マーケティング企業(アウトソーサー)世界ランキングTOP10
まずはマーケティング企業(アウトソーサー)の年商額をベースにした、世界ランキングを見ていきましょう。
第10位から第1位までの顔ぶれは以下のとおりです。
- 第10位|博報堂DYホールディングス
- 第9位|IBM
- 第8位|アライアンス・データ・システムズ
- 第7位|ハバス
- 第6位|アクセンチュア
- 第5位|電通
- 第4位|インターパブリック・グループ
- 第3位|ピュブリシス・グループ
- 第2位|オムニコムグループ
- 第1位|WPPグループ
それぞれの企業を見ていきましょう。
第10位|博報堂DYホールディングス
世界のマーケティン企業の年商ランキング第10位は年商約2,000億円の、日本の博報堂DYホールディングスです。東京に拠点を置く広告代理店として、国内では電通に次ぐナンバーツーの規模を誇っています。
事業内容は、マーケティングに関するクリエイティブ制作・アクティベーション・広告&PR・マーケティングコンサルティングなどを包括的に展開しています。
第9位|IBM
マーケティング企業年商ランキング第9位は年商約2,340億円の、アメリカのIBMです。ニューヨークに拠点を置き、IT系企業の大御所として知られています。
IT系企業がマーケティング企業のランキングに入っていることを意外に思われるかもしれませんが、現在ではそのような傾向があります。マーケティング分野において、デジタルマーケティングが台頭していることに関係します。
IBMはデータ分析力の強さを武器に、デジタル広告代理店としてデジタルマーケティング・広告の分野で、急速に存在感を大きくしています。
それ以前からITコンサルティングを手掛けていたので、戦略コンサルティングや組織変革のエキスパート、優秀なUIデザイナーなどの厚みのある人材群のパフォーマンスが、デジタルマーケティングの分野で発揮されています。
第8位|アライアンス・データ・システムズ
アライアンス・データ・システムズは年商約2,350億円の、アメリカのアライアンス・データ・システムズです。テキサスに拠点を置きアメリカとカナダでビジネスを展開しています。
事業内容としては、(航空会社の)マイルプログラム・マーケティング戦略のコンサルティングや顧客ロイヤルティー・プログラムなどを展開しています。
第7位|ハバス
マーケティング企業年商ランキング第7位は年商約2,600億円の、フランスのハバスです。
パリに本拠地を構えています。母体企業は1835年に設立されているので、通算で創業190年に迫る老舗企業です。事業内容としては、マーケティング、広告、デザインなどを展開しています。
第6位|アクセンチュア
マーケティング企業年商ランキング第6位は年商約3,000億円の、アイルランドのアクセンチュアです。ダブリンに拠点を置く戦略系コンサルティングファームとして、グローバルに事業展開をしています。
フォーチュン誌の「フォーチュン・グローバル500」にも選ばれている、世界120ヶ国・地域の地元企業を顧客として持つ企業です。
事業内容としては、経営戦略コンサルティング・ITコンサルティング・デジタルマーケティング・デジタル広告などのコンサルティングのほかに、システム受託開発・運用などの基本的な、IT関連のサービスも展開しています。
第5位|電通
マーケティング企業年商ランキング第5位は年商約6,900億円の、日本の電通グループです。東京に拠点を置く大手広告代理店グループで、従業員数は6万人を超えています。
国内の広告代理店としては、最大規模です。年商は前出の世界10位(国内2位)の博報堂に大きく差をつけ、「広告界のガリバー」の異名を誇っています。
事業内容としては、マーケティング・広告・PR・クリエイティブ制作・コンテンツ制作・プロモーション・ショーケースなどを展開しています。
第4位|インターパブリック・グループ
マーケティング企業年商ランキング第4位は年商約8,300億円の、アメリカのインターパブリック・グループです。ニューヨークに拠点を置く広告代理店として、世界100ヶ国以上で事業を展開しており、従業員数は5万人を超えています。
オクタゴン・ワールドワイドやキャンエリクソンなどの企業を傘下に擁し、博報堂とも業務提携を行っています。事業内容としては、マーケティング・広告・スポーツ&エンターテイメントのマーケティングコンサルティングなどを展開しています。
第3位|ピュブリシス・グループ
マーケティング企業年商ランキング第3位は年商約1.1兆円の、フランスのピュブリシス・グループです。パリに拠点を置く広告代理店として世界100ヶ国以上で事業展開しており、従業員は8万人を超えています。
