データウェアハウスとは?
データウェアハウスを直訳すると「データの倉庫」という意味になります。つまり、様々なシステムのデータを保管しておく場所と考えたらいいでしょう。
企業では、毎日膨大な量のデータを取り扱っていますが、それらを適切に管理・分析しなければなりません。そこで役立つのがデータウェアハウスです。
データウェアハウスはデータの重複を避けながら、時系列でデータを保存することができます。さらに、大量のデータの中から条件に合うものをピックアップしてくれるため、欲しい時に欲しいデータをすぐに閲覧できます。
データウェアハウスを使えば、日々の業務の効率アップを図ることができるでしょう。
データウェアハウスのメリットと活用方法
データウェアハウスを導入するメリット
データウェアハウスのメリットと言えば、データ収集を迅速かつ適切に行えることでしょう。
データウェアハウスには、分析システムが導入されているため、高速でデータを処理することができます。
また、様々な分野のデータを一つのデータウェアハウスに蓄積していくため、部署間でのデータのやりとりも不要となり、即座に必要な情報を得ることが可能です。
さらに、データウェアハウスではデータが時系列で保存されます。
過去のどのタイミングで保存されたデータなのかがすぐに分かるため、比較分析に役立てることができるでしょう。
データウェアハウスの活用方法
データウェアハウスは様々なビジネスの場面で活用することができます。
例えば、マーケティングでの活用です。
自社を利用した顧客のデータをデータウェアハウスに保管しておけば、新たなコンテンツの制作時や、既存商品のマーケティングに役立ちます。
また、購入履歴やキャンペーンへの参加歴、購入頻度なども記録しておくことで、より細かい分析が可能になるでしょう。
さらに、データウェアハウスは在庫管理にも活用できます。
過去のデータから計算することで、どの時期にどれくらいの売上になるのか、という予測データを算出できるため、時期に合わせて在庫量を調節することができます。
そうすることで、在庫不足、又は売れ残りを防ぐことができ、在庫の保管コストを削減できるでしょう。
データウェアハウスを導入する時のポイント
データウェアハウスを効果的に利用するには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。適切に利用するためにも、しっかりチェックしておきましょう。
システムの使いやすさ
データウェアハウスにも様々な種類がありますが、その中でも専門的な知識が不必要で、誰でも簡単に利用できるデータウェアハウスを選択しましょう。
限られた人しか利用できなくなってしまうと、データウェアハウスの導入効果が減少してしまいます。
生産性を高めるためにも、使いやすさを重視してデータウェアハウスを選んでください。
データ処理のスピード
データウェアハウスを利用するにあたって、データの処理速度は最も重要な要素です。
膨大なデータでもスピーディーに分析・算出できるのがデータウェアハウスの最大のメリットです。
処理速度が高く、高性能なデータウェアハウスを選択するのが良いでしょう。
データの正確性の見直し
データウェアハウスは正確にデータを算出してくれますが、保管されているデータそのものに正確性がなければ意味がありません。
日付や単位表記(円/¥・メートル/ヤードなど)は特に注意が必要です。
データウェアハウスの機能に任せきりになるのではなく、自分の目でしっかりチェックすることが大切です。
データウェアハウスとデータレイクとの違い
データウェアハウスは、膨大なデータを時系列に保存できる「倉庫」のようなもので、適切にデータを分析してくれるということがお分かりいただけたと思います。
それでは、同じような役割を持つデータレイクとの違いを見ていきましょう。
データレイクとは?
