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カスタマーサクセス構築の5ステップ|ゼロから始める立ち上げ方を徹底解説

投稿日:2026年3月24日 /

更新日:2026年6月7日

カスタマーサクセス構築の5ステップ|ゼロから始める立ち上げ方を徹底解説
● 顧客満足度向上

「顧客の成功が事業成長に不可欠」と言われる現代、カスタマーサクセスの構築は多くの企業にとって急務です。しかし「何から手をつければ良いのか分からない」と悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、カスタマーサクセスをゼロから立ち上げるための具体的な5ステップを、準備段階から徹底解説します。成功の鍵は、最初から完璧を目指すのではなく、顧客を深く理解しスモールスタートで改善を重ねることです。指標設定や体制構築、ツール選定まで網羅しており、この記事を読めば明日から取るべきアクションが明確になります。

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カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは、顧客が製品やサービスを通じて成功体験を得られるよう、能動的に支援する活動全般を指します。単に製品の使い方を教えるだけでなく、顧客のビジネスゴール達成をパートナーとして伴走し、長期的な関係を築くことが目的です。特に、SaaSをはじめとするサブスクリプション型のビジネスモデルが主流となる中で、その重要性は急速に高まっています。

売り切り型のビジネスとは異なり、サブスクリプションモデルでは顧客に契約を継続してもらうことで初めて収益が安定・拡大します。そのため、契約後の顧客満足度を高め、解約(チャーン)を防ぎ、さらには上位プランへのアップグレード(アップセル)や関連サービスの追加契約(クロスセル)を促すことが事業成長の鍵となります。カスタマーサクセスは、こうしたLTV(顧客生涯価値)の最大化をミッションとする、攻めの役割を担う組織なのです。

カスタマーサポートとの違い

カスタマーサクセスは、しばしば「カスタマーサポート」と混同されがちですが、その目的や役割は大きく異なります。カスタマーサポートが顧客からの問い合わせに対応する「受動的」な活動であるのに対し、カスタマーサクセスは顧客の課題を先回りして解決に導く「能動的」な活動です。両者の違いを理解することは、カスタマーサクセス構築の第一歩となります。

比較項目カスタマーサクセスカスタマーサポート
目的・ゴール顧客の成功支援、LTVの最大化問題解決、顧客満足度の向上
姿勢・アプローチ能動的・プロアクティブ
(課題を予測し先回りして働きかける)
受動的・リアクティブ
(問い合わせを受けてから対応する)
主な評価指標(KPI)チャーンレート、LTV、アップセル/クロスセル率、ヘルススコア応答時間、解決率、顧客満足度スコア(CSAT)
収益への貢献プロフィットセンター(収益を生み出す部門)コストセンター(コストが発生する部門)と見なされやすい
時間軸中長期的(オンボーディングから契約更新後まで継続)短期的(問い合わせ発生から解決まで)

このように、カスタマーサポートが顧客の「お困りごと」を解決する守りの役割だとしたら、カスタマーサクセスは顧客の「ビジネス成長」を促進する攻めの役割と言えます。もちろん両者は対立するものではなく、密接に連携することで、より良い顧客体験を提供することが可能になります。

カスタマーサクセス構築を始める前の準備

カスタマーサクセスの具体的な活動計画を立てる前に、組織としての土台を固める準備が不可欠です。この準備を怠ると、部門が孤立したり、活動が形骸化したりするリスクが高まります。ここでは、成功に向けた地盤を築くための2つの重要な準備について解説します。

経営層を巻き込んだビジョンの共有

カスタマーサクセスは、単なる一機能ではなく、「顧客の成功が自社の成功につながる」という思想を事業の中心に据える全社的な経営戦略です。そのため、活動を始める前に、経営層を巻き込み、その重要性とビジョンについて深く合意形成を図ることが何よりも重要となります。

経営層のコミットメントがなければ、必要な予算や人材の確保が難しくなるだけでなく、他部署からの協力も得にくくなります。カスタマーサクセスがコストセンターではなく、LTV(顧客生涯価値)を最大化し、企業の持続的な成長を牽引するプロフィットセンターであることを、具体的なデータや予測を用いて説明し、全社で取り組むべき最重要課題であるという認識を共有しましょう。

関連部署との連携体制の確認

顧客体験は、製品やサービスに初めて触れるマーケティング段階から、契約、導入、活用、そして契約更新に至るまで、複数の部署が関わることで成り立っています。各部署がそれぞれの目標のみを追い、情報が分断された「サイロ化」の状態では、一貫した顧客体験を提供することはできません。

