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【法人向け】オンライン営業トレーニングの方法|セールス組織強化の実践術

投稿日:2025年10月30日 /

更新日:2025年10月31日

【法人向け】オンライン営業トレーニングの方法|セールス組織強化の実践術
● 営業力強化

リモートワークやDXが浸透した現代において、営業力の標準化とスキルアップは多くの企業にとって喫緊の課題となっています。計画的に導入・運用するオンライン営業トレーニングは、コストを抑えつつ、データに基づいた効果的なセールス組織強化を実現する最も有力な手段です。本記事では、eラーニングやウェビナーといったオンライン営業トレーニングの具体的な種類と特徴、企業側が享受できるメリットと注意すべきデメリット、そして成果を出すための導入ステップを5段階で詳しく解説します。

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今なぜオンラインでの営業トレーニングが重要視されるのか

現代のビジネス環境は、テクノロジーの進化と社会情勢の変化により、かつてないスピードで変容を続けています。特に営業領域においては、顧客との接点が多様化し、従来の対面中心の活動だけでは成果を最大化することが難しくなりました。このような背景から、営業組織のスキルセットを時代に合わせてアップデートする「オンライン営業トレーニング」が、企業の競争力を左右する重要な経営課題として注目されています。

本章では、なぜ今、多くの企業がオンラインでの営業トレーニングに投資し、セールス組織の強化を図っているのか、その具体的な理由を2つの側面から深掘りしていきます。

働き方の多様化とDX推進の波

オンライン営業トレーニングが急速に普及した最大の要因は、「働き方の多様化」と国を挙げた「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進」の大きな潮流です。これらは個別の事象ではなく、相互に影響し合いながら営業のあり方を根本から変えています。

リモートワークやハイブリッドワークが当たり前になったことで、営業担当者はもはやオフィスに縛られません。全国各地、あるいは世界中に点在するメンバーが、時間や場所の制約なく働けるようになりました。この新しい働き方を前提とすると、全社員に対して均質で高水準な教育機会を提供するためには、オンラインという選択肢が不可欠です。育児や介護といったライフステージの変化にも柔軟に対応でき、優秀な人材の定着と育成にも繋がります。

さらに、営業DXの進展は、営業担当者に新たなスキルを要求しています。SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)といったツールを駆使したデータドリブンな営業活動、MA(マーケティングオートメーション)と連携したインサイドセールス、そしてオンライン商談ツールを効果的に活用したリモートでの顧客対応など、テクノロジーを味方につける能力が、個人の成果、ひいては組織全体の生産性を大きく左右する時代になったのです。これらのデジタルスキルを効率的に習得させる場としても、オンライン営業トレーニングは最適な手法と言えるでしょう。

従来の集合研修が抱える課題

オンライン営業トレーニングの重要性は、これまで主流であった「集合研修」が抱える構造的な課題を浮き彫りにすることでも理解できます。多くの企業が、従来の研修スタイルに限界を感じ始めていました。具体的にどのような課題があったのか、以下の表で整理します。

課題の側面集合研修における具体的な課題点
コスト面会場費、講師や受講者の交通費・宿泊費など、高額な費用が発生する。また、研修参加中は営業活動が停止するため、目に見えない機会損失も大きい。
時間・場所の制約指定された日時に特定の場所へ集合する必要があり、全国に拠点を持つ企業ではスケジュール調整が極めて困難。移動時間も大きな負担となる。
教育の均質性と定着講師のスキルや経験、その日のコンディションによって研修の質にばらつきが生じやすい。一度きりの研修では内容が定着しにくく、後からの復習も難しい。
効果測定の難しさ研修後のアンケートは「満足度」の測定に留まりがちで、実際の行動変容や業績への貢献度を定量的に把握することが困難。

これらの課題は、特に変化の激しい現代において、企業の成長を阻害する要因となり得ます。オンライン営業トレーニングは、これらのコスト、時間、場所、品質、効果測定といった集合研修の課題を解決し、より効率的かつ効果的な人材育成を実現するための強力なソリューションなのです。営業担当者一人ひとりがいつでもどこでも学べる環境を提供することは、組織全体の学習文化を醸成し、継続的な成長を支える基盤となります。

オンライン営業トレーニングの主な種類と特徴

オンラインで実施される営業トレーニングには、様々な種類が存在します。それぞれに特徴があり、目的や対象者、予算に応じて最適な手法を選択することが、研修効果を最大化する鍵となります。

