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SaaSビジネスに効果的なマーケティングとは?強みと課題を踏まえたおすすめ手法

投稿日:2022年11月21日 /

更新日:2023年7月12日

SaaSビジネスに効果的なマーケティングとは?強みと課題を踏まえたおすすめ手法

SaaSビジネスは2000年代の後半に生まれ、2010年代に企業に浸透していき2020年のパンデミックやDX進展などの影響で急拡大しました。今後さらなる発展が期待されるSaaSビジネスだからこそ、戦略効果が高いマーケティングが重要になります。今回の記事ではSaaSの強みと課題を踏まえたマーケティング手法を解説します。

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SaaSとは?

SaaSイメージ

まずは、SaaSとはどういうものかという基本情報を簡潔に説明します。基本情報に関して充分に理解されているみなさんは、この章は読み飛ばしてください。

SaaSとはクラウド経由でソフトウェアを提供するビジネス

SaaSという名称は“Software as a Service” の略で、「サース」または「サーズ」と読みます。クラウドコンピューティングを活用し、インターネット経由でクライアントにソフトウェアを提供するサービスです。

広義のクラウドサービスの中の、ひとつのビジネスモデルといえるでしょう。

従来のソフトウェア販売のように、PCのハードディスクにソフトウェアをインストールするのではなく、ユーザーはクラウド上でソフトウェアを利用し、チームメンバーとファイルを共有できます。

ネット環境さえあれば端末に関係なくアクセスできて、複数人による並行した作業も可能です。コロナ禍による行動制限下でもSaaSを利用し、リモートでプロジェクトを進捗できて助かった企業は数知れません。

SaaSビジネスの特徴

SaaSビジネスは20世紀の終盤において、その原型は芽生えています。しかし現在のような高度なビジネスモデルは、もちろん存在しませんでした。それだけ一般的なビジネスとは、異なる特徴があります。

ここでは以下の5つの点にフォーカスして、SaaSビジネスの特徴を解説します。

  • PaaSやIaaS との違い
  • ユーザビリティの高さ
  • 時代に合ったサブスク型
  • 顧客の利用状況を施策や商品改善に反映可能
  • フリーミアムとの親和性の高さ

それぞれの特徴を紐解いてみましょう。

PaaSやIaaSとの違い

クラウド経由でソフトウェアを提供するSaaSとよく比較されるクラウドサービスに、PaaSとIaaSがあります。

まず、PaaSとは “Platform as a Service” の略称で、アプリケーション開発用のプラットフォームをクラウド経由で提供するサービスです。

また、IaaS とは “Infrastructure as a Service” の略称で、企業のITシステム稼動のためのインフラ(サーバー・ストレージ・CPU など)をクラウド経由で提供するサービスです。

SaaSを含めたこれら3種類のサービスは、クラウドを通してサービスを提供する点は共通していますが、サービスのカバーする領域がそれぞれ異なります。

ユーザビリティの高さ

SaaSは非常にユーザビリティ、つまりユーザーにとっての利便性・使い勝手が良いという特徴を持っています。具体的には、まずインターネット環境さえあれば、いつどこにいても利用できます。移動中の自動車や電車の中でもネットに繋がれば利用可能です。

また、別々の場所にいる複数のメンバーで同じタスクの編集や管理ができます。プロジェクトチーム全員がリモートワークでも、進捗に支障がありません。パッケージ型ソフトウェアにはない魅力です。

作業が進行中のデータをチームメンバーは業務終了時に保存する必要がなく、いつでもアクセスした時点で更新情報に同期され、最新の状態から業務を続けられます。

時代に合ったサブスク型

サブスク(サブスクリプション)型は、月額などの定額制で継続利用できるサービスのことです。SaaSはサブスク型ビジネスモデルが基本スタンスとなります。

従来の売り切り型ビジネスであれば、その顧客がリピーターとなるとは限りません。一方、サブスク型ビジネスにおいては成約時点である程度の継続が約束されます。

使い始めに掛かる費用を抑えて試しやすい状態をアピールし、長期的に利用してもらうことで利益が出てくる収益構造になっているのが、SaaSビジネスの大きな特徴です。

顧客の利用状況を施策や商品改善に反映可能

SaaSはユーザーのサービスの利用状況に関する情報を、マーケティングや品質改善に活かしやすいビジネスモデルです。長期的な継続利用で利益が増大するので、サービスの利用状況の分析は生命線となります。

フリーミアムとの親和性の高さ

フリーミアムとは、基本機能を無料として、一定レベル以上のサービスには課金されるビジネスモデルです。まずは無料で利用を体験してもらうことで、多くの見込み客(以下リード)を獲得できます。

