マーケティングの目標とは?
まずはマーケティングの目標という言葉について誤解がないよう、マーケティングとは何かをおさらいしつつ、詳しく見ていきましょう。
そもそもマーケティングとは
マーケティングとは、個人や組織が消費者の求める商品やサービスを市場に出して利益を獲得する活動全般を指す概念です。
マーケティングの主体者は「価値」を市場の消費者に提供し、「売上」「利益」という対価を得る図式が根幹です。付加価値が高いほど、利益が増えるという方程式が成立します。
なお、「マーケティングとは何か」について、以下の記事で総合的に詳しく解説していますので、ぜひそちらも参考にご一読ください。
マーケティングの目標と目的の違い
一般的に目標と目的は、似通ったニュアンスを持っています。マーケティングの目的と目標も、一見同じに思えるかもしれません。しかし両者は同じではなく、はっきりと意味の違いがあります。
マーケティングの目的は、マーケティング活動を通して実現したい内容であり、最終ゴールともいえるでしょう。一方マーケティングの目標は、目的を達成するために通過すべきマイルストーンの役割です。
したがって目的はひとつで、それに向かう目標はマイルストーンの数だけ存在します。
なお、マーケティング戦略を学ぶためや、マーケティング業務の実践に役立つおすすめ本を厳選して20冊、以下の記事にてご紹介していますので、ぜひとも参考にしてください。
マーケティングの目標となる成果指標とは
成果指標とは、ひと言でいえば企業がマーケティングによって到達することを目指す、特定の基準値です。企業組織の成長につれて、スタッフのパフォーマンスレベルと部門業績を適切に測定・評価し、定期的に新しい目標を設定することが重要です。
またマーケティングの目標は、企業およびスタッフの強みと改善すべき弱みを理解するのにも有効です。強い部分を明確にし、ウイークポイントを改善するために工夫や方法を導入することで、企業の生産性の向上につながります。
ここからはマーケティングの目標設定について、基礎編と実践編に分けて見ていきましょう。
なお、なお、マーケティングと経営の関係性について、以下の記事でわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
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基礎編:マーケティング目標設定の重要性とメリット
基礎編として、マーケティング目標設定の重要性とメリットについて、以下の項目に整理して話を進めていきます。
- マーケティング目標設定の重要性
- マーケティング目標設定のメリット
- 組織目標と個人目標の設定ポイント
マーケティング目標設定の重要性
マーケティング目標の設定が重要なのは、マーケティング遂行上の無駄を最小に抑えるとともに、リソースの配剤を最適化できるからです。それを具体的に説明しましょう。
マーケティングの目標設定が適切であれば、取り組むべきことが明確になり、無駄なコストや労力、時間の消費を最小化し、最短距離で目的に到達可能です。
また目標設定が具体的であればあるほど、目的達成までに必要なリソースを的確に把握できるので、人材マネジメントが効率よく行えます。
なお、マーケティングの過去の代表的な成功事例については、以下の記事で特集していますので、ぜひ参考にご一読ください。
マーケティング目標設定のメリット
数値化されたマーケティング目標設定によって、マーケティング施策がきちんとできたか、できていないかを振り返れるのが、目標設定の本質的なメリットです。マーケティング目標を設定する具体的なメリットは多く、主な物だけでも以下の10項目が挙げられます。
- 担当者のモチベーションを維持・向上させる
- 担当者のスキルアップを促す
- 個人の評価がしやすくなる
- 自社の強みの一層の強化につながる
- 細かい業務の割り当てが円滑にできる
- 社内関係部署の協力体制を強化できる
- 予算組みがしやすくなる
- 生産性を向上させる
- 進捗管理・測定がしやすい
- 部門としての達成感・充実感の獲得につながる
なお、なお、マーケティング活動において極めて重要な部分である「広告」について、その種類や戦略、仕事内容を以下の記事で徹底解説しています。
組織目標と個人目標の設定ポイント
ここでは組織目標と個人目標に分けて、設定する際のポイントを見ていきましょう。
組織目標の4つの設定ポイント
組織目標を設定する際には、以下の4項目が重要ポイントとなります。
- 抽象的ではなく具体的であること
- 事業戦略や中長期計画と連動していること
- 市場動向の分析結果が反映されていること
- 実現(達成)可能な目標であること
また、マーケティング目標の達成には適切な人事評価制度や妥当なチームマネジメント、そしてマネージャーのリーダーシップなどの要素も必要です。
なお、現代のマーケティング組織の類型と作り方や、営業部門との関係性に関して以下の記事で特集していますので、参考にご覧ください。