ここでは、代表的な5つのトレーニング形式について、その特徴、メリット、デメリットを詳しく解説します。自社の課題に合った最適なトレーニング手法を見つけるための参考にしてください。

eラーニング形式(自己学習型)

eラーニング形式は、LMS(学習管理システム)などを活用し、あらかじめ用意された教材を個々のペースで学習する自己学習型のトレーニングです。時間や場所に縛られず、知識のインプットに非常に効果的です。

商品知識や業界知識、基本的な営業理論など、普遍的な知識を体系的に学ぶのに適しています。受講者は自身のスマートフォンやPCからアクセスし、理解度に合わせて繰り返し学習できるため、知識の定着率向上が期待できます。管理者側は、LMSを通じて各受講者の学習進捗やテストの成績を一元管理できるため、効率的な教育体制を構築できます。

ただし、受講者の自主性に委ねられる部分が大きいため、モチベーションを維持するための工夫や、学習を促す仕組みづくりが重要となります。

ライブ配信形式(ウェビナー・双方向型)

ライブ配信形式は、ZoomやMicrosoft TeamsといったWeb会議システムを利用して、講師と受講者がリアルタイムで繋がるトレーニング手法です。集合研修のオンライン版とイメージすると分かりやすいでしょう。

この形式の最大の強みは、その場で質疑応答やディスカッションができる双方向性にあります。講師からの一方的な講義だけでなく、ブレイクアウトルーム機能を使ったグループワークや、オンラインでのロールプレイングも可能です。他の受講者の意見を聞いたり、講師から直接フィードバックを受けたりすることで、深い学びと気づきを得られます。受講者同士の一体感が生まれやすく、学習意欲の向上にも繋がります。

一方で、全受講者が同じ日時にスケジュールを合わせる必要があり、講師のファシリテーションスキルが研修の質を大きく左右する点には注意が必要です。

動画コンテンツ活用型(オンデマンド)

事前に制作した研修用の動画コンテンツを、サーバーや動画プラットフォーム上にアップロードし、受講者が好きなタイミングで視聴する形式です。eラーニングの一種ですが、特に動画という媒体の特性を活かしたトレーニング手法を指します。

トップセールスの商談の様子や、顧客への効果的なヒアリング方法など、文章だけでは伝わりにくい実践的なノウハウやスキルを視覚的に学べるのが大きな利点です。1本あたりの時間を短くしたマイクロラーニング形式の動画を用意すれば、移動中や休憩時間などのスキマ時間を活用した効率的な学習が可能になります。一度作成すれば企業の知的資産として蓄積され、新入社員が入るたびに繰り返し活用できる点も魅力です。

VRやシミュレーターを活用した実践トレーニング

VR(仮想現実)技術や専用のシミュレーションソフトを用いて、限りなくリアルに近い環境で営業体験ができる最先端のトレーニングです。VRゴーグルを装着することで、あたかも実際の商談現場にいるかのような没入感を体験できます。

この手法では、高圧的な顧客への対応や、予期せぬ質問への切り返しなど、現実では失敗が許されないような厳しい状況を安全な環境で何度でも繰り返し練習できます。受講者の視線の動きや声のトーンなどをデータとして記録・分析し、客観的なフィードバックを得ることも可能です。これにより、商談における自身の癖や弱点を具体的に把握し、改善に繋げることができます。まだ導入コストは高いものの、実践力を飛躍的に高めるポテンシャルを秘めています。

生成AIによる対話型トレーニング

近年急速に発展している生成AIを、営業のロールプレイング相手として活用する新しいトレーニング手法です。受講者はAIが扮する様々なタイプの顧客と、テキストや音声で自由に対話しながら営業トークを磨きます。

最大のメリットは、24時間365日、人目を気にすることなく、納得がいくまで何度でも練習できる点です。AIは会話の内容を即座に分析し、「もっと具体的な導入事例を提示した方が良い」「クロージングが少し弱い」といった客観的で的確なフィードバックを返してくれます。個人のレベルや課題に合わせてAIが応答内容を調整するため、パーソナライズされた効率的なスキルアップが可能です。上司や同僚に練習相手を頼む心理的・時間的負担がなく、自主的なトレーニングを強力に促進します。