SaaSはフリーミアムとの親和性が高いビジネスモデルです。リードの利用状況や利用対象の課題に応じて、有料の上位プランの利用をおすすめし、利益を発生させることができます。

SaaSでよく見られるフリーミアムは、30日間無料体験を提供して検討してもらうタイプです。

なお、「マーケティングとは何か」について、総合的に解説している以下の特集記事も、ぜひ参考にご一読ください。

 

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SaaSビジネスの強みと業界的課題

クラウドイメージ

SaaSビジネスにおける強みと、業界が抱える課題について見ていきましょう。

SaaSビジネスの強み

SaaSビジネスの強みとして、主なものを挙げると以下の3つです。

  • 事業拡大がスピーディである
  • 利益を継続的に出せる
  • 顧客層が幅広い

個別に見ていきましょう。

事業拡大がスピーディである

SaaS企業の中には、売上高を短期間で数倍から数十倍に伸ばしたケースも数多く見られます。このようにスピーディな事業拡大が可能なことは、SaaSビジネスならではの強みです。

日本のSaaS系スタートアップは、大型化する企業が目立っています。そもそも物理的な製品を売るのではないので、メーカーにあるような大量受注で在庫が不足する機会ロスの心配はありません。

また、事業拡大に伴うオフィス拡張や機器の追加などの必要もなく、重要な保守コストが致命的な負担になることはないので、大掛かりな準備をしなくても事業拡大に踏み出せるわけです。

利益を継続的に出せる

前述のとおり、SaaSのサブスク型のビジネスモデルの性質上、顧客との長期的な関係継続が前提となります。

獲得できる顧客情報も幅広いので、こまめに品質改善にフィードバックすることで良好な関係を保ちやすいです。その結果、成約当初の利益は低くとも、継続的に安定した利益が出せるのがSaaSの強みです。

顧客層が幅広い

多くの SaaS企業は、単一サービスのみを提供するのではなく、バリエーションを持たせています。企業向けだけでも営業支援や会計支援、開発支援ほか、アプローチできる分野が多いです。

それ以外にも個人向けのさまざまなニーズに応えるべく、多種多様なサービスを開発し展開しています。

さらにいえば、人気が出たひとつのサービスの完成形をベースに、仕様を新たなターゲットに応じてマイナーチェンジすることで幅広い層を対象にできることも、SaaS ビジネスの強みです。

SaaS業界の抱える課題

SaaS業界の抱える課題としては、以下の3つが挙げられます。

  • 投資回収に時間が必要
  • 継続的なカスタマーサポートが必要
  • こまめなアップデートが必要

それぞれの課題を見ていきましょう。

投資回収に時間が必要

SaaSビジネスの抱える大きな課題は、サブスク型の料金体系とフリーミアムの手法を多用するため、初期投資の回収までに時間が必要なことです。利益が出始めれば安定経営に持っていけますが、それまでの資金繰りに苦労するケースも多いです。

売り切り型であれば、販売したタイミングで利益が発生するので、ある程度販売数が伸びれば回収できます。サブスク型ではそうもいかず、成約数が伸びたとしても利益発生のタイミングまで、しばらく待たなければなりません。

継続的なカスタマーサポートが必要

顧客の継続利用を維持するためには、顧客のフォローも欠かせません。SaaSビジネスの急速な拡大は、最近までITをビジネスに使っていなかった企業も、多く囲い込んでいます。

そのため、顧客からの質問に対応するカスタマーサポート業務の負担が増加傾向にあります。それにきちんと向き合っていかなければ継続利用してもらえず、利益が出る前に解約されてしまうでしょう。

そのため、継続的なカスタマーサポートの対応が大きな課題です。

こまめなアップデートが必要

サブスク型のSaaSビジネスは、短期間で解約されると意味がありません。そのため、チャーンレート(解約率)をいかに下げるかが重要です。

解約を避けてサービスを継続利用してもらうためには、こまめにアップデートする必要があります。

SaaS業界は競合も多く、各社がサービス改善にしのぎを削っている状況です。その中で契約を維持するために、常に顧客の声に耳を傾けて品質改善に反映し、さらには機能を追加してでも競合との差別化を目指さなければなりません。

なお、SaaSビジネスにとって最重要課題ともいえるカスタマーサクセスについては、以下の記事で特集していますので、ぜひご一読ください。

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SaaS企業のマーケティング戦略の3つのKPI

KPIイメージ

SaaS企業のマーケティング戦略においては、ビジネス自体のゴールを示すKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)をベースとして、以下の3つの項目においてKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定するのが賢明です。

