アトリビューションとは?
アトリビューションとは、顧客が自社の商品・サービスを購入するまでの流入チャネルごとの貢献度合いを測定する分析方法です。
具体的には、顧客の下記の動きを把握できます。
- 商品・サービスを購入するまでにどういった広告を見てきたのか
- 実際の購入に至った経緯や影響は何なのか
多くのユーザーは、Webサイトや広告と接触して即座に商品・サービスを購入するわけではありません。
購入に至るまでのプロセスは、下記の通りです。
- 商品・サービスやブランドを認知する
- 情報収集しながら興味や関心が高まっていく
- 最終的な購入に至る
さらに現在はSNSやメルマガ、ブログ記事など、情報が多様化しているため、コンバージョンまでの導線は複雑です。
そのため、アトリビューションを取り入れることでアクセス経路を見極めたり、コンテンツや施策を検討したりできるようになりました。
なぜアトリビューションが必要なのか
次に、なぜアトリビューションが必要なのか解説します。
- 正しく広告を評価するため
- 最適な広告アロケーションを設計するため
ひとつずつ見ていきましょう。
正しく広告を評価するため
アトリビューションは、広告を正しく評価するために必要です。
一般的な広告測定の際は、コンバージョン率が軸となります。
しかし、コンバージョンだけでは最終的な購入につながった広告だけしか評価できません。
そのためアトリビューションを活用することで、下記の効果が得られます。
- 購買意欲を高めた広告が分かる
- 商品・サービスを知るきっかけになった広告を把握できる
また、コンバージョン率は高くないが最終的な購入に寄与している広告も分かるので、プロモーションの最適化につながるでしょう。
最適な広告アロケーションを設計するため
アトリビューションは、最適な広告アロケーションを設計するために必要です。
広告アロケーションはコンバージョンにつながっていないが、興味喚起や認知につながっている広告に対して、投資する予算配分を指します。
コンバージョン率を最大化するには、ユーザー認知を促進させる広告が必要です。
そのためアトリビューションを活用することで、データを分析しながら認知促進を目的とした広告アロケーションを設計できるでしょう。
アトリビューション分析のモデル
ここまで、アトリビューションの概要や必要な理由をお伝えしました。
続いて、アトリビューション分析のモデルを解説します。
- 終点(ラストクリック)モデル
- 起点(ファーストクリック)モデル
- 線形モデル
- 減衰モデル
- 接点ベースモデル
ひとつずつ解説していきます。
終点(ラストクリック)モデル
終点(ラストクリック)モデルは、コンバージョンに至るまでに最後にクリックされた広告と対応するキーワードの貢献度を100%と考えるモデルです。
多くの企業が、広告を評価する際に活用しています。
そのためキーワードを選ぶ際に、どういったキーワードを配信すれば良いか分からない場合は、終点(ラストクリック)モデルを選びましょう。
起点(ファーストクリック)モデル
起点(ファーストクリック)モデルは、コンバージョンに至るまでに最初にクリックされた広告と対応するキーワードの貢献度を100%と考えるモデルです。
動画広告や純広告などで、認知を促進する際に活用されています。
しかし、Googleアナリティクスや広告管理面にある比較サービスから確認できるため、選ぶ必要性は高くありません。
線形モデル
線形モデルは、コンバージョンに至るまでに発生した経路の貢献度を均等に割り当てるモデルです。
初回や途中、直接経路を全て均等に評価する場合は、線形モデルを選びましょう。
「均等配分モデル」とも言われており、使用頻度の高いモデルです。
減衰モデル
衰退モデルは、コンバージョンの近い経路に貢献度が多く割り当てられているモデルです。
すべての経路を評価したいが、コンバージョンに直接つながった経路を重視したい場合に選びましょう。
衰退モデルは終点(ラストクリック)モデルに類似しており、関係者への説明が行いやすい点も特徴のひとつです。
接点ベースモデル
接点ベースモデルは、コンバージョンに至るまでの最初と最後の貢献度が多く割り当てられているモデルです。
最初(認知)と最後(購入)に、それぞれ40%の貢献度を割り当てて、それ以外の経路に残りの20%を割り当てます。
そのため、コンバージョンにつながる最初と最後の経路が同じくらい重要だと考える場合は、接点ベースモデルを選びましょう。
アトリビューション分析を進める手順
ここまで、アトリビューション分析のモデルをお伝えしました。
続いて、アトリビューション分析を進める手順を解説します。
- ビジネスモデルに合わせて仮説を立てる
- 分析ツールを導入する
- 分析対象データを収集する
- アトリビューション分析を行う
ひとつずつ解説していきます。
ビジネスモデルに合わせて仮説を立てる
アトリビューション分析を進めるには、まずビジネスモデルに合わせて仮説を立てましょう。
また、仮説を立てるにあたってユーザーと企業の接点の洗い出しも必要です。
