裁量労働制とは?
裁量労働制は実際の労働時間にかかわらず、労使間で定められた時間を労働時間とみなす制度です。仕事を時間ではなく、成果でカウントする給与体系といえるでしょう。つまり、従業員の裁量に任せる働き方です。
従業員と雇用者はまず認定労働時間を定めます。この考え方は裁量労働制度の根幹です。たとえば、見積もり労働時間を8時間に設定すると、作業が順調に進んで5時間で完了したり、時間がかかり10時間で作業を完了したりしても、労働時間は8時間と計算されます。
実働時間にかかわらず、みなし時間を採用する裁量労働制は、従業員の業務の効率化や良好なワークライフバランス、ひいてはウェルビーイングの実現のために正しく運用することが望まれます。
人事担当のみなさんにとって、社員のワークライフバランスを良好に保つサポートがひとつの重要なミッションではないでしょうか。
ワークライフバランスについては以下の特集記事『「ワークライフバランス」の使い方はもう間違わない!例文付き解説で完全マスター』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
また、同じく従業員にとって大切な「ウェルビーイングの実現」については、以下の特集記事『ウェルビーイングとは?社会・福祉・健康・経営等の視点からみた重要性』で詳しく解説しています。ぜひ、そちらも参考にご一読ください。
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裁量労働制のメリットとデメリット
裁量労働制には、メリットとデメリットの両面が存在します。それぞれの代表的なものを見ていきましょう。
裁量労働制のメリット
裁量労働制による代表的なメリットは、以下の2つです。
- 優秀な人材の確保に有益
- 業績向上に貢献
それぞれを見ていきましょう。
〜【人事系おすすめ記事】「疑問ワードを日本一わかりやすく解説」シリーズのご紹介 〜
労働安全衛生法による健康診断については、以下の特集記事『労働安全衛生法による健康診断とは?実施義務について日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
優秀な人材の確保に有益
柔軟で自分の能力に応じた働き方を可能にする裁量労働制は、離職率の抑制が期待できます。そして労働市場では、優秀な人材が裁量労働制導入企業には集まりやすい傾向があります。
業績向上に貢献
裁量労働制は従業員ひとりひとりに合ったペースで働けるので、従業員エンゲージメントの高まりやモチベーションの向上が図れます。結果的に生産性が向上し、ひいては組織としての業績向上につながります。
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労働基準法における休日については、以下の特集記事『労働基準法における休日とは?定義とルールを日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
裁量労働制のデメリット
裁量労働制による代表的なデメリットは、以下の2つです。
- チームワークによる仕事はしにくい
- 制度の導入に手間がかかる
個別に見ていきましょう。
【人事系おすすめ特集記事】「疑問ワードを日本一わかりやすく解説」シリーズのご紹介
テレワークとその生産性については、以下の特集記事『テレワークは生産性を向上or低下?国内事情や海外の議論も含めて徹底解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
チームワークによる仕事はしにくい
取り組む業務も働く時間も、従業員の裁量に任せているので、チームワークによる仕事は進めにくい面があります。
制度の導入に手間がかかる
裁量労働制の手続きは労働基準法に則って、厳格に行わなければなりません。就業規則の規定の変更や労使協定の締結など、相当な時間と労力を費やさなければならないのです。
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現在注目を集めているサバティカル休暇については、以下の特集記事『サバティカル休暇とは?注目の長期休暇制度の意義やメリットを日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
裁量労働制が対象になる業種
裁量労働制が当てはまる業種は限られています。労働基準法において規定されている、従業員の裁量に任せることが多い業種にのみ、適用が認められます。企業業務型裁量労働制と専門業務型裁量労働制との2種類に大別されます。
企業業務型裁量労働制とは
労働基準法で規定した企業の中核業務となる調査や企画立案、分析などのホワイトカラーと言われる業務、職種が企画業務型裁量労働制が対象となります。
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「オワハラ」については以下の特集記事『オワハラとは?流行の背景と企業側の発生回避の対策を日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
企業業務型裁量労働制の対象業務
- 営業に関する企画を担当する部署における業務のうち,営業成績や営業活動上の問題点などについて調査及び分析を行い、企業全体の営業方針や取り扱う商品ごとの全社的な営業に関する計画を策定する業務
- 人事・労務を担当する部署における業務のうち、現行の人事制度の問題点やその在り方等について調査及び分析を行い、新たな人事制度を策定する業務
- 人事・労務を担当する部署における業務のうち、業務の内容やその遂行のために必要とされる能力等について調査及び分析を行い、社員の教育・研修計画を策定する業務
- 財務・経理を担当する部署における業務のうち、財務状態等について調査及び分析を行い、財務に関する計画を策定する業務
