BIツールとは?
BIツールとはBusiness Intelligence Toolの略です。企業が持つ経営に必要なさまざまな数値を分析、見える化して経営に役立てるソフトウェアのことを指します。
特徴的な機能は以下4点です。
①数値を観測するレポーティング
②限定されたデータを多角的に調べるOLAP分析
③未知の知見を見出すためのデータマイニング
④予測するプランニング
などが挙げられます。
企業活動の中で日々蓄積されるデータは「ビッグデータ」と呼ばれるほどの大きさとなり、別々のシステムに保存されたデータや一般的な表計算を分析するとかなりの時間を要したり、不正確な集計結果になる恐れがあります。
そのような問題が起こる前にビジネスの意思決定を促すために誕生したのがBIツールなのです。
BIツールのメリット・デメリット
効果的にBIツールを役立てるためのメリット・デメリットを理解しておきましょう。
メリット①集計作業の短縮
データの集計作業や抽出作業には多くの時間を要します。
BIツールを使用すれば集計やデータの更新も自動的に行ってくれるのでこれまで費やしてきた時間を経営判断の時間にあてられます。
メリット②課題の早期発見
BIツールはリアルタイムにデータが更新されるので、問題解決のスピードが格段に上がり、本質的なデータに到達しやすくなります。
課題の早期発見につながる強い味方です。
メリット③経験や勘に頼らない
経験や専門スキルがなくても、BIツールを使用することで抽出したデータに基づいて経営の判断や意思決定を行えます。
デメリット①初期投資や教育にコストが発生する
BIツールを導入するにあたり、使用料としてコストが発生します。
また利用する人数が多くなるほど社員への研修にかける時間やコストが膨れ上がってしまいます。
デメリット②初期設定の作業に手間がかかる
BIツールは運用開始の難易度が高いため作業が煩雑になりやすく、さまざまなデータを収集できるよう設定しなければなりません。
場合によっては専門家に依頼しなければならなくなりさらにコストがかかる恐れもあります。
DWHとは?
DWHとはData Ware House(データウェアハウス)の頭文字を取ったシステムのことです。直訳すると「データの倉庫」といいます。
DWHはデータ分析に特化し、企業の中で保有している大量のデータを時系列で保存できるシステムで企業の基幹システムともいえます。
会計システムや人事管理システム、その他システムなどのデータを一か所に集約し、分析に活かすために保存しておく倉庫です。
このビッグデータをうまく活用することが求められている近年のビジネスでは、大量のデータの中から条件に合うものを抽出できたり、意思決定の助けに大きく貢献します。
DWHツールのメリット・デメリット
DWHのメリットとデメリットを整理し、今後の利用に活かしましょう。
メリット①時系列に沿った保存が可能
DWHのメリットは一カ所に集約したデータを時系列で保存できるところです。
過去のどの時点で保存したのかをピンポイントで把握でき、緊急を要する時にも勘や勢いで作成したデータに頼らず正確な意思決定が可能です。
メリット②中身を確認しやすい
DWHに保管されるデータは、前処理の段階でExtract (抽出)、Transform (変換)、Load (書き出し)というシステムによって必要なデータを整理整頓してから保存しています。
そのため、蓄積されたデータは見やすい形で整理され、確認したい時にすぐに見つかります。
メリット③不明瞭な情報に左右されない
膨大なデータは経営戦略において必要不可欠です。
DWHは大きなデータを正確に分析することが可能なため、迅速な意思決定につながり、競合に差をつけることができます。
事業拡大や顧客開拓にも派生し、ビジネスの成功に導いてくれる大切なツールなのです。
デメリット①定型的な分析のみ
DWHはあらかじめ決められたデータのみを取り扱うため、定型的な分析は得意です。
一方で応用的な分析は苦手とし、変則的な分析や頻繁なデータ更新などは不得意です。
DWHを使用する時は、目的を明確にしてから使い始める必要があります。
デメリット②即時分析の対応が難しい
DWHは一定周期で収集する仕組みになっているため、リアルタイムでの分析が難しいです。
よって追加直後のデータはDWHには保管されておらず、同時進行での分析を苦手としています。
BIツールとDWHとの違い
ここまでBIツールとDWHとは何なのかメリット・デメリットについて述べてきました。
次にBIツールとDWHの違いを説明しながら、その他にも「データマート」「データレイク」「データベース」との関係性についても解説していきます。
両者の違いはデータを蓄積するのかあるいは抽出したデータを分析するのかという点に大別されます。
