そもそもスキミングとは?
スキミングは英語の “skimming” のカタカナ表記です。まずはスキミングという言葉そのものの意味を紐解きましょう。
英語の “Skimming” =スキミングの意味
“skimming” は動詞 “skim” の現在進行形です。つまり、 “skim” の意味を理解すれば、自然とスキミングが理解できるでしょう。
ウィズダム英和辞典によれば、 “skim” には以下のような解釈が挙げられています。
【他動詞】
- (本などに)ざっと目を通す
- (液体の表面から上澄みや上皮を)すくい取る・すくってきれいにする
- (水面地表などを)すれすれに飛ぶ・すばやく動く
- (湖・川などに石・小石などを)水面すれすれに投げる
- (お金を長期間少しずつ)盗む・着服する
- 〜〜を皮膜で覆う
【自動詞】
- すうっと通る・すべるように飛んで行く
- (要点をつかむために)ざっと目を通す・ぞんざいに読む・走り読みする
- 上澄み(上皮)ができる
日常で耳にするスキミングには、主に以下の3種類があります。
- キャッシュカード・クレジットカードのスキミング
- 読書におけるスキミングと
- マーケティングにおけるスキミング
ここからは、上記それぞれを順に見ていきましょう。
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キャッシュカード・クレジットカードのスキミングとは
キャッシュカード・クレジットカードのスキミングとは、他人のキャッシュカードやデビットカード、クレジットカードから、主に偽造カードを作る目的で不正に情報を抜き取る犯罪行為です。
抜き取られた情報を基に作られる偽造カードで、ショッピングやATMでの現金引き出しなどを行います。従来は磁気ストライプ型カードがねらわれていましたが、最近では巧妙化してICチップ型、さらに非接触型ICカードでも被害に遭うリスクがあります。
この犯罪の特徴はカードそのものを盗まず、情報だけを抜き取ることです。被害に遭ったとしても、なかなか気が付きません。カードに書き込まれた情報を抜き取るのは、スキマーという特殊なツールです。
海外においても、被害に遭う可能性があります。海外旅行は非日常を体験をするため、誰しも気がゆるみがちになるものです。国内であれ海外であれ、旅行先においてスキミング犯罪の被害者になるケースが多いので、旅行時には周囲への注意を怠ってはなりません。
なお、当サイトの読者のみなさんは、マーケティングに携わるかたも多いと拝察されます。
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スキミングの手口の事例
スキミングの手口としては、たとえばタクシーを利用して決済時に支払い用のクレジットカードを手渡した際にスキミングされることがあります。
あるいは置き引きのように、待合室のような場所で中にカードが入った荷物を置きっぱなしにしてちょっとその場を離れている間に、スキミングされることも珍しくありません。
飲み物を買いに行ったりトイレに行ったりする際も、カードは持ち歩くようにしましょう。他にも以下のような手口があるので、気をつけてください。
ATMコーナーでの手口
ATMコーナーのカード挿入口周辺にスキマーを設置し、カード挿入時にデータを読み取ります。そしてカードの暗証番号を知るために、そのATMコーナーの周辺に設置した小型隠しカメラによって盗撮を行います。
ゴルフ場等での手口
ゴルフ場などのセーフティボックス周辺に小型隠しカメラを設置して、セーフティボックスの暗証番号を盗撮します。それによってまず、セーフティボックスから財布やカードケースを盗み出します。
次にスキマーを使ってカードのデータを読み取り、スキミングが発覚しないよう財布やカードケースを元通りセーフティ・ボックスに戻します。
暗証番号はセーフティボックスの暗証番号や財布に入っていた身分証明書などから知り得た生年月日などから類推するというわけです。暗証番号がわからなくとも、暗証番号入力が不要な少額決済で使われる危険性があります。
スキミングは非接触で距離があっても行われる
カードには磁気ストライプ型カードとICチップ型カード、そして最新の非接触IC型カードがあります。
磁気ストライプ型カードは情報量が少なくてセキュリティが低く、スキマーを近付けるだけで、ものの1秒も掛からずカード情報がすべて読み取られてしまうおそれがあります。
ICチップ型カードはスキマーを直接接触させる必要があり、情報量が多いのでスキミングに要する時間が長くて難易度が高くて偽造も難しく、多少安全性は高まります。
一方、非接触IC型カードに対するスキミングは、性質上スキマーをカードに接触させる必要がなく、磁気ストライプ型カードのように近付くだけで情報を読み取れてしまいます。
そういう意味では、前身であるICチップ型カードよりもスキミングに遭うリスクが高いともいえるので、注意が必要です。
スキマーの大きさはタバコの箱程度です。スキミングを目論む者が隠し持っていたとしても、発見は困難です。他者との距離が近くなる満員電車およびエレベーターなどの空間ではとりわけ注意が必要です。
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スキミング防止とはどうすればよい?
