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グロービス経営大学院 堀 義人学長が「Lucky Fes」を通じて茨城県水戸市にもたらした地方創生

投稿日:2023年8月23日 /

更新日:2023年10月30日

グロービス経営大学院 堀 義人学長が「Lucky Fes」を通じて茨城県水戸市にもたらした地方創生
● 地方創生● 対談

地方創生サミット2022 地方創生と新しい働き方 Day2 アーカイブ
セッション開催日時:2022年7月12日

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登壇者プロフィール

堀 義人(ほり よしと) 氏
グロービス経営大学院 学長

京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。
住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur’s Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、世界の成長企業(GCC)の共同議長、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)、米国ウィルソンセンターのグローバルアドバイザリーカウンシル等を歴任。

2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設し、現在一般社団法人G1の代表理事を務め、日本のビジョンである「100の行動」を執筆する。2011年3月大震災後に復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げる。現在一般財団法人KIBOWの代表理事を務め、KIBOW社会的インパクトファンドを組成・運営している。2016年に水戸ど真ん中再生プロジェクトを始動。同年4月に茨城ロボッツ、2019年11月に茨城放送のオーナーに就任。 2022年1月、 ROCK IN JAPAN FESTIVAL が千葉に移転することが発表された2時間後にLuckyFesを立ち上げ、総合プロデューサーを務める。いばらき大使、水戸大使。5男の父親。

 

鈴木 章裕(すずき あきひろ) 氏
株式会社コミクス 代表取締役

1969年、大阪府生まれ。甲南大学法学部を卒業後、広告代理店の営業部長を経て、2000年にインターネット広告を手掛けるアイブリッジ株式会社へ入社。
2007年9月、アイブリッジ株式会社、アドデジタル株式会社、アカラ株式会社、ブランド総合研究所という4つの会社を束ねるグループ会社へと成長した同社の社長を辞し、株式会社コミクスを設立し、代表取締役社長に就任。

茨城県水戸市で地方創生を行うことになったきっかけ

今日はありがとうございます。
鈴木
鈴木
堀
こちらこそありがとうございます。
LuckyFes楽しみです。めちゃくちゃ楽しみです。堀さんはもう超有名人なので、ご存知の方もいっぱいいると思うんですが、簡単に他己紹介させていただいて、掘さんのほうにバトンタッチしたいと思います。

堀さんは、グロービス大学院学長、グロービスキャピタルパートナーズ代表パートナー、2008年G1サミット創設、2011年復興プロジェクト希望、2016年茨城ロボッツ取締役兼オーナー、2019年茨城放送ヒット株主、いばらき大使、水戸大使を歴任。今回7月23日24日Lucky FM Green Festival2022を主催されるという誰もが知っている我らがヒーロー堀さんです。よろしくお願いします。

鈴木
鈴木
堀
みなさん、こんにちは。 グロービスの堀でございます。僕は生まれてからずっと一貫して茨城県で過ごしていまして、小学校6年の時に東海村から水戸市に引っ越して、中学校高校と水戸で過ごしました。
堀さんは、グロービス大学院学長をやりながら、グロービスキャピタルパートナーズ代表パートナーもしながら、茨城に行ったときにシャッター街になっていて「何か貢献できることはないか」というところで、茨城に対する貢献を始めたっていうのをお伺いしてたんですけど、今回の7月23日24日のLucky FM Green Festivalなんてもう地域貢献の最たるものだと思うんですけど、過去これまで茨城・水戸に対して、どういう思いでどういうようなことをやってきて、どういう気づきがあったのかっていうところを簡単にお話しいただけますか?
鈴木
鈴木
堀
私の方から簡単に自分のちょっとお話をしたいのは、親父が転勤になったことによって水戸に帰ることがなくて、35年間、水戸に帰っていませんでした。2015年8月15日、終戦記念の日に、毎年開かれている同窓会が初めてお盆の期間中に開かれるということで帰ることができて、その時に見た街中の光景に画然としました。

もう僕が行ってたデパートとかは、8つぐらいあったのが1つも残ってない、サントピアってビルが廃墟となったビルと残っていて、ど真ん中の東急デパートは空き地になっているということで。デパートの跡地が廃墟や空き地になっていると、街中全体がものすごい廃れた印象でしたし、県庁が南の方に移転をしたことによって、本当に街中が廃れてしまって、全ての県の機関も含めて郊外に出てしまったと。

