顧客管理の3つの手段とおすすめ管理アプリ5選
まずは顧客管理の3つの手段とおすすめの管理アプリを5つご紹介します。
顧客管理でよく使われる手段は大きく分けて3つ
顧客管理には以下の3つの手段が使われます。
顧客管理手段①:Excel
顧客管理といえば、エクセルを使っている企業も多いです。
エクセルのメリットとデメリットは次の通りです。
メリット
- 導入コストが多くの場合かからない(PCにもともと搭載されているため)
- エクセル専用の顧客管理テンプレートを活用すればより導入の手間を抑えることができる
- 多くの従業員が使い慣れており、新しく入社した人でも基本的な操作が可能
- フィルタ機能が便利で、「地域」「会社名」などで抽出を行うことも簡単
デメリット
- セキュリティの問題(USB紛失やメールの誤送信による漏洩リスク)
- バージョン管理運用の問題(誤った削除リスクや最新のファイルか不明)
- 自動化や効率化、情報共有などといった点でカバー範囲が狭い
最大のデメリットはセキュリティ問題で、悪意がなくても、顧客情報が保存されたUSBの紛失が判明すれば大問題となり、企業の信用を失墜させかねません。
顧客管理手段②:CRM(顧客関係管理)
Customer Relationship Managementの略語であるCRMは、顧客との関係を管理するという意味があります。
顧客との良好な関係を構築して強固なものへしていくことで、信頼関係の元にビジネスを進めていこうとする経営方法です。 ビジネスでは取引先との良好な関係が欠かせないため、多くの企業が顧客管理のためにCRMシステムを取り入れています。
メリット
パッケージ化されたCRMシステムなら、顧客管理に必要な項目が用意されています。
これはExcelと違い、社名で顧客管理の項目を悩んだり話し合ったりという点が省けるのは大きなメリットになります。
デメリット
デメリットとしては、Excelなど別の顧客管理方法からCRMシステムに移行する場合、データの移行が必要という点です。管理していた顧客情報が多いほどデータの引継ぎは時間がかかり、導入するまでに大きな工数が発生します。 また、CRMなどの新しいシステムを導入する際は初期費用がかかることがほとんどです。エクセルによる顧客管理に比べると、導入の点でデータ移行や費用といったコストがかかります。
顧客管理手段③:SFA(営業支援)
Sales Force Automationの略語であるSFAは、顧客管理を営業支援に使うことを前提としたシステムです。そのため「案件管理機能」や「営業活動の記録」「予算の達成状況」といった営業活動の管理機能も搭載されている点が、CRMシステムと異なる点です。
メリット
営業活動はどうしても個々の動きになりがちですから、SFAシステムを導入して顧客情報を一元管理して見える化までできれば、組織で効率よく営業活動が行えます。放置してしまった案件の洗い出しも行えるので、案件の風化防止にも役立ちます。
「案件管理機能」では、顧客の企業名や担当者名の他にその担当者がどんな案件で関わっているのかまで把握することが可能です。
デメリット
SFAシステムのデメリットは、CRMと同じくデータの移行に手間がかかることと・導入のコストなどがあります。
新しいシステムなので、入力担当者が操作に慣れる必要もあるでしょう。
CRMシステムとSFAシステムの違い
CRAシステムとSFAシステムの違いは、この“営業活動を前提としているか”という点にあります。
また、SFAシステムは営業職に欠かせない日報の提出や、個々の情報共有も可能です。SFAシステム上でメッセージがやり取りできれば、普段顔を合わせる機会が少ない営業マン同士であってもフォローしあえるでしょう。
顧客管理でどんなデータを管理していくか
顧客管理の方法で悩むことの1ついえば、どんなデータを管理していくかを決めることではないでしょうか。
顧客の基本情報はもちろん、今後新たなビジネスにつなげていくためにはどんな情報を記録して管理していくべきか、非常に悩むところです。
パッケージ化された顧客管理システムでも項目データのカスタマイズは可能なものが多く、その企業に適切な項目はしっかり洗い出しておく必要があります。
