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カスタマーサポート用チャットボットの導入アプローチ ~使われるチャットボットの作り方~|デロイトトーマツグループ

投稿日:2020年7月17日 /

更新日:2022年10月3日

カスタマーサポート用チャットボットの導入アプローチ ~使われるチャットボットの作り方~|デロイトトーマツグループ
● チャットボット

 新型コロナウィルスの影響で企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が高まり、カスタマーサポート領域では、在宅ワーク関連ソリューションとあわせてチャットボットにも再び注目が集まっています。
2016年頃から一般に普及しはじめたチャットボットですが、期待していた成果を出せず、短期間でサービス縮小やサービス終了に至っているケースも少なくないのが実情です。
今回は、チャットボットの単なる導入でゴールとせず、継続的に顧客に使われるチャットボットを設計・導入し、カスタマーサービスの効率化と顧客満足の向上につなげるためのアプローチについて解説します。

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目次

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なぜチャットボットは使われないのか?

なぜチャットボットは使われないのか?

 「コンタクトセンターのオペレータ確保が年々難しくなっているため、業務の自動化を進め、人材を有効活用したい」、「コストを抑えつつ、24時間365日顧客応対できるチャネルを用意したい」等、様々な理由でチャットボットの導入が進んでいます。しかし、企業の担当者からは「導入計画時に想定していた効果が出ない」、顧客からは「求める回答が得られず、役に立たないので使わなくなった」といった声が聞こえてきます。

 チャットボットの導入初期においては、物珍しさから顧客にチャットボットが利用されるという側面もありますが、その後も継続してチャットボットを使い続けてもらうためには、実際の利用経験を通じて「チャットボットは役に立つ」と感じてもらうことが重要です。

 

 皆さんは、何を聞いても「すみません。入力内容を理解できませんでした。」とばかり回答するチャットボットに出会ったことはありませんか?そのような、顧客を幻滅させ、顧客の継続利用を妨げるチャットボットが導入される背景には、大きく以下2つの原因が存在します。

 

原因1:チャットボットの対応範囲が明確に定義されていない

 「AIを正しくチューニングすれば、チャットボットもオペレータと同じように汎用的な顧客対応ができる」。そんな風に思っていませんか?

 自然言語処理(NLP)や機械学習等のチャットボットの要素技術は日々進化していますが、まだまだチャットボットは万能ではありません。定型的で単純な問合せには、チャットボットが素早く効率的に対応できますが、非定型で複雑な判断を必要とする問合せにはチャットボットは対応することができません。

 また、チャットボットが対応できる問合せ内容であっても、それが滅多に発生しないものであれば、チャットボットが顧客の役に立つ機会も限定されてしまいます。

 

 すなわち、カスタマーサポート業務の内、「チャットボットが対応できる用件」と「顧客ニーズの高い用件」が重なる領域を冷静に見極め、チャットボットの対応スコープを明確に定義し、そのスコープを顧客に対して明示しなければ、前述の何を聞いても「すみません。入力内容を理解できませんでした。」と回答するチャットボットが出来上がります。

 

「業務の分類」と「チャットボットの対応スコープ」

 

原因2:メンテナンス体制の未整備

 他のAIソリューションと同様に、チャットボットも導入したらそこで終わりではありません。顧客の入力内容や、チャットボットが解決できなかった用件を日々分析し、チャットボットをチューニングし続けなければ、求めていた回答を得られなかった顧客の不満足が積み上がり、チャットボットは利用されなくなってしまいます。

 たとえ導入前にしっかりと業務分析を行い、チャットボットの対応スコープを明確に定義できていたとしても、顧客の問合せ傾向は、時期や季節に応じて刻々と変化するため、導入後のメンテナンスは欠かせません。また、電話の応対ログ分析をもとにチャットボットの対応スコープを定義した場合、電話とチャットでは、利用者の顧客属性や利用シーンが異なる点を十分に考慮できていない可能性があります。

 導入後のメンテナンスにおいては、それら問合せ傾向の時期的変化やチャネル間差異を日々確認しながら、地道にチャットボットをチューニングしていくことが重要です。

 

問合せ傾向の変化とメンテナンスの関係性

 

チャットボット設計・導入のアプローチ

チャットボット設計・導入のアプローチ

 上記2つの原因を踏まえ、“使われる”チャットボットを設計・導入するために必要なアプローチを、以下4つのステップに分けて解説します。

 

チャットボット導入の4ステップ

 

STEP1:問合せ傾向の把握

 チャットボット導入にあたり、まずはコンタクトセンターの応対ログを分析し、問合せ内容のカテゴリ分けとカテゴリ毎の着信件数を把握します。

 皆さんは、自社のコンタクトセンターに日々どのような問合せが入っているか把握できていますか?これまでは経験と勘に頼って掴んでいたお客様の問合せ傾向(問合せ内容と内容別のボリューム)も、音声認識やテキストマイニングツールを活用することで、より具体的かつ定量的に分析が可能です。

 

問合せ傾向把握の作業イメージ

 

STEP2:チャットボット適用範囲の決定

 問合せ傾向を把握できたら、次に、チャットボットに対応させる問合せ内容を決定します。先に述べた通り、チャットボットが対応できる範囲には限界がある一方で、できるだけ多くの顧客ニーズに応える必要があるため、適用範囲の決定にあたっては以下3つの観点を意識します。

 

ポイント1:チャットボットに対応できる業務か?