スキミングを防止するために注意すべきことは、以下のとおりです。
- なるべく磁気カード型や非接触IC型よりもICチップ型カードを使う
- カード挿入口周辺に不審な装置がついていないか注意する
- カードを扱う店舗スタッフの動きに不審な点がないか注意する
- 生年月日などの推定されやすい暗証番号は避ける
- カードを入れた財布や鞄を放置しない
- カードは絶対に他人には貸さない
- 暗証番号入力時はどこからも見えないよう空いている方の手で覆い隠す
- 極力銀行内の案内員がいるようなATMを使う
- 観光客が多いエリアでのカード使用時は特に注意する
- 海やゴルフ場、ジム、スパなどの財布を手放す場所には極力カードを持参しない
スキミングされたらどう対処すべきか
スキミングはいくらさまざまな対策を講じていても、100%回避できるとはいえません。万が一、不正使用の発生がわかった場合は、速やかに金融機関やクレジットカード会社に連絡をして、カード停止などの然るべき対処を施してもらうのが最優先事項です。
スキミングに保険は適用されるのか?
クレジットカードは多くの場合に付帯されている保険により、被害者に損害額を支払う必要はありませんが、こちらも100%ではありません。補償の適用期間が決められていることもあります。
また、他人にクレジットカードを預けるなどの、利用者側に明らかな過失がある場合には、補償されないケースもあるので注意しましょう。
クレジットカード会社や利用しているカードの種類によって、受けられる補償や条件が異なるので、きちんと確認しておくことが大切です。
キャッシュカードとデビットカードの偽造カード被害に関しては、故意であることや重大な過失がある場合を除き、金融期間が被害を補償します。
読書におけるスキミングとは
読書に関して使われる「スキミング」とは何でしょうか?
これはウィズダム英和辞典の解釈「(本などに)ざっと目を通す」に当たるものです。ただし、あえてスキミングという場合は、単に動作の表現ではなく読書メソッドとしての意味合いが付随しています。
スキミングは「拾い読み」
スキミングの趣旨は短時間でその本の概要や主張などの、重要な部分を理解するための方法です。いわゆる「拾い読み」を確信犯的に行います。
多読向けの省エネ読書法
スキミングは、特に多読をしたい場合に向いた読書法です。
一般的なスキミングの方法は、「タイトル」「目次」「まえがき」「あとがき」「解説」などの、要点が書かれているところを読むことで全体像を掴み、特にテーマの根幹となっている章だけは全部読むというようなやり方です。
特に目次というものは、その本の構成を可視化したものです。そのため、目次だけでも注意深く読めば、何を伝えたいかがある程度分かる場合が多いです。そのうえで、ここ一番と思える章を特定して読み込むことで、「省エネ」で1冊の本を理解できます。
なお、読書が趣味のビジネスパーソンなら、ビジネスやマーケティングの成功事例を紹介・解説した書籍を熟読してビジネスに活かし、趣味と実益を兼ねた読書を楽しみましょう。
マーケティング上での大きな成功事例を学ぶためのおすすめ本を厳選し、以下の特集記事『マーケティング戦略の実践に役立つ本おすすめ20選!初心者向け教科書から名著まで網羅』にて詳しくご紹介しています。そちらも、参考にチェックください。
また、当サイトの読者のみなさんに多いと思われるSaaS企業の重要領域「カスタマーサクセス」が学べるおすすめ本を、以下の記事『カスタマーサクセス(CS)が学べるおすすめ本10選!【レビュー星4つ以上限定】』にてご紹介しています。
そちらも、参考にご一読ください。
マーケティングにおけるスキミングとは
マーケティングにも、スキミングと呼ばれるものがあります。それは価格戦略のひとつです。詳しく見ていきましょう。
スキミング戦略は価格戦略
マーケティングの中の価格戦略のひとつに、スキミング戦略と呼ばれる方法論があります。
あらゆる分野の企業が活用しているスキミング戦略を用いれば、効率よく開発コストを回収でき、収益構造を早い段階で確立できる可能性を高めます。
この戦略の考え方は、ウィズダム英和辞典の解釈「(液体の表面から上澄みや上皮を)すくい取る・すくってきれいにする」のニュアンスに近いでしょう。
端的にいえば、美味しい部分だけをすくって自社の利益にする考え方です。そのため、上澄み吸収価格政策や上層吸収価格政策などとも呼ばれることもあります。マーケティング的にはスキミングプライスを設定するので、スキミングプライシングとも呼ばれます。
なお、マーケティングにはスキミング戦略以外にもさまざまな戦略がありますが、それらはマーケティングフレームワークを使うことで分析と戦略立案が効率的になります。
マーケティング上の分析や戦略立案に欠かせないフレームワークについては、以下の記事『マーケティング戦略に有効なフレームワーク9選!分析・立案フェーズ別に使い方も解説』で詳しく特集していますので、参考にしてください。
また、2023年以降のマーケティング戦略構築に参考になる、マーケティングトレンドについて、以下の特集記事『マーケティングトレンドを徹底解剖!2022年までの考察と2023年の展望』で詳細に解説しています。参考にご一読を。
スキミングプライシングとは?
