コンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとは、有益なコンテンツ(価値ある情報)を提供して商品やサービスを訴求したり、企業のロイヤリティを高めるためのマーケティング手法のひとつです。
コンテンツSEOとの違い
よく勘違いをされるのが「コンテンツSEO=コンテンツマーケティング」と思われることですが、この2つは似て非なるものです。
コンテンツSEOは、Googleのアルゴリズムの改良(ペンギンアップデート、パンダアップデート等)を経て良質なコンテンツが重視されるようになったことで登場しています。
検索経由で集客するために検索結果の上位にお役立ちコンテンツや企業やサービスの紹介ページなどを表示させるのが目的です。
コンテンツマーケティングの目的は、顧客と継続的に関係性を構築することにあり、最終的には収益につなげていくため、必ずしも顧客の集客が目的にはなりません。しかし、集客ができなければ収益にはもちろんつながりません。
つまり、コンテンツSEOもコンテンツマーケティングの中のひとつの手法なのです。
なぜコンテンツマーケティングが必要とされるのか?
コンテンツマーケティングを近年の新しいマーケティング手法と考える方もいるかもしれませんが、実は100年以上前にアメリカの農具メーカーが始めたといわれています。
ではなぜ近年になって日本でコンテンツマーケティングが注目され、多くの企業が活用しているのでしょうか?
「売り込み型」マーケティングの限界
これまで企業はテレビCMやネット広告、テレアポセールス、DMなどの売り込み型セールスを展開していましたが、このような広告にユーザーはうんざり感とともに疲れてしまいました。
日々、ユーザーが目にするネット広告の量が膨大であることも理由のひとつとして挙げられます。しかし、さらに大きな理由としては、出てくる広告の内容が“商品を買わせたい”という企業の狙いがあからさまであったことでしょう。
ユーザーはCMをスキップ、メルマガは未読のままゴミ箱へ、バナー広告もクリックしないといった、広告というだけでスルーする習慣が根付いてしまいました。
その結果、企業は伝えたい・知ってほしい情報ではなく「ユーザーが知りたい情報」を提供するコンテンツマーケティングに力を入れるようになったのです。
Googleの評価が質重視になった
前述で軽く触れましたが、Googleは「良質なコンテンツを上位にさせることが、ユーザーの満足度につながる」という考えを持つ、Google検索アルゴリズムの影響をコンテンツマーケティングも受けるようになりました。
一昔前のように対策したいキーワードをコンテンツ内にちりばめておけばいいというわけではなく、コンテンツがいかにユーザーにとって有益であるかを図られています。
そのため、現在は多くの企業が検索上位に表示される高品質なコンテンツを作成して、ユーザーの獲得を狙っているのです。
新たな消費行動「ZMOT」
情報収集が安易にできるようになった昨今では、消費行動も大きく変化し、その消費行動をGoogleはZMOT「Zero Moment of Truth」と名付けました。
「ゼロ」とあるように、購入する以前のゼロ状態でユーザーは自らWebサイトやSNSで情報収集を行い、ある程度の意思決定を固めてからサイトへ訪問し、コンバージョンしているというGoogleが長年のユーザー行動の変化を踏まえて提唱したマーケティング概念です。
コンテンツマーケティングのメリット
さて、コンテンツマーケティングが必要とされるようになった理由はおわかりいただけましたでしょうか。
では、実際に活用してどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
メリットから順にお話します。
コンテンツは資産になる
今まで、マーケティングに使われていた費用は、支出と見なされていました。
例えば、ランディングページを作成してリスティング広告を配信した場合、広告を配信する期間が終了する、もしくは予算を使い切れば、そこで終了です。
しかし、コンテンツは発信すればするほどWeb上に残り続け、資産として貯まっていきます。また、ユーザーに評価されるような質の良い記事は、検索結果の上位に上がりやすくなるため、常に集客し続ける流れをつくれます。
コンテンツマーケティングは低コストで始められる
広告と違い、コンテンツの作成や配信は費用が発生しません。
自分たちが持ち合わせているノウハウを、ユーザーの求めているニーズに応えるようにわかりやすく書くだけなので、掛かるとしても自らの人件費くらいです。
しかし、広告と大きく違うのは、配信後すぐに効果が出るものではないということです。
また、当然ながら効果も保証されたものではありませんので、前提として理解しておきましょう。
SNSでシェアされる
シェアなどの拡散行動はSNSが普及した現在では一般化され、ユーザーは情報を収集するだけではなく自ら発信する立場にもなりました。
いいコンテンツはユーザーによってシェアされ、企業は自然と集客ができてたターゲットユーザーと接点を持てるようになります。
