OOH(Out Of Home)とは?
OOH(Out Of Home)の略であり、翻訳すると「家の外」という意味です。外出している不特定多数の人々へ向けて展開されている広告の総称であり、OOH広告と呼びます。
家庭以外の場所で展開されているメディアをOOH広告と呼んでいますが、よく聞くのは「屋外広告」でこの2つの広告の違いを理解できている人は少ないでしょう。
OOHと屋外広告の違い
OOH広告は前述で紹介したように家庭以外の場所で展開している広告を指していますが、屋外広告とはどのような違いがあるのでしょうか。
結論から言いますと、OOH広告と屋外広告はどちらも「屋外に設置されている広告」と同じ意味となります。しかし、下記のようにOOH広告と屋外広告ではそれぞれ使用傾向のある業界が異なります。
- OOH広告:広告業界
- 屋外広告:土木・建設業界
また、屋外広告の種類としては以下になります。
- ポスター広告
- 電柱広告
- 広告塔
- ネオン・電気看板
どちらも意味は同じですが、使用する広告の種類が異なっていることを理解しておきましょう。
OOH(Out Of Home)の種類
「屋外広告」の種類について紹介しましたが、OOH広告の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。
不特定多数の多くの人の目に触れてもらいやすいと言われているOOH広告には、以下の5つの種類がありますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 街頭ビジョン
- 看板広告
- ラッピングカー
- デジタルサイネージ
- 交通広告
また、OOH広告には種類ごとで利用までの流れや掲載までにかかる日数が異なるだけでなく、種類によって各自治体への申請内容や許可の有無が必要となる場合があることを理解しておきましょう。
さらに、訴求したいターゲット層や予算面からも自社において最適といえるOOH広告が異なりますので、充分な検討や事前調査が必要と言えるでしょう。
種類1:街頭ビジョン
街頭ビジョンとは新宿や渋谷、大阪や名古屋など人が多く集まる都市に設置されている大型ビジョンです。
全国の38都道府県に設置されており、駅前や大きなビルに設置されていることが多いです。
街頭ビジョンは、看板とは違い動画や音声を流すことができることが大きな特徴であり、音楽情報やコマーシャル、スポーツ中継などさまざまなプロモーションに活用されています。
街頭ビジョンに放映する際には以下のような順序が必要であり、要件に合わせて放送エリアや放映規模などを充分に検討する必要があります。
- 放映エリア・媒体の検討、料金の確認
- 媒体者への放映可否の確認
- 放映決定後、各媒体への申し込み
- 映像素材の審査
- 媒体素材の入稿
また、各媒体ごとで広告放映基準が異なるため、映像素材の審査が必要です。審査結果によっては、放映ができない場合や内容の修正を要する場合もあることを理解しておきましょう。
種類2:看板広告
街中はもちろん、駅や路地など外出の際に1番多く見かけるのが看板広告でしょう。認知度を効率よく高められることが看板広告の最大の特徴であり、以下の6つの種類があります。
- 屋上看板
- 壁面看板
- 突き出し看板
- 電柱広告
- 野立て看板(建植看板)
- 駅看板
また、エリアを限定して宣伝できる他、低いコストで広告を出せることも看板広告のメリットです。
看板広告を設置していく流れは以下となります。
- 企画立案(目的やターゲットの明確化、デザイン、設置場所の検討)
- 自治体へ設置する看板の規制や申請の有無の確認
- 看板設置業者の選定、見積もり
- 各種申請、許可
- 看板の設置作業
- 設置の完了報告
各種申請には「工作物確認申請」「道路占用許可申請」「広告物許可申請」がありますが、その他の申請が必要となる場合もありますので、企画立案の完了後には必ず自治体への確認を行いましょう。
また、利用する看板の種類によっては設置するテナントやビルの管理会社、近隣の企業や店舗などの許可が必要な場合もあります。看板設置後のトラブルを防ぐためにも、事前確認は慎重にしっかり行っていきましょう。