データレイクは、データウェアハウスと同じく、データの解析や活用のためにデータを保管しておく場所です。
データウェアハウスとの大きな違いは、データに処理が加わっているかどうかです。
データウェアハウスは、ユーザーが必要なデータをすぐに取り出せるように、データの保存形式が統一され、整理整頓された状態で保存されます。
逆に、データレイクは保存形態にとらわれず、生のままのデータが無差別に保存されます。
データレイクの活用方法
データレイクを導入すれば、まだ利用目的が定まっていないデータを保存しておき、何に役立てるかを柔軟に検討することができます。
また、データの処理が不必要なため、データウェアハウスに比べて低コストでデータを保管することが可能となります。
データレイクは、ビッグデータの蓄積・解析の際に役立ち、新たなアイディアやビジネスを生むきっかけとなるでしょう。
データウェアハウスとデータベースの違い
では、データウェアハウスとデータベースの違いは一体何なのでしょうか。データベースとは、決まった形式の情報やデータの集合体のことを指します。
データの保存だけではなく、編集や抽出の機能を持ち合わせていて、データの検索や管理がしやすくなるというものです。データベースを使えば、顧客リストの管理やECサイトの在庫管理に役立つでしょう。
ここまで見てみると、データウェアハウスとデータベースはとても似ているように思えます。データウェアハウスとデータベースの大きな違いは「分析力」です。
データベースが分析以外にも編集や抽出を行うのに対して、データウェアハウスは分析に特化しています。データウェアハウスの方がより詳しく分析を行うことができ、さらに保存容量も多いことが特徴的です。
データウェアハウスを導入することによって、蓄積されたデータをよりビジネスに活用しやすくなります。
データウェアハウスを上手に活用する方法
それでは、実際にビジネスの場面でデータウェアハウスがどのように活用されているのか見ていきましょう。
航空会社の予約システムでの導入例
航空会社では、常に多数のデータが飛び交い、業務システムも様々です。特に航空券の予約においては、キャンセルを回避し、なるべく空席を減らすように配慮しなければなりません。
そんな時に、データウェアハウスを使えば、顧客の過去の明細からキャンセル履歴を分析することができ、高精度な予測が可能になります。
ECサイトでの導入例
ネット上には、数えきれないほどのECサイトが存在しており、それぞれに膨大な顧客リストが存在します。特にオークションサイトでは、購買者と出品者の管理、不正行為やサーバの監視もしなければなりません。
データウェアハウスであれば、このような複雑な情報を整理し、統合的に顧客の行動を把握することができるようになります。
データウェアハウスは、航空会社からECサイトの運営まで、幅広い分野で活用できます。データウェアハウスを活用することによって、ミスを軽減でき、顧客増加にも繋がることがお分かりいただけたかと思います。
データウェアハウスの要件
データウェアハウスは、大量のデータを時系列で一つの場所に保存でき、データ分析に役立てられることが分かりました。
最後に、データウェアハウスの要件をおさらいしていきましょう。
データの内容ごとに整理
データの内容とは、「顧客」や「商品」などの項目のことです。データウェアハウスには、複数のシステムから膨大なデータが集まってきていますが、それをそのままシステムごとにデータ整理をするのではありません。
複数のシステムからデータを抽出し、項目ごとにデータを整理してくれます。それによって、データ分析がしやすくなり、顧客のニーズにも気づきやすくなります。
データの統合
先述したように、データウェアハウスには複数のシステムのデータが集約されています。そうすると、どうしてもデータの重複や表現のゆれが出てきてしまいます。
それを統一させるのがデータウェアハウスの役目です。データの整合性を高めることで、生産性アップにも繋がりますし、誰から見ても分かりやすく、ミスや勘違いを減らすこともできるでしょう。
データを時系列で保存
通常のデータベースが最新の状態を重視する一方で、データウェアハウスは過去のデータも時系列で整理されています。
現在の状態だけではなく、過去の流れも把握できるため、経営判断やシステムの改定の際にも役立つでしょう。
データの永久性
データウェアハウスは、データを永続的に保管することが可能です。
しかし、データ容量は無限ではないため、容量に達したらデータの削除が必要な場合もあります。
まとめ
データウェアハウスは、複数のシステムデータを時系列に保存することができ、様々なビジネスの場面で活用されています。データベースやデータレイクに比べると、少しコストが高くなりますが、その分精密な分析の実現が可能です。
膨大なデータに悩まされ、上手く活用できないとお困りの方には、うってつけではないでしょうか。効率・生産性アップのためにも、ぜひデータウェアハウスの導入を検討してみてください。