スキミング戦略「スキミングプライシング」とは、新商品を市場に投入する企業が、高い収益力を得るために商品価格を初期販売時にかぎり、本来のあるべき価格より高めに設定することです。
高めに設定された価格=スキミングプライスでの初期の販売により、企業は早い段階から高い収益を得られ、商品開発に投下したコストの早期回収が図れます。
それが売れる商品ならば大抵の場合、追随する競合他社の商品が陸続と市場に登場して価格競争が始まります。しかし一番手の企業は、すでに上澄み利益を得ているので、価格競争になってもダメージが少ないという優位性があるのです。
しかしながらスキミング戦略の成功のためには、優れた革新的な商品といち早くそれを理解する「感度の良いファン」としての、「イノベーター」の存在が必要不可欠です。
ある程度プライスが高くても新商品を購入してくれる、「エンゲージメント」が高い顧客が自社についているかどうかと、いたとしてその層の分厚さ加減を認識できているかどうかが戦略の成否に関わってくるでしょう。
なお、そのエンゲージメントはスキミング戦略だけでなく、マーケティングそのものにおいて顧客心理を理解するために欠かせない概念です。
マーケティング上のエンゲージメントについては、以下の特集記事『マーケティング施策で高めるべき顧客エンゲージメントとは?事例付きで徹底解説』で詳しく解説しています。ぜひ、参考にご覧ください。
また、エンゲージメントは顧客との関係性を維持するために重要な要素ですが、潜在顧客を顧客化するためにはインサイト(無自覚の内なる欲求)が重要です。潜在顧客のインサイトを理解することで、他社との差別化が可能です。
インサイトの概念を理解するためには、以下の特集記事『マーケティングの生命線はインサイト!実践に応用して新市場を創造しよう』で詳しく解説しています。ぜひ、そちらも参考にしてください。
まとめ
スキミングについて、本来の意味を紐解いた上で、さまざまな分野のスキミングを解説しました。一般的にはキャッシュカードやクレジットカードを偽造するための、情報抜き取りの手口の意味でつかわれることが多いです。
しかし、当社の読者の多くの読者にとっては、マーケティングのスキミング戦略が直接関係しているでしょう。ここでご紹介した情報を参考にしていただき、日々のマーケティング施策に活かしていただければ幸いです。
また、当メディア「kyozon」ではマーケティングに役立つ、さまざまなサービスの資料が無料でダウンロードできます。マーケティング担当者や責任職のみなさんは、ぜひご利用ください。
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※マーケティングを実践するにあたって、消費者の購買行動を可視化するマーケティングモデルというものがあります。マーケティングモデルとは何かについて、以下の記事『マーケティングモデルとは?認知から購買の消費者行動を分析した仮説』でわかりやすく解説しています。そちらも、参考にご一読ください。
※マーケティング活動は幅広い領域にまたがるため、全体を統括するスキル「マーケティング・マネジメント」が求められます。
マーケティングマネジメントについて、そのプロセスと業界別成功例を以下の特集記事『マーケティングマネジメントとは?プロセスと業界別成功例を徹底解説』で解説しています。ぜひ参考にしてください。
※なお、テレビのマス広告を始めとしてあらゆる形式の広告にとって根幹となるのは、他社に模倣できない独自の強みの提案「USP」です。このUSPについて、以下の記事『マーケティングにおけるUSPとは?独自の強みを活かした提案の作り方』で特集しています。そちらも、ぜひ参考にご覧ください。