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カスタマーサクセスのオンボーディングとは?全フェーズに影響を与える導入作業

投稿日:2022年12月8日 /

更新日:2023年7月3日

カスタマーサクセスのオンボーディングとは?全フェーズに影響を与える導入作業

サブスク型SaaSビジネスにおけるカスタマーサクセスの活動において、ユーザー企業の導入支援をオンボーディングと呼びます。その後の継続利用や利用拡大につながり、ひいては生涯顧客価値をも左右する、重要プロセスとして位置づけられる業務領域です。今回の記事ではオンボーディングについて、詳しく解説します。

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SaaSのカスタマーサクセスのオンボーディングとは?

SaaSイメージ

「オンボーディング」は耳慣れない言葉かもしれませんが、最近注目を集めるSaaSビジネスにおける、ユーザーのサービス導入期の定着支援を意味します。

オンボーディングはカスタマーサクセス部門が担当しますが、カスタマーサクセス自体が比較的新しい業務領域です。ここでは、まずカスタマーサクセスを簡潔に説明した上で、オンボーディングの概要を解説しましょう。

そもそもカスタマーサクセスとは(簡潔におさらい)

カスタマーサクセスは、主にSaaSなどのサブスクリプション(以下サブスク)型ビジネスにおいて、顧客が製品・サービスを利用して成功体験を得るためのサポート活動およびそれに従事する部門を指します。

2000年代初頭にアメリカで生まれ、日本のビジネスシーンでは2017年あたりから注目を集め始めました。その大きなきっかけは、アメリカのSaaS企業大手、セールスフォース社の “THE MODEL” 型分業組織が話題となったことです。

 “THE MODEL” 型の分業体制とは、サブスク型ビジネスに適応した組織で、構成するのは以下の4つの部門です。

  • マーケティング部門
  • インサイドセールス部門
  • フィールドセールス部門
  • カスタマーサクセス部門

並列関係の4部門それぞれが専門性を発揮しつつ、連携することで組織全体の機動力が強まって生産性が向上する、新時代の組織形態です。

サブスク型ビジネス、とりわけSaaSビジネスにとって最重要課題ともいえるカスタマーサクセスの全容については、以下の記事で特集していますので、ぜひご一読ください。

​​

オンボーディングの言葉の意味

オンボーディングとは英語で「乗り物に乗った状態」を表現する “on board” に由来する名称です。一般的に何かを教える対象者を、一人でできる=「一人歩き」できる時点まで「乗り物に乗せて運ぶ期間」という意味合いから名づけられました

オンボーディングは、その言葉の意味からHR業界での用語として使われることが多いです。クライアント企業の新人研修や管理職研修、セミナーなどを行うのがHR業界の企業であり、特に新人研修などの研修期間をオンボーディングと呼びます。

カスタマーサクセスにおける顧客オンボーディング

カスタマーサクセス部門が、成約したフィールドセールス部門から顧客対応を引き継いで行われるオンボーディングは、「導入期のサポート活動」です。製品・サービスを利用し始めたユーザーに対し、速やかに機能や操作方法を理解してもらうことによって、利用の定着と早期解約の回避を目指します。

一般的にユーザーがサブスク契約をした後、製品・サービスの基礎知識や基本的な使い方ができるまでは、自社のリソースのみでの運用は困難になります。

そのため、契約後に社内に導入して製品・サービスの使い方を理解し、問題なく使いこなせるようになるまでの顧客オンボーディング期間が必要です。

カスタマーサクセス部門は、フィールドセールスと共有したユーザー情報とユーザーへの初期のヒアリングをもとに、ユーザーが製品・サービスの活用によって目指すゴールと達成に向けた課題を共有します。

ユーザーの成功体験を促して、利用継続および拡大へと導くのがカスタマーサクセスですが、中でもオンボーディングのフェーズは特に重要とされています。

マーケティングとは切り口が違う活動

カスタマーサクセスは、マーケティングとは切り口が違う活動です。すでに契約をしたユーザーを対象とするので、やや営業よりの活動です。

カスタマーサクセス担当者とユーザー側の担当者が共通の認識を持った上で、あらかじめ設定された習得度合いをチェックする項目に従ってカリキュラムを含むスケジュールを作成します。

