採用サイトでもSEO対策は行うべきなのか
優秀な人材を発掘し、効率よく採用するためには、そもそも求職者を一定数集めなければいけません。
そこで重要になるのが、SEOです。
採用サイトにSEO対策を行い、上位表示されれば、それだけ求職者の目に触れる機会も多くなり、アクセス数を増やすことができます。
つまり、適切なSEO対策を行えば、応募母数が増えるだけでなく、自社が求めている条件にあった求職者と巡り合うチャンスも多くなるのです。
SEOのメリット
SEOのメリットは以下があります。
コストをかけずに集客できる
広告を出稿したり、大手の求人サイトに求人情報を掲載したりすると、求職者は一定数集めることができますが、どうしてもコストがかかってしまいます。
しかし、SEO対策を自社で行う場合は、コストをかけずに求職者を集めることが可能です。
ブランディング効果が期待できる
大手の企業は名前が知られているため、「企業名 求人」で検索されることがあります。
しかし、中小企業など求職者にそもそも認知がされていない企業の場合は、企業名での検索は望めません。
そこで、「Webライター 求人 アルバイト」など求職者が検索するであろうキーワードで上位表示されれば、多くの求職者に自社を知ってもらうことができます。
SEOのデメリット
続いて、SEOのデメリットもご紹介します。
即効性がない
大手の求人サイトに求人情報を掲載すると、早ければ掲載翌日にも応募が来ることがあります。
しかし、SEOの場合は、対策を行ったからと言ってすぐに上位表示されるわけではなく、検索エンジンから評価されるまでに時間を要します。
そのため、対策をしてから求職者が実際に増えるまでにはラグが発生してしまうことも多いです。
手間がかかる
Googlはユーザーファーストのサイト、ページを評価する傾向にあります。
そのため、上位表示させるためには、ユーザーのニーズが満たされているような質の高いコンテンツを継続的に作成したり、ユーザーが使いやすいサイトにするために、適宜サイト構成や導線などを見直したりする必要があるので、非常に手間がかかります。
この手間を惜しんでSEO対策をやらない採用サイトが多いのですが、それは非常にもったいないです。
むしろ手間がかかってもしっかりSEO行えば、同じ業種・同じ職種で募集している他社に差をつけることができます。
採用サイトでSEOを行う手順
採用サイトでSEOを行う手順は以下のとおりです。
1.ペルソナを設定する
まずは、自社の採用サイトに訪問してもらいたいペルソナを設定することから始めましょう。
たとえば、女性向けWebメディアのライターを募集したい場合を考えてみましょう。
ペルソナを「Webメディアでのライター経験がある20代後半の女性。既婚者で未就学児が一人いる」に設定したとします。
子どもがいることで、フルタイムでの勤務が難しくなったり、子どもの体調不良などでたびたび休みをとったりすることがあるので、柔軟に働ける環境を求める方も多いです。
そのため、従業員の有給取得率はどうなのか、自分と同じように子どもを育てながら働いている人はいるか、時短勤務はOKなのかといった情報が必要になるかもしれません。
こういったように、スキル・経験・年齢・価値観などを具体的にペルソナに落とし込んでいくことで、求職者がどんな情報を求めているのか、ということを考えやすくなります。
ユーザーのニーズにあったコンテンツが作成できれば、自社が求めている人材により求人情報が届きやすくなります。
2.キーワードを選定する
ペルソナが設定できたら、次はそのペルソナがどのようなキーワードで検索するのかを予測し、キーワード選定を行います。
キーワード選定は、以下の4つのステップで行います。
検索キーワードのリストアップ
まずは求職者の立場に立って、どんなキーワードで検索しそうなのか、思いつくものをリストアップしてみましょう。
先ほどの例で考えると、単に「ライター 求人」で検索する可能性もありますがWebメディアでのライター経験があるとなれば「Webライター 求人」で検索するかもしれません。
他にも「土日休み ライター 仕事」「時短勤務 ライター 求人」なども考えられます。
また、Google Search Consoleを見て、ユーザーがどのようなキーワードで検索しているのかを確認しておくことも重要です。
関連キーワードを調べる
さらに広くキーワードを調べるために、関連キーワードを調べます。
ラッコキーワードなどのツールを使うことで、簡単に関連キーワードが調べられます。
試しにラッコキーワードに「ライター」と入れてみると、かなりの数の関連キーワードが出てきます。
この中から関係がありそうなものをピックアップしておきます。
検索ボリュームを調べる
ステップ1、2で出したキーワードの検索ボリュームを調べます。
検索ボリュームを調べるには、キーワードプランナーなどを使うと便利です。
キーワード選定
検索ボリュームまで調べられたら、狙っていくキーワードを選定します。
たとえば、「ライター 求人」「Webライター 求人」」と言ったキーワードは、月間の検索ボリュームが2400とかなり多いです。
こういったキーワードで上位表示できれば、それだけ流入も見込めますが、裏を返せば競合性が高いので、上位表示させるのは至難の業といえます。
キーワード選定にこれといったルールがあるわけではありませんが、検索ボリュームが多いキーワードのみを狙うのは避けた方が良いでしょう。
3.コンテンツイメージを決定する
ペルソナ設定、キーワード選定が終わったら、コンテンツのイメージを決めます。
ペルソナを設定した際に、どのようなコンテンツが必要かは検討がついたかと思いますので、それをもとに掲載すべきコンテンツ内容を決定していきます。
職種、業務内容、勤務時間、福利厚生と言った基本的な情報に加え、実際に働いているスタッフのインタビューや社員の声などがあると、業務内容や企業の雰囲気がつかみやすくなります。
また、求職者はどのような会社なのか、ということを知りたいので、会社の雰囲気が伝わるような写真が掲載されていると良いでしょう。
