業務効率化ツールとは
業務効率化ツールとは、業務プロセスの効率化を目的とし、IT技術を活用して作成されたツールのことです。業務プロセスを自動化することで、人的ミスを減らせるほか、業務のスピードアップ、業務品質の向上を実現できます。
例えば、社内の書類管理を紙ベースから電子化することで、書類の検索や共有が容易になり、業務の効率化が図れます。また、営業部門においては、顧客管理システムを導入することで、営業活動の効率化が可能になるでしょう。
業務効率化ツールの導入により、ヒューマンエラーの防止・生産効率の向上や作業時間の短縮を実現できるため、近年では多くの企業が導入を進めています。
業務効率化ツールが求められる背景
まず、業務効率化ツールが求められるようになった背景を解説します。
労働人口の減少
企業に業務効率化ツールの導入が求められる理由の1つは、労働人口の減少にあります。総務省が公表した「令和4年度版情報通信白書」によると、1995年をピークに生産年齢人口(15〜64歳)が減少しており、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれています。
2023年現在においても、特に中小企業における人手不足が社会問題となっていますが、このままの減少傾向が進めば、その影響は大企業にも及ぶことでしょう。大企業の人手不足が深刻化すれば、社会全体が今よりも厳しい状態になるのは火を見るよりも明らかです。
そこで、労働力確保と生産性向上を目指すために、業務効率化ツールの導入が解決策の一つとして注目されています。
出典:総務省ホームページ
働き方の多様化
新型コロナを機に、時短勤務やテレワーク、ハイブリッドワークなどが普及しさまざまな働き方が誕生した今、時代に沿った対応をしなければ多様な人材の活用はできません。
また、働き方と同時に価値観も多様化しているため、企業は質の高いワークライフバランスの取り組みが求められています。そのためにも、業務効率化を進め長時間労働を改善し、短時間で結果が出せる環境を作る必要があるでしょう。
DXの推進
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略称です。企業がデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや業務プロセスを変革することを指します。
DXの推進は、競争力を維持するために不可欠です。すでにDXに取り組んでいる企業が多くあり、それに追随しないと遅れをとる可能性があります。また、DXによって生まれるビジネスチャンスに乗り遅れることもあるため、今後ますます企業にとって重要になっていくでしょう。
業務効率化ツールは、DXの一環として導入されることが多く、業務プロセスの自動化やデータの活用を実現するためのツールとして役立ちます。
業務効率化ツールで実現できること
ここでは、業務効率化で実現できる代表例を3つ紹介します。
- オンラインコミュニケーション
- 定型作業の自動化
- ペーパレス化
順に解説します。
オンラインコミュニケーション
オンラインコミュニケーションとは、主にビジネスチャットなどを指します。例えば、ファイル共有したり、チームやプロジェクト単位でスペースを作ったりすることもでき、リアルタイムでの情報共有や意思決定を行うのに役立つでしょう。
オンラインコミュニケーションツールを導入することで、業務における意思決定や情報共有のスピードを向上させることができるため、業務効率化に大きく貢献します。
定型作業の自動化
定型業務の自動化は、俗にRPAと呼ばれます。RPAはRobotic Process Automationの略で、繰り返し行う作業をロボットによって自動化し、業務効率化を図るものです。
通常はプログラミングなどの知識を必要としますが、RPAツールを導入すれば、専門的な知識がなくても簡単に自動化が可能です。
請求書作成業務や広告レポート作成、勤怠集計・通知の自動化など、さまざまな場面でRPAツールが活用されています。
ペーパレス化
ペーパーレス化とは、電子化などによって紙の使用をなくすことを指す言葉です。紙の文書や書類をデータ化することで、情報の共有が簡単になり、業務効率が向上します。
例えば、紙の書類を探す手間がなくなり、手持ちのスマートフォンやパソコンから、デジタル化された書類をすぐ確認することが可能です。またワークフローシステムを導入すれば、申請プロセスがオンライン上で完結するため、紙とハンコによる非効率な決済からの脱却ができます。
これによって、従業員の工数を大幅に削減でき、業務効率化による生産性向上が見込めます。
業務効率化ツールの活用事例
最後に、業務効率化ツールの活用事例を3つご紹介します。 業務効率化ツールを活用するイメージにお役立てください。
- 効率的な経営と円滑な人間関係の構築|Chatwork
- たった10人の会社で月20万円以上のコスト削減|RoboTANGO
- 顧客対応をチームで共有し属人化解消|backlog
それぞれ解説します。
効率的な経営と円滑な人間関係の構築|Chatwork
学校方針加藤学園は、千葉県北西部にある乳幼児保育に特化した学校教育法人です。現在は3つの保育施設に120名の職員が勤務し550名の児童が通園しています。
Chatwork導入前は職員間の連絡や保護者への案内に紙を使用しており、年間で数万枚も使用していました。しかし、Chatworkを使うことで情報共有が容易になり、大幅なコスト削減に成功。また、対面や印刷物での情報共有から携帯電話を用いた一斉共有に移行することで人件費も削減できました。
Chatworkの導入により、効率的なやりとりができるようになり、職員の負担が減り、無駄な残業時間がなくなったのです。
参考:Chatwork導入でコスト&労働時間削減に成功!円滑な人間関係構築にも貢献
たった10人の会社で月20万円以上のコスト削減|RoboTANGO
株式会社鶴見の飯田は、建設業を対象に建設資材や建築資材の販売を行っている会社です。2016年辺りから売上を生まない入力作業を削るためにRPAの導入を検討していたものの、コスト面の懸念から導入を見送っていました。
そこで無料トライアルから実施できるRoboTANGOを導入したところ、RPAによる自動化で、1スタッフあたり1日2時間程度の労働時間を削減。さらには、ランニングコストを年間100万円削減できたほか、お客様や営業活動に時間を割くことができ、顧客対応が迅速化したことで顧客満足度が向上しました。
参考:たった10人の会社で月20万円以上のコスト削減を実現。140時間の入力時間を全て営業の時間へ。結果売上UP!
顧客対応をチームで共有し属人化解消|backlog
株式会社マネーフォワードは、個人のお金の悩みや不安の解決に向けた新サービスの提供や開発事業を行っています。backlog導入前は、お客様へのフォローをメールで行っていました。しかし、メールではお客様の使用状況や導入プロセスの進捗状況が確認できず、電話確認が必要になっていました。また、担当者以外には作業状況やノウハウがわからないため、チーム内で共有ができず、顧客管理が属人化していたことが課題でした。
しかし、backlogを利用したことでお客様の導入状況の「可視化」に成功。また、社内での共有がスムーズになったことで、担当者個人ではなくチームでの対応も可能になったのです。
参考:マネーフォワードのツール導入支援でBacklog活用。顧客対応をチームで共有し属人化解消
まとめ
以上、業務効率化ツールに関して、基礎的な内容を中心に解説しました。働き方改革やリモートワークの浸透により、その需要は今後も増加の一途を辿ると予想されています。
本記事でお伝えした内容を参考にしつつ、課題把握や現場との親和性を考慮して、自社にとって最適な業務効率化ツールを導入するようにしましょう。