人事考課とは何か?読み方や目的・意義について
「人事考課」の読み方は「じんじこうか」です。意味としては、企業の従業員個人の業務成績や能力を評価し、その評価に基づいて昇進や昇給などの処遇を行う制度です。
その目的は、従業員のモチベーションの向上や、適材適所の人事配置、組織全体の生産性向上などがあります。人事考課によって、従業員自身も自己評価を行うことで、自己成長につながることが期待されています。
人事考課の歴史
人事考課の日本での始まりは、1950年代にアメリカ合衆国の軍事占領下で導入されたとされています。その後、1960年代には日本の企業でも導入が進み、現在では多くの企業で実施されている制度のひとつです。
人事考課は「意味ない」との意見も?
しかし、近年は時代の変化に伴い、従来の評価方法に限界を感じる声もあり、「意味ない」との意見を主張する人たちも少なくありません。新たな評価方法の導入が求められています。
〜【人事系おすすめ記事】「疑問ワードをわかりやすく解説」シリーズのご紹介 〜
もともと欧米企業が導入していて、近年では日本企業も導入が始まっている「ジョブディスクリプション」については、特集記事『ジョブディスクリプションとは?導入のメリットや書き方をわかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。
【当サイト「kyozon」とは?】
当サイト「kyozon」とは、読者のみなさんの日々の業務に役立つ情報群を発信し、ユーザーとベンダーのコミュニケーションを大いに活性化させるWebサービスです。
ご提供する情報はデジタルトレンド情報や専門家のインタビューおよび対談、最新ワードや基本情報のわかりやすく解説、ビジネスに役立つイベント情報など盛りだくさんとなっています。
ほかにもマーケティングの成功・失敗事例やビジネスツール・サービス導入検討に役立つ他のユーザーの事例やツールの感想、話題となったイベントのレポートな多岐にわたるラインナップです。
なによりも、読者のみなさんにとって関心があるサービスの資料を、無料でダウンロードできます。そしてダウンロードした資料をマイページでいつでも確認でき、ツール・サービスの検討や活用のお役立ち資料として、ご活用いただけます。
人事考課の実施方法
人事考課を実施する上での基本的な書き方、例文のポイント、自己評価の書き方や注意点について見ていきましょう。
人事考課書き方の基本
人事考課を実施するにあたり、担当する管理職=評価者には基本的な書き方が求められます。業務内容に応じた目標や評価項目を設定し、それをもとに評価を行うのが一般的です。
評価項目は、業務達成度、コミュニケーション能力、問題解決力などです。評価方法には、5段階評価やグラフで表したパーセンテージ評価などがあります。
また、評価のための書類として「人事考課表」があり、種類にはフリーフォーマット、アンケート形式、ビジュアル評価などがあります。
〜【人事系おすすめ記事】「疑問ワードをわかりやすく解説」シリーズのご紹介 〜
「領収書やレシートの再発行」については、以下の特集記事『領収書やレシートは再発行できるのか?紛失した際の経理上の対応をわかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
人事考課表の種類と作成方法
人事考課表は、評価項目や評価方法をまとめた書類であり、種類によって書き方が異なります。フリーフォーマットタイプは、評価項目やコメントを自由に書き込める書式です。
アンケート形式では、あらかじめ決められた評価項目に回答する形式で、簡単に評価をまとめられます。ビジュアル評価は、グラフやピンポイント評価で視覚的にさかりやすくまとめる手法です。
人事考課表の作成方法は、基本的には企業によって異なりますが、ExcelやWordなどの表計算ソフトを使用して作成されるのが一般的です。また、評価基準や評価方法について、事前に従業員に説明することで、評価の公正性や透明性を確保できます。
人事考課の例文とポイント
人事考課の例文には、様々な業種・職種に合わせたテンプレートがあります。例えば、営業職の場合は、営業成績や新規開拓の達成度合い、提案力やコミュニケーション能力などが評価されます。
一方で、技術職の場合は、技術力や知識の習得度合い、プロジェクト遂行能力、チームワークなどが重視されるでしょう。また、企業によっては、独自の評価項目を設けることもあります。
人事考課の例文を書く際には、具体的で客観的な事実や数字を挙げることが重要です。また、過去の評価と比較して成長した点や、今後改善したい点を明確にすることもポイントです。
さらに、自身の強みや課題を客観的に分析し、改善案を提案することで、上司や人事担当者に対するアピールにもつながります。営業職および技術職を想定した人事考課の例文を、参考として挙げておきましょう。
〜【人事系おすすめ記事】「疑問ワードをわかりやすく解説」シリーズのご紹介 〜