カスタマーサクセス部門がハブとなり、各部署とスムーズに連携できる体制を事前に構築することが成功のカギを握ります。具体的には、以下の表のように各部署との役割分担や情報連携のルールを明確にしておきましょう。

連携部署主な連携内容連携の目的
マーケティングリードの質に関するフィードバック
顧客事例や成功体験のコンテンツ化
適切な期待値を持った顧客の獲得
成功事例の横展開による新規リード創出
営業契約前の顧客情報(課題・導入目的)の共有
アップセル・クロスセルの機会創出と連携
スムーズなオンボーディングの実現
顧客単価の向上とLTV最大化
プロダクト開発顧客からの要望やフィードバック(VoC)の共有
新機能の活用促進やトレーニングの実施
顧客ニーズに基づいた製品改善
製品定着率の向上と解約防止
カスタマーサポート問い合わせ内容の傾向分析
技術的な問題のエスカレーションフロー定義
プロアクティブな課題解決策の立案
迅速で正確な問題解決による満足度向上

特に重要なのが、営業部門からカスタマーサクセス部門へ顧客情報を引き継ぐプロセスです。営業担当者が把握している「顧客が何に悩み、何を期待して契約したのか」という一次情報が、その後のサクセス活動の質を大きく左右します。CRMやSFAなどのツールを活用し、部署間で顧客情報がスムーズに共有される仕組みを必ず構築しておきましょう。

カスタマーサクセス構築の具体的な5ステップ

カスタマーサクセスの構築は、思いつきで進めても成功は望めません。成功への道のりを着実に歩むためには、体系立てられたプロセスに従うことが不可欠です。ここでは、ゼロからカスタマーサクセス部門を立ち上げるための具体的な5つのステップを、SaaSビジネスの現場で実践できるレベルまで掘り下げて解説します。

ステップ1|ゴールとなる重要指標(KGI・KPI)を設定する

最初のステップは、カスタマーサクセス活動の「成功」を定義し、その達成度を測るための指標を設定することです。何を目指すのかが明確でなければ、活動は迷走し、その効果を経営層や関連部署に説明することもできません。まずは、活動の最終ゴールであるKGI(重要目標達成指標)と、そこへ至るプロセスを計測するKPI(重要業績評価指標)を具体的に定めましょう。

LTVやチャーンレートなどSaaSビジネスの基本指標

カスタマーサクセスの成果は、SaaSビジネスの根幹をなす重要指標に直結します。代表的な指標を理解し、自社のKGI・KPIとして設定しましょう。

指標名概要カスタマーサクセスとの関連性
LTV (顧客生涯価値)一人の顧客が取引期間全体で企業にもたらす総利益。顧客の成功体験を創出し、長期的な関係を築くことでLTVは最大化します。カスタマーサクセスの最終的なゴール(KGI)に最も近い指標です。
チャーンレート (解約率)特定の期間内にサービスを解約した顧客の割合。チャーンレートの低減はカスタマーサクセスの最も重要なミッションの一つです。顧客が製品価値を実感できていない、成功体験を得られていないことの表れであり、KPIとして常に監視すべき指標です。
ARR/MRR (年間/月間経常収益)毎年/毎月決まって得られる収益。サブスクリプションビジネスの成長性を示します。既存顧客からのアップセル(上位プランへの変更)やクロスセル(関連製品の追加購入)を促進することで、ARR/MRRの向上に直接貢献します。
NPS® (ネットプロモータースコア)顧客ロイヤルティ(企業や製品への愛着・信頼)を測る指標。「この製品を友人に勧めますか?」という質問で計測します。顧客が成功を実感していれば、ロイヤルティは自然と高まります。NPS®は顧客の感情的な満足度を測る定性的なKPIとして有効です。

ヘルススコアの定義と計測方法

ヘルススコアとは、その名の通り「顧客の健康状態」を数値化した指標です。解約の兆候を早期に察知し、問題が深刻化する前にプロアクティブ(能動的)なアプローチを可能にするために不可欠です。ヘルススコアは、複数の要素を組み合わせて算出します。

【ヘルススコアの構成要素(例)】

  • サービス利用状況:ログイン頻度、特定機能の利用率、セッション時間など
  • サポートへのエンゲージメント:問い合わせ回数、解決までの時間、満足度評価など
  • コミュニケーション:担当者との定例会議への参加率、メール開封率、セミナー参加など
  • 顧客満足度:NPS®やアンケート調査の結果

