ウィザードとは?
もともと英語の「Wizard(ウィザード)」とは「魔法使い」「魔術師」といった意味ですが、IT専門用語として使う場合はまったく違う意味になります。
ITで使われる「ウィザード」とは、ユーザーに質問や選択肢を提示してユーザーの操作を促し、対話形式で入力や設定などを誘導する方法です。
アプリケーションのインストールやWebサービスの初期設定などでよく用いられる方法で、ユーザーが選択していくだけで操作が完了するため利便性が高いと言えます。また、選択ミスや入力間違いなどを防ぐ効果もあるため、正確に操作を進められる点も特徴です。
ウィザードが活用できるシーン
ウィザードの活用が向いているのは、ユーザー側のタスクが複雑な場合です。
たとえば設定を完了するために多くの工程が必要な場合、ユーザーは選択を間違えたり項目を抜かしてしまったりして、正しく設定ができないことも珍しくありません。また、途中でやめてしまうこともあるでしょう。
しかしウィザードを活用してユーザーの操作を促せば、正しく設定でき、ユーザーの負担も少なくなります。
また、順番通りの操作が必要な場合も、ウィザードが役立ちます。ウィザードで順番通りに表示させていけば、ユーザーは順番を間違う心配がありません。
ウィザードが活用できないシーン
ウィザードは、プロセスが複雑な場合に向いていますが、単純なプロセスの場合はあまり効果が期待できません。本来であれば手短に設定が終わる単純なプロセスにウィザードを用いると、かえって複雑化してしまうこともあるからです。
それほど複雑なプロセスでない場合は、ウィザードではなく、入力フォームをわかりやすくしたり選択項目を工夫したりするほうが適しているでしょう。
また、ユーザーが上級者の場合、ウィザードがノイズになってしまう可能性もあります。設定をカスタマイズしてこだわりたい上級者ユーザーは、自身のニーズに合わせてプロセスを進めることを好みます。そのため、ウィザードがあると好きなように設定できず、ストレスを感じるでしょう。
設定を開始する際に、自身で設定を行うか、ウィザードで誘導するか、どちらかをユーザーが選択できるようにすると親切です。
ウィザードのメリット・デメリット
次は、ウィザードを活用するメリットとデメリットを紹介します。
ウィザードのメリット
まずはウィザードのメリットから解説していきます。
タスクを効率化・単純化できる
アプリケーションのインストールや、Webサービスの設定、ソフトウェアのセットアップなど、ウィザードはさまざまなところで活用されています。これらの作業は、完了するまでに多くの複雑なタスクを行う必要であり、一つでも間違うと最初からやり直しになってしまうことも珍しくありません。
しかしウィザードを活用すると、一つひとつのタスクを順番にこなしていけるため、簡単なステップだけですべての操作を完了できます。
ユーザーによるミスも軽減され、正確に設定を完了できる点もメリットと言えるでしょう。
意思決定の負担を減らせる
ソフトウェアのセットアップや設定の際、ユーザーは「次に何をすべきか」「完了させるためにはどのような操作が必要か」などを考えなければなりません。こうした意思決定は時間がかかるうえ、誤った選択をしてしまうと今までの操作が水の泡になってしまうリスクもあります。
そこでウィザードを活用することで、ユーザーが意思決定する必要なく操作を進めていくことが可能です。完了させるために次にやるべきことが自動で表示され、ユーザーは項目を選択したり必要事項を入力したりするだけなので、意思決定の負担を軽減できるでしょう。
ウィザードのデメリット
ウィザードはメリットが多い一方で、デメリットとなるポイントもいくつか存在します。
より多くのクリックが必要になる
ウィザードで設定を進めていくにあたり、何度もクリックしなければならない場合があります。
たとえば複数の項目を入力する作業のとき、ウィザードを用いていると、入力する項目をクリックしてキーボードで入力し、「完了」や「次へ」をクリックして次のページを表示させ、入力する項目をクリックして再びキーボードで入力する……という作業が繰り返されます。
Tabキーを押すだけで次の項目に入力できるフォームであれば、キーボード操作のみで済みます。しかしウィザードの場合はクリックが必要になるため、マウスとキーボードの往復が増える点がデメリットと言えるでしょう。
操作を中断しにくい
設定を進めている際、途中で他の用事や作業をしなければならなくなり、設定を中断せざるを得ない状況もあるでしょう。しかしウィザードの場合、途中で中断するとそれまでの操作内容が失われてしまい、最初からやり直さなければならない場合があります。
途中で操作内容を保存できても、前回どこまで設定が進んでいたのか忘れてしまい、また最初からやり直さなければならなくなったということも珍しくありません。
ステップ間で情報を比較することができない
ウィザードの場合、次のタスクを操作するためには次のページに進む必要があるため、ステップ間で情報を比較することが困難です。
たとえば設定を進めている最中、電話番号を代表番号で登録したか携帯番号で登録したか忘れてしまっても、前のステップに戻って確認できません。そのため、違う情報や間違った情報を入力してしまうということも発生しやすくなります。
ユーザーが使いやすいと感じるウィザードをデザインするには
ウィザードは便利ですが、デメリットとなるポイントもいくつかあります。そうしたデメリットを解消し、ユーザーにとって利便性の高いウィザードをデザインするポイントを3点紹介します。
利用頻度の低いプロセスに反映させる
ウィザードを活用するのは、ユーザーの利用頻度が低いプロセスが向いています。
利用頻度が高いプロセスの場合は、ユーザー自身が知識を持っていたり操作経験があったりするため、ウィザードがなくてもスムーズに操作できます。しかし利用頻度が低いプロセスはユーザーが操作に慣れておらず失敗する可能性があるため、ウィザードを用いて誘導してあげるとよいでしょう。
進捗を確認できるようにする
ユーザーが操作の進捗を確認できると「あとどのくらいで完了するのか」「どこまで進んでいるのか」がわかって安心感があります。
完了まであとどのくらいのステップが残っているか明示したり、何%まで操作が進んでいるのか可視化したりできるよう工夫しましょう。
ステップ数を最小限にする
ウィザードはユーザーにとって利便性が高いですが、同じようなページが続くと「いつ終わるのか」とストレスになり、途中でやめてしまうこともあります。
ステップ数が多すぎるとユーザーの不満を招くため、最小限のステップで進められるよう調整しましょう。
まとめ
ウィザードを活用すると、ユーザーがスムーズに操作を完了できます。間違いなく進めるので、操作に慣れていないユーザーにとっては非常に利便性が高いでしょう。
「セットアップの途中で離脱するユーザーが多い」「自社のサービスは設定が複雑だ」と感じている場合は、ぜひウィザードを活用してみてくださいね。
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