み顧客(リード)のニーズ調査で蓄積されたニーズを分析します。
その分析結果を基に、顧客や見込み顧客が「お金を払ってでも解決したい課題」が何なのかを把握します。
顧客のニーズを把握するためには以下の手法があります。
- 既存顧客のニーズを知る
- 既存リードのニーズを知る
- 業界課題、社会課題を知る
売れる商品を作る
「お金を払ってでも解決したい課題」に対して、自社の強みを活かしながら、サービスを開発・改善していくことです。もしくは、既存サービスに付加価値を付けていくことです。
この段階でマーケティングにおける差別化や競合との優位性などが強化されます。
売れる商品を作るためには、「仮説→施策→改善、市場投入」のプロセスを踏むのでモニター企業と協力しながら進めましょう。
リードジェネレーション(見込み顧客を獲得する)
一般的に「リード獲得」とよばれる機会も多いですが、これは自社サービスの見込み顧客を集客することを指します。
自社サービスに対して興味を持つ人がいなければ成約に結び付けることは難しくなるため、どれだけ効率よく見込み顧客へアプローチできるかがカギとなるのです。
リードジェネレーションで以下のような手法があります。
- 展示会
- テレアポ
- コンテンツマーケティング
- ホワイトペーパー
- セミナーやウェビナー
- Web広告
リードナーチャリング(見込み顧客を育成する)
獲得した見込み顧客に対して、中長期手的に接点を構築していき、信頼関係を作り上げ成約率を上げる方法です。
見込み顧客が解決したい課題(ニーズ)を調査し、その解決策(ソリューション)の提案なども行います。
BtoB企業は購買プロセス・検討プロセスが長いため、中長期的なリードナーチャリングの必要性や重要性は非常に高いです。
リードナーチャリングでは以下のような手法があります。
- インサイドセールス
- メールマーケティング
- セミナーやウェビナー(勉強会)
- 顧客育成用コンテンツ
- MA(マーケティングオートメーション)
案件化・商談化
育成した見込み顧客の中から、確度の高い見込み顧客を選定し、案件化や商談化していくことです。
案件化・商談化では以下のような手法があります。
- インサイドセールス
- サービス資料
- 比較コンテンツ
- SFA(セールス・フォース・オートメーション)
受注
案件化・商談化した見込み顧客に対して見積りを行い、実際に受注を獲得することです。
この段階で見込み顧客が「新規顧客」になります。
受注では「勝ちパターンやベストプラクティスを見つける」ことが手法として挙げられ、そのためには過去の受注案件の商談経緯トレースと共通点の分析を行います。
顧客維持
新規顧客を維持して優良顧客化していくことで、LTVを高め利益や売り上げを最大化していきます。
その顧客の流出防止のための施策を展開し、クロスセルやアップセル等を行うことで既存お客からの売上を最大化させます。
顧客維持では以下のような手法があります。
- 購入回数の増加
- 購入点数の増加
- 購入単価の増加
満足度調査
既存顧客に対して自社サービスの満足度を調査し、自社サービスが持つ課題を明確にしていきます。
満足度調査では以下のような手法があります。
- ヒアリング調査
- アンケート調査
まとめ
以上、BtoBマーケティングについての基本的な部分の解説でした。
BtoBビジネスは、聞こえは似ていても個人を対象とするBtoCビジネスともかなり異なる性質を持っていることがお分かりいただけたかと思います。
顧客や市場といった客観的な視点が重要となるBtoB企業のマーケターの方に少しでもこの記事が参考になれば幸いです。