各トレーニング形式の特徴を以下の表にまとめました。自社の目的や状況と照らし合わせ、最適な手法の組み合わせを検討しましょう。

オンライン営業トレーニングの種類別比較
形式特徴メリットデメリット向いている内容
eラーニング自己学習型。個々のペースで学習を進める。時間・場所を選ばない。反復学習しやすい。進捗管理が容易。モチベーション維持が課題。実践スキルの習得には不向き。商品知識、営業理論、コンプライアンス等の知識インプット
ライブ配信リアルタイム・双方向型。集合研修に近い形式。質疑応答や議論が活発にできる。一体感が生まれやすい。全員の日程調整が必要。通信環境に左右される。ケーススタディ、グループディスカッション、スキル共有会
動画コンテンツオンデマンド型。好きな時に動画を視聴。視覚的に分かりやすい。スキマ時間を活用できる。ナレッジの資産化。コンテンツ制作にコストがかかる。情報が陳腐化するリスク。トップセールスのノウハウ共有、成功事例の紹介、商談ロープレの見本
VR・シミュレーター仮想現実での実践型。リアルな商談体験。高い没入感。失敗を恐れず練習できる。客観的なデータ分析が可能。導入コストが高い。対応コンテンツが限定的。高難易度の商談ロープレ、クレーム対応、プレゼンテーション練習
生成AI対話AIとの対話による実践型。個別最適化された練習。いつでも練習可能。客観的で即時的なフィードバック。心理的負担が少ない。非言語コミュニケーションの練習は困難。ツールの導入が必要。営業トークの反復練習、様々な顧客タイプの攻略、切り返しトークの習得

オンライン営業トレーニング導入のメリットとデメリット

オンライン営業トレーニングは、現代のビジネス環境において多くの企業が注目する人材育成手法です。しかし、その導入を成功させるためには、メリットとデメリットの両面を正確に理解し、自社の状況に合わせた対策を講じることが不可欠です。

ここでは、企業側が享受できる具体的なメリットと、注意すべきデメリットについて詳しく解説します。

企業側が享受できる4つのメリット

オンライン営業トレーニングの導入は、コストや効率の面だけでなく、教育の質やデータ活用といった観点からも企業に大きな利益をもたらします。ここでは、特に重要な4つのメリットを掘り下げて見ていきましょう。

コスト削減と時間効率の向上

オンライン研修の最も分かりやすいメリットは、物理的な制約がなくなることによるコストと時間の削減です。従来の集合研修では、会場費、講師や受講者の交通費・宿泊費、教材の印刷費など、様々なコストが発生していました。

オンライン化により、これらの経費を大幅に削減できます。また、受講者は移動時間が不要になるため、その時間を本来の営業活動や他の業務に充てることが可能です。これにより、研修による業務停滞を最小限に抑え、組織全体の生産性向上に貢献します。

集合研修とオンライン研修のコスト比較(例)
項目集合研修オンライン研修
会場費必要不要
交通費・宿泊費必要(特に多拠点の場合)不要
教材印刷費必要不要(データで配布)
講師の移動コスト必要不要

教育内容の均質化と標準化

集合研修では、講師のスキルや経験によって研修の質にばらつきが出たり、同じプログラムでも拠点ごとに教える内容が微妙に異なったりすることがありました。これは、営業組織全体のスキルレベルを一定に保つ上での課題となります。

オンライン営業トレーニングでは、録画された動画コンテンツや標準化されたeラーニング教材を使用することで、全社員が同じ品質の教育を受けることができます。これにより、新人営業担当者への基礎教育から、全社的な営業プロセスの浸透まで、教育内容の均質化と標準化を実現し、組織全体の営業力の底上げを図ることが可能です。

学習データの蓄積と分析が可能

LMS(学習管理システム)と連携したオンライン研修では、受講者一人ひとりの学習データを詳細に記録・蓄積できます。「誰が、どのコースを、いつ、どこまで学習したか」といった進捗状況はもちろん、テストの正答率や学習時間なども可視化されます。

これらのデータを分析することで、個々の営業担当者が抱える課題や苦手分野を客観的に把握し、的確なフォローアップを行うことができます。また、研修プログラム自体の効果を測定し、内容を継続的に改善していくための貴重なインサイトを得ることも可能です。データに基づいた戦略的な人材育成は、再現性の高い強い営業組織を構築する上で欠かせません。