ユーザーにとってオンボーディング期間中は、未使用コストが発生します。そのため、オンボーディングが長期化するとコストの浪費と解釈され、解約リスクが高まります。

早期の解約を避けるためには、ユーザーの関心と熱量が高いうちにオンボーディングを完了させなければなりません。

カスタマーサクセスのミッションとゴール

新規ユーザーが課題や疑問、不安や不満をクリアして成功体験を得ることで、継続利用のモチベーションを上げてもらうのがカスタマーサクセスに与えられたミッションの最初のものです。

それができれば、さらに順調に活用してもらうことで利用製品・サービスのグレードを挙げて(アップセル)もらったり、関連サーボスの追加契約(クロスセル)をしてもらったりで、企業の利益の最大化を図るのが最終ゴールです。

その手始めとなるオンボーディングでつまずいては、その後の展開が望めなくなるので、責任は重大です。

オンボーディング完了率とは?

提供製品・サービスごとに、ゴールとして設定した基準をクリアした際に、そのユーザーは「オンボーディング完了」と見なされます。オンボーディング完了率とはオンボーディングに入った企業数を分母とした完了企業の割合です。

前述のとおりオンボーディング期間が長いほど、業績に反映しないコストが積み上がるため、解約リスクの上昇につながります。

したがって、オンボーディング完了率を高める働きかけは、カスタマーサクセスのプロセス全体にとって意義あるアプローチとなります。

 

なお、多様化する現代のマーケティング手法に関して、以下の記事で体系別に網羅・整理して解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。

 

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オンボーディング完了以降のナーチャリングフェーズ

SaaSのオンボーディングが完了した後は、カスタマーサクセスのプロセスは以下の3つのナーチャリングフェーズを辿ります。

  • アダプション
  • エクスパンション
  • プロダクトフィードバック

個々のフェーズを見ていきましょう。

アダプション|適応を促進し活用事例を共有

アダプションは英語の “adaption” に由来する、「適応」を意味する用語です。オンボーディングが完了して本格的な製品・サービスの運用が始まり、適応してもらうことで継続利用を図るフェーズです。

適応して利用を継続してもらえるかどうかは、SaaS企業にとって収益の伸びを左右する重要な課題です。また、問題なく利用が継続すれば、アップセルやクロスセルにつながる可能性が高まります。

アダプションのフェーズでは、ユーザーの自主的な製品・サービス運用に関してデータが取れるので、使用頻度や使用方法などを分析し、活用を最適化する提案ができます。もちろん、データ一辺倒ではなく、定点観測のようにヒアリングも行うことで、運用状況がリアルに理解できます。

ユーザー側のスキルアップのためのセミナーやウェビナーの開催や、他のユーザーによる活用事例の共有などもモチベーションアップに有効な施策です。ユーザーの成功体験につながりそうな活用方法を、活用を分析して積極的に提案するのがアダプションです。

エクスパンション|発展的に活用しLTVを増大

エクスパンションは英語の ”expansion” に由来する、「拡張」「拡大」を意味する言葉です。ユーザーによる製品・サービスの利用拡大を促すフェーズです。

定期収益額を上げてLTV(ライフタイムバリュー)高めるためのアップ&クロスセルを促進するフェーズでもあります。

ちなみにLTV(ライフタイムバリュー)とは「生涯顧客価値」とも呼ばれ、ユーザーが契約してから解約するまでに企業にもたらす収益を意味します。

サブスク型SaaS製品・サービスでは、初期費用は不要であるのが一般的です。それゆえに、成約時点で利益はなく、利益を得ていくためには利用拡大を積極的に促進して、LTV(ライフタイムバリュー)を高めなければなりません。

そのためには、オンボーディングからアダプションへの以降がスムーズに進み、エクスパンションのフェーズにおいて、小さい成果をコンスタントに上げてもらわなければなりません。

一つひとつの成果は取るに足らなくても、それが日常的に起こってくれば、確実に成功に近づいていることを体感してもらえる意味があります。

ただし、カスタマーサクセス部門が、ユーザーの最終目標や活用状況の理解が不充分であれば、適切な提案をタイミングよく繰り出せません。したがって、オンボーディングとアダプションはとりわけ注力しなければならないフェーズです。

