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SAPとは?ERPについてや導入するメリットを解説します!

投稿日:2023年3月18日 /

更新日:2023年5月2日

SAPとは?ERPについてや導入するメリットを解説します!
● サイト改善● データ活用● 業務効率化

ビジネスや経営に関わっていると「SAP」という言葉を耳にします。しかし、具体的な意味やどういったものなのか理解できていない方も少なくないはず。今回はSAPやSAP ERPの概要や導入するメリットを解説します。機能面についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

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SAPとは?

SAPとは?

SAPとは、SAP社が提供している企業内の部門ごとに管理している経営資源を一元管理できるERP(統合基幹業務)システムです。

SAP社のERPシステムは、世界中の多くの企業で導入されており経営の意思決定や業務の効率化につながっています。

具体的なSAPの使用目的は、下記の通りです。

  • 複雑なビジネスプロセスを適切に管理
  • 充実したカスタマーエクスペリエンスの実現
  • 部門の異なる社員でも、企業全体の情報をリアルタイムで把握

次にSAP社やERPについて解説していきます。

SAP社とは

SAP社は、1972年にドイツのワルドルフに設立したソフトウェア企業です。

当初は、System Analysis Program Developmentといった会社名でしたが、後に現在のSAPに略称が変更されました。

設立時は5人で始めた事業でしたが、多国籍企業として110,000人の社員を抱える企業に成長しています(2022年時点)。

SAP社の業歴は、下記の通りです。

  • 1973年:財務会計ソフト「SAP R/1」を開発
  • 1979年:メインフレーム方式「SAP R/2」をリリース
  • 1992年:クライアントサーバー方式「SAP R/3」をリリース。同年に日本でSAPジャパンを設立

1992年以降もSAP R/3の後継として、「ECC5.0」をリリースしたり、インメモリーデータベース「SAP HANA」が登場したりしています。

ERPとは

ERP(Enterprise Resources Planning)とは、企業が経営するうえで重要となる「ヒト・モノ・カネ」を適切に分配して有効活用する計画です。

現在は統合基幹業務システムを指す言葉であり、企業の情報戦略として欠かせません。

ERPは統合基幹業務システム以外に、ERPパッケージやERPシステム、業務統合パッケージといった呼び方があるので覚えておきましょう。

また、ERPの導入形態とそれぞれのメリットは下記の4つです。

導入形態メリット
統合型ERP
  • 企業データを一元管理できる
  • 異なる業務と連携できるので、業務効率化につながる
  • 経営状況をリアルタイムで確認できる
コンポーネント型ERP
  • 既存システムとの連携が容易
  • 必要な機能は、その都度追加できる
  • システム費用と開発期間を短縮できる
業務ソフトERP
  • 特定の分野の業務管理を一元管理できる
  • ほかの導入形態より費用が安く、導入期間が短い
クラウド型ERP
  • グローバルに対応している
  • 月額利用料のみで始められる
  • BCP対策を実現できると評価されている


次に、SAP社が提供している「SAP S/4HANA」について解説していきます。

SAP S/4HANA

SAP S/4HANAとは、SAP HANAデータベースをプラットフォームとしたSAP ERPの次世代ソリューションソフトウェアです。

SAP HANAの技術を導入して構築されているSAP S/4HANAの特徴には、下記の3つがあります。

  • ロール別に画面を設計できる
  • 処理テーブルの簡素化により、数万規模の情報処理が可能
  • システム間での重複処理を削減して、コア範囲を定義している

さらに、クラウド型とオンプレミス型の両方に対応している点が、メリットです。

日本国内で2,000社以上の導入実績がありますが、2027年にはSAP ERPの保守サポートが終了する点は覚えておきましょう。

そのため次世代のERPである、SAP S/4HANAへの移行が促されています。

SAP ERPの特徴は?

SAP ERPの特徴は?