全国の拠点で一斉研修が実施できる

全国、あるいは海外に拠点を持つ企業にとって、全社員に同じ内容の研修を実施することは大きな課題でした。各拠点に社員を集めるには莫大なコストと時間がかかり、現実的ではありませんでした。

オンライン研修であれば、インターネット環境さえあればどこからでも参加できます。そのため、新商品や新サービスのローンチ、コンプライアンスに関する重要事項の周知など、全社で迅速かつ同時に情報を共有したい場合に絶大な効果を発揮します。これにより、拠点間の情報格差をなくし、全社一丸となった営業戦略の展開が可能になります。

注意すべきデメリットとその対策

多くのメリットがある一方で、オンライン営業トレーニングには特有の課題も存在します。しかし、これらのデメリットは事前に対策を講じることで、その影響を最小限に抑えることが可能です。ここでは、代表的なデメリットとその具体的な対策について解説します。

受講者のモチベーション維持が難しい

オンライン研修は、基本的に一人で学習を進めるスタイルが多いため、集合研修のような一体感や適度な緊張感が生まれにくく、受講者のモチベーションが低下しやすい傾向があります。

この課題を克服するためには、「孤独な学習」にさせないための能動的な関与を促す仕組みづくりが重要です。例えば、マネージャーが定期的に進捗を確認し声かけを行ったり、受講者同士が質問や意見交換をできるオンラインコミュニティを用意したりすることが有効です。また、学習の進捗に応じてポイントやバッジを付与するゲーミフィケーションの要素を取り入れ、楽しみながら学べる環境を整えることもモチベーション維持に繋がります。

モチベーション維持のための対策例
課題具体的な対策
孤独感・孤立感
  • チャットツールなどを活用した受講者コミュニティの構築
  • 定期的なオンラインでのグループディスカッションや発表会
緊張感の欠如
  • 学習期限の設定とリマインド
  • 理解度を確認するテストや課題の実施
学習の優先度低下
  • 上司やマネージャーによる定期的な進捗確認と声かけ
  • 研修の目的と、受講が自身の成長にどう繋がるかを明確に伝える

実践的なスキルの習得に工夫が必要

営業活動には、ヒアリング力、提案力、交渉力といった対人スキルが不可欠です。オンライン研修は知識をインプットするには非常に効率的ですが、これらの実践的なスキルをアウトプットし、磨く場としては工夫が求められます。

対策としては、インプットとアウトプットを組み合わせたハイブリッドな学習設計が効果的です。ライブ配信形式の研修でブレイクアウトルーム機能を活用し、少人数でのロールプレイングを実施したり、VRやAIを搭載した営業シミュレーションツールを導入して、リアルに近い環境での商談練習を繰り返したりする方法があります。また、オンラインで学んだ知識を、実際の上司や先輩とのOJTで実践・フィードバックする「ブレンディッドラーニング」も有効なアプローチです。

通信環境による学習効果の差

オンライン研修の質は、受講者側のPCスペックやインターネットの通信環境に大きく左右されます。音声が途切れたり、動画が頻繁に停止したりすると、学習への集中力が削がれ、研修効果が著しく低下してしまいます。

この問題への対策として、まずは企業側が推奨する通信環境やデバイスのスペックを事前に明確に提示することが重要です。その上で、研修開始前に接続テストを実施する機会を設け、トラブルを未然に防ぎます。また、ライブ配信と同時に、後からでも視聴可能なオンデマンド(録画)版を用意しておくことで、当日の通信トラブルで参加できなかった受講者をフォローできます。全受講者が公平な環境で学べるよう、誰一人取り残さないための環境整備への配慮が求められます。

成果を出すオンライン営業トレーニングの進め方

オンラインでの営業トレーニングを成功させるためには、単にツールやコンテンツを導入するだけでは不十分です。戦略的な計画に基づき、一連のステップを体系的に踏むことが、投資対効果(ROI)を最大化し、セールス組織全体のパフォーマンスを向上させる鍵となります。

ここでは、成果に直結するオンライン営業トレーニングの進め方を5つのステップに分けて具体的に解説します。

ステップ1|営業組織の課題と研修目的の明確化

効果的な研修の第一歩は、現状を正確に把握し、何を目指すのかを具体的に定義することです。目的が曖昧なまま研修を始めても、「やっただけ」で終わり、現場での行動変容や業績向上にはつながりません。