設立されたのは1926年という老舗企業で、第二次世界大戦後に急成長を遂げました。事業内容としては、テクノロジーとクリエイティビティを駆使し、4つのサービス(コミュニケーションズ・メディア・サピエント・ヘルスケア)を中心にビジネスを展開しています。
第2位|オムニコムグループ
マーケティング企業年商ランキング第2位は年商約1.6兆円の、アメリカのオムニコムグループです。ニューヨークに拠点を置く広告代理店として、世界100ヶ国以上で幅広く事業を展開しています。
従業員数は7万人を超えており、世界的な企業であるBBDOやTBWAなどを傘下に収めている巨大グループです。事業内容としては、広告企画・制作・モバイルマーケティング・ブランディング・データベース管理などのマーケティング関連サービスがメインです。
ほかには投資家向け広報活動や、人材のリクルーティングなどのコーポレートコミュニケーション関連サービスなどを展開しています。
第1位|WPPグループ
マーケティング企業年商ランキング第1位は年商約2兆円の、イギリスのWPPグループです。ロンドンに本拠地を置く広告代理店として、世界110ヶ国以上で事業を展開しており、従業員数は10万人を超えています。
前身は “Wire Plastic Products” という社名にて、ワイヤー製の買い物かごの製造販売を行っていました。現在の社名はその略称です。
事業内容としては、広告・広報公務事業・消費者インサイト事業・投資管理事業・ブランディング・アイデンティティ・専門通信事業・ヘルスケアなどの分野を中心に展開しています。
なお、現代のマーケティング組織の類型と作り方や、営業部門との関係性に関して以下の記事で特集していますので、参考にご覧ください。
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人気のマーケティング企業はなぜベンチャーが伸びている?
以前のマーケティング業界は、電通や博報堂を始めとする大手広告代理店がひしめき合っていましたが、その勢力図が塗り替えられつつあります。
目立つ傾向としては、ベンチャー企業が伸びてきていることです。それもIT系の企業という特徴があります。
この背景には、マーケティング分野においてデジタルマーケティングの比重が、急速に増していることが関係しています。企業としては小規模でも、IT、AIを駆使したハイエンドな解析・予測力を伴うマーケティングスキルでクライアントをサポートしています。
IT関連のビジネスは高い専門性とスキルは必要ですが、莫大な設備投資は必要なく、ベンチャーが多い分野です。マーケティング分野でデジタルシフトが起こっていることからも、マーケティング企業のベンチャー率が高まっているのは、時代の趨勢です。
マーケティング企業はブラック企業からホワイト企業に
ひと昔前はマーケティング企業には、ブラック企業が多いと言われていました。しかしそれはアナログマーケティング全盛の時代の名残です。
デジタルマーケティングが台頭する中で、マーケティング企業の多くの業務がPCを使うようになり、(IT系企業がマーケティングに寄ってきたように)IT系企業のスタンスに近づいている傾向があります。
すなわち、リモートワークやフレックスタイムなどの柔軟な働き方を導入し、やたら残業や休日出勤をするような風潮は一時期ほども見られなくなっています。
むしろ個々のスタッフの価値観を尊重した働き方に理解がある、ホワイト企業が増えているという見方が強まっています。
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マーケティングが強い企業(アウトソーサー)一覧
クライアント企業のマーケティングをアウトソーサーとして、あるいはコンサルタントとしてサポートする、マーケティングが強い企業(アウトソーサー)をご紹介します。
最近注目されているITベンチャーから始まった企業を挙げると、以下のとおりです。
- Digital Garage
- Cyber Agent
- opt
- IREP
- Members
個々の企業の概要を見ていきましょう。
Digital Garage
デジタルガレージは「食べログ」や「価格.com」などの運営で知られるカカクコムを関連会社にもつ、マーケティング企業です。
デジタルガレージグループの保有している膨大なデータを活用したマーケティングや、Webとリアルの双方で培ったマーケティングノウハウなどを武器に、同社ならではのマーケティングサービスを提供しています。
Cyber Agent
