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カスタマーサクセスを成功させるには?これからチームを立ち上げたい方必見!押さえておくべき5つの実践ポイント

投稿日:2024年9月18日 /

更新日:2024年10月3日

カスタマーサクセスを成功させるには?これからチームを立ち上げたい方必見!押さえておくべき5つの実践ポイント
● CS

カスタマーサクセスチームを立ち上げたいと思っていても、どのようにしたら成功するのかわからず踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、カスタマーサクセスに成功している企業事例と、実践する際の重要ポイントを紹介します。カスタマーサクセスチームを作りたい方、チームはあるもののなかなか成果が出ない方は、ぜひご参考ください。

こんな方におすすめ!

  • これからカスタマーサクセスのチームを立ち上げたい方
  • カスタマーサクセスのチームはあるものの、なかなか成果が出ない方

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カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは、直訳すると「顧客の成功」という意味になる通り、自社の商品・サービスを通じて顧客が成功体験(課題解決や売上向上など)へとつなげる取り組み、そしてその業務を担当する部門・職種を指します。顧客を成功へと導くことで、自社商品・サービスに対する信頼度が高まり、顧客にとって「なくてはならないもの」になるため、解約を防止したりアップセル・クロスセルを促したりする効果があります。

まずは、カスタマーサクセスの位置づけや役割について解説します。

もともと契約後の顧客のアフターフォローをする部門・職種は存在していましたが、「カスタマーサクセス」と位置付けられるのが一般的となったのは「The model」という営業プロセスモデルを提唱したことがきっかけと言えるでしょう。

The modelとは

The modelとは、営業プロセスを以下4つの部門で分業し、連携・協力しながら営業プロセスを進める手法です。

  • マーケティング
  • インサイドセールス
  • フィールドセールス
  • カスタマーサクセス

カスタマーサクセスは、The modelにおいて最後のプロセスであり、フィールドセールスが獲得した既存顧客へのアプローチが主な役割となります。

以前は買い切り型の商材が主流だったため、顧客に商品・サービスを販売した時点で営業プロセスは終了していました。

しかし、近年増えているサブスクリプションモデルのビジネスは、契約してから売上が継続的に発生するため、いかに解約を防ぐかが重要となります。そこで、既存顧客に対して適切にアプローチを行い、良好な関係を継続していくためにカスタマーサクセスが注目されるようになったのです。

カスタマーサクセスの主な役割

カスタマーサクセスはどのような役割を担うのか、主な役割を具体的に見ていきましょう。

一言でいうと、顧客体験のポジティブ要素を増やし、ネガティブ要素を改善する役割です。

ポジティブ要素を増やす

カスタマーサクセスの主な役割のひとつが、顧客体験に関するポジティブ要素を増やすことです。

具体的には、以下のような取り組みがあります。

  • LTV向上
  • 顧客満足度向上
  • リピーター増加
  • アップセル・クロスセルの促進

LTVとは「Life Time Value」の略称で、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。顧客が企業と取引を開始してから終了するまでにもたらす収益を意味し、「購入単価が高い」「購入頻度が高い」「契約を継続している」などの要素でLTVは向上します。

カスタマーサクセスは一人ひとりの顧客に対して最適化したアプローチを行い、顧客満足度を向上させてリピート購入やアップセル・クロスセルを促しLTVの向上を目指します。

ネガティブ要素の改善

カスタマーサクセスのもうひとつの重要な役割が、顧客体験に関するネガティブ要素の改善です。

具体的には以下の取り組みがあります。

  • 解約率(チャーンレート)の改善
  • 顧客からの不満や要望への対応

サブスクリプションモデルのビジネスでは、いくら新規顧客を獲得しても解約率が高いと収益につながりません。そこで、カスタマーサクセスが顧客の利用状況を分析して活用方法を提案したり、契約満了日が近くなったら継続のアプローチをしたりして、チャーンレートの改善を図ります。

また、顧客からサービスに関する不満や要望などがあったらすぐに対応し、社内の開発部門をはじめとする各部門へとフィードバックを展開し、さらにサービスを改善していく役割もあります。


こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひあわせてご一読ください。

カスタマーサクセスに成功した企業事例

カスタマーサクセスの導入に興味がある方の中には「どのように進めたら良いのかわからない」「実際に効果はあるのか?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。そこで、カスタマーサクセスが成功している企業の事例を参考に自社の戦略を立案することをおすすめします。

ここでは、カスタマーサクセスに取り組んでいる企業の成功事例を紹介します。

Salesforce|利用状況を分析し最適化したサポートを提供

クラウド型のSFA/CRMやMAツールなどを提供しているSalesforce社の日本法人「株式会社セールスフォース・ジャパン」のカスタマーサクセスは、顧客の課題を明確にしたうえでSalesforceの活用方法を提案し、運用定着から業務改善まで顧客に伴走して支援しています。