まずは、営業成績のデータ(成約率、顧客単価、リードタイムなど)、営業担当者やマネージャーへのヒアリング、顧客アンケートの結果などを多角的に分析し、組織が抱える課題を洗い出します。例えば、「新人営業の立ち上がりが遅い」「特定商材の提案力が弱い」「オンライン商談でのクロージング率が低い」といった具体的な課題を特定します。

次に、その課題を解決するために、研修の目的と達成目標を具体的に設定します。この際、SMARTモデル(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性、Time-bound:期限)を意識すると、より実効性の高い目標を設定できます。

課題と研修目的の設定例
営業組織の課題(As-Is)研修の目的・目標(To-Be)
新人営業が独り立ちするまでに半年以上かかっている。入社後3ヶ月で、主要商材の提案からクロージングまでを一人で完結できる状態を目指す。ロールプレイングテストで合格点(80点以上)を取る。
オンライン商談での顧客エンゲージメントが低く、成約率が対面より20%低い。オンライン商談に特化したコミュニケーションスキルを習得し、3ヶ月後までにオンライン商談の成約率を10%向上させる。
ベテラン営業の成功ノウハウが属人化しており、チーム全体に共有されていない。トップセールスの営業プロセスを言語化・体系化し、動画コンテンツとして共有。チーム全体の平均受注単価を半年で5%引き上げる。

このように課題と目的を明確にすることで、研修内容のズレを防ぎ、参加者の学習意欲を高めることができます。

ステップ2|自社に合った研修プログラムの選定

目的が明確になったら、それを達成するための最適な研修プログラムを選定します。オンライン営業トレーニングには様々な種類があるため、それぞれの特徴を理解し、目的に応じて組み合わせることが重要です。

例えば、以下のような使い分けが考えられます。

  • 基礎知識の習得:商品知識や業界知識、営業の基本理論などは、受講者が自分のペースで学べるeラーニングやオンデマンドの動画コンテンツが適しています。
  • 実践的スキルの向上:商談のロールプレイングやケーススタディ、グループディスカッションなど、双方向のコミュニケーションが求められる内容は、ライブ配信形式のウェビナーが効果的です。
  • 高度なスキルの疑似体験:複雑な交渉やクレーム対応など、リアルな状況を再現したい場合は、VRやAIを活用したシミュレーション研修が有効です。

プログラムを選定する際には、外部の研修サービスを利用するか、自社でコンテンツを内製するかも大きなポイントです。外部サービスを選定する場合は、SchooやUdemy for Business、UMUといった法人向けサービスの導入実績、サポート体制、自社の課題に合わせたカスタマイズが可能か、費用対効果などを総合的に比較検討しましょう。一方、内製する場合は、自社のトップセールスのノウハウを動画化するなど、独自の強みを活かした実践的なコンテンツを作成できるメリットがあります。

ステップ3|学習を促進する環境の整備

どれだけ優れたプログラムを用意しても、受講者が集中して学習に取り組める環境がなければ成果は出ません。特にオンライン研修では、受講者のモチベーション維持が大きな課題となるため、物理的・心理的な環境整備が不可欠です。

物理的・技術的環境

まず、LMS(Learning Management System:学習管理システム)の導入を検討しましょう。LMSを活用することで、受講者の学習進捗を一元管理できるだけでなく、学習のリマインド通知や受講者同士のコミュニティ機能などを通じて、学習の継続をサポートできます。また、受講者全員がストレスなく動画視聴やライブ配信に参加できるよう、安定した通信環境の確保も重要です。必要に応じて、会社がWi-Fi環境の整備を補助することも有効な施策です。

心理的・制度的環境

さらに重要なのが、会社全体で学習を奨励する文化を醸成することです。具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。

  • 学習時間の確保:業務時間内に研修時間を明確に設けることで、「研修も重要な仕事の一部である」というメッセージを伝えます。
  • 上司の関与:研修の進捗について上司が定期的に声がけをしたり、1on1ミーティングで研修内容と実務を結びつけてフィードバックしたりすることで、学習意欲を高めます。
  • 動機付けの仕組み:研修の修了を人事評価に反映させたり、優秀な成績を収めた受講者を表彰したりするなど、学習へのインセンティブを用意します。