個人目標の3つの設定ポイント
個人目標を設定する際には、以下の3項目が重要ポイントとなります。
- 組織目標が反映されていること
- 各人の強い部分が反映されていること
- 数値的な評価が可能であること
なお、業務としてのマーケティングとセールスの関係性について、連携のメリットと方法も含めて以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にご覧ください。
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実践編:デジタルマーケティングにおける目標設定
実践編としては、現代マーケティングの最重要部分となりつつあるデジタルマーケティングにおける目標設定について、見ていきましょう。
デジタルマーケティングの最大の特徴は、成果や効果が定量的に理解できることです。CV(コンバージョン)数やクリック数など、あらゆる指標を数値化できます。
ここではデジタルマーケティングにおける目標設定について、以下の2つの項目で解説します。
- デジタルマーケティングの目標設定の手順
- デジタルマーケティングの目標管理メソッド
デジタルマーケティングの目標設定の手順
デジタルマーケティングの目標設定の手順は「KGI設定」「KPI設定」「KDI設定」の流れがおすすめです。3つのフェーズに分けて詳細を見ていきましょう。
Fase1:KGI
KGIとは重要目標達成指標(Key Goal Indicator)とも呼ばれます。最終的なゴールを数値で定量評価する基準です。一定期間における名簿獲得数や成約件数、売上額などの総計が用いられます。
もしKGIが設定されていなければ、日常的もしくは継続的にその都度の達成度合いが確認できません。途中経過を曇りなく把握することが、物差しとして必要です。さらに言えばKGIの設定なくして、KPIやKDIを設定しても、根拠を欠いたものとなります。
デジタルマーケティングの目的を明確化
KGI の設定には、まずデジタルマーケティングの目的を明確化していきます。やり方は「目的達成に必要な売上」を想定し「達成期限を区切る」という2段階で行います。
ここで重要なことは、基礎編であったように必ず実現可能なレベルの数値を設定することです。そうでなければ、それ以降の決定値がすべて非現実的になってしまいます。
具体例を挙げておきましょう。
- 曖昧なKGI:業界シェア第1位獲得
- 明確なKGI:1年後に年間売上規模20億円
当初のKGIをさらに4項目に落とし込む
ここで可視化した目的を、一般的にKGIと呼びます。しかしながら、これを実際にKGIに設定すると、スタッフが意識しづらいものになります。
そこで、このKGIを以下の4項目に落とし込むことで、具体性があるKGIが設定可能です。
- 新規成約数
- 新規成約単価
- リピート数
- リピート単価
例えば、新規獲得によって売上20億円を目指すなら、以下のようなKGIが想定できます。
- 新規成約数:200件
- 新規成約単価:1,000万円
「X件アップ」「X%アップ」などの増加幅では、具体的ではあっても現場のスタッフには意識しにくい、経営よりの指標となります。件数・単価を目標として設定することで、現場の最前線で取り組むスタッフにとって、リアルに意識しやすくなります。
Fase2:KPI
KPIは重要業績評価指標(Key Performance Indicators)とも呼ばれます。最終ゴールまでの達成度を、業務を細かく因数分解して定義する測定基準です。
進捗状況を示すものとして使われ、状況から判断して打ち出す対応策によって、その先どういう展開になるのかを予測するのにも有効です。KPIの設定には準備としてマーケティング戦略を、現場の戦術に落とし込んだ多くの施策群を構築しなければなりません。
そして施策ごとにKPIを設定していきます。デジタルマーケティングの目標設定のうち、最も難しいのがKPI設定と言われるのは、設定数が非常に多いことと、抜け漏れがあったとしても見つけにくいからです。そのため、慎重に設定しなければなりません。
マーケティング施策ごとにKPIを設定する
マーケティング施策ごとのKPIを設定していくやり方は、過去データをベースにしてKGIをC(コンバージョン)数に置き換え、割り振ります。
たとえば過去のリード獲得数を分母とした顧客化率を算出し、「新規成約数:200件」のためには逆算してリードを何人(何社)獲得するべきか導き出せます。そのリード数につながる資料請求数を、過去のリード獲得数を資料請求数で割って出します。
さらに、それだけの資料請求を誘発するための、SEO対策やリスティング広告、SNS広告の件数も過去の割合から算出するのです。そうやって具体的なKPIが生成されます。
Fase3:KDI