まず顧客の基本情報として、次の情報は欠かせません。
- 顧客の企業名
- 業種
- 氏名
- 役職
- 年齢
- 会社住所
- 電話番号
- メールアドレス
その次に、以下の情報なども必要になってくるでしょう。
- 関わった取引
- 案件名
- 購入した商品(サービス)
- アポイント履歴
顧客が個人の場合は、こちらの情報も管理しておけば、今後の営業活動をしていくうえで参考情報として役に立つでしょう。
- 自社製品に対する感想
- 要望
- 問い合わせ履歴
営業マンは顧客管理ノートで顧客の個人データを管理している
BtoCの営業マンは、顧客の情報がなにより大事です。
そのため営業マンのなかには個別に情報をまとめた「顧客管理ノート」を作っている人もいます。 顧客管理ノートには、顧客管理システムに入力されないほど些細でパーソナルな情報が記されています。
顧客の趣味や家族構成・記念日や犬の名前など、一見ビジネスにつながりそうもない情報も細やかにノートに記していきます。
対面で接客する者は、日ごろ多くの顧客と接してさまざまな情報を得ています。そのささやかな情報を記しておくことで次回の接客時に活かすと、「自分の事を覚えていてくれた」と顧客満足度アップにつながるのです。
つまり顧客管理を徹底して行えば、さらに担当者や企業のイメージアップにつながる効果もあるのです。
顧客データは会社の財産である
顧客がいなければ、どんなビジネスも成り立ちません。しかし取引が増えて顧客が増えるほど顧客データは散在しがちで、管理が大変になります。
顧客データとは名刺や基本情報だけではなく、苦情なども大事な情報となります。今はあらゆるものがデジタル化される時代ですから、顧客管理の方法もデジタル化して効率よく管理していかなければなりません。
社内に散らばっている顧客データを集めて適切な方法で管理していけば、大きな財産となるでしょう。
適切な顧客管理はビジネス成功に相関
顧客データ管理システムの先駆者であるTealium社が日本、アメリカ、イギリス、ドイツなどの企業担当者330名を対象に顧客管理についての調査を実施した結果、次の事実が判明しました。
- 顧客データを管理して主要部門で活用できている企業はわずか6%
- 多くの企業が顧客管理方法やデータ活用で苦戦している
- 顧客管理をしっかり行い成熟したデータ連携を行っている企業ほど生産性が高く、ビジネスに成功している
つまり顧客管理方法に悩む企業は多いものの、活用ができれば大きな成果を上げられるという結果が出たのです。
以上では顧客情報を管理する手段と顧客情報を管理していくことの大切さについてご紹介しました。
次の章では、実際に顧客情報を管理していくうえで人気のあるアプリを5つ紹介していきます。
顧客管理で人気のアプリ5選
では、顧客管理でおすすめのアプリを5つご紹介します。
顧客管理で人気のアプリ①:「Sales Cloud」
SFAシステムのなかで世界でトップシェアを誇るのが、株式会社セールスフォース・ドットコムが運営している「Sales Cloud」。
案件管理や顧客の連絡先をはじめ、社内の営業とどんなやり取りをしたか履歴を記録できます。そのため、顧客の全体像を効率よく把握できるので次の営業活動につなげやすいメリットがあります。
また、Sales CloudにはChatter(チャター)という社内専用のSNS機能があり、顧客の分析情報や重要な文書を安全に共有できます。組織全体で顧客管理をすることで大きな営業効果を期待できるでしょう。
モバイルアプリもあるので、社内外問わずに案件の情報にアクセス可能。さらに顧客のSNS情報を取り込むことができ、よりリアルタイムな情報による顧客管理ができます。
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顧客管理で人気のアプリ②:「Microsoft Dynamics 365」
Microsoft社が運営している「Microsoft Dynamics 365」は、Sales Cloudと同様に高いシェア率を誇る顧客管理システムです。