  • リードジェネレーション:見込み客の獲得
  • リードナーチャリング:見込み客の顧客化
  • ライフタイムバリュー:顧客生涯価値の増大

各項目の内容を見ていきましょう。

リードジェネレーション:見込み客の獲得

さまざまな媒体を使ってサービスの認知を広げ、リードを獲得することをリードジェネレーションと呼びます。このプロセスは顧客獲得の土台を作るものです。

リードとの顧客接点(タッチポイント)はコーポレートサイトへの問い合わせや資料請求、ホワイトペーパーのダウンロード、メルマガの申し込みやソーシャルメディアのフォロー、オウンドメディアの読者登録などです。

状況や使える媒体などに応じて、集計期間を決めてリード獲得状況をKPI(重要業績評価指標)として設定し、それを目指してマーケティング施策を展開するのが望ましいでしょう。

たとえば自社Webサイトを通じての、リードをジェネレーションのKPIとして、主に以下の5つが有効です。これらの指標は、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールで計測できます。

  • コンバージョン数(CV)
  • コンバージョン率(CVR)
  • UU(ユニークユーザー:訪問者数)
  • フォーム誘導率
  • フォーム完了率

個々の指標を補足しておきます。

コンバージョン数(CV)

問い合わせ・資料請求・ホワイトペーパーダウンロード・見積り依頼などのアクションが完了した回数です。コンバージョン数を最大化することが、そのままリード数の最大化を意味します。

コンバージョン率(CVR)

サイト来訪数を分母としたCV数の割合です。さまざまな集客施策を通じてサイトを訪れたユーザーのうち、望んでいるアクションを起こしたユーザーの割合がわかります。

コンバージョン率が低いのは、せっかくコストを掛けて来訪者を集めても、コンバージョンにつなげる効率が悪いことを意味します。その場合は何がボトルネックなのかを見極め、速やかに改善しなければなりません。

UU(ユニークユーザー:訪問者数)

Webサイトに訪れた「ユーザー数」です。同じユーザーが何ページ閲覧しても、何回アクセスしても1人としてカウントされます。

リード獲得のためには、多くのUUを自社サイトに流入させる必要があります。メルマガやSEO対策によるオーガニック流入、SNSでの拡散、リスティング広告などの施策で新規訪問者を増やしていきます。

また、全体のUUだけでなくリピーターと新規訪問者の割合の変化にも注目しましょう。新規の割合が減ってきたなら、施策の見直しが必要です。

フォーム誘導率

UUのうち、問い合わせフォームや資料請求フォームに遷移した割合です。来訪したユーザーを、アクションの起点となるフォームまでどのくらい誘導できているかを測る指標です。フォーム誘導率が低い際の原因は主に2つ考えられます。

  1. サイトがユーザーのニーズとズレている
  2. サイトの主旨が伝わっていない

前者の場合は、集客施策やアピールポイント、キーワードなどを見直すことで改善できる可能性があります。

後者の場合は、ずばりCTA(Call to Action:フォームに誘導するボタンなどの仕掛け)の配置場所や文言、色などの要素であまり目立っていない可能性が高く、CTAを作り直せば改善することが多いです。

フォーム完了率

フォームに遷移したUUを分母とした、フォームの目的を完了した数(コンバージョン数)の割合です。フォームのユーザビリティ(ユーザーにとっての使い勝手の良さ)の指標となります。

フォーム完了率が低い場合は、フォームのレイアウトや入力項目、デザイン、フォーム内の導線(確認ボタンや送信ボタンの位置・大きさ・文言・色)を見直すことでユーザビリティが向上し、改善する可能性があります。

リードナーチャリング(見込み客の顧客化)

獲得した個々のリードは、自社商品やサービスに対する距離感がさまざまです。早い段階で購入に至りそうなケース、興味を示しているけれど購入には慎重なケースほか、少しずつリード別で異なります。

そこで、それぞれのリードが今どの段階にいるのかを、Web上の反応や行動から得られる情報を分析して推定します。

KPI設計には、スコアリングを活用するとスムーズにいきます。

たとえば自社への関心度を測るために「メール開封=3点」「メール内URLクリック:5点」などのようにリードの行動を評価します。

リードの属性を知るためには、たとえば「窓口が主任・係長:5点/課長以上:10点/部長以上:20点」「社員が50名以上:10点/100名以上:20点/300名以上:30点」などです。

