そもそもマーケティングって何?
まずは、そもそもマーケティングって何だということから始めましょう。マーケティングの一般的な定義は、個人や組織が主体となって市場のニーズを満たせる商品やサービスを販売し、利益を上げる活動です。
マーケティングは企業だけのものではない
マーケティングは企業が行うモノというイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。しかしながら、実はマーケティングとは企業だけのものではありません。
営利団体以外の法人や団体、つまりNPOや政府や省庁、地方公共団体、教育機関や医療機関など、あらゆる組織がマーケティングの主体者となります。
なお、「マーケティングとは何か」について、以下の記事で総合的に詳しく解説していますので、ぜひそちらも参考にご一読ください。
個人や組織が何かを計画的に取り組むときに有効
さらに言えば組織だけでなく、個人においてもマーケティングの主体者になりえます。個人事業主は言うに及ばず、ビジネスとは関係のないところにおいても、個人がなんらかの目的を持って行動する際にマーケティングは存在します。
たとえば旅行計画などにもマーケティングは適用できるのです。目指す観光地をどれだけの予算と日数で回るかを、リサーチした上でコストを抑えつつ楽しめる計画を作る作業はまさにマーケティングです。
なお、マーケティングリサーチについては以下の記事で調査分析方法の種類を整理して詳細に解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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身近なヒット商品のマーケティング戦略成功事例
ここではマーケティング戦略を使った、身近なヒット商品の成功事例をご紹介します。
食品編
食品としては、日清食品による世界初の即席麺として名高い「チキンラーメン」が典型的な成功事例でしょう。「チキンラーメン」はUSP(Unigue Selling Proposition)の設定の勝利ともいえるでしょう。
USPとは商品やサービスが持つ、独自の強みとなる提案を意味します。言い換えれば、キャッチコピーや広告の基盤となる、凝縮されたイメージです。
「♪すぐおいしい、すごくおいしい」という親しみやすくシンプルで、なおかつセールスポイントを凝縮したUSPをそのまま使った秀逸なコマーシャルソングは多くの人に耳に馴染んでいます。
消費者にとっての価値である「時間を掛けずに出来上がる」「手軽なのに美味しい」という「独自の強みの提案」であるUSPが活かされて、1958年から現在に至るまで超ロングセラーを続けています。
このようにUSPは、マス広告を始めとしてあらゆる形式の広告にとって根幹となるものです。そんなUSPについて、以下の記事で特集していますので、ぜひ参考にご覧ください。
消費財編
最近の消費財における、鮮やかなヒット商品のひとつがファブリーズです。これが登場する以前は、「布地」の臭いへの対応策として、「頻繁な洗濯またはクリーニング」か「我慢」、あるいは「廃棄」の三者択一でした。
消費者はファブリーズのような方式を、具体的に思い浮かべていたわけではありません。「頻繁な洗濯」「我慢」「廃棄」に内面で不満を抱えているという「インサイト(内なる欲求)」が、深層心理にあっただけです。
ファブリーズの登場は「臭い」を「スプレーで除去」する、新たな行動様式の提案でした。スプレーを吹き付けるだけという手軽さながらも、効果がしっかりとある提案です。使った人から好評価の口コミも生まれ、売上を押し上げました。
消費者のインサイトに呼応するファブリーズはメガヒットとなり、すでに多くの人の日常に溶け込んでいます。頻繁な洗濯やクリーニング、我慢やあきらめて捨てることなどをする必要がなくなり、新しい布地の扱い方として身近になっています。
このようにインサイトをつかむことは、新たなヒット商品を生み出す糸口となる可能性があります。インサイトの概念を理解するためには、以下の特集記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
電化製品編
Dyson(ダイソン)の広告のキャッチコピー「吸引力の落ちないただ一つの掃除機」は、前述のUSPをストレートに使ったパワーがある言葉として、ダイソンのイメージづけに成功しています。
身近な掃除機というアイテムの中で、使っていなくともダイソンのことは多くの人が知っているでしょう。競合が模倣できない、「吸引力が落ちない」サイクロン技術のインパクトを巧みに伝える広告により、競合商品の3〜4倍の価格でも売れています。
ダイソンの強みを世間に発信した広告というものは、マーケティング活動において極めて重要な部分です。「広告」について、その種類や戦略、仕事内容を以下の記事で徹底解説しています。
