リードナーチャリングとは?
リードナーチャリングとは、リード(見込み顧客)を育成することを指します。
目的は、獲得したリードに対して、有益な情報を継続的に提供することで中長期的に接点を構築していき、購買プロセスの次のフェーズ、もしくは購買行動へ促せるように検討度合いを高めていくためです。
リードナーチャリングはなぜ注目されるのか?
近年特に注目されるようになったアメリカで生まれたマーケティング手法ですが、ではなぜいま日本で注目されているのか?理由は大きく3つあります。
インターネットの普及に伴う顧客行動の変化
従来では、企業が製品やサービスを検討する際、営業からのアプローチを待つ、もしくは自分から営業に連絡して情報を収集するのが一般的でした。
しかし、インターネットが広く普及した現在では顧客自ら情報を収集し、競合と比較検討するようになっているため、以前のように電話や訪問でアプローチしても、すでに競合のサービスが検討段階に入っているか、決定しているケースも少なくないでしょう。
購買意思決定までの検討期間の長期化
BtoBでは基本的に単価が高い商材が多く、担当者が商品やサービスの重要性を感じてもすぐに購入できるわけではなく、リソースに関する社内の承認が必要です。
Web上の情報量が飛躍的に増加したことにより市場が変化し、意思決定までのプロセスが厳格化。稟議や決済の手順が多くなったので、プロセスの長期化にもつながっています。
中には、案件化までに数ヶ月から数年を要する場合もあるため、「情報が膨大すぎてどこからアプローチしていいのかわからない」「人手が足りない」といった理由で検討中の顧客を放置していると、大きな機会損失につながりかねません。
現時点で案件化までの期待が持てないリードであっても、長期的、かつ継続的に良質なコミュニケーションをとり、他社に奪われないようにしましょう。
休眠顧客の増加
休味顧客とは、過去に商談や契約まで至ったものの、現在はやり取りが発生していない顧客を指します。
過去に商談や契約まで至った顧客に対して、継続したアプローチを行わずに放置した結果、休眠顧客となっている場合も多いです。しかし、休眠顧客は製品機会がリードよりあり、明確なアプローチを行えば優良顧客になる可能性が高いため、リードナーチャリングで接点を持ち続ければ成果への期待も持てるでしょう。
リードナーチャリングが必要な理由
前述のとおり、BtoBの購買プロセスは長期化・厳格化しているため、営業でフォローを行ったとしても、リードが直近で案件化する割合はわずか15%とされています。
しかし、リードを長期的にフォローできなかった場合、必要ないとフォローしなかったリードのうち80%は2年以内に競合から製品・サービスを購入しているという調査結果が出ています。これは大きな損失です。
出典:Sirius Decision※欧米のマーケティングコンサルティングファーム
適宜、適切なコンテンツでアプローチし続けることは自社とリードの関係を深めるだけではなく、競合への流出を防ぐという副次的な恩恵を与えられるのです。
リードナーチャリングのメリット
ここまで広がっているリードナーチャリングの概念。そのメリットには何があるのでしょうか。
長期フォローの仕組み化
リードの購買プロセスが長期化していることから、現在ではリードを長期にわたりフォローし続ける必要があります。
リードナーチャリングを仕組みとして構築できれば、属人的にならず効率的にリードをフォローできます。
長期追客の仕組みの構築は、業務の効率化と確実な営業時実績構築につながるのです。
資産が活用できる
休眠顧客は、企業にとっての資産です。新たにリードを獲得する場合、展示会や広告費などコストがかかりますが、休眠顧客には当然ながらその必要はありません。
そのため、リードナーチャリングの実施は休眠顧客にもアプローチでき、会社の資産を活用しているだけなので、効率的にコストカットにもつながるでしょう。
適切なタイミングでアプローチできる
リードナーチャリングの各プロセスでツールを利用すれば、リードの行動や興味の可視化が可能です。ニーズが顕在化したときを逃さず、適切なタイミングでアプローチできるのです。
リードにとっては、適切なタイミングで情報が送られてくるので、不必要にしつこい営業を受けることがなくなります。また、受動的な情報収集が可能となるため、好印象を与えることも可能になります。
企業からすれば、リードの態度の軟化により営業担当の業務効率・モチベーション向上につながりますし、適切なタイミングでのアプローチは、双方にとって大きなメリットとなります。
リードナーチャリングの手法とは?