ほかにも関係性が進んでリード側のBANT条件(予算・ 決裁権の所在・ 必要度・導入時期)が判明すれば、それも点数を設定してスコアリングを適用できます。

このように自社商材の販売と関係するであろう項目を、どんどんスコアに置き換えて可視化していきましょう。

メール関連のKPIが達成できれば、関心度が高まってリードナーチャリングが進行していると考えられます。属性を示すKPIが達成できているリードは、優先して商談する価値があると判断してよいでしょう。

BANT条件のKPIが達成できているリードは、緊急性が高く、速やかにセールスを掛けるべき対象となります。これらのKPIから総合的に有望なリードが増えれば、商談機会も増えて成約数が拡大するでしょう。

ライフタイムバリュー(LTV:顧客生涯価値)の増大

現状の日本は少子化が進んでおり、市場規模が大きく膨らむことは期待できないため、BtoCもBtoBも、新規顧客の獲得は年々難しい作業となるでしょう。

ライフタイムバリュー(以下LTV)とは1人あるいは1社の顧客が、成約から契約を終了するまでの期間に、自社にもたらす価値の総量を判断する指標です。

LTVは取引ベースの考え方なので、SaaSビジネスのような継続を前提とするビジネスモデルの、長期的な収益性を考えるためのKPIとして有効です。

LTVの算出方法は以下のとおりです。

平均単価 × 平均顧客寿命(平均契約期間)=LTV

よって、LTVを高めることにつながる「平均単価」と「平均顧客寿命」も、目標値としてKPIを設定し、それぞれの達成を目指す施策に取り組むのが望ましいです。

「平均単価」を上げるためには「アップ&クロスセル」のアプローチ、「平均顧客寿命」を伸ばすためには「解約の回避」のアプローチが有効です。それぞれを見ていきましょう。

アップ&クロスセル

アップセルとは利用しているサービスから、同じ系統でグレードが上のサービスに変更を促すことです。クロスセルとは利用しているサービスは契約を維持しながら、関連するほかのサービスを追加で契約することになります。

これらによって顧客単価はあがるので、LTVは増大します。

解約の回避

利用開始後の解約をできるだけ回避することで、顧客平均寿命(平均契約期間)が伸びます。つまり、解約を減らすための施策の効果が出れば、LTVは確実に増大するのです。

 

なお、SaaSのマーケティングにおけるリードナーチャリングや、LTVに直結する顧客エンゲージメントについては、以下の記事で特集していますので、ぜひご一読ください。

SaaS企業におすすめのマーケティング手法

デジタルイメージ

SaaS企業の広告・販売促進プロモーションには、最近ではテレビCMなどのマス媒体も使われています。しかし、マス媒体を使うためには膨大なコストが必要です。

それはテレビCMなどで目にするSaaSは、すでに大きな成功を収めている大手企業ばかりであることが裏付けとなります。

多くのSaaS企業は、そこまでの多額な広告宣伝費を使うことはままなりません。ここではコスト面でもより現実的な、以下のようなSaaS企業向けマーケティング手法をご紹介します。

  • オウンドメディア運用(コンテンツマーケティング)
  • ウェビナー開催
  • メールマーケティング
  • 製品比較・資料請求サイトの活用

それぞれの手法を見ていきましょう。

オウンドメディア運用(コンテンツマーケティング)

オウンドメディアはコーポレートサイト(ホームページ)と異なり、自社情報ではなくユーザーに有益な情報を発信する「お役立ち」を目指す企業ブログと考えてよいでしょう。

サイトの読者になってもらい、企業のファンから徐々に顧客に育んでいく、リードナーチャリングのひとつの舞台となる顧客接点です。

ブランディング効果もあるオウンドメディアを活用するマーケティング手法は、「コンテンツマーケティング」と呼ばれます。拡散性があるソーシャルメディアとの連携をすると、より効果的です。

じっくりと内容が濃いコンテンツをオウンドメディアに掲載し、拡散力があるTwitterなどで到達範囲を広げる二段構えがおすすめの攻め方です。

このコンテンツマーケティングの詳細に関しては、以下の特集記事を参考にしてください。

ウェビナー開催

ターゲット層の企業が抱えていそうな課題の解決に役立つウェビナー(オンラインセミナー)の開催は、成約確度が高いリードを集客できる可能性があるマーケティング手法です。

もちろん、リアルのセミナーも悪くありませんが、感染症対策の観点や、地理的に広範囲からの参加を促す意味から、オンライン開催のほうが費用対効果は高いと考えられます。

自社サイトやSNS公式アカウント、メルマガなどで告知し、参加希望者(予約者)に手軽なデジタルギフトを進呈するなどの得点をつけることで、集客効果を高められるでしょう。