BIツールは抽出されたデータを分析するツールで専門的知見がなくても分析できる特徴があります。
一方、DWHはあくまでデータを時系列で蓄積・保存し分析するために抽出しやすくされたシステムで抽出後のデータをどうするかはあまり関係ないのです。
よってBIツールとDWHを組み合わせて使用することで生産性がさらに加速するようになるといえるでしょう。
データマート
データマートとは企業のDWHなどに蓄積された大量のデータから、利用用途に応じて一部を取り出して構築されたものです。
DWHは企業の大部分を蓄積する倉庫ですが、データマートはDWHから必要な情報を取り出し保管するデータベースなので、分析対象は狭く限定的な分析に優れています。
データレイク
データレイクはデータの形式をそのまま取り込んでいく巨大な入れ物のようなもので、データの蓄積が容易です。
すべてのデータを保有しているので必要なデータを必ず取り出すことができます。
その反面、データが未加工で保存されるうえに、大きいストレージが必要になります。
将来利用される可能性があるデータを一旦預けておくという非構造化のデータ格納になるので消費ストレージの無駄が大きくなります。
DWHがデータの統一感や検索性ならばデータレイクは柔軟性に富んだ格納庫といった表現になるでしょう。
データベース
データベースとは、数値や画像などのデータを1つの場所に集約した集合体のことです。
データを保存するという意味ではDWHと同じと思われますが、DWHが項目や属性を種別してデータを保管するのに対し、データベースはデータ活用までは想定しておらず、データを使いやすい形に整理して保管することが目的とされています。
整理された情報は使いやすく、必要な時にすぐ取り出せる点が最大のメリットです。
おすすめのBIツール3選
おすすめのBIツールを紹介します。
選ぶ際のポイントや注意点なども合わせて解説していきます。
おすすめツール①:Microsoft Power BI Desktop(無料プランあり)
Microsoft Power BI Desktopは、Microsoft社が提供するBIツールです。
企業のデータを分析することが目的で、可視化したデータを業務改善に活かすことができます。
・こんな人におすすめ
データ抽出・分析・レポート作成まで無料で行えます。
社員の誰もが自分の取得したいデータを素早く抽出したり、分析できるので初心者でも扱いやすいツールです。
幅広いデータを無料で使いたい人におすすめです。
・こんな人には向かない
大量のデータを扱いたい場合は有料プランに切り替える必要があります。
また、外部サーバーとの連携ができないので、サーバー連携が必要な場合には有料版が必要になってしまいます。
そのほかにも、データ量が多いとページが重くなり動作に影響が出てきます。
またサポートからの回答にも時間がかかるためサクサク進めたい方には不向きです。
おすすめツール②:Looker Studio
Looker StudioはGoogleが提供しているBIツールです。
このツールには「管理」「可視化」「レポーティング」など多くの機能が搭載されています。
・こんな人におすすめ
Looker Studioは無料で利用できGoogleのアカウントさえ作成すれば誰でも使えるため、気軽に始められる点は大きなメリットといえます。
工数削減目的で導入されたツールのため、データ資料やレポートの作成に工数をかけたくない方におすすめです。
・こんな人には向かない
Looker Studioは、他のツールと比較すると設定が特殊で時間を要します。
直感的な操作を求める人には向いていないでしょう。
おすすめツール③:Qlik Sense(有料プランのみ)
Qlik Senseは、Qlik Technologies社が開発した次世代BIツールです。
蓄積されたデータから分析レポートやダッシュボードをシンプルかつ直感的な操作で作成し、多角的な観点で分析を可能にします。
・こんな人におすすめ
さまざまな数字をもとに分析をして戦略を立てていく時に活かせるツールです。
営業に関わる人が使うと活躍の場が広げられるでしょう。
・こんな人には向かない
サポートページやヘルプページが英語のため、トラブル発生時にスムーズな対応が難しい場合があります。
まとめ
BIツールとDWHについてそれぞれ説明しました。
各ツールを活用することで自社データを有効に分析できることがわかりました。
根拠となるデータをもとに意思決定を下すには、経営や業務上、さまざまなデータを可視化するツールが重要となります。
社内のデータをある程度保有しながらツールの導入をまだされていない方は、ぜひ一度検討してみてください。