ここまで、SAPの概要やSAP社、ERPについてお伝えしました。

続いて、SAP ERPの特徴を解説します。

  • 特徴1:多くのグローバル企業に導入されている
  • 特徴2:標準機能が多い
  • 特徴3:インフラ展開をサポートしている

ひとつずつ解説していきます。

特徴1:多くのグローバル企業に導入されている

SAP ERPは実績と長い歴史が評価されて、多くのグローバル企業に導入されています。

グローバル企業の中でも大手企業への導入が多く、アメリカで年に1度発行されている全米総収入の上位500社を選ぶ経済誌「Fortune 500」に選ばれる多くの企業も、SAP ERPを導入しています。

ちなみに国内導入している企業は、下記の通りです。

  • NECグループ
  • カゴメ株式会社
  • 味の素食品株式会社
  • 本多通信工業株式会社
  • 東京化成工業株式会社
  • エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社

また、近年では大手企業だけでなく中小企業向けERP「SAP Business One」も用意されており、企業規模にかかわらず利用できます。

特徴2:標準機能が多い

SAP ERPには、さまざまな業種・業態に対応できるように標準機能が搭載されています。

搭載されている標準機能は、下記の通りです。

  • 会計/経費/決算に関する機能
  • 人事/勤怠/税制に関する機能
  • 購買/在庫/債権に関する機能
  • 生産/原価/品質に関する機能

また、ERP業務や機能領域を補助できる個別アプリケーションを提供している点も特徴といえるでしょう。

近年では異なる業種・業態との協業に力を入れており、新しい分野での事業創出に注力しています。

特徴3:インフラ展開をサポートしている

SAP ERPの特徴として、多様なインフラ展開をサポートしている点があげられます。

具体的な例は、デジタル化とクラウド化です。

大手企業だけでなく、中小企業にも利用しやすい下記のクラウド型ERPが備わっています。

  • SAP S/4HANA Cloud
  • SAP HAHA Enterprise Cloud

また、オンプレミスやパブリッククラウド上で自社だけでなく、パートナーが運用する選択も可能です。

こちらの記事では、ERPの選び方や種類、中小企業から大企業までおすすめのERPを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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SAP ERPの機能

SAP ERPの機能

ここまで、SAP ERPの特徴をお伝えしました。

続いて、SAP ERPの機能を解説します。

  • 機能1:SD(販売管理用モジュール)
  • 機能2:MM(在庫購買管理用モジュール)
  • 機能3:WM(倉庫管理用モジュール)
  • 機能4:PP(生産計画・生産管理用モジュール)
  • 機能5:PM(プラント保全用モジュール)
  • 機能6:HR(人事管理用のモジュール)
  • 機能7:PS(プロジェクト管理用モジュール)
  • 機能8:FI(財務会計用モジュール)
  • 機能9:CO(管理会計用モジュール)
  • 機能10:RE(不動産会計用モジュール)
  • 機能11:IM(設備予算管理用モジュール)
  • 機能12:CA(クロスアプリケーション用モジュール)

ひとつずつ解説していきます。

機能1:SD(販売管理用モジュール)

SAP ERPには、SD(販売管理用モジュール)の機能があります。

SDとは、Sales and Distributionの略称です。

機能の内容として、下記の2つがあります。

  • 販売管理に係る機能を全般的にサポート
  • 販売・物流・在庫のリアルタイム情報を一元でつなぐ

また返品があった場合は、「返品受注から請求取消までのプロセス」「(モノを扱わないサービス業の場合)受注から請求までのプロセス」に対応しています。

SD機能では、貿易帳票や請求書などを発行できるので、販売業務の改善が期待できるでしょう。

仮に得意先に合わせて品目を変更したい場合は、企業の価格決定コンセプトに合わせた柔軟な対応が可能です。

機能2:MM(在庫購買管理用モジュール)

SAP ERPには、MM(在庫購買管理用モジュール)の機能があります。

MMとは、Material Managementの略称です。

機能の内容として、下記の3つがあります。

  • 在庫の入出庫管理
  • 棚卸管理のサポート
  • 資材やサービスの購買・発注・入庫の際の購買と調達プロセスの管理

MMでは在庫管理機能が備わっているので、自社の保管場所にある在庫数やブランドごとの在庫数の管理が可能です。

在庫資産の数は、入出庫に合わせて増減します。

また在庫資産が増減した際に、どのような仕分けを起こすのかタイプを選択することで、会社ごとの仕分けを自動で起こせます。

こちらの記事では、在庫管理システムを選ぶポイントや種類、おすすめのシステムを11個を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

機能3:WM(倉庫管理用モジュール)