Microsoft Dynamics 365の最大のメリットといえば、Microsoft Office製品との連携が可能で、UIもOfficeと似ているという点。
新しい顧客管理システムの導入後は操作に慣れる時間が必要ですが、Microsoft Dynamics 365なら使い慣れたUIで慣れるのも早いでしょう。 Officeソフトと顧客情報を連携できるということは、Faxや文書のあて名をMicrosoft Dynamics 365から参照できるということです。入力の手間が省けて入力ミスも防げます。 またOutlookと連携させると、[Microsoft Dynamics 365]というボタンが表示されます。顧客からメールが来た時にそのボタンを押せば、顧客の情報や進行中の案件などをすぐに知ることができるので、より効率的に営業活動を行えます。
顧客管理で人気のアプリ③:「Eight」
名刺管理アプリ「Eight(エイト)」を運営しているのは、名刺管理アプリ「Sansan」をも運営しているSansan株式会社です。
「Eight」はSansanよりも小規模向けて、シンプルなUIが特徴。
名刺を撮影してアップロードするとAIと人の手で顧客情報が入力されるのは同じですが、オンラインで名刺を公開したりEightの顧客情報からメッセージを送ったりと、ビジネス上でSNSの側面があるのが特徴です。
顧客の昇進・異動情報が届くのはSansanと同じですが、名刺情報をダウンロードしたい場合は月額480円・または年額4,800円で「Eightプレミアム」にアップグレードする必要があります。Web上のシステムでは「名刺交換リクエスト」という機能もあり、SNSのようにカジュアルな顧客管理方法ができるアプリです。
顧客管理で人気のアプリ④:「Sansan」
一時期テレビCMによるプロモーションを行っていた法人向けクラウド名刺管理システム「Sansan(サンサン)」。
名刺をスキャンするだけで、高度なAI分析とSansanオペレーターの手入力により、社員が取得した顧客管理を一元管理できます。 専用アプリを使えば社外でもSansanが利用できるので、外回りの営業マンも活用できます。
顧客の人事異動情報や企業の最新ニュースも届くため、常に最新の顧客情報を知ることができます。 決まったフォーマットがない名刺管理は、AIだけではなく人の手でデータ入力することでより精度の高い情報となります。
三井住友銀行、トヨタ自動車など大手の金融機関や企業で導入されており、6,000社を超える企業が顧客管理方法として導入しています。
顧客管理で人気のアプリ⑤:「cyzen」
レッドフォックス株式会社が運営する「cyzen(サイゼン)」は、スマホで管理できるSFAの顧客管理システムです。
外回り業務を効率よく行えるような方法を取り入れているクラウド型のモバイルコラボレーションサービスで、顧客管理をはじめ営業活動記録の共有や報告書の確認・メッセージの送信が行えます。
顧客情報は地図やリスト形式で管理できるため、得意先回りも効率的に行えます。
オプションにはなりますがAPI連携も可能で、SalesforceやSansanといった顧客管理システムと連携してより詳細な顧客管理も行えます。
過去の訪問履歴が残るので引継ぎに利用したり、さらには訪問してはいけない場所を「訪問NG」として登録したりすることでトラブルを防止することもできます。
富士フイルムメディカル株式会社や、株式会社ロッテリアが導入しています。
まとめ
本記事では、顧客管理で有効な3つの手段とおすすめの管理アプリを5つ紹介してきました。
顧客管理はビジネスで大きな成果を上げていくうえで欠かせないものです。しかし、顧客情報の最適な活用方法はそれぞれの企業によって異なってくるため、どのようなデータをどのように生かしていけばいいかに悩むこともあります。
ツールを導入するにしてもまずはどのような要件を満たせばよいのか社内で十分に検討のうえ選ぶようにしましょう。そして、それが今回紹介した5つのアプリの中からあなたのビジネスに最適な顧客管理の手段がみつかるようでしたらとても幸いなことです。
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