データベースとは「決まった形で整理された情報」
データベースとは、「ある特定の条件下で整理された情報(もしくは、情報群)」です。
情報が整理されているだけでなく、一定の形式で整頓されているため、必要なときに必要な情報をすぐに取り出すことができます。
また、データベース上の情報はいつでも編集・共有でき、誰でも検索可能です。情報が規則正しく整理されている点では、国語辞典・英語単語帳・電話帳もデータベースの一つと言えます。
データは集めただけでは意味がなく、正しく利用されて初めて価値が出ます。その点において、データベースは有効なシステムです。
データベースの3つの特徴
次に、データベースの特徴を3つ解説します。
- 複数人で同時作業が可能
- SQLを使って操作する
- データベース管理システム(DBMS)で管理する
ひとつずつ順番に見ていきましょう。
特徴1.複数人で同時作業が可能
データベースは、複数人で同時に編集作業ができます。
エクセルなどの表計算ソフトは、同時に編集ができないため、時間がかかり効率がよくありません。
一方でデータベースは編集作業が同時にできるので、膨大なデータの編集も分担でき、労力と時間の削減につながります。
また、編集と保管がそれぞれ別のシステムで制御されているため、複数人で同時にアクセスしてもデータの破損が起こらないようになっています。
特徴2.SQLを使って操作する
SQLはデータベースを操作するときに使用する言語です。プログラミング言語とは異なり、データベースに限って使われます。
SQLはデータの追加・削除・更新をする際に使われ、管理者やエンジニアが操作します。ISO(国際標準化機構)で標準化されているため、数多くのデータベースで利用が可能です。
Oracle Database、MySQLやMicrosoft社のMicrosoft SQL ServerやAccessもSQLで操作ができます。
特徴3.データベース管理システム(DAMS)で管理する
データベースは、データベース管理システムによって管理されます。
データベース管理システムは、その名の通りデータベースを管理するシステムのことで、有料のものからオープンソース(ソースコードを無料で公開すること)のものまで様々な種類があります。
データの整理は、データベースが自動的に行うのではなく、必ず人間の介入を必要とします。
その場合、データ量が少なければ問題なく対応できますが、膨大な場合には、人的ミスが起こり得るため現実的ではありません。
また、複数人での編集は、データの重複も招きます。データベース管理システムで管理するメリットは、データの整理や更新、検索を自動で行う点です。
重複や入力ミスもなくなり、データ整理の作業時間を削減できます。
データベースの3つの種類
データベースは集めたデータの蓄積方法によって、3つの種類に分類されます。
データの構造や種類によって適したデータベースは異なるため、使用目的に合った形を選ぶことが大切です。
ここではデータベースの種類とそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。
- 階層型データベース
- ネット型データベース
- リレーショナルデータベース
ひとつずつ順番に見ていきましょう。
階層型データベース
階層型データベースは、ひとつのデータに対して複数のデータが枝のように分かれる「ツリー構造」です。下層に行くにつれて膨らむ家系図や組織図のような形を成します。
目的のデータに到達するルートはひとつだけなので、検索を早くおこなえるメリットがあります。一方でデータが重複することがあり、複雑なデータには向いていません。
また、編集に対して柔軟性が低いため、データの追加・削除・更新の少ないシステム向きです。
ネットワーク型データベース
ネットワーク型データベースでは、関連のあるデータが相互につなぎ合わされ相関図のように複雑な形が作られます。
メリットは関連するデータを結び付けて保存するため、登録の重複がなく、処理が高速になることです。
データ量が増えると構造が複雑になり、管理するためには高度な知識が必要になります。
リレーショナルデータベース
リレーショナルデータベースは、情報を「行」と「列」の表形式にしてまとめたもので、近年、主流で使われているデータベースの形です。
表であらわされるため、複雑に関連しているデータも見やすく整理されます。
データの重複も避けられ、管理の複雑さも表によって解消されます。データの追加や削除も「行」と「列」の操作により柔軟に対応が可能です。
一方リレーショナルデータベースのデメリットは、複雑なプログラムにおけるデータ処理スピードの低下にあります。
データベース導入のメリット3選
データベースの種類を理解したところで、導入のメリットを解説していきます。
- 膨大なデータの管理ができる
- 必要なデータの取り出しが簡単
- バックアップ機能がある
順番に見ていきましょう。
膨大なデータの管理ができる
データベースを導入すると、膨大なデータの管理ができるようになります。データは規則正しく整理され秩序をもって収納されます。
バラバラな形で集められたデータは取り出しにくく、重要なシーンではすぐに探し出せません。そもそも集められたデータは、利用されなければ価値がありません。
膨大なデータを利用しやすく管理できるのが、データベースを導入する一つのメリットです。