SAP ERPには、WM(倉庫管理用モジュール)の機能があります。

WMとは、Warehouse Managementの略称です。

機能の内容として、下記の3つがあります。

  • 出荷を指示出しできる
  • 出荷計画を立てられる
  • 一律でピッキングなどを管理できる

また倉庫の構造を定義して、入出庫といった倉庫内での移動が可能です。

さらに、在庫管理などの物流管理機能だけでなく購買管理や生産管理、販売管理などのシステムも連携できます。

WMによって、最小単位の棚卸し品目を保管・管理して、自動化や省略化を推進できるでしょう。

機能4:PP(生産計画・生産管理用モジュール)

SAP ERPには、PP(生産計画・生産管理用モジュール)の機能があります。

PPとは、Plant Managementの略称です。

機能の内容として、下記の2つがあります。

  • 需要予測に沿ったシナリオ作成・資材所要量計画を実施できる
  • 生産計画から製造実績まで、製造指図を介してさまざまなプロセスに対応している

またPPを活用することで、製品作成に必要な原材料数の計算が可能です。

仮に在庫の不足があった場合は、補充発注ができます。

さらに製造過程で数量・金額に差異が生じた際は、分析したうえで原価の見直しや工程の改善が可能です。

機能5:PM(プラント保全用モジュール)

SAP ERPには、PM(プラント保全用モジュール)の機能があります。

PMとは、Plant Managementの略称です。

機能の内容として、下記の2つがあります。

  • 設備の検査・予防安全・修理を実行する
  • 工場や各種プラント設備のメンテナンスをサポートする

PMを活用して自動修復を行なった後は、組織内の保守要求が促進されます。

特にPMは、活用されることが多いので覚えておきましょう。

機能6:HR(人事管理用のモジュール)

SAP ERPには、HR(人事管理用のモジュール)の機能があります。

HRとは、Human Resourcesの略称です。

機能の内容として、下記の2つがあります。

  • 採用管理や福利管理、人件費予算管理に対応している
  • シフト管理や勤怠管理インセンティブ管理といった勤怠管理業務にも対応できる

HRは多岐にわたる人事管理業務に対応しており、人的経営資源を最大限活用できるでしょう。

こちらの記事では、人事評価や労務管理、給与計算など目的別でおすすめの人事管理システムを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

機能7:PS(プロジェクト管理用モジュール)

SAP ERPには、PS(プロジェクト管理用モジュール)の機能があります。

PSとは、Project Systemの略称です。

機能の内容として、下記の3つがあります。

  • プロジェクトやポートフォリオを管理できる
  • 建設などの工程管理や原価、売上の管理ができる
  • 大規模かつ長期にわたる工事の設計や調達ができる

PSは、主に建設業や土木業、製造業で活用されています。

機能8:FI(財務会計用モジュール)

SAP ERPには、FI(財務会計用モジュール)の機能があります。

FIとは、Financial Accountingの略称です。

機能の内容として、下記の2つがあります。

  • 購買や販売といった管理業務時に、財務会計と連携できる
  • 債務や固定資産、債権管理などに関する情報登録や処理が可能

FIはSAPの中で最も活用されており、決算書などの外部専用の報告書を作成する際に役立ちます。

機能9:CO(管理会計用モジュール)

SAP ERPには、CO(管理会計用モジュール)の機能があります。

COとは、Countrollingの略称です。

機能の内容として、下記の3つがあります。

  • 予算との対比が可能
  • 利益や費用の取集・管理が可能
  • プロジェクトや部門ごとに発生する原価を管理できる

COは管理会計に特化しており、社内における費用の管理が可能です。

モジュールの知識だけでなく、業務に関する知識も必要になるでしょう。

機能10:RE(不動産会計用モジュール)

SAP ERPには、RE(不動産会計用モジュール)の機能があります。

REとは、Real Estateの略称です。

機能の内容として、不動産の運営形態や種類に合わせた管理業務に対応しています。

また、不動産に関する会計管理や契約管理、保守管理といった機能も備わっています。

こちらの記事では、管理関係システムの役割と基本機能、2つのサービス形態について解説しているので、ぜひ参考にしてください。

機能11:IM(設備予算管理用モジュール)