「Abema TV」や「アメブロ」などの提供で知られるメディア企業サイバーエージェントは、デジタルマーケティング・デジタル広告分野において、今やトップクラスです。
同社はスマホの普及により、ソーシャルメディアでの動画広告がトレンドとなってきた経緯に着目し、動画を活用した効果的なプロモーションでWebマーケティング市場で存在感を示しています。
opt
オプトは広告代理、ソリューション、データベースサービスの3本柱でクライアントの利益を最大化するマーケティング企業です。
ソーシャルメディア「LINE」が提供する広告商品の導入や求人検索エンジン「Indeed」を活用するパートナーシップで数々の実績を上げ、高い評価を受けています。
玩具メーカーやエンタメ系企業、人材系企業などのさまざまなクライアントに柔軟にソリューションを提供しています。
IREP
アイレップは、比較的新しい企業ですが、Google Adwords資格者が多く在籍しているほか、広告賞を受賞するレベルのクリエイターも抱えてるのが武器です。
モットーは「あらゆるマーケティング上の課題をデジタルで解決する」。Web広告やSEO対策ほか、企業が抱える課題を分析してソリューションを提供し、PDCAマネジメントに及ぶまで、サポートしています。
Members
メンバーズは、デジタルマーケティング運営支援を専門とする、比較的新しい企業です。顧客のエンゲージメントを醸成し、継続する包括的なWeb運用サービス「エンゲージメント・マーケティング・センター」サービスの提供で事業を伸ばしています。
同サービスは、デジタル戦略からWebサイトのデザイン・制作、データ解析に至るまでのPDCAサイクル運用まで、クライアントのマーケティングをサポートします。
なお、デジタルマーケティングに欠かせない、マーケティングオートメーション(MA)については、以下の記事で詳しく取り上げていますので、参考にしてください。
内製のマーケティングが強い企業の例
最後に、内製のマーケティングが強い企業の例として、以下の5社をご紹介します。
- P&G
- サントリー
- 日清食品
- スターバックス
- トヨタ
それぞれのマーケティングの特徴について触れておきましょう。
P&G
アメリカに本拠地を置くグローバルな日用品・消費財メーカーです。同社のマーケティング戦略の特徴は、企業名を出すことなく商品名のみをアピールしている点です。
洗剤の「アリエール」、シェーバーの「ブラウン」、ヘアケアの「パンテーン」、スキンケアの「SK-II」、乳幼児用紙おむつ「パンパース」などがP&G製品です。各製品の名前は知っていても、P&G製ということは聞いて初めて知る人も多いでしょう。
理由は2つあると言われています。
まず、もしいずれかの製品に問題が出てイメージダウンしても、他の製品との関連性を感じさせずに被害を最小限に留めるため。次に、M&Aや業界再編でP&Gという社名が変わっても、個々の商品の愛用者を混乱させないようにという考え方です。
そんなP&Gの、最近の鮮やかなヒット商品はファブリーズです。これが登場する前は、「布地」の臭いが気になった場合、「頻繁に洗濯」するか「我慢」、あるいは「廃棄」の三者択一でした。
消費者は決して、ファブリーズのような新商品を思い浮かべていたわけではありません。「頻繁に洗濯」や「我慢」、「廃棄」に不満を抱えているという「インサイト」が、ただただ深層心理にあったのです。
ファブリーズの登場は「臭い」を「スプレーで除去」する、新たな行動様式の提案でした。消費者のインサイトに呼応するファブリーズは大ヒットし、すでに多くの人の日常に溶け込んでいます。
インサイトの概念を深く理解するためには、以下の特集記事で詳しく掘り下げているので、ぜひ参考にしてください。
サントリー
サントリーのマーケティングの強さは、顧客層が心の中で欲しているもの(潜在ニーズ)を徹底して掘り起こすことにあります。そこから生まれた商品が幅広く認知される理由は、巧みなブランディング戦略が奏功しているのです。
好例として「プレミアム・モルツ」を挙げて解説します。
従来、プレミアム感がある「プレミアム・モルツ」は、贈り物として売れる商品と考えられており、実際にギフトシーズンに売上は伸びていました。
しかしマーケティング部門が調査したところ、顧客層が「プレミアム・モルツ」を最もよく飲んでいるのは休日の夕食時だと判明しました。一週間頑張った自らへのご褒美として、ささやかな贅沢を味わうように飲まれていたのです。
そこで「週末」というキーワードを軸にマーケティング戦略を構築します。モンドセレクション「最高金賞」受賞のビールで、最高の週末を送ってもらうというコンセプトで、「週末に飲むビール」として広告プロモーションを進めました。