そこで僕は、30数年間何もやったことなかったことにすごい反省をして悩んだ結果「水戸ど真ん中再生プロジェクト」を立ち上げようということで、市長に直談判をして2016年2月から「水戸ど真ん中再生プロジェクト」というのを始めて、そこで水戸に縁がある方々のほか、僕みたいに東京に行ってしまった人とか水戸に縁がない人も含めて、そういった方にお願いをして、始まったわけです。

茨城ロボッツへの出資やグロービス経営大学院の立ち上げ

堀
1番最初に始まったのが茨城ロボッツの経営参画、バスケットボールチームですね。茨城ロボッツは実は2014年11 月に経営破綻したチームで、ちょうどBリーグが始まる前に滑り込みでB2に入って、そして僕が1億2000万円出資し50%の株式を取得したわけですが、その時は株式がほとんど1億2千万円の欠損ということで本当にもう赤字の状況の中で、僕自身100%買い取って、その後B1に昇格をしたと。

それから地方創生において、教育人材が育成が必要で、優秀な人材は全部東京に出てきたということもあるので、水戸にいる優秀な方々にきちんとした教育を施そうということで、グロービス経営大学院水戸校を立ち上げました。グロービスに関して東京、大阪、名古屋、仙台、福岡という、そういった大都市にしかないのに関わらず水戸にある理由がないんですね。したがって、ボード会議や経営会議の全てで否定されていったわけですが、その中でなんとか地方創生ということで、水戸校を分校的な形として、特別キャンパスとして立ち上げるということを行いました。

また、水戸の中心にある東急デパートの跡地を「M-SPO」という形で5年間借りて、そこを仮設のアリーナやカフェにしたりしました。それ以外にも「水戸維新」という本を出版して、水戸の歴史に対して「誇りをもたせよう」ということを行っていき、そして第9弾で行ったのが茨城放送の買収ですね。これは、朝日新聞社と日刊スポーツ新聞社が持っていた茨城放送の会社の株式を譲っていただきました。

コロナ禍にロックインジャパンが千葉へ移転

堀
茨城県というのは、全国の中で唯一、県域民放テレビ局がない県ですね。そして一方、ラジオに関してもAM、FM合わせての茨城放送1つしかありません。県域の放送局である茨城放送の株式を買い取って、そこで茨城放送の改革をLuckyFMという形で「いばラッキー」 という形で始めたわけです。

LuckyFM(茨城放送)がですね、去年初めてロックインジャパンの主催者になりました。これは嬉しかったわけです。ロックインジャパンというと20年間もの歴史あるフェスですから。

いやぁ、すごいですよね。
鈴木
鈴木
堀
ところが残念ながら、色々とあって去年の7月に中止になってしまって。コロナの関係もあって、2年間ロックインジャパンが茨城県で開催できず、去年の年末にロックインジャパンさんから「千葉に移転する」という話を聞いて、ものすごくショックを受けたんですね。

ロックインジャパンが茨城県で果たし役割は大きいですし、茨城県は魅力度最下位の県で、さらにロックインジャパンが移転してしまうと。「魅力度最下位でもロッキンがあるぜ!」ということをみんな言っていたわけです。千葉に移転してしまったら、経済的損失ばかりじゃなくて、1番大きいのはマインド面ですね。誇りの面や魅力度の面、あるいはフェス文化の面で、すべてが失われてしまうということで、結果的に僕らに与えられた選択肢は2つでした。

1つ目がフェスをやらずに夏を寂しく、指をくわえながら夏を過ごすのか。あるいはもう1つは、僕らがフェスを立ち上げるということで、どちらかしかなかったわけですね。それで実は今年の4月5日にロックインジャパンが「千葉に移転する、当面帰ってこない」ということを報告した際、僕らはその2時間後に「やります」と。

すごい。これ堀さんは元々、そういう音楽イベントのコネとかまったくなかったんですよね。
鈴木
鈴木
堀
そうですね。音楽業界のコネクションも、フェスの経験もノウハウも全くない中で、始まったので、本当に路頭に迷うってこういうことで。何を誰に話をして進めていったらいいかわからなかったという。