「学び続ける組織」を作るという意識を持ち、会社として学習を全面的にバックアップする姿勢を示すことが、オンライン研修を成功に導きます。

ステップ4|研修実施と進捗管理

計画と環境が整ったら、いよいよ研修を実施します。研修をスムーズに開始し、計画通りに進行させるためには、丁寧な運用と進捗管理が求められます。

まず、研修開始前には必ずキックオフミーティングを実施しましょう。経営層や営業責任者から研修の目的や期待する成果を直接伝えることで、受講者の当事者意識とモチベーションを高めます。研修の全体像やスケジュール、学習の進め方などを丁寧に説明し、受講者の不安を解消することも重要です。

研修期間中は、LMSなどを活用して受講者一人ひとりの学習進捗を定期的にモニタリングします。進捗が遅れている受講者には、システムからの自動リマインドだけでなく、研修担当者や直属の上司が個別に声をかけ、学習上の課題や悩みを聞き出すなどのフォローアップを行いましょう。大切なのは、単に進捗を監視するのではなく、学習者が挫折しないように伴走し、サポートする姿勢です。

また、ライブ配信形式の研修では、ファシリテーターが積極的に受講者に質問を投げかけたり、ブレイクアウトルームを活用して少人数でのディスカッションを促したりするなど、参加者を飽きさせない工夫が学習効果を高めます。

ステップ5|効果測定とフォローアップ

研修は実施して終わりではありません。その効果を客観的に測定し、学んだ内容を現場で実践・定着させるためのフォローアップを行うことで、初めて組織の成果へとつながります。効果測定のフレームワークとして有名な「カークパトリックの4段階評価モデル」を活用すると、多角的な評価が可能です。

カークパトリックの4段階評価モデル
評価レベル評価内容具体的な評価方法
レベル1:反応(Reaction)研修内容に対する満足度や気づき研修後の満足度アンケート
レベル2:学習(Learning)知識やスキルの習得度理解度テスト、ロールプレイング評価、レポート提出
レベル3:行動(Behavior)学習内容が実務で実践されているか上司や同僚による行動観察、営業同行でのチェック、自己評価シート
レベル4:結果(Results)研修が組織の業績にどう貢献したか売上、成約率、顧客単価、解約率などのKPIの変化を測定

これらの評価結果を分析し、研修の投資対効果(ROI)を検証します。そして、研修で学んだ知識やスキルが風化しないよう、数ヶ月後にフォローアップ研修を実施したり、実践報告会で成功事例を共有したりする機会を設けましょう。この一連の効果測定とフォローアップを通じて得られた知見を次回の研修プログラムの改善に活かすというPDCAサイクルを回し続けることが、セールス組織を継続的に強化していく上で極めて重要です。

どんな時にオンライン営業トレーニングがおすすめか

オンライン営業トレーニングは、その柔軟性と効率性から、企業のあらゆる階層や状況において活用できます。ここでは、特にオンラインでの研修が効果を発揮する代表的な3つのケースを、対象者別に詳しく解説します。

新人・若手営業向けの基礎力強化

社会人経験が浅い、あるいは営業職が未経験の新人・若手社員にとって、営業活動の土台となる基礎知識やスキルを体系的に習得することは不可欠です。オンライン営業トレーニングは、場所や時間を選ばずに、個々のペースで反復学習できるため、基礎固めに最適な手法と言えます。

特に、全国の拠点に新入社員が配属されるような企業では、集合研修の実施が困難な場合があります。オンラインであれば、全社員に対して均質で質の高い教育プログラムを提供でき、教育格差の是正にも繋がります。基本的なビジネスマナーから、商談のロールプレイングまで、幅広いコンテンツを組み合わせることが可能です。

学習項目(例)おすすめのオンライン研修方法
ビジネスマナー・コンプライアンスeラーニングや動画コンテンツで、社会人としての基本動作や心構えをインプットします。理解度チェックテストを組み合わせることで、知識の定着を図ります。
自社商品・サービスの基礎知識オンデマンドの動画教材で、製品の特長や活用事例を学びます。いつでも見返せるため、商談前の復習にも役立ちます。
営業の基本プロセス(テレアポ、ヒアリング、提案)まずはeラーニングで「型」となるフレームワークを学びます。その後、ライブ配信形式の研修で、講師や他の受講者とロールプレイングを行い、実践的な対話スキルを磨きます。
SFA/CRMツールの使い方ツールの操作画面を録画した動画マニュアルを用意し、各自で学習を進めます。不明点はチャットツールなどで質問できる体制を整えます。