必要なデータの取り出しが簡単
データベースは大量のデータを取捨選択し、秩序立てて配置することに長けているため、必要な時に必要な情報をすぐに取り出せます。
例えば、顧客情報の中から「20代・女性・東京都在住」の条件で検索すると、該当する集団が瞬時に抽出されます。
これはマーケティングする際には非常に便利です。ターゲットを絞ってアプローチができるため、効率よく結果につなげられます。
バックアップ機能がある
データベースにはバックアップ機能がついています。
「データが壊れた」「誤って削除してしまった」、あるいは「データベース自体が破損した」ときにも、復元が可能です。
バックアップには、物理バックアップと論理バックアップの2種類があります。
物理バックアップはファイルをバックアップする方法です。短時間でバックアップが終了するため、重要なデータを取り扱うのに向いています。
対して論理バックアップはデータを抜き出す方法です。バックアップに時間を要し、サーバーにかかる負担が大きくなる特徴があります。
データベース導入のデメリット2選
当然ながら、データベースにもデメリットが存在します。
データベースのデメリットは大きく2点です。
- 導入・運用コストがかかる
- 自社システムとの連携ができない可能性がある
順番に解説していきます。
導入・運用コストがかかる
1つ目のデメリットは、導入・運用にコストがかかる点です。データベースを導入する際、サーバーや周辺機器の購入が必要になります。
蓄積するデータの量が大きければ大きいほど、サーバーは大きく高額になります。
初期費用を抑えようと、容量の小さいサーバーの購入を考えるかもしれませんが、データ保存の容量を途中で拡大するのは難しく余計にコストがかかるため、おすすめできません。
コストを抑える解決策としては、クラウド型データベースの導入です。クラウド型ではサーバーの購入が必要なく、導入コストが抑えられます。
自社システムとの連携ができない可能性がある
2つ目のデメリットは、自社システムとの連携ができない可能性がある点です。システムを連携すると、業務のスピードが上がったり、正確性が向上したりします。
また、他のシステムとの連携により、様々なデータが結び付けられ最大限に活用できます。一方でシステムの連携ができないと、効率的なデータの収集や分析ができません。
連携するためには基盤を新たに作る必要がありますが、そのためにはコストと時間がかかります。
データベースの活用事例3選
最後に、データベースの活用事例を3つ厳選してご紹介します。
- 小売業|お客様リストをデータベース化
- ECサイト|在庫管理システムの最適化
- 医療現場|電子カルテや薬の管理の最適化
どれも生活の中で身近にある活用事例です。順に見ていきましょう。
小売業|お客様リストをデータベース化
小売業ではお客様リストをデータベース化し、販売活動に役立てています。身近なスーパーやドラッグストアを例にとってみましょう。
店のポイントカードを作る際、申込用紙やWebサイトに個人情報を入力します。その時に取得した情報がデータベース化されます。
データは、買った商品や訪れた日時などに細かく分類され、買い物のしやすさを考えた店舗づくりに利用されます。
また、インターネットで買い物をしようと商品を選んでいるとき、「あなたにおすすめの商品」が表示されたことはないでしょうか。
これは、以前に検索や購入した履歴からデータベースが情報を分析し、購買行動につながる可能性があると判断した商品で、販売事業者が広告効果を狙ってのものです。
ECサイト|在庫管理システムの最適化
データベースは在庫管理にも使われています。
企業の利益を上げるためには、適切な在庫管理が不可欠ですが、取り扱う商品の数が多くなると、在庫管理は煩雑になり効率が悪くなります。
在庫が多すぎると保管場所が足りなくなり、新たに倉庫を借りなければなりません。契約料や月々の賃貸料もかさんでしまいます。
また、長期間の保存により商品が劣化し、破棄しなければならない事態につながることもあるでしょう。
在庫管理が最適に行われると、商品の販売がスムーズになり利益の向上につながります。
医療現場|電子カルテや薬の管理の最適化
医療現場では、電子カルテや薬の管理がデータベースによって行われています。
電子カルテにまとめられているのは、診療の内容、薬剤投与の結果や患者の個人情報です。
電子カルテのメリットは、名前を検索するだけで患者の情報や過去の病歴、飲んでいる薬の種類が瞬時にわかる点にあります。
治療の過程や薬の投与歴がわかるため、同じ症状を持つ患者への診断の指針にもなります。
また、投薬によっておこる副作用の発生率や、似た薬との比較を分析し、リスクに対する安全策の検討にも活用されています。
まとめ
以上、本記事では、データベースの基礎知識を中心に、導入メリットやデメリット、そして身近な場所での活用事例についてまで徹底解説しました。
データベースとは、「ある特定の条件下で整理された情報(もしくは、情報群)」です。
データベースを導入すると、大量のデータを必要な時に必要な分だけ、すぐに取り出せるようになります。それにより、さまざまな業務での負担軽減や効率化に役立つでしょう。
今後ますますの進化が期待されているデータベースをいち早く導入して、デジタルの恩恵を受けてみてはいかがですか。