- 経営企画を担当する部署における業務のうち、現行の社内組織の問題点やその在り方などについて調査及び分析を行い、新たな社内組織を編成する業務
- 経営企画を担当する部署における業務のうち、経営状態・経営環境などについて調査及び分析を行い、経営に関する計画を策定する業務
- 生産に関する企画を担当する部署における業務のうち、生産効率や原材料等に係る市場の動向等について調査及び分析を行い、原材料などの調達計画も含め全社的な生産計画を策定する業務
- 広報を担当する部署における業務のうち、効果的な広報手法等について調査及び分析を行い、広報を企画・立案する業務
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最近注目される「エンプロイアビリティ」については以下の特集記事『エンプロイアビリティとは?注目の概念を例も挙げて日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
専門業務型裁量労働制とは
厚生労働省令などで規定した専門性の高い研究・開発職などの分野や、クリエイティブなデザイナーなどの仕事、士業と呼ばれる弁護士や会計士などの仕事が、専門業務型裁量労働制の対象となります。
給与が労働時間で算出しにくいとされる、19業務に限定されています。
専門業務型裁量労働制の対象業務
- 新聞・出版や放送番組の制作取材・編集
- コピーライター
- 新商品・新技術の研究開発
- ゲームソフト作成者
- 情報処理システムの分析・設計
- 大学研究者、大学教授
- インテリアコーディネーター
- ファッションデザイナー・インダストリアルデザイナー・グラフィックデザイナー
- 放送番組、映画などのプロデューサー・ディレクター
- システムコンサルタント
- 証券アナリスト・金融商品開発者
- 中小企業診断士
- 建築士
- 不動産鑑定士
- 弁護士
- 公認会計士
- 税理士
- 弁理士
上記以外の業務では、この専門業務型裁量労働制は適用できませんので注意が必要です。
なお、読者のみなさんの企業を含めて、企業は須らくIT化に遅れないよう、ITリテラシーを維持・向上するのがひとつの課題です。ビジネスの中核であるマーケティングも、今やデジタルマーケティングなしには立ち行かなくなってきています。
そんなデジタルマーケティングについては、以下の特集記事『デジタルマーケティングとは?現代ビジネスに欠かせない方法論を徹底解説』で総合的に解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
また、デジタルマーケティングで活用する、ビジネスに関する膨大な情報の収集と分析・解析に欠かせないのがマーケティングオートメーション(MA)です。
マーケティングオートメーション(MA)については、以下の特集記事『マーケティングオートメーションとは?ツールの選び方と運用の注意点』で包括的に詳しく解説しています。ぜひ、そちらも参考にご一読ください。
裁量労働制の導入の手順
裁量労働制の導入の手順は、専門業務型裁量労働制と企業業務型裁量労働制で異なります。
専門業務型裁量労働制導入の手順
専門業務型裁量労働制を導入するには、労働基準監督署に以下の項目を定めた労使協定を締結して届け出ます。
労使協定締結で定める項目
- 対象業務
- 1日のみなし労働時間
- 協定の有効期間
- 業務遂行の手段や時間配分など従業員に具体的な指示をしない
- 労働時間の算定については、協定で定めるところによるとする旨の定め
- 対象業務に従事する従業員からの苦情処理に関する措置
- 対象業務に従事する従業員の健康・福祉を確保するための措置
なお、当サイトの読者のみなさんが携わっていらっしゃると思われる、サブスク型ビジネス、とりわけSaaSビジネスにとっての最重要課題は「カスタマーサクセス」です。
そんな「カスタマーサクセス」について、以下の特集記事『カスタマーサクセスとは?サブスク型SaaSビジネスの生命線を完全解説!』で特集しています。ぜひご一読ください。
また、SaaSを含むBtoB企業における、マーケティング組織の類型と作り方や、営業部門との関係性に関して以下の特集記事『現代のマーケティング組織の類型と作り方とは?営業部門との関係性も解説』で解説しています。ぜひ、そちらも参考にご覧ください。
企業業務型裁量労働制導入の手順
企画業務型裁量労働制を導入するためには労使委員会を設けて、労使双方の代表委員を選びます。
運営のルールを制定し、多数決(5分の4以上)で以下に挙げる項目を決議し、労働基準監督署に決議内容を届け出ます。また、従業員から個別に同意を得なければなりません。
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最近注目される「エンプロイアビリティ」については以下の特集記事『エンプロイアビリティとは?注目の概念を例も挙げて日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
労使委員会で決議する項目
- 対象業務
- 一日のみなし労働時間
- 対象従業員
- 決議の有効期間、記録の保存期間
- 対象従業員の同意を得なければならないこと、同意しない従業員に対し不当な取り扱いをしない
- 対象業務に従事する従業員の健康・福祉を確保するための措置
- 対象業務に従事する従業員からの苦情処理に関する措置
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注目の人材教育法「リフレクション」については以下の特集記事『リフレクションとは人材教育に活かせる「振り返り」!その手順や実践法を日本一わかりやすく解説!』でフォーカスして徹底解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご覧ください。
裁量労働制でも休日割増賃金や時間外割増賃金が発生する?