プロダクトフィードバック|ユーザーの声を無駄にしない

プロダクトフィードバックはエクスパンションを経て充分に使いこなせる様になったユーザーから、今後の製品・サービスの改善のための、フィードバックを得る作業です。

ユーザー満足度の向上や継続利用、利用拡大につながる成功体験をあらゆるユーザーに提供するためには、実際に利用しているユーザーの声に継続的な真摯に耳を傾けることが必要です。

ほかにも斬新な活用方法の提案やアップ&クロスセルの機会を増やすためにも、機能のバーションアップが必要です。どういう機能にニーズがあるのかは、提供側がいくら知恵を絞ろうがリアルな解は、ユーザー側からしか出てきません。

飽くことなきフィードバックによって新発想を得て、それを品質に反映することがこのフェーズの目的です。それが既存ユーザーの利用拡大だけでなく、新規ユーザー獲得のための差別化につながります。

 

なお、サブスク型SaaSビジネスの効果的なマーケティングについて、以下の記事で特集していますので、ぜひ参考にしてください。

 

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SaaSビジネスにオンボーディングが重要である理由

SaaSビジネスにとってオンボーディングが重要である理由は、主に以下の4つに集約されます。

  • 早期解約(チャーン)を回避するのに有効だから
  • アップ&クロスセルを後押しできるから
  • ライフタイムバリューの最大化を促せるから
  • カスタマーサクセスのフロー全体を左右するから

それぞれを見ていきましょう。

早期解約(チャーン)を回避するのに有効だから

繰り返しになりますが、SaaSビジネスにおいて重要なのは、大小の成功体験でユーザーの満足度を上げることでユーザーに製品・サービスを継続利用してもらい、チャーン(解約)をできるだけ回避することです。

オンボーディングが適切な形で進み、製品・サービス導入後の早い段階で期待された便益を得られたり、従来の課題を解決できたりすることが成功体験であり、それをもってユーザーの満足度は向上します。

たとえ魅力的な提案に期待して契約したとしても使いこなせないか、使えても製品・サービスの持つ価値や利便性を体感できなければ、ユーザーがいとも簡単に離脱してしまうでしょう。

ユーザーは少なくありません。そのため、冒頭の適切なオンボーディングは解約を防ぐための堤防となるでしょう。

アップ&クロスセルを後押しできるから

質の高いオンボーディングによりユーザー満足度が向上すると、自然とアップセルやクロスセルが促進されます。

最初に契約したプランを使いこなせるようになれば、さらに新たなニーズが出てくるものです。そのニーズを見極め、より高機能を持つ上位プランへのグレードアップや、関連製品・サービスとの連携を提案すれば、ユーザーが検討してくれる可能性は高いです。

単なる利用定着だけでなく、全ユーザーのロイヤルカスタマー化を目指して、オンボーディングにリソースを集中投下する価値があります。

LTV(ライフタイムバリュー)の最大化を促せるから

SaaSビジネスのKGI(経営目標達成指標)になることが多く、ユーザーのLTV(ライフタイムバリュー)の最大化が促されます。SaaSビジネスでは、ユーザーは製品・サービスのお試しから契約、解約まで、気軽にできる環境になっています。

売り切り型の製品・サービスなら、そうそう簡単に乗り換えができません。サブスク型SaaSは気軽に乗り換えが可能です。

したがって、LTV(ライフタイムバリュー)を高めるのは容易ではありません。それは実際に使って価値を体感する経験が後押しとなるので、オンボーディングで使用にあたっての必要事項をもれなく習得してもらうことが非常に重要です。

カスタマーサクセスのフロー全体を左右するから

カスタマーサクセスの実現においては、ユーザーライフサイクルを意識する必要があります。ユーザーライフサイクルとは、ユーザーが製品・サービスに出会ってから関わりを終えるまでの流れを、フェーズで管理する考え方です。

フェーズの分け方はさまざまですが、製品・サービスの利用開始後、価値に納得して一定期間の継続利用に至るまでの流れを「導入期」「活用期」「定着期」に分けたとします。オンボーディングは「導入期」から「活用期」へのスムーズな移行をサポートします。

この最初の移行に失敗すると、製品・サービスを継続的に利用してもらうことは難しくなります。最初の移行を良い形で踏み出すためのカスタマーサクセスは、後々のカスタマーサクセスのフロー全体を左右するので、極めて重要です。

 

なお、カスタマーサクセスを円滑に進めるために重要な「エンゲージメント」の概念について、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。

