コールドコールとは?
コールドコールとは、これまでにつながりのない新規顧客に電話でアプローチをかけて、商品やサービスの売り込みをかけることを指します。いわゆる飛び込み営業の電話版です。
当然、相手はこちらの情報をまったく知りませんし、こちらも相手のニーズや興味の度合いなどは電話を掛けるまでわかりません。このように、「冷たいリスト」へ電話をかけていくという意味合いから「コールドコール」と呼ばれています。
コールドコールのメリット
上記で述べたとおり、コールドコールはまったくこちらの商品やサービスについて知らない人たちにセールスしていきます。そのため、かなりハードルの高いアプローチではありますが、メリットはあります。
予算がなくても始められる
コールドコールを営業として選択する最大のメリットは、予算がなくても簡単に始められるというポイントでしょう。
ターゲットとなる顧客リストさえあれば、電話をかけるだけで、接点を持つことができるため顧客獲得に予算を割けない企業でも実践できます。
地道に架電さえ実行すれば、必ず結果が返ってくるという点でも、コールドコールはおすすめの手段といえます。
成約はゼロではない
架電した相手がたまたま欲しい商品だった場合、まれに契約できることがあります。あきらめずに架電を続ければ、ラッキーパンチといえるほど可能性は低いですがゼロではありません。
ただし、同じ相手に何度もかけ続けると、印象を悪くしてしまう恐れがあるので注意しましょう。
潜在顧客へアプローチできる
コールドコールは施策上、成果を出すには一定の架電数が重要視される傾向があります。
もちろん架電時に「いかに相手の興味をひけるか」という点で技術料も要求されますが、まず多数の顧客に対してアプローチをかけるということが重要です。
架電先のリスト選定の際も、ある程度のターゲットへ広げて架電するので、意外な顧客と接点を持てる可能性もあります。
潜在的なニーズを抱えている顧客に対しても、アプローチできると言う点では、非常に友好的であるといえるでしょう。
営業のトーク力UPにつながる
自社の情報がまっさらな相手へプロモーションするため、自社商品のPR内容をしっかりと頭に入れていないといけません。当然、相手からの質問にはアドリブで返答する必要がありますので、コールドコールの回数を重ねるうちに自社商品や競合商品の特徴は否が応でも覚えることになるでしょう。
コールドコールのデメリット
「時代遅れ」といわれるケースも少なくないコールドコールには、以下のようなデメリットもあります。
成約率が低い
コールドコールは、「自社商品・サービスのニーズが顕在化していない」「ニーズがあるのかもわからない」といった相手に架電していきます。このような性質から、アポイントが取れる確率や直接の成約率は低い傾向にあります。
迷惑電話業者として認知されることがある
コールドコールを実施していると、迷惑電話業者として認知されてしまう可能性があります。電話を受け取った相手は「なぜ電話がかかってきたのだろうか」と困惑し、場合によっては不必要に悪い印象を与えてしまうため、会社の印象も悪くしてしまいます。
架電担当者の精神的負担が大きい
営業電話は、「ガチャ切り」されてしまうことがありますが、コールドコールにいたっては、さらにガチャ切りされる割合が高くなる傾向にあります。
「多数のリストに架電するが成約率は低い」「相手はなかなか話を聞いてくれない」といった状況に陥りやすいため、精神的に疲弊しやすく、非常に気合が必要となる営業です。
テレワーク推進により接続率が大幅低下
近年では、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、テレワークが推進されています。架電先の会社が社内の固定電話を利用している場合、テレワークによる不在で接続できない状況が多くなっています。
コールドコールを成功に導くポイント
デメリットを知ってしまうと、コールドコールを実施しない方がいいのではと考える方はいるかもしれません。
しかし、コールドコールで成果を出し続けている企業があるのも事実です。では、どのような方法で成功できているのでしょうか。次項では、成功するためのポイントを解説します。
テレアポ組織のマネジメント
コールドコールを始める際は、管理する責任者と実務をするメンバーを明確に定めましょう。管理者・実務者ともに専業である必要はないですが、他業務と並行して行う場合は注意が必要です。コールドコールに対する心理的抵抗感により、架電への優先順位が下がる可能性があります。
モチベーション低下にもすぐ対処できるように 、目標設定や評価制度を事前に作っておくとよいでしょう。
アプローチ対象リストの作成
たとえ相手側に「無差別電話(ジャンク・コール)」とみなされた場合でもコールドコールを組織的に行う際には、必ず事前のリサーチとある程度のターゲティングが必要になります。