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身近な文化になった面白いマーケティング事例
もはや文化といえるほど生活に馴染んでいる、面白いマーケティング事例をご紹介しましょう。
バレンタインデーのチョコレート
海外の風習と絡めたマーケティングが定着し、いつしか文化となった代表格はバレンタインデーでしょう。
2月14日はバレンタインデーとして花やカードをチョコレートに添えて贈り合う、ヨーロッパの風習にヒントを得て、メリーチョコレートが1958年2月12日にハート型のチョコレートを発売したのが、日本で最初のバレンタイン商戦だと言われています。
しかし、バレンタインデーの認知度など無いに等しかった当時は、ほとんど売れませんでした。その翌年に「女性から男性へ」というキャッチフレーズで「To」と「From」の名前を入れられるハート型チョコにバージョンアップして、注目を集めることに成功し、ちょっとしたブームになります。
その後各製菓メーカーがこのブームに乗り、バレンタイン商戦が加熱していきました。いまや、お返しのホワイトデーとあわせて2,500億円市場とも言われる、大きな市場規模に発展しています。
節分の恵方巻
節分に食べる恵方巻の起源には諸説ありますが、有力な説があります。1970年代に、大阪の恵方巻を節分に食べる風習を、大阪の海苔問屋と寿司店が広めようとポスターを作って宣伝したようです。
恵方巻の販売ノルマや売れ残りの廃棄が社会問題にもなるという残念な側面もありますが、文化として根付いているのは間違いありません。
土用の丑の日のうなぎ
土用の丑の日のうなぎも文化として定着していますが、もともとは土用の丑の日に「う」のつくものを食べると、病気に罹らないという言い伝えから来ています。うなぎではなく、梅干し・牛肉(うし)、うどん、瓜などを食べていました。
ご存じの方も多いかもしれませんが、うなぎをたべるようになった由来のひとつが「平賀源内説」です。
江戸時代中期のエレキテルの発明などで有名な学者平賀源内が、夏になると売上が伸び悩むうなぎ屋の相談を受け、店頭に「本日丑の日」という張り紙をして「う」のつくうなぎをお客に勧めるよう提案しました。
その効果があってうなぎ屋が大繁盛し、他のうなぎ屋にも広がってこの風習が現代まで続く文化になったという説です。
これらの古典的なマーケティングに対し、現代のマーケティング手法は非常に多様化しています。以下の記事で現代の多様なマーケティング手法を体系別に網羅・整理して解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
最新のマーケティング手法の身近な事例
最新のマーケティング手法の身近な事例として、以下の4つをご紹介します。
- オムニチャネルマーケティング
- SNSマーケティング
- 動画マーケティング
- コンテンツマーケティング
オムニチャネルマーケティング
オムニチャネルとは、「あらゆる経路」という意味です。ECサイト・店舗・オウンドメディア・SNSアカウントなど複数の(タッチポイント)でシームレスに顧客対応を行う考え方を意味しています。
MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)などの顧客接点を統合するプラットフォームを駆使し、顧客情報や営業情報、マーケティング情報、在庫情報などを一元管理することで可能となります。
たとえば、ECサイトで購入したものの補修や苦情の対応を実店舗で行ったり、実店舗で在庫切れの商品をECサイトから発送したりが切れ目なく行える体制です。
SNSマーケティング
SNSアカウントを活用して、キャンペーンやアンケート、情報発信によるブランディングなどを図るマーケティング手法です。スマホの普及によって、幅広い層がSNSマーケティングの影響を受けて行動を起こしています。
インスタントウィン(デジタルの削りくじ)などがSNSキャンペーンのトレンドで、景品にもすぐに受け渡しが完結するデジタルギフトなどを採用し、店舗のよいキャンペーンとして現代の消費者に受けています。
動画マーケティング
YouTubeやインスタライブ、TikTokなどを使った認知活動です。動画には多くの情報を盛り込めるので、ブランディングを勧めるのに向いています。
BGMや効果音、テロップ風のキャプションなどを使ってPOP感を伴う商品・サービス説明は、堅苦しい説明よりもすんなり視聴するターゲット層に受け入れられることも多いです。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは主にオウンドメディアを使って、ターゲット層にとって有益な情報を発信し、顧客化に導くマーケティング手法です。
従来のアウトバウンドマーケティング(企業から攻める)に対する近年のインバウンドマーケティング(顧客側からのアプローチを促進する)のなかの代表的な手法といえるでしょう。