しかも、事業の場合には遅らせることができますが、7月の23日24日という日程を遅らせることはできないわけですね。「半年間という中で、どこまでできるか」ということをずっと模索してやってきて、実は音楽業界の重鎮からは、罵倒されていくんです。

「お前何考えてるんだ」と。「1年半かかるのに、素人のお前が、半年間でできるわけないだろ。やめとけ」というふうに言われました。「何がやりたいの?」と聞かれれば「茨城のフェス文化を……」と答えましたが「茨城なんて関係ないでしょ、音楽どうするの?」「クロスオーバーなんて成功しないよ」 と。もう全てが否定されていく中でなんとか作ってきたのが、このLuckyFesという形になっています。

社会貢献として行う地方創生

LuckyFes、僕も委員席で参加させてもらうんですけど、若い20代の僕らの親戚の子とか、申し込んだけど全然当選しないのでとか言ってもう大人気ですね、若者にも。
鈴木
鈴木
堀
今実は、23日と24日があって、音楽のクロスオーバーさせたことによって、本当にそのアーティストのトップアーティストの皆さんがパッションに応じていただいて僕はLuckyFesを含めて、「水戸ど真ん中再生プロジェクト」も、全ては使命感でやってるんですね。

今回のLuckyFesも僕自身がやる必然性はなくてですね、大学院とベンチャーキャピタルをやっていて、水戸の地方創生そのものも僕が行う事業としても必然性は全くないんです。全てが地方創生は社会貢献という形で行なっていて、グロービスそのものがそもそも社会貢献として始まっているので、それが本業なんですね。

福沢諭吉さんが慶応を作ったようにグロービスの大学院を作って、実学の教育を行うと。渋沢栄一さんが資本主義の父として多くの産業を作っていったように、ベンチャーキャピタルを通して新しい産業を作っていくのを僕も行って。マルチステークホルダーの会合として、日本を良くするということを行なって、「水戸ど真ん中再生プロジェクト」も水戸、茨城を盛り上げようということで行っているということ。

僕自身は、社会貢献を中心として捉えているので、その結果グロービスは創業以来、一切外部資本を入れずに、すべて内部資本のみで行っています。したがって、上場もしていないんですね。グロービスのみんなもその地方創生ということ、あるいは社会貢献ということを本業としてやっているという点を理解いただいて行なっているということになっているんです。そういう意味で今回のLuckyFesにしても、茨城放送、茨城ロボッツ、M-SPO、M-GARDEN、あるいは水戸維新も含めてですね、水戸で行なっていること全ては、本当に社会貢献のために行っていると。

これ、やりたいこと何かというと、水戸っていうのは明治維新のときにも、維新の先駆けだったんですね。僕は起承転結すべてを水戸が行ったという風に思っていることなんですが、水戸っていうのは「先駆け」っていうのをよく使うんですね。全ての先駆けが水戸だと。「地方創生の先駆けモデルを作っていこう」というのが僕らの思いで、したがって水戸がやったことが各地にも伝播していけばいう風に思っているので、ベンチャーキャピタルで儲かったお金すべてを水戸に投資をして、還元をして、そして新しいモデルが作れたら良いなって思いでやっています。

LuckeyFesで目指す日本三大フェスの規模

堀さん、それこそ音楽のフェスって費用とかも莫大にかかるじゃないですか。普通にビジネスイベントと比べ物にならないぐらいリスクあると思うんですけど、損得抜きにいこうっても決めて突っ走ったって感じですかね。6カ月って言ったら実質2、3ヶ月でもう色々決めないといけない感じですよね。
鈴木
鈴木
堀
実は茨城放送は、去年1年間の売上が6億円なんですね。それに対してLuckyFesは、たった2日間の予算規模が6億円なんですよ。したがって1年間かけたものを、それだけの数十人いる組織が作ってきたものを0から全くない組織から1人から初めて、6億円を使い切って。
怖いですね。
鈴木
鈴木
堀
本当に半端ない、やる必要のない無謀な冒険だったわけですが、 おそらく初年度は2億円近くの赤字になると思うんですね。これは何を考えたかというと、ロックインジャパンの「同じことをやったらいけない」ということで、全く違うことをやるんですよ。クロスオーバーやったりとか、あるいはテーマパーク的な面白さ、アートとかですね。