最後にKDIを設定します。KDIは “Key Do Indicator” の略語で、達成したいゴールのための「計測可能な数値による行動指標」といえるでしょう。このKDIの考え方は行動を具体的に変える事で、目標達成に近づけることができるという発想から生まれました。
KPIをKDIに落とし込む
KDIの設定は、KPIを基に以下の3段階で行います。
- KPI達成のためになすべきことを挙げる
- なすべきことの目標行動量・目標達成期間(=KDI)を決める
- 継続が求められるKDIを日・週・月のいずれかの単位に落とし込む
たとえばKPIとなっている「資料請求数確保のためのSEO対策件数」に求められるPV数やクリック率がKDIです。
あるいは「資料請求数確保のためCVR(コンバーション率)」に求められる「関連KWの上位表示数率」「CTAのクリック率」「入力フォームの離脱率」「直帰率」などもKDIとなります。
KDIに優先順位をつける
なお、効果が高いと想定される順に、KDIに優先順位を付けるのが賢明です。設定数がかなり多いからで、おそらくすべてを消化するのは至難の業だからです。
これでデジタルマーケティングの目標設定はOKです。後は実際にマーケティング施策を実行して、個々の目標をひとつずつ達成していくことです。
なお、現在注目の業務領域であるカスタマーサクセスのKPIについて、設定の注意点や達成のポイントを含め、以下の記事で徹底解説していますので、そちらもぜひ参考にしてください。
デジタルマーケティングの目標管理メソッド
デジタルマーケティングにおいては、正しく目標管理を行わなければ、順調に目標を達成できません。たとえ達成できたとしても、遠回りするなどの無駄な時間がかかってしまいます。
ここでは、デジタルマーケティングの目標管理メソッドを4つご紹介しましょう。
メソッド1:日々のKDI分析
行動しなければ決して結果は出ません。KGIをスピーディに達成するためには、個々のKDIを日々分析する必要があります。分析方法は以下のとおりです。
- KDIを計測
- KDIの未達要因を熟考
- 改善案を抽出・実行
- すべてのKDIが達成できるまで上記3工程の日々の反復
未達要因は見落とされがちなので、チームリーダーもスタッフも一緒に考えるのが賢明です。
メソッド2:1日単位でのKPI評価
月単位や週単位でKPIを考えると、達成までの道のりが遠く感じます。それはスタッフのモチベーションを下げる要因となりがちです。
あなたは以下の2どちらのほうが出来そうに感じますか?
- 資料請求数1,500件/月
- 資料請求数50件/日
多分後者のほうが出来そうにかんじたのではないでしょうか。この2つは同じことを表現していて、基準の単位が異なるだけです。このように、KPIは1日単位で評価したほうがモチベーションを維持できます。
メソッド3:常時KGI・KPI・KDIの連動性を確認
KGIが達成できないチームには、KDIとKPIがうまく連動していないことが多く見られます。KGI・KPI・KDIがすべて連動していなければ、いくら努力してもなかなかKGIを達成できません。
KPIが確実にKGIに影響を与えているか?
KDIが確実にKPIに影響を与えているか?
それを常に確認しておきたいものです。そして、問題に気づけば速やかに修正しましょう。
メソッド4:KDIとKPIの漏れを定期的にチェック
KDIとKPIは漏れが生じやすい傾向があります。なぜなら設定数が多いからです。万が一漏れがあれば、KGI達成がそれだけ遠くなりかねません。見落としがないか、新たに設定すべき項目が発生していないかを定期的に調べる必要があります。
なお、デジタルマーケティングに欠かせない、マーケティングオートメーション(MA)については、以下の記事で詳しく取り上げていますので、参考にしてください。
マーケティング目標の設定に役立つSMARTの法則
マーケティング目標の適切な設定にはSMARTの法則が役立ちます。この法則は現代マネジメントの父、経営学者ピーター・ドラッカーが提唱したものです。
SMARTの法則は、欧米の企業が目標を立てる際にデフォルトで用いられるフレームワークとなっています。マーケティング目標や、さらに上位目標の経営目標の設定、現場寄りの部署や各スタッフの個別目標まで、すべてに適用できるフレームワークです。
SMARTは以下の項目の頭文字です。
- Specific
- Measurable
- Achievable
- Relevant
- Time-bound
それぞれを見ていきましょう。
Specific
Specificは「明確である」という意味です。目標は明確に特定されたものでなければならないということです。Specificか否かは、4Wにきちんと答えられるかどうかで判断します。
When:いつ・Where:どこで・Who:だれが・Wht:なにをするのかが明らかなら、Specificということです。4Wがあいまいであれば、そのあいまいさが消えるまで目標を詰めなければなりません。
Measurable