「シェアードサービス」については、以下の特集記事『シェアードサービスとは?企業の成功事例を交え日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
営業職の人事考課の例文
営業成績において、直近3ヶ月の売上目標を105%達成し、前年同期比で15%増加させた。また、新規顧客獲得にも力を入れ、月平均5社の新規開拓に成功した。
提案力やコミュニケーション能力についても高く評価できる。ただし、改善点としては、営業後処理に関して細かい部分が抜け落ちることがあるので、今後は細部にも目を配るようにしてほしい。
技術職の人事考課の例文
プロジェクト遂行において、開発期間を3ヶ月短縮し、コスト削減にも成功した。また、専門知識の習得にも積極的で、社内の技術勉強会にも積極的に参加している。
チームワークにおいても貢献が大きく、メンバーからの評価も高い。ただし、自分の意見を積極的に出せていない点が課題として挙げられる。今後は、チーム内での積極的なコミュニケーションを心がけるようにしてほしい。
自己評価の書き方と注意点
自己評価は、自身の成長やキャリアアップのためにも重要な要素です。自己評価を書く際には、自身の強みや改善点を正確かつ具体的に分析し、自己評価としてまとめることが求められます。
また、自己評価は、上司や人事担当者との面談の際にも役立つため、継続的なキャリアアップに向けた重要なステップといえるでしょう。
自己評価を書く際には、以下の点にも注意する必要があります。まず、自分の評価を過剰に高めることは避け、客観的な事実や数字を基に、自身の強みや課題を正確に評価することが大切です。
また、自己評価を書く前に、上司や同僚からのフィードバックを参考にし、客観的な視点で自己評価を行うことも重要となります。営業職および技術職を想定した自己評価の例文を、参考として挙げておきましょう。
〜【人事系おすすめ記事】「疑問ワードをわかりやすく解説」シリーズのご紹介 〜
「セクショナリズム」については、以下の特集記事『セクショナリズムとは?その特徴と対策をわかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
営業職の自己評価の例文
営業成績において、昨年度よりも売上を30%アップできました。また、新規開拓にも積極的に取り組み、新規契約獲得数を20%増加させました。
提案力については、お客様から高い評価が得られましたが、コミュニケーション面で改善が必要だと感じています。今後は、社内の他部署ともコミュニケーションを密にし、業務全体の効率化を図りたいと考えています。
このように、具体的な成果や改善点を挙げ、客観的な視点で自己評価を行うことが重要です。
技術職の自己評価の例文
「私は、技術職として、過去1年間で以下のような成果を出せました。
・新規プロジェクトにおける担当箇所の技術的課題をクリアし、プロジェクトを成功に導いた。
・社内勉強会に積極的に参加し、新しい技術を習得できました。
・チーム内でのコミュニケーションを重視し、メンバーの技術力向上に貢献できました。
一方で、今後改善したい点は以下のように考えています。
・業務の効率化による時間の余裕を活かし、新しい技術の習得やプロジェクトマネジメントのスキルアップを目指したいと考えています。
・業務におけるドキュメント作成などの文書作成スキルを向上させることで、業務の品質向上に貢献したいと考えています。
以上のように、自己評価においては、自分自身が担当した業務やプロジェクトでの成果や貢献を客観的に評価し、今後の成長方針についても具体的に考えることが大切です。
人事考課は従業員のモチベーションに大きく関与してきます。しかし、パフォーマンスの低下、人材流出を回避するためには、人事考課以外にも、社員のワークワイフバランスやウェルビーイングの実現を考慮する必要があります。
ワークワイフバランスについては、以下の特集記事『「ワークライフバランス」の使い方はもう間違わない!例文付き解説で完全マスター』で取り上げて詳しく解説しています。
また、ウェルビーイングの実現については、以下の特集記事『ウェルビーイングとは?社会・福祉・健康・経営等の視点からみた重要性』で詳しく解説しています。ぜひ、そちらも参考にご一読ください。
人事考課の重要性と課題
人事考課は、従業員の能力や成果を評価することで、彼らの能力を最大限に引き出し、組織の目標達成に貢献するための重要な手段です。目標の設定は、職務の遂行に必要な能力を明確にし、従業員のモチベーションを高め、業績を向上させるため欠かせません。
そして目標達成には、目的やタイムラインを明確にし、実現可能な目標を設定することが必要です。
一方、人事考課制度には課題もあります。例えば、評価基準が不透明であるため、従業員はどのような行動が評価につながるのかを理解しにくい場合もあるでしょう。また過度な競争によって、職場のコミュニケーションや協力関係に悪影響を及ぼすこともあります。
