KPIとは
KPIは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では重要業績評価指標と呼ばれています。
KPIというのは、設定した事業目標を達成するための中間指標です。
事業目標を設定するためには、いくつかのプロセスがあると思いますが、そのプロセスごとに達成度合いを決めて計測すれば、進捗状況を正確に把握することが可能になります。
BtoBマーケティングにおけるKPIについて
マーケティング部門では、マーケティング施策ごとにKPIを設定する必要があります。
ただ、マーケティング施策は「顧客の購買プロセス」によって異なるので、顧客の購買プロセスごとにKPIも変えていかなければいけません。
BtoB分野で有効とされているマーケティングファネルをもとに例を挙げてみましょう。
マーケティングファネルというのは、顧客が商品やサービスに興味を持ってから購入に至るまでの行動・心理を「TOFU(Top of the Funnel)」「MOFU(Middle of the Funnel)」「BOFU(Bottom of the Funnel)」の三段階に分けて表したものです。
最初の段階であるTOFUは、顧客に商品やサービスを認知してもらう、興味を持ってもらうという段階なので、ここでのKPIは顧客にどれだけ多くの情報を届けられているかを示す数値を設定します。
たとえばメールマーケティングであれば、配信数や開封率などです。
次のMOFUは顧客が購入を検討し始める段階なので、ここでのKPIは購入への関心度が高まっているかどうかを示す数値を設定します。
先ほどのメールマーケティングの例でいうと、問合せや資料のダウンロード数、コンバージョン率などです。
最後の段階であるBOFUは、顧客になる直前の段階なので、設定するKPIは案件化率や商談数などです。
ここからはマーケティング部門から営業部門に引き継がれる場合がほとんどです。
KGIとの違い
KPIとよく一緒に使われるものとしてKGIがあります。
KGIは「Key Goal Indicator」の略で、日本語では重要目標達成指標と訳されます。
KGIの場合は、売上高や成約率など設定した事業目標が達成されているかを計測する指標です。
KPIとKGIの違いについてですが、簡単に言うと、KPIは結果に至るまでのプロセスを評価するもので、KGIは結果そのものを評価するものです。
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KPIを設定する重要性
KPIを設定する重要性は以下が挙げられます。
- やるべきことが明確化される
- 評価基準が統一化される
- PDCAが高速化される
それぞれ解説します。
やるべきことが明確化される
KPIを設定することで、自社が掲げている事業目標を達成するためには具体的に何を行えば良いのかが明確化されます。
たとえば、「自社サイトから新規見込み客を300人獲得したい」というKGIを設定したとします。
現状、自社サイトの訪問者数が5000で150人しか新規見込み客を獲得できていないとなったら、単純計算で訪問者数を10000に増やす必要があります。
自社サイトへの訪問者数を増やす方法としては、広告出稿やSNSなどがありますが広告で500人増やしたいからランディングページを改善しよう、SNSで100人増やしたいからこういった情報を発信したほうが良いのではなど具体的な施策が考えやすくなります。
評価基準が統一化される
KPIには「案件化率を60%にする」というような具体的に計測可能な数値を用いるため、案件化率が50%止まりなら未達成、60%を超えているなら達成のように評価基準を統一化することができます。
また、KPIの設定によって評価基準がわかりやすくなると、個人や部署ごとの会社への貢献度もわかるので、社員への評価もしやすくなります。
PDCAが高速化される
プロセスごとにKPIを設定することで、一人ひとりのやるべきことが明確化されることは先ほど述べましたが、やるべきことがわかっていれば、おのずと業務スピードもアップします。つまりPDCAが高速化し、効率的に業務進めることができるようになります。
マーケティングにおける目標設定の大切さはこちらを参照ください。
