カゴ落ちとは
カゴ落ちとは、ネットショップなどのECサイトで商品をカートに入れたものの購入に至らず離脱されてしまうことを指します。
2019年のBaymard Institute社の調査によると、平均でカートに入った商品の69.57%はカゴ落ちしてしまい購入まで至らないということが分かっています。
カートに入れられた商品のおよそ3割しか「購入」に至らないということです。
これは重大な課題となっており、運営者側でなにか打ち手はないのでしょうか?
そこで本記事では、そんなカゴ落ちをいかに減らしていけるかについて解説していきます。
なぜユーザーはカゴ落ちするのか
上記の調査によるとカゴ落ちの理由上位は下記のとおりです。
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- 1位 想定外の追加費用が発生した(送料、税金など):50%
- 2位 アカウントを作る必要がある:28%
- 3位 購入までのプロセスが長すぎる/複雑すぎる:21%
- 4位 合計注文金額がぱっとわからない:18%
- 同4位 商品の発送予定日が先すぎる:18%
- 6位 ウェブサイトが信用できないのでクレジットカード情報を入力したくない:17%
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今回はここからさらに原因を「運営サイト側の問題」「運営サイト以外の影響」の2つに分類して対策を考えます。
運営サイト側の問題によるカゴ落ち
カゴ落ちは、サイト構成や提供される情報などがユーザーフレンドリーでないことに起因することが多く、商品を購入する流れの中でユーザーが抱く不安やギャップがカゴ落ちを誘発します。
このような部分でサイト修正することで成果の向上が期待できますので、後述するものに当てはまっている場合は随時改善をしていきましょう。
問題①:想定外の費用が発生する
これはBaymard Institute社の調査で最も大きなカゴ落ち原因となります。
ユーザーが商品をカートに入れて決済へ進もうとしたところ、検討段階では想定していなかった送料や税金が加算されれば約半数が離脱してしまうということです。
もちろん、商品ページには送料などの費用を除いた金額を記載することで、それを含んで表示しているサイトよりも安く見えるのでカートへの遷移率は向上するかもしれません。
しかし、ユーザー視点に立つとカートに進むと急に合計金額が増えるので、だまされたような感覚を持たれてしまうのです。
対策
- 商品ページに最初からはっきりと送料や追加でかかる費用を明記すること
※もちろん、送料を無料にする方法(例えば合計1万円以上の注文で無料など)があればそれも併記したほうが良いでしょう。
カートにたどり着くユーザー数も大事ですが、最終的な目標は購入してもらうことなのでユーザー側の立場に立って親切なサイト設計を心がけましょう。
問題②:アカウントを作る必要がある
これは上位2位の原因となります。
商品を販売するサイト側からすれば、購入してくれたユーザーにアカウントを作ってもらうことは、長期的に関係性を構築できるメリットがあります。
しかしECサイトで購入するたびにアカウントが増えていくユーザーにとっては、迷惑メールが増えていくようなものです。
対策
- アカウントなしでも購入できるようにすること
ユーザーと密接な関係を構築することは重要ですが、一方的に押し付けては嫌われてしまいます。「ゲスト購入」という選択肢を追加し、アカウントを作成するかどうかはユーザーに選択させる形がよいでしょう。
ユーザーにはアカウントを作成するメリットがあることを伝えることで、能動的にアカウントを作ってもらえるようにするのが理想です。
問題③:セキュリティへの不安
商品を購入する際にクレジットカード・個人情報を入力するということは、そのサイトを信頼するということです。
ユーザーをだまそうとするなど、少しでも信頼性に欠ける点があるとユーザーはそのサイトで商品を購入したくないと考えてしまいます。
ほかにも、サイトがSSL化していない、ページデザインが極端に古い、セキュリティに関する記述が不足しているなどユーザーは様々なポイントで不安を感じるので可能な限り不安要素を取り除くようサイトを改善していきましょう。
対策
- 不安要素を取り除き、安心であることをしっかり伝える
ユーザーの多くは知名度の高いサイトを信頼します。つまり、あなたの管理するサイトがAmazonや楽天のような知名度がないのであれば、ユーザーは不安を感じる可能性があるということです。
ECサイトであれば一定のセキュリテイレベルは担保していると思いますが、大事なのはユーザーにしっかりと伝えることです。
SSL対応やセキュリテイツールのアイコンをサイト内に置いてアピールすると良いでしょう。
問題④:入力フォームでのストレス
ECサイトで購入する際には様々な情報を入力しますが、その入力フォームに問題があるとユーザーは離脱してしまいます。
例を挙げると「入力項目が多すぎる」「全角・半角の指定が細かくイライラする」「エラーが発生したがどこが悪いのかわからない」などです。一度買う決意をしたユーザーでも、あまりにもイライラするフォームでは購入を止めて去ってしまうでしょう。
対策
- 最大限ストレスが少ないフォームに改善する
初めてアクセスし、購入に至るユーザーは必ず入力フォームを経由します。せっかく入力フォームまでたどり着いても入力フォームで離脱しては成果が上がることはありません。
そのため、入力フォームの改善は最も重要な施策の一つといえます。
社内の話し合いで見つけられる不備もありますが、EFO(入力フォーム最適化)ツールなどでフォームの項目ごとの離脱率を分析し、データから課題を抽出して修正する方法がオススメです。
関連記事:おすすめのEFO(入力フォーム最適化)ツール11選!比較のポイントを押さえて紹介!