コンテンツマーケティングのデメリット
続いて、コンテンツマーケティングのデメリットを解説します。
コンテンツを継続的に発信する必要がある
コンテンツマーケティングを成功に導くためには、ユーザーに支持される良質なコンテンツを、継続的に発信する必要があります。
ユーザーはどのようなコンテンツを求めているかを把握し、トレンドにも常にアンテナを張り続けなくてはなりません。そのうえで、ユーザーに忘れられないように高い頻度でコンテンツを発信し続けることが望ましいとされています。
他の業務と兼任している担当者の場合、この条件が最も高いハードルとなるでしょう。
そのため、コンテンツ制作を効率的に生み出せるようにするには、社内体制づくりも必要不可欠となります。
すぐに成果を実感できない
コンテンツマーケティングの主となる目的は、顧客とのエンゲージメントを高めることにあります。
製品やサービスに関する情報を発信し続け、アクセスを集めることができても、それがすぐにコンバージョンにつながるとは限りません。
また、どのくらいの期間をつづければ、どのくらいの効果が上がるというROI(投資対効果)を予測しにくいという面があるのも否定できません。
これらの理由から、コンテンツマーケティングは担当者が熱心でも上司や経営者を説得しにくく、導入にいたらないというケースもしばしば見られます。
なかでも“もったいない”ケースは、運用の手間やすぐに成果が見えず、開始数ヶ月でコンテンツの発信を止めてしまうケースです。コンテンツ追加によるアクセス増加は、3ヶ月~半年以上の継続ののち見えてくる場合が多く、そこには忍耐が必要となります。
コンテンツマーケティングのコンテンツの種類
コンテンツマーケティングといっても、その手法は多数あり、目的も手法ごとに異なります。
ここでは、実際に押さえておきたいコンテンツをピックアップして、ご紹介します。
ブログ記事
コンテンツマーケティングにおいて、取り組みやすいのがこのブログで、基本的にはオウンドメディア(自社で保有しているメディア)で運用されています。
ブログ記事で読者を獲得し、そこから他のコンテンツへ誘導するという流れも一般的です。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、企業の概要や製品・サービス情報、あるいは見込み顧客の役に立つデータや市場の状況などをPDFデータ等にまとめたコンテンツで、企業やブランドについて深く知ってもらうために有効です。
専門家や有識者に作成してもらうことで、コンテンツや提供企業の信頼性を高める効果を狙えます。
SNS
TwitterやFacebook、Instagramなどのサービスで、テキストはもちろん、画像や動画も投稿できます。さまざまな方法で見込み顧客に対して、困りごとや対処方法、解決コンテンツを発信できますが、各プラットフォームによってユーザー属性が異なるため、自社のサービスのユーザーに最適なプラットフォームを選択しましょう。
動画コンテンツ
動画コンテンツは、他のコンテンツと比較して多くの情報をユーザーに伝えられます。
YouTubeなどの配信プラットフォームを利用すれば、比較的安価に動画コンテンツを活用できます。
企画を考えるのが難しいと思った方は、最初はセミナー用の動画を編集して配信し、運用を試みてもいいかもしれません。YouTubeであればアナリティクス機能を活用して、ユーザーの傾向を見ることができます。
メール
ツールの使い方や課題解決につながるお役立ち情報などをメルマガで一斉配信する企業もありますが、最近ではユーザーの属性やニーズに合わせて情報を発信するメールマーケティングも活発になっています。
内容もテキスト+写真(画像)のみで完結させず、リンクを貼ってWebサイトへ誘導するなど、いくつかの手段と組み合わせてさまざまなコンテンツを届けることが可能です。
プレスリリース
本来、プレスリリースは、新聞・マスコミなどの報道機関やインターネットニュース媒体に代表されるメディアへ向けた情報発信の手段として利用されています。新商品やサービスの情報におけるニュース性のある話題があれば、プレスリリースとして発信するのもいいでしょう。
ニュースとしてピックアップしてもらえば情報の露出が増え、注目を集められる可能性も高まります。また、自社メディアやSNSを活用すれば、見込み顧客に対して効果的にPRできます。
ウェビナー
ウェビナーとは、オンライン上で行われるセミナーを指す言葉で、特にBtoBマーケターの間で人気が高い手法のひとつです。リアルタイム配信の他、事前に録画した動画を公開する方法もあります。
大きな特徴として、世界中どこにいてもセミナーに参加できる利便性が挙げられます。リアルタイム配信では、視聴者と講師のコミュニケーションをとりながら進めていけるため、関係の構築にも効果的といわれています。
コンテンツマーケティングの進め方
それでは、実際にコンテンツマーケティングを始める場合、何から準備していけばいいのでしょうか?