これらの項目に、自社のビジネスモデルに合わせて重み付けを行い、独自のスコアリングモデルを構築します。例えば、「重要機能の利用率」の比重を高くするなどです。スコアが良い状態(グリーン)、注意が必要な状態(イエロー)、危険な状態(レッド)のように色分けで管理すると、直感的に状況を把握しやすくなります。

ステップ2|顧客を定義しセグメントに分類する

すべての顧客に同じように手厚い対応を提供するのは、リソースの観点から現実的ではありません。限られた人員と時間で最大の成果を出すためには、顧客を共通の属性やニーズでグループ分け(セグメンテーション)し、それぞれのセグメントに最適なアプローチを行う必要があります。

顧客の成功体験を言語化する

セグメンテーションの前に、そもそも自社にとっての「顧客の成功」とは何かを定義する必要があります。これは単に「製品の機能を使えている」状態ではありません。「製品・サービスを活用して、顧客が自身のビジネス目標を達成できている」状態こそが、真のカスタマーサクセスです。顧客へのインタビューやアンケートを通じて、「どのような課題を解決したかったのか」「製品導入でどのような成果を出したいのか」を深くヒアリングし、成功の定義を具体的に言語化しましょう。

ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチの使い分け

顧客の成功を定義したら、顧客のLTVやビジネスインパクトの大きさに応じて、アプローチ手法を分類します。一般的に「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」の3つに分けられます。

タッチモデル対象顧客アプローチ手法の例特徴
ハイタッチLTVが非常に高く、戦略的に重要な大口顧客専任担当者による定例会、個別コンサルティング、経営層へのレポーティング1対1の手厚い個別対応。顧客との深い関係構築を目指す。
ロータッチLTVが中程度の顧客層集合研修、ユーザー会、ウェビナー、ワークショップ1対多のコミュニケーションが中心。効率的に多くの顧客をカバーする。
テックタッチLTVが比較的小さく、顧客数が多い層FAQサイト、チュートリアル動画、ステップメール、チャットボットテクノロジーを活用し、セルフサービスで課題解決を促す。人的コストをかけない。

このセグメンテーションにより、限られたリソースを効果的に配分し、すべての顧客に適切なレベルのサポートを提供できる体制を整えることができます。

ステップ3|カスタマージャーニーマップを作成する

カスタマージャーニーマップとは、顧客が製品・サービスを認知し、導入、活用、そして契約更新に至るまでの一連のプロセスを時系列で可視化した地図です。このマップを作成することで、顧客体験全体を俯瞰し、改善すべきポイントを客観的に洗い出すことができます。

オンボーディングから契約更新までのプロセス可視化

カスタマージャーニーマップでは、横軸に時間経過(フェーズ)、縦軸に「顧客の行動」「思考・感情」「課題」「タッチポイント」などを設定します。SaaSビジネスにおける代表的なフェーズは以下の通りです。

  • 導入(Implementation):契約後、実際にサービスを使い始めるまでの設定期間。
  • オンボーディング(Onboarding):基本的な操作を習得し、サービスの価値を最初に実感する期間。
  • 活用促進(Adoption):より高度な機能を使いこなし、ビジネス成果に繋げていく期間。
  • 成果創出(Success):サービス活用が定着し、明確なROI(投資対効果)を実感する期間。
  • 契約更新・拡大(Renewal/Expansion):サービスの価値を認め、契約を更新。アップセルやクロスセルに繋がる期間。

各フェーズで顧客が何を考え、何につまずきやすいのかを具体的に書き出すことで、体験のボトルネックが明確になります。

各フェーズでの顧客とのタッチポイント設計

ジャーニーマップで課題が可視化されたら、次はその課題を解決するための具体的なアクション(タッチポイント)を設計します。顧客が最適なタイミングで必要な情報やサポートを受けられるように、プロアクティブな関与を計画することが重要です。

【タッチポイント設計の例】

  • オンボーディング期:つまずきやすい初期設定をサポートするため、キックオフミーティングや個別トレーニングを実施する。
  • 活用促進期:利用率が低い顧客に対し、活用事例の紹介セミナーやフォローアップメールを送付する。
  • 契約更新期:更新3ヶ月前に、これまでの導入効果をまとめたレポートを提出し、次年度の目標設定に向けたミーティングを実施する。

このように、ジャーニーマップに基づいて体系的なコミュニケーションを設計することで、場当たり的な対応を防ぎ、一貫性のある優れた顧客体験を提供できます。

ステップ4|実行チームの体制を構築する

優れた戦略や計画も、実行する「人」と「組織」がなければ絵に描いた餅に終わります。カスタマーサクセスを担うチームを編成し、社内での役割分担を明確にしましょう。

必要なスキルセットと人材要件

カスタマーサクセスマネージャー(CSM)は、顧客と最も近い距離で伴走する重要な役割です。CSMには、従来の営業やサポートとは異なる、多岐にわたるスキルが求められます。