運営サイト以外の影響によるカゴ落ち
ウェブサイトの問題ではなく、その他の影響でカゴ落ちしてしまう場合もあります。
改善するには中長期的な計画が必要になることが多いです。
影響①:そもそも買うつもりで見ていない
ただなんとなく商品を眺めていだけ…そんな経験は誰にだってあるでしょう。ECサイトでも当然そういったウィンドウショッピングを楽しむユーザーは多く、むしろ店員さんの目を気にする必要がない分、実店舗よりも多いかもしれません。
そういったユーザーも商品を購入する気が全く無いわけではありませんが、買う決意を持っているわけでもないので難しい層です。
対策
- いま買う理由を与えてあげる
重要なのは今買う理由を伝えることです。
例えば「期間限定セール」「今だけ使えるクーポン」「送料無料キャンペーン」「先着限定特典」といった情報です。一般的にこういった限定されたお得情報はサイトのトップページやグローバルメニューなどにも記載がありますが、必ずしも認知しているとは限りません。
カート内で改めて告知するのも良いでしょうし、最近はユーザーがサイトを離脱しようとするとポップアップを表示するツールもあるのでそういった機能を使って「とりあえず今日は見るだけ」と考えていたユーザーに「今、買わなきゃ」と感じてもらえるような施策を打ちましょう。
関連記事:「なにかお困りですか?」Web接客ツールとは|離脱の原因とおすすめのツールを紹介します!
影響②:もっと安いサイトを見つけた
ウェブサイト上で商品の価格を比較することは容易なので、多くのユーザーはより安いサイト、あるいは同じ金額でもサポートの手厚いサイトで購入したいと考えています。
もちろんECサイト側もそれを承知で可能な限り価格を抑える努力を行っていることかと思いますが、必ずしも最安値を提示できるわけではありません。
ユーザーは一旦カートに商品を入れた後でも最安値のサイトを探し、そちらで購入してしまうのです。
対策
- 独自性やブランディングなどで競争優位性をアピールする
一言でいえば「価格以外の価値を付与する」ことが対策ですが、これはいわゆるブランディングという概念で長期的に取り組む必要があります。
例えば、スタッフによる商品レビュー、仕入れた商品の紹介ブログ、メルマガといったサイトを通じてユーザーと友人のような関係性を作る事ができれば、価格ではなく関係性からサイトで商品を購入してくれるでしょう。
影響③:返品対応などのサポートが不足している
実店舗とECの大きな違いはサポートにあります。店頭で購入した商品に問題があったときにお店へいけば交換してもらえるが、ウェブ上で買った場合は正しく対応してもらえるのか不安になるものです。
商品をカートに入れたものの、十分なサポートが得られるか不安になったユーザーは考え直して店頭で同じ商品を探すかもしれません。
対策
- カスタマーサポートを充実させ、それをしっかり伝える
現在は多くのECサイトの返品・交換サポートは実店舗以上に充実してきていますが、訪れたユーザーにもその情報が伝わっているでしょうか?
カスタマーサポートがあり、不備があった場合はすぐに交換・返品が可能だとカートや詳細ページでも伝えることで、安心して購入まで到達してもらえるでしょう。
最終手段:カゴ落ちツールの導入
原因に応じてサイトの修正を進める必要がありますが、サイトの修正で補えない部分にはカゴ落ちツールと呼ばれる専用のツールもおすすめです。
カゴ落ちしたユーザーに対してメールでアプローチしたり、関連商品のWeb広告を出すことができます。一度カゴ落ちしてしまったユーザーでも、メールでキャンペーン情報を伝えたり、検討していた商品と近いカテゴリの商品を提示することでサイトへと再訪してくれることがあります。
どこまでカゴ落ちを減らしても一定数は離脱が発生してしまうので、最後のすくい上げとして活用すると成果が見込めます。
まとめ
今回はユーザーがカゴ落ちする原因と対策についてご紹介しました。
この施策は、新たに訪れるユーザーを増やすよりも既にサイトに訪れているユーザーに対して施策を打つことになるため、しっかり対策を打てば効率的な成果の改善が見込めます。まだまだ対策が不十分な場合はすぐに対応を検討すべきでしょう。
何事もユーザー視点で親切で安心なサイトだと感じてもらえるよう努めるのが、成功への近道です。
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記事編集:中條 優
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