裁量労働制においても、休日割増賃金や時間外割増賃金は発生するのでしょうか。「休日出勤手当がつく場合」「時間外手当がつく場合」「深夜割増手当がつく場合」の3つのパターンを見ていきましょう。
休日出勤手当がつく場合
裁量労働制での「みなし労働時間」はあくまで労働日に適用されるものです。
休日出勤における就業に関して雇用者は休日労働時間に基づき、法定休日の労働時間には休日割増賃金として、通常の賃金計算に35%以上の割増賃金を上乗せしなければなりません。
また法定外休日の労働時間には時間外割増賃金として、通常の賃金計算に25%以上の割増賃金を上乗せすることになります。
時間外手当がつく場合
たとえばみなし労働時間が1日9時間の設定の従業員の場合、裁量労働制であっても法定労働時間である8時間を1時間超えているので、1時間分には時間外手当をつけなければなりません。通常の賃金計算に25%以上の割増賃金を上乗せすることになります。
深夜割増手当がつく場合
基本的に午後10時から午前5時まで従業員が働いた場合、裁量労働制であっても雇用者は時間外割増賃金と深夜割増手当を支払う義務があります。通常の賃金計算に25%以上の割増賃金を上乗せすする計算です。
なお、「法定休日」については以下の特集記事『法定休日とは?法定休日労働や36協定も含めて日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
〜【人事系おすすめ記事】「疑問ワードを日本一わかりやすく解説」シリーズのご紹介 〜
総合適性検査SPI3については以下の特集記事『総合適性検査「SPI3」とは?種類別の特徴を含め日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
裁量労働制とフレックスタイム制との違い
働き方改革の流れのなかで普及している働き方のひとつに、「フレックスタイム制」があります。裁量労働制との違いは何でしょう。
裁量労働制は労働時間や仕事の進め方などを従業員に委ねられるので、従業員にとってより効率的に働くことができる上に、正当に成果を評価されやすいシステムです。
一方、フレックスタイム制はあくまでも出退勤時間を従業員に委ねる制度です。出退勤時間は柔軟に自分の都合で選べますが、コアタイムに関しては社内にいなければなりません。
フレックスタイム制ではあくまでも労働した時間に対して給与が支給されますが、裁量労働制では支払う対象は成果であるという点も異なります。
フレックスタイム制度については以下の特集記事『フレックスタイム制度とは?労使協定や就業規則の対応も含め、日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
まとめ
裁量労働制についてどのような働き方なのか、メリットやデメリット、対象業種や導入方法、フレックスタイム制との違いなどを解説しました。すべての職種にはあてはまりませんが、該当する職種なら導入を検討する価値はあるでしょう。
企業の経営者や経営幹部、人事担当のみなさんは自社の業務や状況から導入できそうであれば、ここでご紹介した情報を参考に、ご検討いただければ幸いです。
なお、当メディア「kyozon」のメインテーマのひとつが「マーケティング」です。当サイトにて、マーケティングに役立つ、さまざまなサービスの資料が無料でダウンロードできます。マーケティング担当者や責任職のみなさんは、ぜひご利用ください。
また、ビジネススキルの中でも高度な部類に入るのが「マーケティングスキル」です。
マーケティングスキルはビジネスにおける自分の最強のリソース(資源)であることを、以下の特集記事『マーケティングスキルは身につけて損がないビジネス上の最強の自己資源』で総合的に詳しく解説しています。ぜひそちらも、参考にご覧ください。
ちなみに、そもそもマーケティングとは一体どういうものなのかについて知りたいみなさんのためには、以下の特集記事『マーケティングとはなにか?その意味や定義を日本一わかりやすく解説』において、掘り下げつつわかりやすく解説しています。
基礎的情報として、ぜひ参考にご一読ください。
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※2023年以降のマーケティング戦略構築に参考になる、マーケティングトレンドについて、以下の特集記事『マーケティングトレンドを徹底解剖!2022年までの考察と2023年の展望』で総合的かつ詳細に解説しています。ぜひとも、参考にご一読ください。
※マーケティングを実践するにあたって、消費者の購買行動を可視化するマーケティングモデルというものがあります。マーケティングモデルとは何かについて、以下の記事『マーケティングモデルとは?認知から購買の消費者行動を分析した仮説』でわかりやすく解説しています。そちらも、参考にご一読ください。
※マーケティング活動は幅広い領域にまたがるため、全体を統括するスキル「マーケティング・マネジメント」が求められます。
「マーケティングマネジメント」について、そのプロセスと業界別成功例を以下の特集記事『マーケティングマネジメントとは?プロセスと業界別成功例を徹底解説』で詳細に解説しています。そちらも、ぜひ参考にご覧ください。