  • 顧客のビジネスへの共感・理解力:顧客の業界や事業内容を深く理解し、同じ目線で課題を捉える能力。
  • 課題解決・コンサルティング能力:自社製品の知識を元に、顧客の課題に対する最適な解決策を提示する能力。
  • コミュニケーション能力:顧客の経営層から現場担当者まで、様々な立場の人と良好な関係を築く能力。
  • データ分析能力:ヘルススコアや利用状況データを分析し、課題の兆候を読み解く能力。
  • プロジェクトマネジメント能力:オンボーディングや課題解決プロジェクトを計画通りに推進する能力。

これらのスキルを持つ人材を社内から抜擢・育成するか、外部から採用する必要があります。

営業やサポート部門との役割分担

カスタマーサクセスは、単独の部署で完結する活動ではありません。顧客体験を向上させるためには、関連部署とのスムーズな連携が不可欠です。特に、営業(セールス)部門とカスタマーサポート部門との役割分担と情報共有の仕組み作りは極めて重要です。

部門主な役割カスタマーサクセスとの連携ポイント
営業(セールス)新規顧客の獲得。契約前に顧客の期待値を過剰に上げすぎない。契約時にヒアリングした顧客の課題やゴールを正確にCSMへ引き継ぐ。
カスタマーサクセス顧客の成功支援(オンボーディング、活用促進、契約更新)。プロアクティブな対応。営業から引き継いだ情報を元にサクセスプランを作成。サポートで解決できない本質的な課題に対応。顧客の声を製品開発へフィードバックする。
カスタマーサポート製品の操作方法や不具合など、受動的な問い合わせへの対応(リアクティブな対応)。問い合わせ内容の傾向をCSMと共有し、FAQや製品改善に繋げる。複雑な課題はCSMへエスカレーションする。

各部門が顧客情報や対応履歴をCRMなどのシステム上でスムーズに共有できる仕組み作りは、部門間の連携を成功させるための鍵となります。

ステップ5|活用するツールを選定し導入する

カスタマーサクセス活動を効率的かつ効果的にスケールさせていくためには、テクノロジーの活用が欠かせません。手動での管理には限界があり、顧客数の増加に対応できなくなるため、早い段階からツールの導入を検討しましょう。

CRMやSFAとのデータ連携

多くの企業では、顧客の基本情報や商談履歴がCRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)に蓄積されています。カスタマーサクセスツールを導入する際は、これらの既存システムとのデータ連携が極めて重要です。連携させることで、営業段階で得た顧客の課題意識や、過去のサポート履歴、そして製品の利用状況といった断片的な情報が一つに統合されます。これにより、顧客の全体像を360度で把握し、より文脈に沿ったパーソナライズされたアプローチが可能になるのです。

代表的なカスタマーサクセスツール

カスタマーサクセス専用ツールは、活動を体系的に管理・実行するための様々な機能を提供しています。日本国内でも多くのツールが利用可能です。

【代表的なツールと主な機能】

  • 代表的なツール例:Gainsight、HiCustomer、Growwwing、Totangoなど
  • 主な機能:
    • ヘルススコア管理:設定した条件に基づき、顧客の健康状態を自動でスコアリング・可視化する。
    • プレイブック(タスク管理):「ヘルススコアが低下した顧客にメールを送る」など、特定の条件で発生するタスクを自動で生成・管理する。
    • コミュニケーション管理:顧客とのメールや面談の履歴を一元管理する。
    • 利用状況分析:顧客ごとのログイン頻度や機能利用率などを分析する。

ツールを選定する際は、知名度や機能の多さだけでなく、自社の事業規模、解決したい課題、そして最も重要な「CRM/SFAとの連携のしやすさ」を基準に、複数のツールを比較検討することが成功の秘訣です。

カスタマーサクセス構築で失敗しないためのポイント

カスタマーサクセスの構築は、計画通りに進まないことも多い複雑なプロジェクトです。しかし、いくつかの重要なポイントを押さえることで、失敗のリスクを大幅に減らし、成功へと導くことができます。ここでは、ゼロからカスタマーサクセスを立ち上げる際に特に意識すべき3つのポイントを解説します。

最初から完璧を目指さずスモールスタートする

カスタマーサクセス部門を立ち上げる際、最初から全顧客を対象とした完璧な体制やプロセスを構築しようとすると、計画が壮大になりすぎて頓挫してしまうケースが少なくありません。リソースが限られているスタートアップや新規事業では特に、まずは小さく始めて成果を出しながら改善していく「スモールスタート」のアプローチが極めて重要です。