メールマーケティング

自社サイトなどと通してのメールマガジン登録者は、最初は成約確度が未確定のリードと考えてよいでしょう。登録者に送るメルマガやニュースレターは、リードの育成であるリードナーチャリングに役立つマーケティング手法です。

前述のようなメールへの反応などによって、未確定だった成約確度の高まりを見極めていけます。

また、メルマガの中でオウンドメディアのおすすめ記事をお知らせするなどの、顧客接点をまたいだクロスチャネルにおける立体的なアプローチも、リードナーチャリングには有効です。

自社サービスに関する情報やお役立ち情報の発信により、リードの興味度を高め、商談に繋げることが可能です。また、既存顧客へのアプローチにも、メルマガやニュースレターが活用できます。

製品比較・資料請求サイトの活用

法人向けSaaSの比較や資料請求ができるサイトを使えば、市場に数多く出回るSaaSの中で差別化をアピールしやすいでしょう。

ユーザーにすれば、スペックや価格帯をきちんと把握したうえで導入しなければ、ミスマッチのリスクがあります。無駄な資本投下を避けるためにも、製品比較・資料請求サイトで候補を絞り込むユーザーが増えています。

ちなみにパンデミックによって加速化したリモートワークの普及により、製品比較・資料請求サイトを通じて、自社の既存システムの見直しを図る企業は少なくありません。

そういった背景を意識し、自社サービスの機能が抱えている課題に見合うユーザーに、自社を認識してもらえるようなわかりやすいアピールを工夫して、製品比較・資料請求サイトを活用しましょう。

当サイト「kyozon」も、製品比較と資料ダウンロードでSaaS企業のお役に立てることを目指して運営しています。

「kyozon」のご利用に興味をお持ちの方は、こちらのページをご覧ください。

事例で学べるSaaSおすすめマーケティング本3選

読書イメージ

最後に、SaaS企業の事業責任者やマーケティング担当者のみなさんに向けて、事例で学べるおすすめマーケティング本を厳選して3選ご紹介します。

カスタマーサクセスとは何か―日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」

この本は、顧客の成功こそSaaS企業の利益につながることを説いています。そのため著者が、カスタマーサクセスの「必然性」と「本質」にフォーカスし、極力簡潔な説明を徹底しているのが特徴です。

カスタマーサクセスの実践方法やマネジメント、組織のあり方まで解説している本書は、カスタマーサクセス界のバイブル的存在と言われています。

あらゆる業界で「サブスク型ビジネスモデル」が広がる今日の環境において、最重要課題ともいえるカスタマーサクセスの入門書としておすすめできる一書です。

カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 | 弘子ラザヴィ

サブスクリプション―「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

この本は、サブスク型ビジネスモデルで成功した企業が、どのようにして顧客とのリレーションシップを築いたのかを解説しています。

第1部は、さまざまな業界の最先端の事例を詳述。第2部は売り切り型企業がサブスク型に移行するための組織変革を、マーケティングや営業、イノベーション、ファイナンスなどの機能別に解説します。

成長をとげているサブスク型企業は、個々のユーザーが異なる顔を持っていることを認識した上で、適切にビジネスを構築しているというのが著者の主張です。SaaSビジネスの成功プロセスを、大局的に理解したい人におすすめの一書です。

サブスクリプション―「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル|ティエン・ツォ (著), ゲイブ・ワイザート(著), 桑野 順一郎(監修, 翻訳)

サブスクリプション実践ガイド―安定収益を生み出すビジネスモデルのつくり方 

この本は、IT企業から食品通販まで幅広く、1000社以上のサブスク化を支援してきた著者が著したサブスク実践ガイドです。

SaaSを含むサブスク型ビジネスの要諦である「顧客に継続的に利用されて高いライフタイムバリューを獲得する仕組み」について著者は語ります。

本書ではサブスクの4つのモデルと成功の鉄則、成長企業がとった具体的な手法などを網羅した、サブスク型ビジネスの実践方法がわかりやすく学べる一書です。

サブスクリプション実践ガイド―安定収益を生み出すビジネスモデルのつくり方 | 佐川 隼人

なおマーケティング戦略の実践に役立つおすすめ本20冊を、以下の記事でご紹介しています。

まとめ

ビジネスイメージ

SaaSは極めて現代的なビジネスの分野であり、今後の広がりも大きく期待できます。ただし競合の数も多い中で、差別化しなければ継続的な利益は得られません。

SaaS企業のマーケティング担当者のみなさんは、ここでご紹介した情報を参考に自社の課題に向き合い、強みを際立たせて業績拡大の悠々たる舵取りを担ってください。

 

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