 非定型な用件や、回答に至るまでのロジック(条件分岐)が複雑な問合せは、チャットボットでの対応が困難です。関係部署との議論を通じて、STEP1で分類した問合せカテゴリ毎にチャットボットでの対応可否を判断していきます。

 

ポイント2:ボリュームのある問合せ内容か?

 チャットボットで対応できる用件であっても、チャットボットのルールやシナリオの設計には一定程度コストがかかるため、費用対効果に鑑みて、チャットボットでの対応要否を判断する必要があります。費用対効果を高め、多くの顧客にチャットボットの価値を感じてもらうためにも、まずはボリュームの多い用件対応を優先的にチャットボットに実装することを検討します。

 

ポイント3:利用者と利用シーンを明確にイメージできるか?

 チャットボット導入によりカスタマーサポート業務を効率化させることはもちろんですが、効率化と同時にCX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させることが重要です。「電話やメール等の既存チャネルとチャットボットがどのように使い分けられるのか?」や「チャットボットの対応によりカスタマージャーニーのペインポイントが解消されるか?」を確認しながら、チャットボットの適用範囲を決定します。

 

チャットボット適用範囲決定の作業イメージ

 

STEP3:ソリューション選定

 チャットボットの適用範囲が決まったら、ソリューションを選定しチャットボットを設計していきます。ソリューション選定にあたっては、コストや他社での運用実績等に加えて、以下の2つの観点を意識します。

 

ポイント1:メンテナンスのしやすさ

 チャットボットが使われなくなる原因として「メンテナンス体制の未整備」を挙げましたが、継続的にメンテナンスを実施するためには、管理者向けの機能が充実しており、その機能を管理者が容易に使いこなせるソリューションを選定することが重要です。チャットボットのメンテナンスは、システム部門ではなく、カスタマーサポート部門で現場の業務に精通した要員が担うケースも多いため、メンテナンス担当者のスキルや経験を考慮し、専門的なITスキルがなくともメンテナンスできるソリューションを選定する等の工夫が必要となります。

 

ポイント2:拡張性

 チャットボットの役割は、Webサイトのよくある質問(FAQ)のようなお客様の質問への一問一答形式での回答に留まりません。ID・パスワードの変更や会員情報の変更等、簡易な手続きはチャットボットでの対応完結を求められるケースが多くあります。チャットボット上で手続きを完結させるためには、関連する業務システムとチャットボットを連携させる必要があるため、他システムとの連携が容易なソリューションを選定することが重要です。

 その他、チャットボットが解決できなかった用件をオペレータに転送したい場合には有人チャットシステムとの連携可否を考慮のうえ、ソリューションを選定する必要があります。また、WebサイトだけでなくLINE等のメッセージングアプリでもチャットボットサービスを提供したい場合には、アプリとの連携可否の考慮が必要でしょう。

 

 

STEP4:メンテナンス体制の整備

 前述の通り、メンテナンスしやすいソリューションを選定することが前提となりますが、メンテナンス業務を定例的に実施するための体制作りを行います。その際、正面業務としてチャットボットのメンテナンスに取り組む担当者をアサインすることが重要です。コンタクトセンターのナレッジマネジメント部門がチャットボットのメンテナンスを担うこともありますが、チャットボットで解決できなかったケースをオペレータに転送しており、チャット業務に精通したオペレータが存在する場合には、オペレータの中から要員を選抜しメンテナンスを任せる方法もあります。

 導入時に一度問合せ傾向を分析していますが、問合せ傾向は時間とともに変化するため、着信用件を日々モニタリングし、情勢の変化に応じて素早くチャットボットをチューニングできる体制を構築します。

 

まとめ

チャットボットを導入する際に取るべきアプローチ

 以上、チャットボットを導入する際に取るべきアプローチと、意識すべきポイントについてお伝えしてきました。

 

 現状、チャットボットには様々な技術的制約があるものの、その制約を正しく理解しサービスを設計することで、チャットボットは業務効率化とCX向上を両立させる可能性を秘めています。
 昨今の音声認識や音声合成技術の発展により、テキストだけでなく音声領域(電話チャネル)においてもロボットによる自動応答の活用が広がっていますが、上記アプローチとその基本的な考え方は、音声領域へのロボット導入を検討する際にも適用可能です。

 

 今回お伝えした内容が、チャットボットの導入や運用に悩んでいる皆さまにとって、課題解決の一助となれば幸いです。

 

著者紹介

デロイトトーマツグループ シニアコンサルタント

沢田 英祐

 

日系航空会社を経て現職。コンタクトセンターを中心に非対面の顧客接点に関わる戦略立案や業務改革について豊富な経験を有する。        

 

以上

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