具体的には、以下のような方法で始めるのが効果的です。

  • 対象顧客を絞る:まずはLTVが高い一部のハイタッチ顧客や、特定の業界の顧客のみを対象に活動を開始する。
  • 対象フェーズを絞る:顧客の定着に最もインパクトが大きい「オンボーディング」期間の支援に特化して始める。
  • 最小限のツールで始める:高価な専用ツールを導入する前に、まずはスプレッドシートや既存のCRM/SFAを活用して顧客情報を管理し、活動を開始する。

スモールスタートによって、少ないリソースで仮説検証を回し、早期に小さな成功体験を積むことができます。その成功事例を社内で共有することで、経営層や関連部署からの理解と協力を得やすくなり、段階的に活動を拡大していくための土台を築くことが可能になります。

顧客の声(VoC)を収集しプロダクトへ反映する仕組みを作る

カスタマーサクセスは、顧客に能動的に働きかけて成功を支援する活動です。その活動の質を高めるためには、「顧客の声(VoC:Voice of Customer)」を継続的に収集し、活用する仕組みが不可欠です。顧客が何に価値を感じ、どこに不満や課題を抱えているのかを正確に把握しなければ、的確な支援はできません。

VoCの収集には、アンケートのような定量的な手法と、インタビューのような定性的な手法を組み合わせることが有効です。

VoCの主な収集方法
収集方法概要メリット
アンケート調査NPS®(ネットプロモータースコア)やCSAT(顧客満足度)などを活用し、顧客ロイヤルティや満足度を定期的に計測する。広範囲の顧客から定量的なデータを効率的に収集できる。
顧客インタビュー特定の顧客に対し、1対1で製品・サービスの利用状況や課題について深くヒアリングする。アンケートでは見えない本音や、課題の背景にある具体的な文脈を深掘りできる。
コミュニティやユーザー会顧客同士が交流する場を設け、製品活用に関する情報交換やディスカッションの中から意見を収集する。顧客の自発的な意見や、ユーザー目線でのリアルな活用方法を知ることができる。

そして最も重要なのは、収集したVoCを単なるデータとして放置しないことです。顧客からのフィードバックを製品開発やサービス改善のサイクルに組み込むことで、プロダクトそのものが顧客の成功を後押しするよう進化していきます。例えば、カスタマーサクセス部門が収集・分析した顧客の要望を定期的に開発部門や経営層に共有する会議体を設けるなど、組織横断でVoCを資産として活用する仕組みを構築しましょう。

定期的に活動内容を見直し改善サイクルを回す

市場環境や顧客のニーズ、そして自社のプロダクトは常に変化し続けます。そのため、一度構築したカスタマーサクセスの戦略や施策が、未来永劫にわたって最適であり続けることはありません。「やりっぱなし」にせず、活動の成果を定期的に振り返り、改善を続けていくことが成功の鍵となります。

この改善活動には、「PDCAサイクル」のフレームワークが有効です。

  1. Plan(計画):設定したKGI・KPI(例:チャーンレートの改善)を達成するための具体的な施策(例:オンボーディングプログラムの改修)を計画します。
  2. Do(実行):計画した施策を実行します。
  3. Check(評価):施策実行後、KPIやヘルススコアなどのデータを用いて効果を測定・評価します。計画通りの成果が出たか、顧客の反応はどうだったかを確認します。
  4. Action(改善):評価結果に基づき、次の行動を決定します。施策を継続・拡大するのか、あるいは修正・中止して別の施策を試すのかを判断し、次のPlanへと繋げます。

カスタマーサクセス活動は一度構築して終わりではなく、データに基づいて効果を検証し、継続的に改善していくプロセスであるという認識をチーム全体で共有することが重要です。最初は小さなサイクルでも構いません。定期的なミーティングでKPIの進捗と施策の振り返りを行い、改善サイクルを回し続ける文化を醸成していきましょう。

まとめ

本記事では、カスタマーサクセスをゼロから構築するための具体的な5ステップと、失敗しないためのポイントを解説しました。顧客の成功が自社のLTV最大化やチャーンレート低減に直結するため、カスタマーサクセスは現代のSaaSビジネスにおいて不可欠な機能です。重要なのは、最初から完璧を目指すのではなく、スモールスタートで顧客の声に耳を傾けながら改善サイクルを回し続けることです。この記事で解説したステップを参考に、まずは自社にできることから始めてみましょう。

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