また、顧客ごとのログイン率やデータ変更率などの利用状況のデータを分析し、活用できていない顧客や今後利用率が下がりそうな顧客を抽出。その結果に基づいて、それぞれに最適化したサポートを行い利用を促進しています。

【参考】
カスタマーサクセスとは何か?Vol.1 誕生の背景とコンセプト|Salesforceブログ
カスタマーサクセスとは何か?Vol.2 Salesforce流カスタマーサクセスの方法|Salesforceブログ

SmartHR|企業規模に合わせた適切な支援で伴走

クラウド型バックオフィスツールを提供する「株式会社SmartHR」は、99%という高い継続率を誇り、その裏側ではカスタマーサクセスが尽力しています。

同社は、中小企業(SMB)からエンタープライズ企業まで幅広い顧客を抱えていることから、顧客の企業規模別にカスタマーサクセス組織を構築して、それぞれに適切なアプローチを行っています。

たとえば、同社が定義するエンタープライズ企業(従業員2,001人以上)やMMB企業(従業員501〜2,000人)に対しては、導入から導入後の継続支援まで一気通貫でサポートし、中長期的な視点で顧客との関係を深耕しています。一方、SMB(従業員数101〜500人)に対しては、ヘルプページやウェビナーといったサポートコンテンツを充実させ、顧客自身で自走できる状態まで成長させる「セルフオンボーディング」を促しています。

【参考】
カスタマーサクセス|株式会社SmartHR 採用サイト
より多くの企業のサクセスを実現するために。カオスに複雑化するカスタマーサクセスに挑戦する|株式会社SmartHR 

Sansan|顧客の理想像に近づけるために徹底支援

名刺管理ツール「Sansan」や、インボイス管理サービス「Bill One」を展開するSansan株式会社。同社のカスタマーサクセスは顧客の理想像やビジョンをヒアリングしたうえで達成のための手段を共に考え、徹底して顧客に向き合っています。

解約率0.5%未満という目標を達成するため、オンボーディング業務やコミュニティサイトの運営、顧客との定期的な情報交換を行っているといいます。

また、カスタマーサクセスプランを用意し、顧客のニーズに合わせたサポートができる体制を整えています。

【参考】
意思と意図を持って動き、顧客のビジョンを実現する。Sansanのカスタマーサクセス – Sansan株式会社 | 公式メディア「mimi」
Sansanカスタマーサクセスプラン注意事項 | Sansan – 営業DXサービス

Adobe|複数商材の導入にも丁寧にサポート

多岐にわたるプロダクトを展開しているAdobe社では、プロダクトの利用促進だけでなく、顧客の課題抽出やKPI設定までカスタマーサクセスがサポートするケースもあるそうです。導入しているプロダクトが少ない場合は使いこなせるよう徹底してサポートしますが、複数のプロダクトを導入している場合は連携などもあり利用時の複雑度が高まります。そうしたときに活用できる「プレミアサポート」を用意しています。

Adobeのプロダクトを導入して安定した運用ができるようになるサポートを行い、さらに活用促進を支援しています。Adobeと顧客の中立的な立場でのアドバイスやサポートを心がけていることから、対応力の高さを評価している顧客が多いそうです。

【参考】
お客様に寄り添う。アドビがめざすカスタマーサクセス。|Adobe Blog 

スマレジ|あえてマニュアルを作成せずに柔軟な対応を重視

高機能なPOSレジシステム「スマレジ」をはじめ、決済サービスの「PAYGATE」などの関連サービスを展開する株式会社スマレジ。同社のカスタマーサクセスは、顧客からの問い合わせを解決するだけでなく、便利な設定や利用方法の提案なども通じて、顧客が理想とする店づくりを支援しています。あえてマニュアルを作成しないことで、顧客の質問の裏側にある真意を引き出すことを意識しているといいます。

また、他部門と密に連携し合い、顧客からの意見や要望を営業、開発、デザインなどの部門へフィードバックしているそうです。

【参考】
カスタマーサクセス | 株式会社スマレジ 企業サイト
カスタマーサポートからカスタマーサクセスへ、お客様の成功に繋がる対応を実現する | 株式会社スマレジ 企業サイト

メルカリ|ユーザー同士の取引に安心・安全を提供

カスタマーサクセスはBtoB企業のイメージが強いですが、BtoC企業やCtoC企業でも意欲的に取り組んでいる企業は少なくありません。そのうちの一社が、フリマアプリのメルカリを運営する株式会社メルカリです。

同社のカスタマーサクセスは、問い合わせ対応のほかにも出品される商品の監視や不正利用の対策なども行い、ユーザーが安心して利用できる環境を整備しています。

また、カスタマーサクセスに届いたユーザーからのフィードバックを開発チームやマーケティングチームが確認できる仕組みを構築しています。こうしたユーザーからの声を機能や新サービスなどの開発に活かしていることで、大きな成長を遂げているそうです。