そのため、自社の商品やサービスに少しでも興味を持つと考えられるリストを入手、または作成するところから始めていきましょう。
アプローチ対象の事前調査
前述のように、事前リサーチをもとに作成したリストに架電していきますが、特にBtoB商材の場合は、自社商品の市場におけるターゲティングだけではなく、相手企業の「どの部署の担当者に電話するのか」という点も重要になります。
効率的なコールドコールを目指すためには、FacebookやLinkedInなどのソーシャルメディアを活用したり、名刺に記載された担当部署へ直接つながる電話番号などを参考にしながら、可能な限りセールスする商品の購入決定権を持つような人と直接コンタクトを取れるように工夫しましょう。
電話をかける時間の選定
架電する時間帯も注意する必要があります。相手が忙しいと思われる時間帯を避けるのはいうまでもありません。
例えば、朝一番に架電しても相手がバタバタしている可能性が高いことから、まともに取り合ってもらえないかもしれません。当然ながら、営業時間外もNGです。また、可能であればアプローチしたい相手が不在にしている時間についても調査して絞り込むといいでしょう。
上記のことを踏まえ、さまざまな情報源から相手の都合に合いそうな時間帯にあたりをつけアプローチできるようにしましょう。
ターゲットに最適なスクリプト作り
トークスクリプトとは、主にコールセンターでオペレーターが電話対応する際の手本としている台本(スクリプト)のことです。テレアポ業務でもトークスクリプトの作成は定番で、コールドコールも例外ではありません。
相手は商品やサービス、会社に興味を持っていないことが前提であるため、基本形をベースに「なぜ、あなたに電話したのか」の部分のみ個別最適化させるスクリプトが理想的です。特に以下はどのような相手にでも取り入れる内容です。
- 短時間で理解できる自己紹介
- その相手(会社)に電話をかけた理由
- 自社の事例や実績
- クレームに対する対応
- よくある質問と回答
ただし、実際の顧客との対話では台本どおりに進行しないことがほとんどですので、スクリプト自体はシンプルな内容の方が進めやすいでしょう。
コールドコールにおける話し方
最後は「話し方」について、3つのポイントに分けて解説します。
- 相手の声のトーンに合わせる
- 相手の知識レベルに合わせる
- 相手が欲している価値を見つける
相手のトーンに合わせる
まずは、電話口で相手の声のトーンから心情を推し量り、こちらも相手と同様のトーンで話すように心がけることが大事です。互いのトーンのギャップが大きすぎると、相手を戸惑わせてしまいます。
一般的に「爽やかで流ちょうなトーンで話す方が好印象」と思われることが多いですが、流ちょうすぎると「営業っぽさ」を感じさせてしまい、かえって敬遠されてしまうこともあるため注意が必要です。話すときは、相手の心情をさぐりながら「落ち着いたトーンでゆっくりと話す」ことを心掛けながらプロっぽさを演出して挑みましょう。
相手の知識レベルに合わせる
商品の良し悪しを知るうえで専門的な知識が必要な場合は、相手の知識レベルに応じて話す内容や用語の伝え方を臨機応変に変えていく必要があります。相手が基本的な知識しか持ち合わせていない場合、一方的に専門用語を駆使して商品などの説明をしても相手に響かないでしょう。
そのため、伝えたい内容をしっかり届けたい場合、相手がその領域でどの程度の知識を持っているかによって話す内容を変えることです。加えて、内容変更を想定したトークスクリプトも作成しておくと、押し付け感の少ない営業が目指せるでしょう。
相手が欲しているベネフィットを見つける
相手への質問で「最も重視しているポイント」や「もっとも欲しているメリット」について聞き出すことも重要です。ここでのポイントは、相手が考えている「機能」ではなく「ベネフィット(利益)」に注目をすることです。
例えこちらが便利な機能だと思っていても、相手がその機能への価値を感じていないと意味がありません。対話によって相手の抱えている問題を明らかにし、提案する商品やサービスがどういう経緯で課題解決に役立つのかを理解してもらいましょう。
そのためには、自分視点ではなく顧客側の視点で自社商品を考えてみることが必要です。相手が本当に欲しているニーズに応じた提案ができるようにしましょう。
コールドコールは採用しない方がいい?
時代遅れといわれるコールドコールは、現在の営業手段と比較すると効率が悪い面は否めません。
しかし、一定の成果が見込めるという点や、営業マンのスキル向上も見込めることから、他の営業手段と組み合わせて、現在でも多くの企業が大事な営業手段のひとつとして取り入れています。
見込み顧客と接点を持つきっかけにもなるため、本記事のポイントを押さえ正しいアプローチを目指しつつ取り組んでみてはいかがでしょうか。