2020年5月4日、長期化が見込まれる新型コロナウィルスへの対策を検討する専門家会議からの提言により、感染拡大防止と経済活動の両立を目指す「新しい生活様式」の実践例がまとめられました。
この中には「働き方の新しい様式」として、名刺交換はオンラインに移行していきましょうという旨の提言もあり、これを機に名刺交換はオンラインの時代へと突入していくと思われます。
そこで今回は「名刺交換」に焦点をあて、
- これまでの名刺の歴史
- 日本における名刺の役割
- 海外との違い
- 名刺交換がオンラインの時代になったらどうなるか
- 名刺交換をオンライン化するにはどうすれば?
という流れで解説していきます。
これまでの名刺の歴史
まずはこれまでの名刺の歴史から振り返っていきましょう。
そもそも名刺とは
そもそも名刺とは、本人が自らの名前や所属・連絡先などを示すために他人に渡すことを目的としたカードです。
名刺は、いわゆる自己紹介の一環として使用され、職業上の儀礼として手渡されたりします。
名刺の起源
名刺の起源については諸説ありますが、一般的に名刺の発祥地は中国とされます。西暦248年に没したとされる中国三国時代の武将「朱然」の墓から竹に刻んだ名刺が見つかっており、これが現存する最古の名刺です。
その後、16世紀ごろにはヨーロッパでも使われるようになり、さらにアメリカでも使われるようになります。
日本ではいつから使われ始めた?
日本で名刺が使われたのは江戸時代末期といわれています。当時の日本では、訪問先が不在の場合、和紙に墨で名前だけ書いておくなど、訪問を知らせる手段として利用されていました。現在でいう不在票のようなものでしょうか。
時代とともに、名刺はどんどん利用されるようになっていき、明治時代以降は社交の場では必須アイテムとなっていたようです。
日本における名刺の役割
日本では、業務上の初対面の時に名刺を交換することが習慣化しており、名刺交換が一種のビジネスマナーを考えられています。
日本では特に、「名刺」という存在を非常に重んじる文化があり、日本の会社では「名刺をその人の分身だと思え」とよく注意されます。「名刺」に関しては、みなさんもご存じのとおりだと思いますが、ほかにもさまざまな細かいマナーが存在します。
海外との違い
香港やシンガポールでは、日本と同じようにビジネスのシーンで当たり前のように利用されます。しかし、日本のような細かいビジネスマナーはなく、名刺のカド折れているくらいでは気にされません。
アメリカでも名刺交換する場面はありますが、日本のように全員に渡す文化はなく、キーとなる人にしか渡しません。また、日本では初対面の挨拶の一番最初に「名刺交換」をしたりしますが、アメリカでは一番最初にするのは「握手」と「自己紹介」であり、名刺交換のタイミングは特に決まっていません。
名刺は、「これでまた連絡とり合いましょう」といった意味合いしかなく、アメリカ人にとって、名刺は情報が書いてある紙切れといった位置づけです。
一般的に日本では「会社のどの役職の人なのか」を重要視するのに対し、アメリカでは「その人がどういった人物なのか」を重要視するという文化の違いが名刺への態度に現れていると考えられます。
結論:海外ではそこまで名刺に”重み”を感じている人は少ない
日本国内では「名刺」は重要だが…
このように、国柄によって名刺事情は異なるものの、日本国内において「名刺」は「重みがある存在」であることは当面変わることはないでしょう。
とはいえ、文化的かつ歴史的な背景と本質論から考えると、「名刺」は「紙でなければいけない」というのは同調的な集団心理が生んだ思い込みにほかなりません。
次の章では、こうした状況を踏まえ、名刺交換がオンラインの時代になったらどうなるかについて解説していきます。
名刺交換がオンラインの時代に変わったらどうなるか
今までは名刺交換はオフラインで行われてきましたが、オンラインの時代に切り替わるとどうなっていくのでしょうか。
前提:営業活動のオンライン化が求められる
新型コロナウィルスの対策で外出自粛が続くなか、テレワークといった働き方が急速に進むなど、オンラインでの経済活動が求められています。
これまでは対面で行っていた会議もWeb会議で実施せざるを得ない状況であり、政府の専門家会議では「名刺交換はオンラインで」と提言されています。
名刺交換オンライン化に伴う変化
では、名刺交換オンライン化に伴いどのような変化があるのか解説します。
変化①:オンラインでの名刺交換が主流に
これまでは対面での名刺交換しかできませんでしたが、オンラインでもWeb会議に「名刺交換」という機能を付加することが可能になります。
対面でなければ”失礼”という観念もなくなり、Web会議においてもこれまでと同様に名刺情報によるアイスブレイクもできるようになります。
コロナが終息するころには、対面でも紙を使わない「オンライン名刺交換」が ”事実上の標準” になり紙の名刺は利用されなくなる可能性は否定できません。
変化②:「名刺」のコミュニケーションツールとしての利便性が高まる
名刺情報のデータ化および一覧化により、人脈の共有や顧客管理が容易になります。また、ツールを通して既存顧客と素早く連絡が取れるため、コミュニケーションツールとしての利便性が高まることになります。
「SNS」のような役割から、ユーザー間での新しいビジネス誕生の媒介となる可能性もあるでしょう。
変化③:さまざまな見せ方ができるため、営業活動の幅が広がる
紙媒体の名刺であれば、載せられる情報や見せ方も限られていましたが、オンライン名刺ではSNSのプロフィールのようにさまざまな情報が載せられ、そしてさまざまな見せ方ができるため、営業活動の幅が広がることとなります。
オンラインのプロフィールをコンサルティングするなどの職業も生まれてくるでしょう。
変化④:場所の制約を受けないため、これまで以上に営業活動が加速する
オンラインでの名刺交換が一般的になれば、これまで存在したはずの場所による制約が取り払われた状態で従来通りの営業活動ができるため、これまで以上に営業活動が加速させることができるようになります。
名刺交換をオンライン化するにはどうすれば?
では名刺交換をオンライン化するにはどうすればいいのでしょうか。
方法:「Eight(エイト)」を利用する
Sansan株式会社が提供する「Eight(エイト)」という名刺アプリを利用することで、オンライン商談でサクッと名刺交換することが可能です。
「Eight」は、無料で使える個人向け名刺管理アプリです。「Eight」には「オンライン名刺交換機能」が搭載されており、「Eight」上での検索、またはQRコードやURLによる名刺交換が可能となります。
QRコードやURLの場合は、相手が「Eight」ユーザーでなくとも連絡先、部署、役職などの情報を交換することができます。
まとめ
今回は、名刺交換のオンライン化をテーマに、これまでの名刺の歴史から名刺交換がオンライン化するとどう変わるかまでをご紹介してきました。
今回の新型コロナウィルス感染拡大を背景に、確実に我々の暮らし方や働き方は歴史的な変わり目を迎えています。その中でオンラインでの名刺交換が「新たな日常(ニューノーマル)」になりゆくことはほぼ確実と思われます。「LINE交換」という言葉が一般化したように、「Eight交換」という言葉が一般的するようなことになれば、紙の名刺の役割はそこで終わりを迎えるでしょう。
これまでは「名刺」としての役割でしかなかった名刺が、オンラインシフトに伴い「名刺」と「SNS」の間の存在になっていきます。
そんななかでいち早く、体験としての「名刺交換」をオンライン仕様に切り替え、より効率的な営業活動にアップデートしてみてはいかがだろうか。
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記事執筆・編集:中條 優
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