業務効率化ツールの種類
ここでは、用途別に業務効率化ツールの種類を解説します。
- 進捗管理ツール
- Web会議ツール
- コミュニケーションツール
- RPAツール
- 営業支援ツール
- ペーパーレス化ツール
- クラウドストレージ
- ナレッジ共有ツール
- ワークフローツール
業務効率化ツールは、業務が属人化した状態や情報が分断されてスムーズに業務が行えない場合に有効です。それでは順に各ツールの特徴を解説します。
進捗管理ツール
進捗管理ツールは、従業員が抱える業務やプロジェクトを可視化・共有化し、業務の抜け漏れや進捗状況、業務量などを把握できるツールです。
タスク設定は、担当者・ステータス・期限を登録して使用します。全体の進捗度合いは、ガントチャートで把握でき、ひと目で進捗と担当者の負荷状況が確認可能です。
進捗管理ツールには、ファイル共有や情報蓄積、掲示板などの機能も備わっており、プロジェクトチームの情報共有にも長けています。プロジェクトのみならず、部署の業務進捗状況や負荷状況を把握する際にも有効です。
Web会議ツール
Web会議ツールは、インターネットを使用し、音声と映像を用いて複数拠点で会議ができるツールです。
画面共有機能を使えば資料を画面に映して説明できるため、対面で説明を受けているような体験ができます。また、Web会議中にチャット機能を使って共有したいURLやファイルを送信でき、即座に情報共有が可能な点も魅力の1つです。
録画機能付きのWeb会議ツールは、会議不参加者への情報共有ができるだけでなく、画面共有をしたまま録画することで事務作業のマニュアル動画作成にも役立ちます。
ツールによっては録画できない場合があるため、録画可能なツールを選ぶのがおすすめです。
コミュニケーションツール
コミュニケーションツールの代表的なものとして挙げられるのがチャットです。チャットは履歴を文字で残し、かつ素早いコミュニケーションを行えるのが特徴で、パソコンだけでなくモバイル端末からも利用できるものがほとんどです。簡単な返事で済む場合は、文章を打つことなくスタンプで返答することも可能です。
メールは要件をすべて書いて送信する必要がある一方で、チャットは相手の理解度を図りながら会話を進められるため、認識の相違が生まれにくいメリットがあります。
周囲に話を聞かれることなく気軽にコミュニケーションが取れることから、悩みを打ち明けやすく、相談しやすい環境を作ることもできます。密なコミュニケーションを取れるチャットは、従業員の離職防止にも貢献するでしょう。
RPAツール
RPAツールは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略で、事務作業や単純作業を自動化するツールを指します。作業手順がルーティン化された業務であれば対応できます。
帳簿・伝票作成やダイレクトメール送信、Web上に記載されているデータ収集やデータ入力などを自動化でき、業務効率化が図れます。作業時間を問わず、夜中でも稼働できるのがRPAツール最大の利点です。
例えば出社後にデータ作成と報告書作成を行っている場合、RPAを夜中に稼働させることにより、データ作成時間が省け、すぐに報告書作成に取り掛かれるようになります。
RPAツールは、外出と報告書作成の多い営業部で活躍するツールであるとともに、施策立案や更なる業務効率化に取り組むための時間創出にも役立ちます。
営業支援ツール
Salesforceの「Sales Cloud」が代表的な営業支援ツールは、営業の売上アップに貢献する機能を備えているのが特徴です。顧客情報の一元管理や商談管理、データを使った確度の高い商談を見極めるAI機能が備わっています。
Sales Cloudのほかには、マーケティング分野で役立つ「MA(マーケティングオートメーション)ツール」があります。見込み客の抽出や商談タイミングの提示など、マーケティング活動を自動化するのに役立ちます。
MAツールの機能は商品によって異なり、使いやすさを重視した「必要最低限の機能のみを提供する商品」や「すべてのマーケティング活動に対応できるよう機能を網羅した商品」など特徴があるため、従業員のITリテラシーにあわせたツールを選ぶのがおすすめです。
ペーパーレス化ツール
ペーパーレス化ツールとは、勤怠管理システム・経費精算システム・労務管理システム・請求書受領システム・電子契約システムなどが代表的で、これまで紙で申請、管理していた業務を電子化させるツールです。とくにバックオフィス業務に役立つツールが豊富です。
ペーパーレス化ツールは紙を使う必要がなくなるだけでなく、業務の効率化をもたらします。たとえば、労務管理システムと勤怠管理システムを連携すれば、入退社で発生した従業員の登録・削除の作業が1回で済み、手作業によるミス防止が可能です。
