アトリビューションモデルとは?
いきなりですが、皆さんはオンラインで商品を購入した経験ありますか?
今の時代で利用経験がない人は少ないかと思いますが、商品購入までの経路を考えてみましょう。
例えば、イヤホンを購入する時の経路は下記になるかと思います。
1.イヤホンが欲しくて、ネットで調べてみる
2.イヤホンAのサイトに訪問。まだ買わない
3.SNSでイヤホンAの広告が表示されクリック後遷移。でもまだ買わない
4.5日後、ネットサーフィンしてたらイヤホンAのバナー広告が表示されクリック。でもまだ買わない
5.一週間後、Googleで商品名を検索してリスティング広告クリック後、購入(CV)!
上記のような流れが、考えられます。
あくまで事例ではあるものの、CVまでの経路は非常に複雑であります。
また、ラストクリック(上記の場合:5.検索広告)のみを評価してしまうと、リターゲティング/指名ワードキャンペーンを過大に評価してしまい、初回接触のきっかけを創出する広告は評価されないことになります。
上記の流れから、どの広告がCVに貢献したのかを定量化する手段の一つが「アトリビューションモデル」です。
英語でアトリビューションは「帰属」という意味があり、CVがどの要因に帰属するのかを分析する際に有効活用できます。
アトリビューションモデルの種類
アトリビューションモデルには以下の5つの種類があります。
- ファーストトクリック
- ラストクリック
- 線形アトリビューション
- 減衰アトリビューション
- 接点ベースアトリビューション
モデル①:ファーストクリック
ファーストクリックにすべての貢献度が割り振られるモデルとなります。
このモデルの場合は、ビッグワードや認知の低いユーザーとの接点に対して高い評価をつけることが可能なモデルです。入口を評価するため、新しいユーザーとの接点による広告効果を測定したい場合に有効な手法です。
一方で、ROIが見かけ上悪化してしまう可能性が高くなるため、効率重視の方針であれば適当なモデルではないでしょう。
モデル②:ラストクリック
成果に直接結びついたラストクリックの広告に100%の貢献度が割り振られるモデルです。
CVを獲得できた広告に対して高い評価をつけるため、費用と効果のバランスを合わせやすいモデルとなります。期間限定のキャンペーンを実施する際や、顕在顧客層向けの広告効果を測定する手法として有効です。一方で、アシストしてくれた広告の貢献度はすべて0%となるため、様々なチャネルで幅広く広告を打つ場合や、潜在顧客層に対して長期的にメリットを訴求していく場合は向かない手法となります。
モデル③:線形アトリビューション
このモデルはすべてのチャネルに均等に貢献度が割り振られます。
最近では顧客のカスタマージャーニーは複雑化しており、多くの企業ではたくさんのタッチポイントを設ける必要があります。そのような場合の分析手法としては非常に使いやすいモデルとなります。
モデル④:減衰アトリビューション
CVに近いほど貢献度が高くなるモデルです。
たとえば短期間のプロモーションを展開する場合、プロモーション当日のタッチポイントに大きな価値を持たせることができるモデルとなります。
モデル⑤:接点ベースアトリビューション
接点ベースモデルでは、最初のタッチポイントと最後のタッチポイントにより多くの貢献度を割り振ります。
最初に紹介したファーストクリックとラストクリックと線形のハイブリッドなモデルとなります。
アトリビューションモデルの活用法
以上、5つのアトリビューションモデルを紹介しました。
これらはクライアントの課題に合わせて活用するのが良いでしょう。
比較・検討期間が長くない、単品商品系の場合
- ラストクリックモデル
- 減衰モデル
CVまでの期間が短いため、既存顧客への広告配信の評価や短期間のキャンペーンの評価、CVに至るにあたって顧客のロイヤリティを高める必要がない場合に適しています。
比較・検討期間が長い、求人や不動産系の場合
- ファーストクリックモデル
- 線形モデル
- 接点ベースモデル
CVまでの期間が長いため、サービスへの関心や認知が薄い層を含めて幅広いユーザーにどれだけたくさんアプローチできるかの評価や、そのような顧客層を育てていくためのさまざまなタッチポイントへの評価が非常に重要になってきます。
まとめ
広告の対象や目的に合わせてアトリビューションモデルを活用することができれば、効果的に広告効果を測定することが可能となります。
最近では顧客のカスタマージャーニーといったCVまでの経路は複雑化してきており、今後さらに複雑化されると予想されております。
広告の対象や目的を踏まえたアトリビューションモデルを採用し、広告や施策への予算配分を最適化してみてはいかがしょうか。
執筆者:宋 尚潤