種類3:ラッピングカー
ラッピンカーを街中で見かける人も多いでしょう。バスやトラックの車体を利用した「動く広告」であり、固定されている広告より多くの人の目に留まる効果が期待されます。
ラッピングカー広告は以下の場合に最適であり、近くを通行する車や町中を行き交うさまざまな人に強い訴求効果が期待できると言われています。
- 新店舗のオープン
- イベントの宣伝
- 特定の地域でアピールしたい場合
- 特定の年齢層にアピールしたい場合
ラッピングカー広告を利用する場合、手順は以下のようになります。
- ラッピングカー施工会社へのお問い合わせ・見積もり
- 企画立案・デザインのヒアリング
- 施工会社との契約
- デザインの最終確認・調整
- 施工・納品
- メンテナンス
施工期間は会社によって多少異なりますが、車体全体の施工に約7日間ほどかかる場合が多いです。そのため、新店舗のオープンやイベントの宣伝をラッピングカーで行う場合には、余裕を持って準備を行いましょう。
また、大型トラックやマイクロバスのラッピングカーをよく見かける方が多いですが、軽自動車やワンボックスカー、小型トラックにも施工できます。
車体全部ではなくボンネットなどの一部に施工する「カーマーキング」もありますので、ぜひ参考にしてください。
種類4:デジタルサイネージ
デジタルサイネージとは、高輝度の液晶パネルやLEDパネルを使用したOOH広告です。
看板やポスターと比べると、視認性が大幅にアップするメリットがあります。また、静止画以外にもデジタルサイネージでは以下のようにさまざまな形で広告を出すことができるため、さまざまなコンテンツを配信することができます。
- スライドショー
- テロップ
- アニメーション
- 動画
- 音声
- 音楽
デザインの自由度が高いため、インパクトの高い情報配信が可能となり、広告のより高い効果が期待できるでしょう。
- 企画立案
- 依頼業者の選定
- デザインや広告内容の相談・覚醒
- 業者による設置箇所の視察
- デジタルサイネージの設置
- 操作方法の確認・運用準備トレーニング
- 運用開始・集客データを収集
- 機器のメンテナンス(保守サービス)
デジタルサイネージの業者によって金額はもちろん、運用開始時や運用後の保守サービスの内容が異なります。そのため、依頼業者の選定は慎重に行う必要があります。
種類5:交通広告
近年注目されている広告媒体の1つとなるのが、交通広告です。電車内や駅構内、バスの車内など交通に関する媒体に掲示できる広告を指します。
エリアや属性などからターゲットを絞って広告を出すことができるだけでなく、強制的に視認することができるため、潜在意識の中に商品・サービスが記憶される効果が期待できるでしょう。
電車やバス、駅構内や空港などに掲示することができる交通広告ですが、それぞれの交通機関で設置場所が異なるため、充分な打ち合わせが必要となります。また、交通広告を出す際は以下の手順となります。
- 交通広告の指定代理店に問い合わせ
- 代理店とのプランニング
- 契約
- デザイン制作と内容などの事前審査
- 印刷・納品
- 広告の掲載スタート
交通広告は、各交通機関の指定代理店を通さなければいけません。そのため、交通広告を取り扱っている広告代理店に問い合わせを行い、広告掲載に向けて進めていく必要があります。
OOH(Out Of Home)のメリット
OOH広告の種類を説明してきましたが、実際にOOH広告を利用する際にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは以下の3つのメリットについて紹介していきます。
- リーチ力・接触頻度が高い
- 嫌悪感を与えない
- ターゲティングができる
メリット1:リーチ力・接触頻度が高い
OOH広告は、外出している人に対し必ず目に入る広告であることから、リーチ力が高い点がメリットの1つです。さらに、繁華街や電車や駅などは、より多くの人が集まるためより高いリーチ力を誇ります。