例えば、下記のようにコンバージョンまでに複数の経路に接触したと仮定してみましょう。
- Web広告でキャンペーン情報を知る
- ターゲティングしたWebサイトのバナーから自社サイトに訪問
- 閲覧履歴から配信されたリターゲティング広告を通して興味・関心が深まる
- 商品・サービス名を検索して、申し込む
また、ビジネスモデルやモデルケースによってアトリビューション分析モデルを選択して、貢献度の割り当てを行います。
クリック数や広告表示回数などの客観的な指標を測れる点が、Web広告のメリットともいえるでしょう。
分析ツールを導入する
ビジネスモデルに合わせた仮説を立てたら、分析ツールを導入しましょう。
分析ツールとして一般的に活用されているツールは、Googleアナリティクスです。
Googleアナリティクスの特徴として、下記があります。
- 最大で3つの別モデルと比較できる
- パラメーターを設定することで、Google広告以外のチャネルのアトリビューションを分析できる
また、Googleアカウントがあれば誰でも無料で利用できます。
こちらの記事では、Googleアナリティクスの導入方法や使い方を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
分析対象データを収集する
分析ツール(Googleアナリティクス)を導入したら、分析対象データを収集していきましょう。
Googleアナリティクスの場合、流入元を判別するにあたりパラメーターの付与が必要です。
付与できるパラメーターには「utm_source」「utm_medium」といった、広告主やサイト、広告メディアを識別できるパラメーターがあるので、目的に応じて活用しましょう。
アトリビューション分析を行う
分析対象データを収集できたら、アトリビューション分析を行なっていきます。
Googleアナリティクスでは、コンバージョンに至る30日間までのクリックが計測される仕様です。
またアトリビューション分析の際は、2つの点を意識しましょう。
- ひとつのモデルだけで判断しない
- 複数のモデルを比較して、コンバージョン数の変化に着目する
Googleアナリティクスは最大3つのモデルを比較できるので、変化量を見比べてみましょう。
アトリビューション分析の成果を高めるコツ
ここまで、アトリビューション分析を進める手順をお伝えしました。
続いて、アトリビューション分析の成果を高めるコツを解説します。
- PDCAを繰り返す
- 行動履歴を追う
- 成長戦略に合わせてモデルを切り替える
ひとつずつ解説していきます。
PDCAを繰り返す
アトリビューション分析の成果を高めるには、繰り返しPDCAを回す必要があります。
PDCAを回す際に気を付けるポイントは、下記の通りです。
- 大まかな傾向をつかむ
- 短い期間で改善を繰り返す
アトリビューション分析はとても細かい分析が行えるので、時間をかけ始めると終わりがありません。
そのため大まかな流れや傾向をつかんだ上で、PDCAを繰り返すことが重要です。
こちらの記事では、PDCAを成功させるためのポイントや失敗してしまう原因を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
行動履歴を追う
アトリビューション分析は、ユーザーの行動履歴を追うことが成果を高めるコツにつながります。
広告運用が最適化されると、広告費の費用対効果も改善されるはずです。
そのため商品・サービスの購入頻度やリピート率はリサーチしておきましょう。
継続的に行動履歴を収集すると、下記のメリットが期待できます。
- 業績アップにつながる広告運用ができる
- LTV(Life Time Value)での収益予測が立てられる
また、分析結果によっては広告費を増やすといった積極的な施策も打てるでしょう。
成長戦略に合わせてモデルを切り替える
成長戦略に合わせてモデルを切り替えることも、分析成果を高めるには重要です。
自社のビジネスをどのように成長させたいフェーズなのかによって、下記のモデルに分類されます。
- 積極的に成長させていきたい:「起点(ファーストクリック)モデル」もしくは「接点ベースモデル」
- 慎重に成長させていきたい:「終点(ラストクリック)モデル」もしくは「減衰モデル」
アトリビューション分析モデルは、自社の成長戦略に合わせて選択しましょう。
まとめ
今回は、アトリビューションの概要や必要といわれている理由、アトリビューション分析について解説しました。
アトリビューションとは、顧客が自社の商品・サービスを購入するまでの流入チャネルごとの貢献度合いを測定する分析方法です。
また、アトリビューション分析モデルには、下記の5つがあります。
- 終点(ラストクリック)モデル
- 起点(ファーストクリック)モデル
- 線形モデル
- 減衰モデル
- 接点ベースモデル
本記事でお伝えした、分析を進めるための手順や成果を高めるコツを参考にして、自社での活用を検討してください。
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