オンボーディング実施の手順

オンボーディングの際に見落としがちなのが、ゴールをオンボーディング対象のユーザーと共有することです。製品・サービスの活用に関する習得基準を目標として共有する必要があります。

そうすることで、ユーザー側も問題意識を持って取り組み、成果を上げやすくなるでしょう。活用に弾みをつけるほうが望ましいので、目標を小刻みにして小さなゴール達成を積み上げるような進め方が有効です。

では、具体的にはどのように、オンボーディングを進めていけばよいのかについて、触れておきましょう。カスタマーサクセスをすすめる手順は企業によってさまざまなバリエーションがありますが、ここでは代表的な以下の手順を取り上げます。

  • 手順1:営業情報の引き継ぎとフローの整理
  • 手順2:オンボーディングのゴールの設定
  • 手順3:手法の選択
  • 手順4:ユーザー自身がPDCAを回せるようにサポート

手順ごとに見ていきましょう。

手順1:営業情報の引き継ぎとフローの整理

営業からの情報を引き継ぎ、どういう目的でどういった使い方をメインとして、習得してもらうかというフローを整理します。

オンボーディングはカスタマーサクセス部門とユーザーとの最初の接点です。この時点で営業部門との行き違いや温度差がないようにしたいものです。ユーザーが契約からシームレスに、違和感なくオンボーディングに突入できるよう、留意しましょう。

手順2:オンボーディングのゴールの設定

ユーザーが利用を定着したと判断する、基準としての「ゴール」を設定します。基準はユーザー企業のITリテラシーやケイパビリティ、提案する製品・サービスによってさまざまです。

あくまでユーザー目線にて、無理のない現実的な設定をする必要があります。その際、基準がユーザーにとって厳し過ぎると、オンボーディング期間が長引いてしまい、解約率を上げてしまうので注意が必要です。

手順3:手法の選択

ゴールが決まったら、速やかにそのユーザーを導くために、どのような手法(ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチ)で取り組むかを選択します。

ハイタッチ

契約初期段階にあるユーザーのうち、高いLTV(ライフタイムバリュー)が期待できるロイヤルカスタマー候補に対して、親密な個別サポートを指します。多くの利益をもたらしてくれるであろうロイヤルカスタマー候補に、充分なリソースを投入して、手厚くサポートを行うのが特徴です。

具体的にはコンサルティングに近い対応です。専任スタッフが初期サポートを懇切丁寧に行います。コンスタントな進捗確認、機能のカスタマイズなどの内容の濃い情報提供を行います。必要に応じてオフラインの訪問対応も行います。

ハイレベルの対応なので、ハイタッチです。

ロータッチ

LTV(ライフタイムバリュー)における中間層のユーザー群に対して、1対グループの対応でセミナーや勉強会の形式で支援し、必要に応じて個別でも対応を行うサポートを指します。Webコンテンツやメールなどによるサポートと個別対応のないブリッドで行うのが特徴です。

ハイタッチに対して支援レベルが下がるのでレベルの対応なので、ロータッチです。

テックタッチ

LTV(ライフタイムバリュー)においてボリューム層のユーザー群に、最低限のリソースで、自動応答ツールやチュートリアル、メルマガなどを活用して行うサポートを指します。

この層は最もユーザー数が多く、個別対応が現実的ではないので、テクノロジーの力を駆使するのが特徴です。マンパワーではなく、デジタルによる対応なのでテックタッチと呼ばれます。

手順4:ユーザー自身がPDCAを回せるようにサポート

手法が決まったらオンボーディングの開始です。いずれの場合も、ユーザ自身が主体的にPDCAサイクルを回せるように意識してのサポートが行われます。

いつまでもサポートはできないので、自分たちで仮説検証を繰り返してもらってこそ、利用によって付加価値が生まれます。最初からかんたんには進まないので、ユーザーからの問い合わせ内容や運用データを分析し、ユーザー目線で問題点を少しずつ改善できるようサポートします。

 

なお、カスタマーサクセスにも応用できる、心理学を応用したアプローチ手法に興味がある方は、以下の記事ですぐに使えるテクニック11選をご紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。

オンボーディング以降に成否を判断する指標

オンボーディング以降に、製品・サービス活用の是非を判断する指標となる主なKPI(重要業績評価指標)として、以下の3つがあります。

  • チャーンレート
  • アップ&クロスセル率
  • LTV(ライフタイムバリュー)