中堅営業向けのスキルアップ・応用力向上

一定の経験を積み、自己流の営業スタイルが確立されている中堅社員は、さらなる成長のために新たな視点や高度なスキルを求めています。しかし、個々の課題や目指す方向性が異なるため、画一的な研修では満足度が得られにくい傾向があります。オンライン営業トレーニングは、各自が必要とするスキルをピンポイントで選択・学習できるため、中堅社員の能力開発に非常に有効です。

例えば、特定の業界に特化した攻略法や、複雑な課題を解決するソリューション営業、大型案件を成功に導くための戦略的アプローチなど、より専門的で応用的なテーマを学ぶのに適しています。トップセールスのノウハウを動画コンテンツ化して共有したり、外部の専門家を招いたウェビナーを開催したりすることで、組織全体の営業力を底上げできます。

強化したいスキル(例)おすすめのオンライン研修方法
課題解決型の提案力(ソリューション営業)実際の成功事例を基にしたケーススタディをライブ配信形式で実施します。グループディスカッションを通じて、多角的な視点や思考プロセスを養います。
ロジカルシンキング・交渉術専門講師によるウェビナーで理論を学び、その後、受講者同士でオンラインでの交渉ロールプレイングを行います。客観的なフィードバックを通じて、実践力を高めます。
アカウントプランニング重要顧客に対する戦略立案をテーマにしたオンラインワークショップを開催します。担当顧客の情報を持ち寄り、具体的なアクションプランを策定する実践的な内容です。
データ分析に基づく営業戦略SFA/CRMに蓄積されたデータを活用した分析手法をeラーニングで学びます。データドリブンな営業活動へのシフトを促進します。

営業マネージャー向けの組織力強化

営業マネージャーには、個人のプレイングスキルだけでなく、チーム全体のパフォーマンスを最大化するためのマネジメント能力が求められます。しかし、日々の業務に追われ、自身のスキルアップや新しいマネジメント手法を学ぶ時間を確保するのが難しいのが実情です。オンライン営業トレーニングであれば、多忙なマネージャーでも隙間時間を活用して効率的に学習を進めることができます。

部下の育成やコーチング手法、データに基づいたパイプライン管理、リモートワーク環境下でのチームビルディングなど、現代の営業マネージャーに必須のスキルを体系的に学ぶことが可能です。また、他のマネージャーとオンライン上で課題を共有し、解決策を議論する場を設けることで、組織全体のマネジメントレベルの向上にも繋がります。

マネージャーの役割・課題(例)おすすめのオンライン研修方法
部下の育成・コーチング1on1ミーティングの進め方や効果的なフィードバック方法を学ぶ動画コンテンツやウェビナーが有効です。生成AIを活用した対話シミュレーションで、様々なタイプの部下への対応力を養います。
目標設定とKPI管理データに基づいた科学的な目標設定の手法をeラーニングで学びます。チームの進捗を可視化し、適切なタイミングで介入するためのスキルを習得します。
チームのモチベーション管理心理的安全性やエンゲージメント向上に関するオンラインセミナーに参加します。リモート環境でもチームの一体感を醸成する具体的な手法を学びます。
営業戦略の策定と実行経営層や他部門のマネージャーも交えたオンラインでの戦略会議やワークショップを実施し、全社的な視点での戦略立案能力を高めます。

まとめ

本記事では、現代のビジネス環境において重要性が増しているオンライン営業トレーニングについて、その種類やメリット・デメリット、そして成果を出すための具体的な進め方を解説しました。働き方の多様化やDX推進が加速する中、オンラインでの営業トレーニングは、もはや単なる選択肢ではなく、セールス組織を強化するための必須戦略となりつつあります。

オンライン営業トレーニングを導入することで、企業はコスト削減や時間効率の向上、教育内容の標準化といった多くのメリットを享受できます。一方で、受講者のモチベーション維持や実践的スキルの習得には工夫が求められますが、これらは計画的な導入プロセスによって克服可能です。

成功の鍵は、自社の営業組織が抱える課題を明確にし、その目的に最適な研修プログラムを選定することです。新人研修からマネージャー育成まで、階層や目的に応じた多様な手法を組み合わせ、継続的な効果測定と改善を行うことで、トレーニングの効果を最大化できるでしょう。この記事を参考に、貴社の営業力強化に向けた第一歩として、オンライン営業トレーニングの導入をぜひご検討ください。

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