【参考】
「メルカリCS立ち上げ人」が振り返るキャリア観と、ソウゾウ異動への決心|mercan (メルカン) 
メルカリで働くメンバーならいつでも「お客さまの声」が見られる!VOC Portalをリニューアル!|mercan (メルカン)

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カスタマーサクセスで押さえておくべき5つの実践ポイント

今回紹介した企業事例のように、カスタマーサクセスが成功すると顧客満足度が向上して解約率やアップセル・クロスセルなどへの影響も見込めます。

それでは、どのようにしたらカスタマーサクセスを成功させられるのでしょうか。具体的なポイントを5つ紹介します。

ポイント1:全社一丸で取り組む

カスタマーサクセスは既存顧客対応がメインとなるため、人によっては「カスタマーサポートと同じ」「問い合わせ対応をしている部門」というイメージを持つかもしれません。

しかし、実際は顧客からの問い合わせに受動的に対応しているのではなく、問い合わせの裏側にある真意を見極めたり、本当に求めているものを聞き取ったりして、顧客と伴走する役割を担っています。また、顧客と密に接するため貴重なフィードバックを社内に展開する役割もあります。

こうした重要な役割であるにも関わらず、社内の理解が得られないとカスタマーサクセスがうまく機能せず、失敗に終わる可能性もあるのです。

そのため、トップダウンでカスタマーサクセスの重要性や必要性を説き、社内の協力を得ることが重要です。

また、カスタマーサクセスはThe modelの一連の流れに位置付けられている部門のため、他部門との連携も欠かせません。特に、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスといったThe modelで関連し合う部門はカスタマーサクセスについて十分に理解し、相互に助け合っていくことで成功へとつながるでしょう。

ポイント2:売上に執着しない

カスタマーサクセスは、解約率の低下やアップセル・クロスセルなど売上に関係する業務も担っています。しかし、自社の利益ばかりに執着してしまうと、「顧客の成功体験へと導く」という本来の目的からはかけ離れてしまい、顧客の状況や気持ちはないがしろになってしまいます。

あくまでも、顧客と伴走して成功させるということに注力し、その先に契約継続やアップセル・クロスセルなどがあると理解しましょう。

ポイント3:顧客のフィードバックを社内に展開する

カスタマーサクセスは顧客と最も近い存在と言えます。そのため「この機能がほしい」「使い方がわからない」といった意見や要望が多く寄せられます。

こうした顧客の声は「VOC(Voice of Customer)」と言い、顧客を理解するうえで欠かせないものです。自社の商品開発やサービス改良などにも大いに役立つ貴重なものですが、開発部門などの顧客と触れ合う機会の少ない部門はなかなか情報を入手できません。

そのため、カスタマーサクセスに寄せられたVOCは社内に展開して、さらなる企業成長を促すことが成功へとつながります。

ポイント4:顧客ごとに最適なアプローチをする

顧客によって状況や課題が異なるため、カスタマーサクセスは顧客を十分に理解したうえで最適なアプローチを行う必要があります。

たとえば、サービスを導入して間もない顧客に自社サービスのアップグレードを提案しても、その顧客はまだサービスに対する価値を感じられていない状態のため受注にはつながりません。まずは丁寧なオンボーディングを行って自走できる状態まで伴走し、さらにサービスの利活用を促してからアップセルの提案をしたほうが効果的です。

顧客へ細かくヒアリングしたり、利用状況(ログイン率や入力率など)を分析したりして顧客について理解し、最適なアプローチを心がけましょう。

ポイント5:ツールを活用する

カスタマーサクセスが担当する業務領域は多岐にわたるため、人手による作業ではミスや遅延が発生することがあります。さらに、顧客の細かなデータを収集・分析する必要があり、データ分析の基盤も必要です。

そのため、カスタマーサクセスを成功させるにはツールの活用が欠かせません。

顧客情報を一元管理できるツールや、メール送信やSNS発信を自動化できるツール、データを収集・分析できるツールなど、目的に合わせてツールを活用しましょう。

カスタマーサクセスにおいて非常に重要となるのが、サービスを導入したばかりの顧客がサービスを使いこなして自走できる状態にする「オンボーディング」です。顧客がオンボーディングで挫折してしまうと、その後の利用継続につながりません。

以下の記事ではオンボーディングの重要性とともに、業務を効率化するオンボーディングツールを紹介しているので、ぜひご一読ください。

まとめ:カスタマーサクセスの役割は顧客を成功体験へ導くこと

本記事では、カスタマーサクセスの成功事例や成功ポイントを紹介してきました。

カスタマーサクセスは顧客を成功体験へと導き、良好な関係を継続的に構築することで、解約防止やアップセル・クロスセルへとつなげる役割を果たします。カスタマーサクセスに成功している企業の事例を参考に、自社におけるカスタマーサクセスの役割を理解して、さらなる成功を目指しましょう。

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執筆:西  並子
図解:平山 理沙

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