ペーパーレス化と業務効率化を期待できるバックオフィス系のツールは、積極的に導入したい業務効率化ツールと言えるでしょう。
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クラウドストレージ
クラウドストレージとは、オンラインサーバーにデータを保存するサービスを表します。簡単に導入でき、かつサーバーの保守管理が不要なため、自社での管理にかかる手間を省けるのが魅力です。
インターネット環境が整えば、外出時や出張時にデータへのアクセスが可能で、リモートワーク導入時は必須のツールです。
代表的なツールは「Google Workspace」です。メールやチャット、Web会議、カレンダーなどのコミュニケーションツールやスケジュール管理だけでなく、ドキュメントで文書作成をしたりスプレッドシートで表計算をしたりできます。
クラウドストレージサービスでは、セキュリティ対策が施されていますが、さらに強固にするためには二要素認証設定が必要です。従業員に対して、第三者にIDやパスワードが漏れないよう、ITリテラシーの向上に努める必要があります。
ナレッジ共有ツール
ナレッジ共有ツールは、業務を円滑に進めるための知識や経験、ノウハウを集められるツールです。従業員から何度も同じ質問が届く場合、回答する度に業務時間を無駄にしてしまうというケースも少なくありません。
ナレッジ共有ツールを活用することで回答時間を減らし、本来の業務に時間をあてられるようになるでしょう。
ナレッジを集めてデータベースができると、会社の情報資産となります。従業員の退職によってノウハウ継承ができないリスクが解消されるため、入退社の多い企業や業務が属人化して引継ぎが難しい部署で役立ちます。
ワークフローツール
ワークフローツールは、経費精算や稟議などに必要な「上長承認取得」の流れを電子化したツールです。申請から承認・決裁までを可視化するとともに、紙での管理が不要です。
承認・決裁にかかる時間を短縮でき、離席や出張で承認が滞ることがありません。
入力・添付必須の項目には、事前にアラームで注意喚起ができます。それでも不備があった場合は簡単に差し戻しも可能です。また、ワークフローツールをバックオフィス系のツールと連携すれば、更なる業務効率化を図れるでしょう。
業務効率化ツールの選定ポイント
業務効率化ツールを選ぶ際のポイントは以下のとおりです。
- 課題解決できるサービスを選ぶ
- 従業員が使いこなせるツールを選ぶ
- 他システムとの連携を考慮する
- 導入後のサポート体制を確認する
順に解説します。
必要な機能が充実しているか
自社が抱える課題を明確化し、抱える課題を解決可能な業務効率化ツールを選びます。
例えば、「日報を書く運用をしているが、部下の業務進捗度合いが見えてこない」といった上司の悩みには、タスク管理やプロジェクト管理が行える進捗管理ツールを導入し、誰がいつまでに業務を行うのか、業務は終わったのかを可視化します。
自社が抱える課題は上司、部下の両者にヒアリングし、洗い出すとよいでしょう。また、業務効率化ツールは、サービスによって提供する機能や画面の操作性が異なります。「多機能すぎて一部機能しか使っていない」や「作業画面にたどり着くまでにクリック操作が多い」など、操作ミスを招いたり従業員の不満が高まったりする可能性もあるため注意が必要です。
実際に操作できる無料トライアルを活用するほか、操作マニュアルや研修体制があるサービスを検討するのもポイントです。はじめてのツール操作でもスムーズに取り掛かれ、業務遅延を防げます。
導入前後のサポート体制が充実しているか
導入時のみならず、導入後もサポート体制が整っているかは重要です。運用開始後のシステムトラブルや不明点が出てくる可能性を考慮すると、万が一の備えをしておきましょう。
トラブル時は業務が停止してしまうため、長引かせないためにも24時間365日のサポート体制のある業務効率化ツールが安心です。チャットのみならず電話にも対応しているツールはより迅速な対応が可能です。
既存システムと互換性があるか
業務効率化ツールには、システムのデータを連携させ、より業務効率化が図れるツールがあるほか、システムとチャットを連携させて業務連絡を円滑に行えるツールもあります。
業務効率化ツールによっては一部のシステムとは連携対応していない場合があるため、事前に確認しましょう。
まとめ
業務効率化ツールの導入は業務時間の削減や業務の可視化、情報資産の蓄積などが期待でき、企業にとって非常に重要です。しかし、従業員の業務内容、ITリテラシー、サイロ化や属人化の状況を理解しなければ、業務効率化ツールの効果は最大化されません。
まずは現状把握から努め、ツール導入とともに業務改善活動を行う必要があります。