Measurableは「測定可能である」という意味です。ドラッカーの名言「測定できることのみが達成可能だ」というのも、この考え方から来ています。
測れない目標は目標として不適切です。PDCAサイクルを回す場合にも、現状が測定不可能であれば、状態が良いのか悪いのかが判断できず、適切な改善の行動が起こせません。
Achievable
Achievableは「到達可能である」という意味です。目標があまりにも高過ぎて非現実的であれば、現場のスタッフのモチベーションが低下してしまいます。
もちろん目標は高くあるべきにせよ、それは根拠があってこそです。合理性もなく高い目標は失敗の原因とはなっても、士気を鼓舞することは決して望めません。
過去のデータと現在の状況、今後の見通しを考慮して、合理性がある目標でなければなりません。低過ぎてもよくなく、各人が最高のパフォーマンスを発揮すれば手が届くくらいの難易度が妥当です。
Relevant
Relevantは「妥当である」の意味です。例を挙げましょう。
利益率を目標にすると利益が充分出る価格設定によって「率」そのものは達成できても、その価格ゆえに売れ損ねる販売ロスがあり、売上総額は下がるので、妥当な目標とはいえません。
この例に関しては、売上目標を最優先の項目とし、達成した上での内容をさらに評価する際に利益率は生きてきます。売上達成をしなかった際の利益率達成は無意味ということです。
Time-bound
Time-boundは「期限が定めてある」という意味です。マーケティングに限らず、ビジネスは期限が守られてこそ意味があります。期限のない目標は、気休めにしか過ぎません。
以上がピーター・ドラッカーによるSMARTの法則です。KGIやKPI、KDIの設定に役立てましょう。
なお、ピーター・ドラッカーの理論を交えつつ、マーケティングにおけるターゲット設定の戦略的意義を以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にご覧ください。
マーケティング目標の具体的な例
最後にマーケティング目標の具体例をご紹介します。
コンテンツマーケティングのマーケティング目標
コンテンツマーケティングであれば、オウンドメディアの訪問ユーザーに関しての目標が妥当です。一定期間内の訪問者数やUU(ユニークユーザー)数、CV(コンバージョン)数、CTR(特定URLやボタンのクリック率)などを中心に設定します。
ほかにも、「資料ダウンロード」「問い合わせ件数」などがあります。
なお、コンテンツマーケティングの詳細に関しては、以下の特集記事にてわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にご一読ください。
SNSマーケティングのマーケティング目標
SNSマーケティングの場合は一定期間内の獲得フォロワー数やRT(リツイート)数、キャンペーンの参加数、CTR(特定URLやボタンのクリック率)などを中心に設定します。
なお、SNSマーケティングのなかでもInstagram(インスタグラム)を活用したインスタマーケティングについては、以下の記事で詳しく特集しています。ぜひそちらも参考にしてください。
Google広告のマーケティング目標
Google広告のマーケティング目標としては、デジタル上ではWebサイトへの訪問者数や広告の表示回数、クリック数、平均リック単価などを中心として設定します。
リアルな目標としては、電話での問い合わせ件数や実店舗への来店者数、購入者数、来店予約数などが挙げられます。
なお、Googleの活用を含めて、飲食店の顧客拡大を促進してビジネスとしての成功に近づけるマーケティング手法および、Web活用の重要性とノウハウを以下の記事で特集しています。ぜひ、参考にご覧ください。
まとめ
マーケティング目標について、目標設定の重要性とメリットおよび設定方法について言及しました。KGIがKPIやKDIなどの細かい指標としっかり連動していることの重要性が伝わったかと思います。
マーケティング担当者のみなさんは、ここでご紹介した情報を参考に、妥当性がある目標を設定して日々分析し、最終ゴールに最短距離で到達してください。
また、当メディア「kyozon」ではマーケティングに役立つ、さまざまなサービスの資料が無料でダウンロードできます。マーケティング担当者や責任職のみなさんは、ぜひご利用ください。
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※当サイトの読者のみなさんが携わっていると思われるサブスク型ビジネス、とりわけSaaSビジネスにとって最重要課題ともいえる「カスタマーサクセス」を以下の記事で特集しています。ぜひご一読ください。
※マーケティングスキルこそ、身につけて損がないビジネス上の最強の自己資源であることを、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にご覧ください。