するとまさに、週末の夕食用に「プレミアム・モルツ」を購入する人が増加し、前年比440%増の驚異的な販売実績を打ち立てたのです。
週末くらいは良質なビールを飲みたいという潜在ニーズを顕在化させて、「ギフト用」から「週末に飲みたい自分用の贅沢ビール」にポジショニングを変えることが成功につながりました。
なお、マーケティングにおいて顧客心理を理解するために欠かせない「顧客エンゲージメント」の概念について、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
日清食品
日清食品はマーケティングにおいて現状に甘んじることなく、常に進化を求めています。
従来は幅広い層にアプローチするマスマーケティングの手法をとっていましたが、近年ではセグメント(分類)したターゲットにピンポイントでアピールするマーケティングが成功しています。
「エスニックシリーズ」は若い女性にフォーカス、「カップヌードル リッチ」はシニア層にフォーカスし、それまでカップヌードルを食べる機会が少なかった層に、カップヌードルを広める戦略です。
さらに、次世代の主役である若年層に対してもアピールを開始しています。ソーシャルメディアを活用したデジタルマーケティングで共有拡散を促進し、多くの若い客層のファンを獲得しています。
なお、マーケティングの出発点となる市場分類=セグメント(セグメンテーション)について、以下の記事で成功事例も交えて特集していますので、ぜひご一読を!
スターバックス
スターバックスが日本上陸を果たす前の1990年代前半においては、日本の喫茶市場において、今日のスターバックスが体現する「サードプレイス」の概念は存在せず、それを望む客層も存在しませんでした。
「サードプレイス」とは、家庭(ファースト)でも職場(セカンド)でもない第3の、しかもとびきり居心地の良い場所という意味です。誰しもストレスを抱える現代社会において、ひとときのリラックスを提供してくれる場所です。
つまり、スターバックスは日本市場に、新たな市場と新たな顧客層を生み出したと言えるでしょう。スターバックスが従来の喫茶店と圧倒的に差別化できた理由のひとつは、初期段階から禁煙政策を取っていたことです。
焙煎したてのコーヒーの香りを楽しんでもらうために、スタッフにもたばこを禁止する徹底ぶりでした。また、フリーWi-Fiもインターネットが今ほど普及する以前から活用していた人たちを、大いに喜ばせました。
なお、マーケティング上の分析や戦略立案に欠かせないフレームワークについては、以下の記事で詳しく特集していますので、参考にしてください。
トヨタ
自動車業界のリーダー企業のポジションを維持し続けてきたトヨタも、2010年代中頃は国内市場の不振により販売台数が伸び悩んでいました。
リーマンショック(2008年)に続いて品質問題(2010年)、東日本大震災による製造ストップ(2011年)などの影響が尾を引いていたのです。業績の巻き消しを期して、トヨタが打ち出したプロモーション戦略には3つの大きな柱がありました。
- 若者の車離れを阻止
- デジタル広告を導入して認知度向上
- 五輪スポンサリングによるプロモーション効果
トヨタではフルモデルチェンジを果たしたRAV4の認知を促進するために、自動車メーカーとしては国内で初めて「3D Cube広告」を導入しました。広告自体がユーザーのアクションによって変化するため、目に留まりやすいのが特徴です。
洒落たユーザーエクスペリエンスをもたらすデジタル広告を導入したことで、認知度の向上に成功し、RAV4は予想を大幅に超える販売台数を記録しました。
なお、マーケティングの過去の代表的な成功事例については、以下の記事で特集していますので、ぜひ参考にご一読ください。
まとめ
マーケティングが強い企業というテーマで、伸びゆくベンチャー系のマーケティング企業や内製でマーケティングに成功している企業をご紹介しました。おおむね共通しているのは、過去のやり方に固執しないで時代の変化を充分に受け止めていることです。
時代に適応できる施策に積極的にトライすることで、道を開いてきたといえるでしょう。マーケティングに携わるみなさんは、ここでご紹介した情報を参考に、以下の時代に見合うマーケティングで業績拡大を図ってください。
なお、当サイト読者のみなさんが携わっていると思われるサブスク型ビジネス、とりわけSaaSビジネスにとって、最重要課題ともいえるカスタマーサクセスについて、以下の記事で特集しています。ぜひご一読ください。
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