KPIを設定する際のポイント
続いて、KPIを設定する際のポイントを解説します。
具体的に計測できるものにする
リード獲得数を増やしたい、継続率を上げたいと言ったようなぼんやりしたKPIだと進捗度合いや適切に施策が行われているかなどがわかりません。
そのため、リード獲得数を200件にするなど具体的かつ計測が可能なKPIを設定しましょう。
現実的なものにする
現状、自社サイトに掲載している資料のダウンロード数が月20件なのに対し、KPIを「月の資料ダウンロード数を10000件にする」と設定してしまうのは現実的ではありません。
具体的かつ計測が可能なKPIであっても、現実的に達成可能なものでないと、社員のモチベーションも下がってしまいます。
まずは資料のダウンロード数を月20件から40件に増やすことを目標にして、そのKPIが達成できたら次は80件、その次は100件と少しずつステップアップしていきましょう。
関連性があるものにする
KPIというのは、最終的なゴールであるKGIを達成するために設定するものなので、KGIとの関連性がなくてはいけません。
KGIとの関連性がない、もしくは関連性が低いKPIは、達成したところで、肝心のKGI達成には貢献できません。それどころか、無駄な管理コストがかかってしまうこともあります。
KPIを設定する場合は、KGIから逆算して考えるようにしましょう。
期限を設ける
KPIを設定する際は、期限を設けることも非常に重要です。
期限が定まっていないと、つい後回しになってしまったり、社員の集中力が続かなったりと効率的に業務を進めることができなくなってしまいます。
また、期限を設けなかったことで、KPI達成までに必要以上に時間がかかってしまい、結果的に費用対効果が合わなくなった、競合他社に先を越されたといった事態を招くおそれもあります。
こういった事態を防ぐためにも、いつまでに行うべきなのかという期限を必ず設定しましょう。
KPIの設定例
ここでは、自社が開発しているEFOツールの受注数を月10件にするというKGIを設定した場合のマーケティング部門のKPI設定例を順を追ってご紹介します。
手順1:KGIを設定する
企業としてのKGIは、先ほど言った「EFOツールの受注数を月10件にする」というものですが、直接受注や売り上げに関わるのは営業部門です。
そのため、マーケティング部門は営業部門が案件化率や商談率を伸ばせるように、リード数などをKGIに設定するのが一般的です。
手順2:KGI達成のために必要な要因を考える
仮にマーケティング部門のKGIを「月間のリード数を200件にする」に設定したとします。
このKGIを達成するために必要なこととしては、自社サイトに適切なSEO対策を行って検索流入を増やす、広告やSNSを活用して企業の認知拡大を目指すなどが挙げられます。
こういったKGI達成のために必要な要因はKSF(重要成功要因)と言われます。
手順3:KSFからKPIを設定する
KSFが洗い出せたら、具体的にKPIを設定していきます。
たとえば、現在の検索流入数が月間90人だったら、内部対策やコンテンツSEOを行って検索流入数を月間180人にする、というように、定量的な数値を用いてKPIを設定します。
手順4:KPIツリーを作成する
KPIツリーはKGI達成のために何が必要なのかをわかりやすくするために図示したものです。
適切なKPIを設定できればそれでよいのでは?と思うかもしれませんが、図に落とし込むことも意外に重要です。
KPIツリーを作成することで、KPIを漏れなく書きだすことができ、全体像を把握しやすくなるので、万が一KPIにダブりがあった場合も気づくことができます。
まとめ
BtoBの場合は検討期間が長いので、顧客を購入まで育成するためには、部門ごとに行っている施策の進捗度合いを見える化し、改善すべき点がある場合は迅速に対応することが求められます。
そのためにもKPIの設定は欠かせません。
KPIを設定することで、やるべきことが明確化するだけでなく、PDCAの高速化にもつながります。
ただ、KPIの設定には具体性、現実性、関連性などが必要になります。
特に規模が大きい企業は、一度企業全体のKPIツリーを作成し、そこから部門ごとのKGIやKPIを考えると、より具体性、現実性、関連性のあるKPI設定ができるかと思います。