自動車業界や不動産業界、保険業界など、顧客と電話でやり取りすることが多い業界では、電話対応の課題が少なくない。電話がきっかけで顧客満足度が下がったり、生産性が低下したりする事態も起こりえる。
今回は、博報堂グループのgmoveリーダーである金野氏に、電話対応の課題と解決策について詳しい話をうかがった。
多岐にわたる電話対応の課題に悩まされている販売現場
――まずは、金野様が所属している博報堂グループの「gmove(ジー・ムーブ)」について活動内容を教えていただけないでしょうか。
<金野氏>
博報堂グループは広告業界のイメージがあるかと思いますが、gmoveは株式会社博報堂と株式会社博報堂プロダクツによる販売現場の課題解決ソリューション開発チームです。
最初に開発したのはSMS配信サービス「SMS Marketing Plus」で、SMSを顧客アプローチのツールとして最大限に活用できるものです。たとえば、自動車ディーラー様が車検の案内やフェアの告知などをお客さまに送ったり、不動産会社様で住宅展示場への予約を促進させたりするためにお使いいただいています。
私は、そのgmoveにてチームマネージャーをしており、販売現場の課題に寄り添ったソリューションを企画しております。
――販売現場の方と話す機会も多いかと思いますが、金野様にはどのようなご相談が多いのでしょうか?
<金野氏>
自動車業界や不動産業界、保険業界などさまざまな業界の方とお話する中で、電話によるお客様対応に課題を抱えている企業様が多いことに気づきました。
よく耳にするのは「電話たらいまわし問題」です。営業担当者からお客様に電話をしても、お客様につながらないことは少なくありません。お客様が電話を折り返してくれても、受付担当者は社内の誰がそのお客様に電話をかけたのか把握できていないため、また「社内で確認して折り返します」という事態になります。これでは、お客様にとってもストレスが溜まりますし、お客様にスピーディに対応できないため機会損失にもつながりかねません。
――確かに、私自身、顧客側としてそうした経験があります。ほかにも電話対応の課題を教えていただけないでしょうか。
<金野氏>
店舗にお客様から電話がかかってきて、お客様が名乗らずに「○○さんに代わって」という場面も珍しくありません。電話を交代した営業担当者は、電話口のお客様が誰なのかわからない状態で電話に対応するため非効率です。
また、電話を受けた際、お客様の名前や用件などを聞きながら顧客情報や履歴を調べますが、人によって処理速度が異なるため手間取ってしまう人もいます。その結果、お客様の待ち時間が増えてしまうため顧客満足度に影響を与えたり、担当者が焦ってしまって心理的負担が増えたりするケースも見受けられます。
――電話対応の非効率がきっかけで、生産性や顧客満足度にも影響があるのですね。
<金野氏>
さらに、受付担当者から営業担当者の情報共有にも課題がありますね。営業担当者が外回りをしていると報連相がしにくい傾向があります。そのため、帰社してからでなければ報告できずに電話の内容を伝えるのが遅くなってしまったり、そもそも伝え忘れてしまったりする事態もあるのです。
また、電話でクレームを受けた際に、責任者から改めてお客様に電話をすることも多いかと思います。しかし、どのようなクレームの内容だったのか詳しく理解せずに電話をしてしまい、「また同じことを言わせるのか」とさらに怒りを買ってしまい、大きなトラブルに発展するケースも耳にしました。
――「たかが電話」と考えていると、大きな失敗やトラブルになる可能性もあるのですね。
HAKUHODO CTIで電話対応の質もスピードも改善
――販売現場の電話対応の課題は多岐にわたるのですね。今この記事を読んでいる方の中にも、思い当たることがあるという方も多そうです。
御社ならではの、こうした課題の解決策を教えていただけないでしょうか。
<金野氏>
当社の電話システム「HAKUHODO CTI」をご提案します。
店舗に電話がくるとパソコン上にポップアップが表示され、お客様情報やメモなどを確認できます。たとえば、自動車ディーラー様の場合、名前・住所・車種・車両ナンバー・車検時期などの顧客データや、過去のやり取りや申し送り事項などのメモがポップアップで表示されます。顧客データを把握したうえで電話に対応できるため、受付担当者の心理的ハードルを下げたり、情報共有を促進したりする効果があるでしょう。
さらに、ポップアップをクリックするとCRM上にあるその顧客のページに遷移します。従来は、電話が来たら名前などを聞いてからCRMで情報を調べる必要がありましたが、「HAKUHODO CTI」ならポップアップをクリックするだけで詳細な顧客データや履歴を確認することが可能です。
――電話に出るまでに必要な情報を把握でき、電話に出てからの対応スピードも速くなりますね。
<金野氏>
電話中は、ポップアップ内のメモボタンをクリックするとメモ画面が立ち上がるため、電話の内容や用件などをすぐに記録できます。メモの内容はSMSやLINE WORKS、Microsoft Teamsで営業担当者に送れるため、顧客対応のスピードも改善されるでしょう。
さらに、電話の内容は自動で録音され、文字起こしも可能です。録音データや文字起こしデータを確認することで、どのような電話対応をしているのか、しっかりと受け答えできているのか、などもチェックでき、マネージャーがアドバイスやフォローをしやすいというメリットもあります。
――電話に出られなかった場合はどのような処理になるのでしょうか?