それから禁煙席とかファミリーエリアとか、全く違うものを作っていくことを考えていく一方で、クオリティを下げたくないということで、ステージの大きさや花火、全体にかかるアーティストエリアを含めたそのコストは、ロッキンのコストと変わらない形でやっていって、収入は5分の1ってことなんで、当然赤字になるんですね。赤字になるのは別に、それはもうベンチャーのベンチャーキャピタルをやってますので、スタートアップやってるとわかることは、初年度は赤字なんです。赤字をして、2年目、3年目、4年目に回収していけばいいっていうくらいの気持ちでやらないと、初年度トントンにしていこうと思うと、本当にショボい感じになってしまって、インパクトが出ないわけなんですね。

思い切ってアーティストも、素晴らしいアーティストに来ていただくための投資を行って、ステージのインパクトとか、公園の敷地におけるアートワークとか食であったりとか、もう全てさまざまな敷地におけるテントとかですね、クオリティを下げずに行って。その結果として満足していただけるようにしていきながら、2年目3年目で徐々に売り上げを上げていきながら、観客の動員数、観客に対して僕らは「フレンズ」という言葉を使っていますが、仲間と一緒に作っていくという形でやっていくことは考えていて、それを僕らが行っていくと。

僕らやるからには、せっかくならば3年間で日本三大フェスの規模にするという約束をしていて、したがって思い切った投資をしてきながら、2年目3年目も重き投資をしていき、多くの方に急激に受け入れていただけるような形のフェスを作っていきたいというのが僕の思いです。

「先駆けモデル」として続ける挑戦

フェスって関係者が多そうなんで、もう調整ってすごいんだろうなぁってなんとなく思ってるんですけど、その辺ってどうですか?
鈴木
鈴木
堀
本当にやってみてわかったことは、これだけ関係者が多いってのは本当にびっくりしたわけですが、茨城県とひたちなか市と、それから医師会長それから保健所それから消防署、警察署、それからJR、交通機関観、光協会、商工会議所、病院。そういった方々とのそして、地元のひたちなかというところには「那珂湊」という漁師さんもいらっしゃったりとか、地元の関係者、住民の方々、近くの近隣の方々ですね。

あと近隣施設とか全てにお願いをして、一方で音楽のアーティストから始まって、それからステージを構築する音響、それから照明、そしてスタッフィングそれから食事のケータリング、食のあるいはアートとかですね。本当にものすごい数の方々が関与していて、それを私たった1人から組織を作っていくということが、本当の本業そっちのけで行っていて、是非ともこの聞いていただいた方には、LuckyFesに来ていただけたらと思っています。

本業が順調なグロービスさんだからできるっていう説もありますけどね。
鈴木
鈴木
堀
上場もしてないですしね。それから社員の理解もあってですね。そして必然的な使命感によって動いているので、別にこれを通して何かを儲けようと思っていなくて、本当に水戸、茨城の方々、ひたちなかの方々に喜んでいただいて、そしてずっとロックインジャパンさんに来ていた、関係の方々、アーティストの方々の皆さんが喜んでいただければ嬉しいと思ってるので、じゃあやるからにはもっと面白いことを誰もやったことないようなことをやっていきたいと思っていますので、そういう形のものになっています。
まさに地方創生ですね。地方創生のまんまそのまんまなんで、何も言うことはなくて。企業ができる地方創生で、フェスをやるっていうのはやっぱり堀さんぐらいじゃないともうできないので、半端ないなーって。
鈴木
鈴木
堀
プロスポーツチームとかあるいは放送局を持っている方はおられると思うのですが、フェスまでやるっていうのは本当やったことないと思うので、本当に先駆けモデルになっていくんじゃないかなという風に思っています。
僕らもイベントいろいろやっている中で、リアルイベントのフェスほどしんどいものはないっていうのはもう知ってるので、ただただ尊敬です。地方創生そのまま体現されている堀さんでした。ありがとうございました。
鈴木
鈴木
堀
ありがとうございました。

まとめ

今後もSaaSについてのお役立ち情報とかを配信していきますので、チャンネル登録と高評価をよろしくお願いします。ご視聴いただきありがとうございました。
kyozon編集部
kyozon編集部

地方創生サミット2022 地方創生と新しい働き方 Day2 アーカイブ

YouTube:https://youtu.be/YhVKft9Nebo?t=231

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