コンテンツを作る際に注意したいのが、自社のアピールポイントばかりを詰め込まないということです。
それはあくまで企業が発信したい情報であって、求職者が真に求めている情報ではありません。
求職者からも検索エンジンからも評価されるのは、ユーザーのニーズが満たされるサイトである、ということを今一度理解しておきましょう。
SEOにはサイトの使いやすさも重要
検索エンジンおよびユーザーから評価されるサイトにするためには、ユーザーのニーズを満たしたコンテンツを作成することはもちろんですが、同時に使いやすいサイトである必要があります。
いくら良いコンテンツを用意しても、そもそもそのコンテンツが見つけにくい、サイト内を回遊しにくい、いつまでもページが表示されない、といった不具合があると、求職者は応募ページにたどり着くことなくサイトを離れてしまいます。
狙ったキーワードでアクセスしてくれた求職者をスムーズに応募ページに誘導するためにも以下の対策を行うようにしましょう。
ディレクトリ構造を整える
自社のサイトを見たときに、ディレクトリ構造はきれいなツリー構造になっているでしょうか。
企業のTOPページから、すぐに採用サイトに飛べるようになっているでしょうか。
もし、なくても成立するような余分な階層がある場合には削除し、できるだけ階層が浅くなるように意識しましょう。
階層が深くなりすぎず、階層構造が明確になっているサイトは、ユーザーが欲しい情報を見つけやすくなります。
さらに、ディレクトリ構造を整えることで、検索エンジンからクロールされやすくなる、運営者側としてもサイトの管理がしやすいと言ったメリットもあります。
内部リンクを設置する
ユーザーが、サイト内を効率的に回遊するためには、内部リンクの設置が欠かせません。
せっかくディレクトリ構造を整えても、内部リンクがなければ、わざわざTOPページまで戻って、ページを探さなければいけません。
上層から下層へ、リンクでたどれるようにしておきましょう。
パンくずリストを設置する
パンくずリストは、現在見ているページがサイト内のどこに位置するのかをリストで簡潔に表したものです。
パンくずリストがあることで、ユーザーが自分の位置を簡単に理解できるので、欲しい情報に素早くたどり着くことができます。
ページスピードを見直す
ページスピードは、サイトにアクセスした際に、ページが全て読み込まれ、表示されるまでの速度のことです。
これが極端に遅くなってしまうと、ユーザーはストレスを感じ、全て表示されるのを待つことなく離脱してしまう可能性が高くなってしまいます。
せっかくアクセスしてくれた求職者を逃さないためにも、「PageSpeed Insights」などを使ってページスピードを確認し、遅い場合には画像ファイルを圧縮するなどの改善を行うようにしてください。
Googleしごと検索は活用すべき?
Googleしごと検索というのは、Googleの検索窓に採用関係のキーワードを入れて検索した際に、関連した企業の求人情報を検索結果の上部(画像の赤枠部分)に掲載する機能です。
Googleしごと検索では、ユーザーの位置情報に応じて、掲載される求人の順位が変わります。そのため、自然検索では上位に表示されなくても、Googleしごと検索で上位表示されれば、求職者にアピールすることができるのです。
Googleしごと検索の場合は、大手の採用ポータルサイトとは違い、掲載費用は掛かりませんので、活用する価値は大いにあります。
Googleしごと検索に求人情報を掲載するためには、まず採用ページを作成します。
採用ページが準備できたら、そのページに構造化データを埋め込みます。
構造化データというのは、そのページに書かれている情報が何を意味するのか、検索エンジンが理解できるようにするためのデータ形式です。
たとえば、「【Webライター募集】時短勤務OK!月給20万~|株式会社コミクス」という情報は、私たちから見れば求人情報だと一目でわかるわけですが、検索エンジンがこの情報を求人情報だと正しく判断することは難しいのです。
そこで、あらかじめ定義された記述ルールに基づき、構造化データを採用ページに埋め込むことで、検索エンジンに求人情報だと判断してもらうのです。
Googleしごと検索の構造化データとして必須とされているのは、以下の6項目です。
- title(求人情報のタイトルではなく職種)
- hiringOrganization(求人情報を掲載している企業名)
- jobLocation(勤務地)
- description(業務内容、資格、スキル、業務時間など求人の詳細)
- datePosted(求人情報を投稿した日付)
- validThrough(求人の有効期限)
※一番最後のvalidThroughに関しては、有効期限がないのであれば記入の必要はありません。
最低限上記の6つが記載されていれば問題はないのですが、より詳細な求人情報にするためには、employmentType(雇用形態)、baseSalary(給与)なども記述するとよいでしょう。
この構造化データの作成には、専門的な知識が必須になります。
社内での対応が難しい場合は、Googleしごと検索に対応している求人サイトに掲載するか、Googleしごと検索に自動で表示できるツールを活用するのがおすすめです。
まとめ
採用サイトにもSEOは必要なのだろうか、と疑問に思う方もいるかもしれませんが、人材採用を効率的かつあまりコストをかけずに行いたいと考えているのであれば、間違いなく必要です。
しかし、SEOは一筋縄ではいかず、質の良いコンテンツ制作、継続的な更新、使いやすいサイト設計などが必要なだけではなく、評価までに時間がかかってしまうこともあります。
しかし、適切なSEO対策で掲載順位を上げることができれば、その分高い効果が期待できますので、コツコツ行っていくことが重要です。
また、2019年からは日本でもGoogleしごと検索がサービスを開始したので、そちらもあわせて活用することができれば、より求職者にアピールすることができますよ。