個々のKPIを見ていきましょう。

チャーンレート

チャーンは解約の意味でチャーンレートは「解約率」​​です。チャーンレートを低目に抑えれば抑えるほど収益構造が安定し、高くなればなるほど赤字経営に近づきます。

SaaS企業が利益を上げるには、新規ユーザー獲得もさることながら、既存ユーザーの解約を避けることが極めて重要です。それはサブスク型の構造的な特徴といえるでしょう。

サブスク型ビジネスは、製品・サービスを市場に投入した当初は、新規ユーザー獲得数が売上に直結します。新規ユーザー数の伸びと客単価の伸びが総売上を押し上げます。

製品・サービスの新規ユーザーの売上と既存ユーザーの定期収益による売上が積み重なっていくのが、サブスク型ならではの収益構造といえるでしょう。

チャーンレートには、以下の4つの計算方法があります。

  • カスタマーチャーンレート
  • アカウントチャーンレート
  • グロスレベニューチャーンレート
  • ネットレベニューチャーンレート

カスタマーチャーンレート

ユーザー数を基準にした指標です。解約ユーザー数を期首のユーザー数で割って求めます。

一定期間内の解約数 ÷ 期首のユーザー数 × 100(%)

アカウントチャーンレート

ユーザー数ではなく、アカウント数を基準にした指標です。期間内で消失したアカウント数を期首のアカウントで割って求めます。

期間内の消失アカウント数 ÷ 期首のアカウント数 × 100(%)

グロスレベニューチャーンレート

利用製品・サービスの収益額を基準にした指標です。期間内の損失額を期首の定期収益額で割って求めます。

期間内の損失額 ÷ 期首の定期収益額 × 100(%)

ネットレベニューチャーンレート

解約およびダウングレードで失った収益から、アップ&クロスセルによる増収を差し引いた額を基準にした指標です。他のチャーンレートは必ずプラスの数値になりますが、ネットレベニューチャーンレートのみマイナスもあります。

損失よりも収益が優っていれば、解約率はマイナスになり、通常は減っていく既存ユーザーの定期収益が増える理想的な状態です。これを「ネガティブチャーン」と呼びます。名称とは逆にポジティブな状態です。

他のチャーンレートは営業視点の指標で、ネットレベニューチャーンレートは経営視点の指標ともいえるでしょう。

(期間内の損失額 – 期間内の増収額) ÷ 期首の定期収益額 × 100(%)

ユーザー数はもちろん大事なことですが、損益との関係に注目しなければ意思決定を誤るので注意が必要です。

アップ&クロスセル率

アップセル率は製品・サービスの契約プランを上位プランに移行することで得られる収益の割合を示します。一方、クロスセル率は関連する製品・サービスも追加契約してもらうことで得られる収益の割合です。

これらはサブスク型における客単価=定期収益額を増やすことにつながります。

LTV(ライフタイムバリュー)

前述のとおりユーザーが契約から解約するまでの期間に、提供企業にもたらす価値の総量がLTV(ライフタイムバリュー)です。

LTV(ライフタイムバリュー)の算出方法は以下のとおりです。

平均定期収益額 × 平均顧客寿命(平均契約期間)

LTV(ライフタイムバリュー)を高める要素である「平均定期収益額」と「平均顧客寿命」をKPI(重要業績評価指標)として設定し、KGIとしてのLTV(ライフタイムバリュー)達成を目指す取り組みが望まれます。

「平均定期収益額」を上げるためには「アップ&クロスセル」、「平均顧客寿命」を伸ばすためには「解約防止」のアプローチが有効です。

 

なお、カスタマーサクセスの実践に欠かせない、マーケティングオートメーション(MA)については、以下の記事で詳しく取り上げていますので、参考にしてください。

まとめ

サブスク型ビジネスにおいて、今後ますます重要度を増すであろうカスタマーサクセスの活動において導入期のオンボーディングはその後の展開の良し悪しに影響し、ひいては企業の利益を左右するほど大切なプロセスです。

SaaSビジネスのカスタマーサクセスに携わるみなさんには、ここでご紹介した情報を参考にあらゆる新規顧客を長期継続利用や利用拡大に導けるよう、質の高いオンボーディングに取り組まれますよう願っております。

 

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