検索流入などからサイトのヘヴィユーザーに導き、企業ブランドのファンになってもらうことで商品やサービスの利用につなげます。拡散力があるSNSと連携するのが、効果的です。
コンテンツマーケティングの詳細に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひそちらも参考にしてください。
マーケティングが上手い企業
身近にある商品を多く生み出している、マーケティングが上手い企業をご紹介します。
ユニクロ(ファーストリテイリング)
日本のみならず世界中で多くの顧客が、身近なカジュアルアイテムを求めるユニクロのマーケティングは秀逸です。
通常アパレルブランドは年代や志向で顧客ターゲット層をセグメントします。しかし、ユニクロは、コンセプトを極限までシンプルにした「カジュアル&ベーシック」にフォーカスすることで、幅広い層のターゲット化に成功しています。
品揃え型から1990年代後半にSPA(製造型小売業)に業態転換し、わかりやすいアメカジをベースの汎用性が高いファッションアイテムを打ち出します。中国工場で量産してローコスト生産を図り、「安かろう悪かろう」を回避しました。
メンズ・レディース・キッズの豊富なサイズ・色において全方位的なアイテム展開を行います。1998年のフリースで起こった社会現象的なブームも、かつてない膨大な色展開とロープライス、プロモーションの相乗効果によります。
新たな価値観をアピールするイメージ広告と、ベタな価格訴求チラシのダブルエッジも広い客層に訴えた要因でしょう。ほかにもヒートテック、エアリズムなど多くのロングセラーアイテムを生み出し、今やグローバル企業となっています。
P&G
アメリカ資本の外資系消費財メーカーP&Gは洗剤の「アリエール」、スキンケアの「SK-II」、シェーバーの「ブラウン」、ヘアケアの「パンテーン」、乳幼児用紙おむつ「パンパース」、前述のファブリーズなどの多くの身近なヒット商品を生んだ企業です。
そういった商品名は知っていても、意外とP&G製ということは知られていないかも知れません。
それは万が一商品にトラブルが発生してイメージダウンしても、他の製品との関連性を感じさせずに被害を最小限に留めるため。次に、M&Aや業界再編でP&Gという社名が変わっても、個々の商品の愛用者を混乱させないようにという考え方です。
サントリー
サントリーのマーケティングの上手さは、ターゲット層が心の中で欲している潜在ニーズを掘り起こすことにあります。
たとえば「プレミアム・モルツ」は、当初は贈ギフト需要に対応するプレミアム感がある商品として販売されており、事実ギフトシーズンに販売数も伸びていました。
しかし同社のマーケティングリサーチによると「プレミアム・モルツ」は、1週間頑張った自分へのご褒美として週末にちょっとした贅沢を味わう需要としても売れていることが判明します。
そこで「週末」をキーワードにして戦略を再構築し、大々的に週末に飲むビールとしての広告プロモーションを実行しました。するとまさに、週末需要がみるみる増加し、前年比440%の空前絶後の販売記録となったのです。
なお、このサントリーの例のように、マーケティングにおいて顧客心理を理解するために欠かせない「顧客エンゲージメント」の概念について、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にご覧ください。
スターバックス
スターバックスも今では身近になっていますが、日本進出前の1990年代前半は、喫茶市場において、スターバックスが提供する「サードプレイス」の概念そのものが存在せず、当然ながらその需要が表面上は存在しませんでした。
「サードプレイス」は、家庭をファースト、職場をセカンドとした第3の、かつとびきり居心地が良い場所の意味です。ストレス社会において、束の間のリラックスを提供してくれる新たな場所でした。
スターバックスが従来型の喫茶店と大きく差別化できた理由のひとつに、初期から禁煙政策を取っていたことが挙げられます。
コーヒーの焙煎したての香りを楽しんでもらうために、スタッフも含めて禁煙する徹底ぶりでした。加えてフリーWi-Fiも、今ほど普及する以前からインターネットを使っていた人たちを喜ばせた要素です。
なお、マーケティングが強い企業に関して、以下の記事で特集してご紹介していますので、そちらもぜひ参考にご覧ください。
まとめ
マーケティングの身近な例、文化に溶け込んでいる例、身近にあるヒット商品を生んでいる企業などをご紹介しました。このようにマーケティングには、消費者の日常生活に密着した、身近なものがたくさんあります。
当サイトはBtoBビジネス関係の読者の方々が多いと思いますが、「身近な例」で多いBtoCビジネスのマーケティング事例を知ることも、BtoBマーケティングでは見落としがちなヒントに気づくために有効です。
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