〜【人事系おすすめ記事】「疑問ワードを日本一わかりやすく解説」シリーズのご紹介 〜
育児・介護休暇に関係する要支援・要介護については、以下の特集記事『【人事担当者向け】要支援要介護状態とは?早わかり表付きで日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
人事考課制度の効果と課題
人事考課制度は、従業員の能力や成果を正確に評価することで、従業員の成長と組織の発展に寄与するとされています。適切に設計された人事考課制度は、従業員が自己評価を通じて自己啓発やキャリアアップを促進し、組織の戦略目標の達成に貢献できます。
しかしながら、人事考課制度には課題も存在します。例えば、評価基準が明確でない場合、従業員はどのような行動が評価につながるのかを把握することが難しく、評価に不満を持つことがあります。
また、評価結果を公開する場合、競争心が強くなり、チームワークや協力関係に悪影響を及ぼす可能性もあります。
人事考課における本人コメントと例文
人事考課においては、従業員の自己評価が重要な役割を果たします。本人コメントは、自己評価のための重要な手段であり、従業員が自己の能力や成果を客観的に評価するために必要です。
また、本人コメントは、評価者との面談時に話題となるポイントを整理できるため、効果的なコミュニケーションにもつながります。
本人コメントを書く際には、自己評価に基づいて、自身の強みや弱み、課題、目標などを客観的に整理しましょう。また、評価基準に沿った具体的な成果や行動を例示し、自己評価に裏付けを与えることが大切です。
以下に例を示します。
【本人コメントの例】
〇〇年度の自己評価にあたり、以下のように考えました。
【自己評価】
・強み:〇〇な能力を活かして、〇〇の成果を上げられました。
・弱み:〇〇な能力に不足があり、〇〇の課題が残っています。
・目標:〇〇な能力を伸ばし、〇〇の成果を上げることを目指します。
・具体的な成果:〇〇なプロジェクトで、〇〇を達成しました。また、〇〇な行動を行い、〇〇な成果を上げました。
本人コメントは、従業員自身が評価に向けて自己分析を行うことで、自己評価の質を高め、評価結果に反映される可能性を高めます。
なお、適切な人事考課がもたらすもののひとつは、従業員のリテラシー、とりわけ最近ではITリテラシーの向上です。
本サイトの読者のみなさんが所属する企業を含めて、現代の企業はIT化やDXの進展に遅れないよう、ITリテラシーを維持・向上するのがひとつの課題です。ビジネスの中核であるマーケティングも、今やデジタルマーケティングなしには立ち行かなくなってきています。
そんなデジタルマーケティングについては、以下の特集記事『デジタルマーケティングとは?現代ビジネスに欠かせない方法論を徹底解説』で総合的に解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
また、そのデジタルマーケティンで活用する、ビジネスに関する膨大な情報の収集と分析・解析に欠かせないのがマーケティングオートメーション(MA)です。
マーケティングオートメーション(MA)については、以下の特集記事『マーケティングオートメーションとは?ツールの選び方と運用の注意点』で包括的に詳しく解説しています。ぜひ、そちらも参考にご一読ください。
人事考課の改善方法と将来性
人事考課は、従業員の能力や成果を正確に評価することで、組織の発展に貢献します。しかし、時代の変化に合わせて、人事考課制度を改善する必要があります。以下では、人事考課の改善方法と将来性について述べます。
〜【人事系おすすめ記事】「疑問ワードをわかりやすく解説」シリーズのご紹介 〜
「ジョブローテーション」については、以下の特集記事『ジョブローテーションとは?その概要とメリット&デメリットを日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
人事考課の基準と評価の適正化
人事考課の基準や評価方法は、組織の目的や戦略に合わせて適正化する必要があります。具体的には、目標設定や評価基準の明確化、評価対象者と評価者の選定方法の見直しなどです。
適正な基準と評価方法を設定することで、従業員の能力を適切に評価し、組織の成長につながる評価を実現できます。
人事考課における面談とフィードバックの重要性
人事考課における面談とフィードバックは、従業員の能力や成果を正確に評価するための重要な手段です。面談を通じて、従業員と評価者は、目標の進捗状況や課題、アドバイスなどを共有し、フィードバックを提供できます。
適切なフィードバックは、従業員が成長し、組織の発展に貢献するために不可欠です。
人事考課が時代遅れにならないための取り組み
人事考課制度は、時代遅れにならないよう、時代の変化に合わせて改善を続けることが重要です。具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。