リードナーチャリングの代表的な手法を解説します。
手法① メール
メールを使用したリードナーチャリング手法は次の手法があげられます。
- メルマガ(メールマガジン)
リリース情報や商品・サービスの情報などの周知として活用していきます。
現在でもメルマガはかなり普及していて、BtoBビジネスにおいて、特に有効な手段といえます。 - ステップメール
リードに対して、段階的にメールを配信する手法です。1通で完結せず、最終配信まで一貫したシナリオを持っています。例えば、特定の商品に興味を持っていると想定されるリードだけに、その商品について知識や使い方を日替わりで送るといった使い方があります。 - セグメントメール
リードに対して条件を絞り込んでメールを配信する手法です。男性のみ、女性のみといったセグメントも可能ですが、よく利用されるのは「○月○日のセミナーに参加した人」や「6か月以上サービスを利用していない人」といった細かな条件での絞り込みも可能です。
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手法② SNS
SNSマーケティングは現代において、かなり重要視すべき手法となりました。
FacebookやTwitterなどを活用すれば、リードに対して気軽なアプローチが可能です。SNSを通してうまくコミュニケーションが取れれば、リードの育成にも高い効果が期待できるでしょう。
手法③ ホワイトペーパー
マーケティングでのホワイトペーパーとは、「商品やサービス、リードにとって役立つ業界に関連する情報をまとめた資料」を指す用語です。
これだけですと情報資料のイメージが大きいかと思いますが、最大の目的は、無料ダウンロードと引き換えに、リード情報を獲得することです。他にも自社の専門性のアピールやリード選別時の判断材料としての目的があります。
手法④ オウンドメディア
オウンドメディアとは、自社で運用するブログのようなものです。ためになる情報を発信することで、会社の認知度やロイヤリティの向上ができます。今まさにご覧いただいているこの記事もオウンドメディアです。
始めるには、SEOやWebマーケティングの知識が必要であることや、短期的に効果がでるものではないため後回しにされることもありますが、軌道に乗ればリードナーチャリングの手法目的以外に、リード獲得としての効果も期待できます。
手法⑤ セミナー/ウェビナー
実際の顔や声がわかると安心できるという側面があるため、関係の構築に効果的といわれています。セミナーはメールやSNS、オウンドメディアとも組み合わせが可能なので、リードナーチャリングとしてはぜひ取り入れたい手法です。
リードナーチャリング成功には顧客分析が必須
効果的なナーチャリングを実現するためには、顧客のニーズや顧客情報を深く知ることも重要です。
ここでは、効率的に顧客を分析2つ紹介します。
手法① RFM分析
RFM分析は、最終購入日・購入頻度・購入金額を分類する手法です。この3つをもとにして4つのセグメント(例:優良客、見込み顧客、新規客、離反客)に分類します。そしてこのセグメントに合わせたアプローチを行うことで、見込み顧客から新規顧客、既存顧客から優良顧客というようにナーチャリングが可能になります。
手法② CPM分析
CPM分析は、購入頻度・購入金額・初回購入日から最終購入日までの期間・最終購入日からの経過日数で分類する手法です。CPM分析では、セグメントを10個に分類します。
例えば、同じ離反客でも一度の購入で離反したのか、それとも優良顧客から離反したのかがわかるため、詳細な分析や対策が可能になります。
顧客の管理・分析を効率化させるツール
リードナーチャリングの必要なのは効率化です。効率化を支援するツールを導入しましょう。
CRMツール
CRMツールは顧客管理システムです。CRMツールでは顧客の担当者の氏名や部署名、連絡先などの基本的な情報から商談履歴、アプローチ結果などを管理できます。さらに、蓄積した情報を分析できることも特徴です。収集した情報を組織全体で共有できるため、顧客に対する適切なアプローチやフォローが可能となります。
MAツール
MAツールはマーケティング活動の一部を自動化するためのツールです。メール送信などルーティン業務の自動化だけではなく、リードの属性情報や、Webサイトへのアクセス頻度、閲覧ページの履歴などをもとにして、それぞれのリードの見込み度合いが判別できます。その度合いにあわせて、適切なタイミングで有益な情報を自動で発信できるため、ナーチャリングに役立ちます。
まとめ
今回は、リードナーチャリングについて、重要視されている理由や具体的な手法、実施する上で必要なツールについてお話しました。
顧客自身が情報を取捨選択できる時代になったいまだからこそ、機会損失を起こさないための対策が必要になるので、ぜひリードナーチャリングの実施を検討してみてはいかがでしょうか。
その際に、少しでもこの記事が参考になれば幸いです。