また、前述した交通広告では通勤・通学など日常的に使用する場所に広告を掲載することができるため、接触頻度が自然と高くなる傾向にあります。
メリット2:嫌悪感を与えない
外出時に自然と目に入るOOH広告は、公共性が高いため広告に対する嫌悪感を与えない点もメリットと言えるでしょう。
YouTubeやSNS内にある広告は、何度も同じ広告を目にすると嫌悪感や不快感を抱かれやすいです。
しかし、日常の風景の一部として捉えられることが多い交通広告などに対しては、嫌悪感や不快感なく狙ったユーザーに対し訴求することができます。
メリット3:ターゲティングができる
OOH広告は、ターゲティングができることから、自社の広告戦略に適している場所を選ぶことで広告に対してより高い効果が期待できるでしょう。
そのためにも、若年層・高齢者・学生・主婦など、それぞれの特定の層が多く集まる場所を知っておくことが必要となります。
また、デジタルサイネージや街頭ビジョン、ラッピングカーのOOH広告では、掲載する時間帯も選ぶことができるため、ターゲット層に対してコストを抑えながらかつ効率よく宣伝することができるでしょう。
OOH(Out Of Home)の実例
ここからは、OOH広告の実例について以下の3つを紹介していきます。
実例を知っておくことで、施工企業とのヒアリングや打ち合わせ時に役立ちますので、ぜひ参考にしてください。
- ユニカビジョン
- PANTENA
- コカコーラ
実例1:ユニカビジョン
アーティストのライブ動画を定期的に訪問し、多くのファンをビジョン前に集めたことで注目されているのが新宿にあるユニカビジョンです。
また「VISION α」というユニカビジョンに対応したアプリと連動させることで、ビジョンに流れているライブの音声をスマートフォンで視聴できることも人気の理由の1つとなります。
大型ビジョンに映る迫力ある映像に魅力を感じるのはもちろん、その場に居合わせた人の中には同じ目的で集まったファンが多いことから、共通の趣味を持つ仲間と出会える場という点でもとても魅力的であるといえます。
ここ数年で話題となっているユニカビジョンは、今後さらに需要が高まっていくのではないでしょうか。
実例2:PANTENA
PANTENAは、2015年に開催されたデジタルサイネージアワードを受賞したことで、注目を集めました。
紫外線から髪の毛を守る商品の販促企画として、江ノ島にPANTENAオリジナルの海の家を建設し、家の中に設置されたデジタルサイネージには、リアルタイムの紫外線情報を商品とともに表示させ、赤外線量と連動して商品の値段が変わるというクリエイティブな企画が評価されました。
リアルタイムの赤外線量に対し商品の値段が変わることにより購買意欲が刺激され、その場で商品を購入できることから多くの人が利用しています。
実例3:コカコーラ
2017年の夏に日本初の大規模なプログラマティックOOH広告を実施し、話題となったのがコカコーラです。
プログラマティック広告とは 複数の広告をオンラインでネットワーク上に置いて取引や配信を自由化した広告を指します。また、プロクマテックOOH広告とは「屋外広告の自動広告取引」の意味を指します。
広告効果を最大化するために実施された施策であり、東京・大阪・名古屋・札幌などの都市部で場所や気温・イベントなどを連動させながら、それぞれに最適とされる広告を出しわけたプログラマティックOOH広告です。
まとめ
この記事では、OOH(Out Of Home)広告について、屋外広告との違いや種類、メリットについて詳しく解説しました。
また、実際に話題となったOOH広告の実例を知っておくことで、企画立案の際に役立ちますので、ぜひ参考にしてください。
また、マーケティングにおいて重要な役割を担っているとされている広告について以下の記事「マーケティングにおける広告とは?種類・戦略・仕事内容を徹底解説!」では、マーケティングと広告の関係性や、種類、役立つツールや成功事例など詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。
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