〜【人事系おすすめ記事】「疑問ワードを日本一わかりやすく解説」シリーズのご紹介 〜
「45歳定年制」については以下の特集記事『45歳定年制とは?大いに物議を醸した考え方の背景と問題点に迫る!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
技術革新に対応する新たな評価方法
技術革新が進む現代においては、従来の人事考課制度では適切な評価ができない場合があります。例えば、テクノロジー分野においては、技術スキルや知識の評価が必要となります。
このため、技術面を適切に評価する評価基準の設定や、技術者向けの評価方法の検討が必要です。
グローバル化に対応する新たな評価方法
グローバル化が進む現代においては、異なる国や文化圏で働く従業員の評価も重要になります。グローバル人材を評価する場合には、言語や文化の壁を超えた評価方法の検討や、異文化理解力や国際ビジネススキルの評価などが必要です。
以上のように、人事考課制度は組織の発展に欠かせないものですが、常に改善を続けることが求められます。時代の変化に合わせた適切な評価基準や評価方法の設定、ナビゲーターの活用、面談やフィードバックの重要性の認識などが求められます。
また、技術革新やグローバル化に対応した新たな評価方法の検討も必要です。組織と従業員の成長に貢献する人事考課制度を、改善と発展を続けることで実現していきましょう。
なお、当サイトの読者のみなさんが携わっていると思われる、サブスク型ビジネス、とりわけSaaSビジネスにとっての最重要課題は「カスタマーサクセス」です。
そんな「カスタマーサクセス」について、以下の特集記事『カスタマーサクセスとは?サブスク型SaaSビジネスの生命線を完全解説!』で特集しています。ぜひご一読ください。
また、SaaSを含むBtoB企業における、マーケティング組織の類型と作り方や、営業部門との関係性に関して以下の特集記事『現代のマーケティング組織の類型と作り方とは?営業部門との関係性も解説』で解説しています。ぜひ、そちらも参考にご覧ください。
まとめ
人事考課の概要と実施方法、課題や改善方法、そして将来性について解説しました。人事考課は、従業員の能力や成果を正確に評価することで、彼らの能力を最大限に引き出し、組織の目標達成に貢献するための重要な手段です。
しかし、適正な基準と評価方法の設定、面談やフィードバックの重要性など、改善すべき課題もあります。そのため、人事考課制度は時代の変化に合わせて改善し、従業員の能力を最大限に引き出すことが必要です。
企業の経営者や経営幹部、決裁者のみなさんは、ここでご紹介した記事を「人事考課」への取り組みに際しての参考にしていただければ幸いです。
【ビジネスパーソン必見情報!】
あらゆるビジネスパーソンにとって、マーケティングスキルはビジネスにおける自分の最強のリソース(資源)であることを、以下の特集記事『マーケティングスキルは身につけて損がないビジネス上の最強の自己資源』で総合的に詳しく解説しています。ぜひそちらも、参考にご覧ください。
ちなみに、そもそもマーケティングとは一体どういうものなのかについて知りたいみなさんのためには、以下の特集記事『マーケティングとはなにか?その意味や定義を日本一わかりやすく解説』において、掘り下げつつわかりやすく解説しています。
基礎的情報として、ぜひ参考にご一読ください。
【SNSフォローのお願い】
kyozonは日常のビジネスをスマートにする情報を、毎日お届けしています。
今回の記事が「役に立った!」という方は、twitterとfacebookもフォローいただければ幸いです。
twitter:https://twitter.com/kyozon_comix
facebook:https://www.facebook.com/kyozon.comix
※2023年以降のマーケティング戦略構築に参考になる、マーケティングトレンドについて、以下の特集記事『マーケティングトレンドを徹底解剖!2022年までの考察と2023年の展望』で総合的かつ詳細に解説しています。ぜひとも、参考にご一読ください。
※マーケティングを実践するにあたって、消費者の購買行動を可視化するマーケティングモデルというものがあります。マーケティングモデルとは何かについて、以下の記事『マーケティングモデルとは?認知から購買の消費者行動を分析した仮説』でわかりやすく解説しています。そちらも、参考にご一読ください。
※マーケティング活動は幅広い領域にまたがるため、全体を統括するスキル「マーケティング・マネジメント」が求められます。
「マーケティングマネジメント」について、そのプロセスと業界別成功例を以下の特集記事『マーケティングマネジメントとは?プロセスと業界別成功例を徹底解説』で詳細に解説しています。そちら、ぜひ参考にご覧ください。