マイクロコンバージョンとは
マイクロコンバージョン(MCV)とは、最終的なコンバージョンにいたるまでの中間ゴールを指します。
例えば、上記のようなECサイトで設定するのであれば、以下のようなポイントがマイクロコンバージョンの候補としてあがります。
- LP(ランディングページ)の注文ボタンのタップ
- 入力ホームの「名前」入力欄をタップ
- 確認画面ページへの到達
このように、マイクロコンバージョンは運用目的に合わせた設定が可能となっているため、より詳細データを獲得できます。
マイクロコンバージョンのメリット
では、マイクロコンバージョンを設定するとどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的な3つのメリットをご紹介します。
コンバージョン母数が少ない場合に判断できる
低予算での広告運用や高額な商品、BtoB向けのサービスなどは、その単価の高さゆえに、ユーザーの検討期間が比較的長いため、広告を運用してもコンバージョン数自体の発生が多くない場合があります。
そのため、少ないコンバージョンデータだけでは情報の信頼性が出しづらく、施策ごとに成果の良し悪しを判断することが難しくなります。しかし、最終的なコンバージョンよりも手前にマイクロコンバージョンを設定すれば、各施策の判断材料になるでしょう。
機械学習を促進させる
近年では、広告の運用において自動入札が定番となっていますが、機械学習のPDCAを回すためにはコンバージョン計測のデータがある程度必要となります。
なぜなら、十分なコンバージョンデータがあることで自動入札の予測精度を高めているからです。
各媒体のコンバージョン数は以下のとおりです。
- Google広告
過去30日間に50件以上の獲得を推奨(目標コンバージョン単価制) - Facebook広告
広告セットごとに1週間で50件の獲得を推奨
広告運用者であれば、上記の目標達成がかなり難しい数字であることをご理解いただけるのではないでしょうか。しかし、マイクロコンバージョンを設置すれば、媒体が推奨する目標値を達成し、機械学習のPDCAをより円滑に回せるようになります。
コンバージョンに至るまでの動きを数値化できる
マイクロコンバージョンを設定することで、ユーザーがコンバージョンに到達する前にどこでアクションを起こしたかを把握できるようになります。
仮にコンバージョン数が下がった場合、マイクロコンバージョンの獲得数を確認すれば、途中過程で問題が発生していないかの要因を、比較的早い段階で分析できるようになります。
マイクロコンバージョンのデメリット
マイクロコンバージョンのメリットでは、より詳細なデータを得られることが主にあげられました。しかし、一方でデメリットもあります。
管理する指標が増える
これまで管理していたコンバージョンに加え、マイクロコンバージョン分の指標が増えます。そのため、管理画面でのコンバージョン確認時やレポート作成時に数値を切る分ける必要が出てきます。
また、管理画面上では何も設定していないと、最終コンバージョンとマイクロコンバージョンは「コンバージョン」に合算値で表示されるため、管理するためには表示方法を変更させる必要があります。Google広告の場合、画面右上の「分割」から「コンバージョンアクション」を選択することでマイクロコンバージョンとして設定した数値も把握できますので、設定する際は覚えておきましょう。
適切に設定しないと悪影響が出る恐れあり
マイクロコンバージョンは、ただ設定すればいいというわけではありません。
あくまで「最終コンバージョンに貢献するポイント」に設定しないと、分析する際に不要な指標が増えてしまうことになります。また、自動入札に活用する際には、「より獲得しやすいマイクロコンバージョン」に向けてキャンペーンが最適化してしまうケースもあります。その結果、マイクロコンバージョンは増えても最終コンバージョンが増えないということが起こり得るのです。
そうなった場合、以下のような対応が必要になります。
- 最終コンバージョンへの転換率を考慮して目標CPA額を再設定する
- 配信結果を確認し、最終コンバージョンに繋がらない検索語句を除外する
- マイクロコンバージョンが複数ある場合、最終コンバージョンへの関連が高いものを残す
マイクロコンバージョンの設定・分析事例
実際に、マイクロコンバージョンはどのように活用するべきなのか気になる方も多いと思います。
遷移率を把握する
フォームの到達にマイクロコンバージョンを設定することで、広告経由でサイトに流入したユーザーが、実際どれだけフォームに到達したのかを計測することもできます。
流入【CTs】 | フォーム到達【MCV】 | 確認ページ【MCV】 | 購入完了【CV】 | |
---|---|---|---|---|
実測値 | 700 | 550 | 60 | 20 |
例えば上記のような結果の場合、それぞれの遷移率を計算すると以下のようになります。
流入【CTs】 | フォーム到達【MCV】 | 確認ページ【MCV】 | 購入完了【CV】 | |
---|---|---|---|---|
実測値 | 700 | 550 | 60 | 20 |
遷移率 | – | 78.6% | 10.9% | 33.3% |
この場合、「確認ページ」への遷移率が低いため、その手前のページとなるフォームに遷移率を低くしている原因があるといえるでしょう。
広告の成果獲得に対するポテンシャルを分析
マイクロコンバージョンを活用して、配信している広告が持っている「成果獲得ポテンシャル」を知ることができます。
マイクロコンバージョンは、端的にいうと「成果にどれだけ近づいているかを知る指標」となります。そのため、成果数が同じでもより成果に近いマイクロコンバージョンを獲得している広告の方が「成果を増加させるポテンシャルを持った広告」といえるでしょう。
流入【CTs】 | フォーム到達【MCV】 | 確認ページ【MCV】 | 購入完了【CV】 | |
---|---|---|---|---|
実測値 | 1,000 | 400 | 200 | 100 |
遷移率 | 1,000 | 800 | 500 | 100 |
例えば上記のように、コンバージョン数は同等であった場合、「確認ページ」に到達したユーザー数を比較します。
広告Bは、クリックしたユーザーのうち、その多くがコンバージョン近くまで遷移しているということがわかります。
この場合、広告Bを軸にして広告クリエイティブ等を変更することでさらなる改善を目指せるでしょう。
まとめ
今回は最終コンバージョンを増やす手段として有効なマイクロコンバージョンについてでした。
導入することで広告運用に大きなメリットを与えてくれますが、効果を実感するまでは設定を見直したり、自動入札の活用を見送るといった判断も必要です。これを機に、しっかり理解していただいた上で取り組んでいただければ幸いです。