<金野氏>
定休日や営業時間外に電話が来ても、いつ・誰が電話をかけてきたのかというログが残っているため、翌日に折り返しの電話ができます。一件の電話を取れなかっただけで、お客様が他社に流れたり失注したりするリスクもあるため、一件一件の電話を大切にして機会損失を防げます。
また、お客様に電話をかけてお客様につながらなかった場合にもログが残ります。そのログからSMSも送れるため「先ほどのお電話は~~の件についてです」などとフォローの連絡を入れることで、不要なやり取りをなくせるでしょう。
手軽さ・明朗さ・使いやすさで評価されているHAKUHODO CTI
――電話対応が必要な企業様に大きなメリットがあるサービスですね。しかし、ここまで便利だと導入が大変なイメージがあるのですが……。
<金野氏>
一般的な電話システムの場合、電話交換機やサーバーなど一式を交換する必要があるので、初期投資が高額になりがちです。また、電話番号を変更しなければならず、それまでの顧客が離れてしまう可能性もあるでしょう。
しかし「HAKUHODO CTI」は、光電話を導入している企業様であれば、即日でも導入いただけます。電話回線の配電盤に取り付けるだけなので数時間で設置作業が終わり、電話番号を変更する必要もありません。
――簡単に導入できるのは大きなメリットですね。料金面はいかがでしょうか?
<金野氏>
他社の電話システムでは、IDごとの課金となるためオペレーター数が多くなるほど料金が高額になります。
一方、「HAKUHODO CTI」であれば1店舗単位の料金体系となっているので、電話台数に関係なく一律料金となっています。複数拠点がある企業様でも、コストがかかりすぎることはないでしょう。
着信ポップアップ機能だけでなら月額10,000円、録音機能もプラスすると月額15,000円となり、明朗会計なのも喜ばれているポイントです。
――企業様にとって、それは嬉しいですね。ほかにも、導入企業様からはどのような声がありますか?
<金野氏>
「ポップアップでお客様情報を確認できるから、スピーディに対応できる」
「お客様の情報や状況を理解したうえで対応できるから、従業員のストレスが軽減されている」
「HAKUHODO CTI上でメモを残したりSMSで送ったりできるため、無駄な社内連携が減って業務効率化につながっている」
「お客様にもSMSで用件を伝えられるから、お客様の折り返しの手間をわずらわせない」
このような声をいただいています。
――多くの企業様の課題を解決して喜ばれているのですね。
gmoveが目指す先とは
――今後のアップデートのご予定を教えてください。
<金野氏>
現在は固定電話を使用したシステムとなっていますが、携帯電話との連携を進めている最中です。営業担当者の携帯電話にお客様から電話がかかってきた際、お客様情報を確認できて、リンクされているCRMの顧客ページに遷移できるように開発しています。
また、すでに録音内容の文字起こしはできるのですが、今後は文字起こしの内容を要約したりToDoリストを生成したりするなど、AIを組み合わせた機能の充実も図っています。
――楽しみですね。gmoveとしても新たなサービス開発を進めているのでしょうか。
<金野氏>
対面商談向けのサービスを開発中です。対面商談の際にタブレットで録音したデータから、商談がうまくいったか評価する音声評価機能や、商談内容の議事録をAIが要約してくれる機能などが搭載されているサービスです。
音声評価機能に関しては、会話のラリーができているか、抑揚のある話し方ができているか、適切な質問ができているか、などの項目を数値で評価します。
本サービスを導入することで、営業担当者は議事録を取る必要がなくなるため、商談に集中できるというメリットがあります。
また、マネージャーは各営業担当者の商談内容の録音を確認でき、どんな商談をしているのか把握したうえでアドバイスしたり、商談でのトラブルを発見したりできるでしょう。
――対面商談の課題も解決できますね。最後に、gmoveとしての今後のビジョンを教えてください。
<金野氏>
私たちは、店舗の販売スタッフとお客様が対面でのコミュニケーションを円滑に進め、お客様が「良い買い物をしたな」と思ってほしいという想いを持っています。テクノロジーやAIが発達している中でオンラインの購買行動も主流になっていますが、特に自動車や不動産などの高額商材に関しては、お客様の「信頼できる人から買いたい」「自分をわかってくれる人と契約したい」という気持ちはなくならないでしょう。
インターネットショッピングが台頭している現代だからこそ、改めて対面商談の大切さが見直されています。私たちは、良い対面商談の現場を残していくために、現場の声や課題に寄り添ったサービス開発を今後も進めていきたいと考えています。
これから、また販売現場の課題は変わってくるでしょう。そのたびに、現場の声を吸い上げながら、時代に合わせたサービスを展開していきます。
――本日は貴重なお話ありがとうございました。