ここでは始めるうえで必要となる設定や手順について解説します。
1.目的・目標を明確化する
これはコンテンツマーケティングに限らずですが、目標は必ず設定しましょう。
例えば、ブランディングや会員登録数、来院数など、企業にとって何を成し遂げたいのかを整理するところから始まります。
目標を立てることによって、マーケティングの手法や配信するコンテンツが異なってくるからです。
さらに、目標が決まったら、そこから目標値も定めておきましょう。
定量的に目標を設定しておくと、各コンテンツでやるべきことや数量が見えてきます。
2.ペルソナ設計
目的・目標を達成させるために、ペルソナを具体化させることも重要です。
例えば、下記のような項目で設計していきます。
- 名前、年齢、性別
- 性格、趣味、休日の過ごし方
- 家族構成、居住地
- 経済状況、お金の使い方
- 情報を得るための端末や媒体、時間
ペルソナを設定しないままにコンテンツ化しても、内容やアプローチ方法に一貫性がなくなり、目的のターゲットに届かない可能性があります。
ペルソナを設計することで、コンテンツを配信すべきターゲットが明確になるため、作るべきコンテンツも見えてくるでしょう。
誰にアプローチしたいのか、社内で認識を統一させるためにも、ペルソナは具体的に設定しましょう。
3.一貫性あるコンセプトでコンテンツを作成する
コンテンツマーケティングで重視されるのは、そのコンテンツの質です。設定したペルソナが好むような内容や、課題解決として役に立つ有益な情報を提供していく必要があります。
その中でも、コンテンツに一貫性を持たせるということは非常に重要となります。
統一性のないコンテンツは、ユーザーには誰に向けたものなのかを把握しづらく、「自分には関係ないのでは」という印象を持たせてしまうのです。こうした一貫性のないアプローチは、サイト離脱の原因になるため、機会損失となってしまいます。
このような事態を防ぐためにも、ペルソナ同様、コンセプトもしっかり定めておきましょう。
4.コンテンツを量産する体制をつくる
実際コンテンツをつくるとなったとき、次に問題になるのが、コンテンツ作成を内製にするか、外注にするかです。
結論からいえば、BtoBの場合は内容が専門的になるため、クラウドソーシングやコンテンツ制作会社に依頼するのが難しく、社内で内製できる体制を構築する方がより理想的なコンテンツをつくれるでしょう。
ただし、すべてを内製でというわけではなく、ホワイトペーパーのスライドデザインや、記事コンテンツのアイキャッチ画像、動画の制作などの「表現」の部分は、その手のプロフェッショナルである外注先へ、それぞれの「中身」の部分に関しては内製にするのが得策でしょう。
加えて、こうした「中身」を考えたり、アウトプットする過程では、組織として「コンテンツづくり」に慣れることも欠かせません。内製可能な体制をつくるには、多少の時間がかかります。
もし、内製が厳しい場合は、コンテンツマーケティングにたけたプロフェッショナルにアドバイザーとして入ってもらうことも視野に入れてみましょう。
5.スケジュールの設定
目的・目標、ペルソナ、コンテンツのコンセプト、そして量産体制が確保できたら、どのような段取りで進めていくのかのスケジュールを組んでいきます。
スケジュールの組み方のポイントは、目標達成のために何をしたいのかを考えることです。
例えば、集客力を上げるのであれば、まずはSEOを意識したコンテンツ配信が優先となりますが、集客の目途が立っているのであれば、コンバージョンに近いコンテンツ(成功事例やチュートリアルなど)からつくるのが定石です。
6.運用開始後
運用が開始できたら、定めたスケジュールに沿ってコンテンツの配信を行います。
一定期間運用ができたら、目標に対するKPIを振り返ります。
目標設定で定めたKPIを分析すると、現状のどこが悪いかがわかります。
どの数値改善を目指せば、目標達成ができるのかを把握できればその改善施策に集中できるため、より達成が早まるでしょう。
そのためには、課題は1つに絞るようにしましょう。
コンテンツマーケに役立つツール
最後に、効率的なコンテンツマーケティング運用に役立つツールをご紹介します。
CMS
自社サイトやブログなど、オウンドメディアを運用する場合に役立つツールがWebサイトを管理するCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)です。
CMSのひとつであるWordPressは、ブログであれば無料で手軽に始められるため、さまざまな企業が活用しています。
多くのコンテンツを管理する場合であれば、必ず利用したいツールです。
Google Analytics
Google Analytics(グーグルアナリティクス)は、Webサイトのアクセス状況や訪問したユーザーのサイト内での閲覧行動が計測できるアクセス解析ツールです。
解析に必要な機能が無料で即日使用できるという点で多くの企業から導入されていて、コンテンツマーケティングには欠かせないツールのひとつです。
Google Search Console
Google Search Console(グーグルサーチコンソール)は、ユーザーが自社のWebサイトに訪問する際のキーワードを調べられるツールです。
キーワードの表示回数や表示順位、クリニック数などがわかるのでSEO対策を行うときに役立ちます。
まとめ
今回は、コンテンツマーケティングの手法や進め方についてのお話でした。
はじめのうちは、課題だらけでどこから手を付けていいのかわからないということも多くあるかと思います。もし、進め方に困ることがあれば、社内で方向性がずれているかもしれませんので、準備段階で設定した目標やペルソナを見直してみましょう。
それでも解決しない場合は、外部の専門業者に頼んでみることも視野に入れてみるのもいいでしょう。