SAP ERPには、IM(設備予算管理用モジュール)の機能があります。

IMとは、Invest Managementの略称です。

機能の内容として、下記の2つがあります。

  • 研究開発や設備管理にかかる予算を管理する際に活用する
  • 組織や企業の数にかかわらず、原価入力や会社コード情報を一元化できる

またIMは設定によって、海外通貨への対応が可能です。

機能12:CA(クロスアプリケーション用モジュール)

SAP ERPには、CA(クロスアプリケーション用モジュール)の機能があります。

CAとは、Cross Applicationの略称です。

全アプリケーション領域を横断でき、アプリ領域とBasis領域の中間に位置しています。

CAでは物流や生産、会計、人事関連のモジュールにおいて、共通に活用できるアプリケーションが標準機能として備わっています。

SAPを導入するメリット

SAPを導入するメリット

ここまで、SAP ERPの機能をお伝えしました。

続いて、SAPを導入するメリットを解説します。

  • メリット1:業務プロセスを標準化できる
  • メリット2:データ処理を効率化できる
  • メリット3:作業履歴を可視化できる
  • メリット4:社会的な信頼性が高まる

ひとつずつ解説していきます。

メリット1:業務プロセスを標準化できる

SAPを導入することで、業務プロセスを標準化できる点がメリットです。

世界中の企業がSAP ERPを活用しており、「グローバルスタンダードシステム」といわれています。

つまり、世界標準の業務プロセスに合わせて作られたシステムであるといえるでしょう。

業務プロセスが標準化されるメリットは、下記の通りです。

  • 効率が悪い業務プロセスが改善される
  • 業務が効率化されるため、企業のグローバル化にも対応できる

SAPは、世界の優良企業の業務プロセスを基に開発されています。

そのため導入時は、現在の業務プロセスをSAPに変化させたり、改革したりする姿勢を持ちましょう。

メリット2:データ処理を効率化できる

SAPの導入によって、データ処理を効率化できるメリットがあります。

従来の業務システムでは、ほかの部門へデータを引き継ぎする際に、データ入力や承認、反映など時間のロスが発生していました。

さらに、取得データが部門間によって不整合の可能性もあるでしょう。

しかしSAPの導入によって、下記の領域におけるデータの一元管理が可能です。

  • 会計
  • 調達
  • 販売
  • 生産
  • 物流

データの不整合が発生しないため、データ処理の効率化や経営戦略における素早い意思決定を実現できるでしょう。

メリット3:作業履歴を可視化できる

SAPでは、「だれが・いつ・何をした」といったデータが登録もしくは変更された履歴を可視化できます。

可視化できる理由は、業務プロセスに間違いや遅延が発生した場合、どういった業務内容が行われたのか把握する必要があるためです。

また、業務プロセスの標準化によって伝票間で紐付けされた履歴も参照できます。

作業履歴の可視化によって不正なデータが入力・改ざんされた場合でも、迅速に原因を究明できるでしょう。

メリット4:社会的な信頼性が高まる

SAPを導入するメリットは、社会的な信頼性が高まる点です。

前述した通り、SAPシェア率の高いシステムとして世界中で活用されているため、製品への信頼性が高いといえます。

また、グローバルスタンダードでもある「IFRS(国際会計基準)」に対応しており、国内外で取引を行う企業にとって安心できるシステムと認知されています。

取引先から信頼を得るためには、実績とスムーズな業務システムの整備が必要です。

そのためSAPを活用することで、情報共有の不足によるトラブルが防げるので、社会的信頼性と事業展開に効果が期待できるでしょう。

まとめ

まとめ

今回は、SAPやSAP ERP概要、導入するメリットを解説しました。

SAPとは、SAP社が提供している企業内の部門ごとに管理している経営資源を一元管理できるERP(統合基幹業務)システムです。

また、SAP ERPの特徴として下記の3つがあげられます。

  • 多くのグローバル企業に導入されている
  • 標準機能が多い
  • インフラ展開をサポートしている

SD(販売管理用モジュール)やMM(在庫購買管理用モジュール)、WM(倉庫管理用モジュール)など、多くの機能がある点を覚えておきましょう。

本記事でお伝えした「業務プロセスの標準化」「データ処理の効率化」などのメリットも参考にして、自社への導入を検討してください。

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