ものすごいベンチャー展2日目『働き方改革』『HR』『福利厚生』
登壇者プロフィール
エンタープライズ向けSaaS、マルチサイド市場、開発者プラットフォーム、収益化と成長の構築を専門とする経験豊富なプロダクトリーダー。副社長兼Workplace by Facebook責任者として、将来の働き方を変革する製品とビジネスを統括。
Workplaceを指揮する前は、Facebookのマーケットプレイスおよび決済エコシステムの構築や拡大を支援し、8億人を超える人やビジネスにサービスを提供。その前の4年間は、Facebookの開発者プラットフォーム、ゲーム、モバイルアプリ広告など、複数の製品と数十億ドル規模のビジネスを担当。Microsoftで14年間、同社のクラウドビジネスであるAzureのインキュベーションと構築に貢献したあと、Facebookに入社。本業以外では、スタートアップのメンターをおこなう。さらには、新興市場や次の10億人を対象にテクノロジーの利用をできるようにする仕事に取り組む起業家と手を組む。
コロナ禍における働き方の変化について
Karandeep Anandです。
私は、Facebook Workplaceの責任者ですが、それだけでなく、広告やMessengerなどFacebookにおける2億以上のあらゆるビジネスをサポートしています。
一瞬で事態が変わってしまったので、全員にとって急速な変化でした。数カ月以内に事態がこのレベルで変わるとは、誰も予想していなかったのです。幸運なことにテクノロジーや変化に適応する文化があったので、変革は難しくても不可能ではありませんでした。
そして、文字通り一夜にして変革を成し遂げ、非常に大きな成果を得ることができたのです。よかったです。良い学びになりました。全体的に言えば、この変革で会社がとても強くなれました。
素晴らしい質問ですね。そうですね、簡単に答えると新しい日常がどうなるかは誰にもわからないと思います。
しかし、確実に分かっていることがあります。
1つ目は、今までどんな会社であれ、どう仕事をしていくか。誰もがオフィスにいなければならない、誰もが通勤しなければならない、というのが前提でした。私たちが過去14ヶ月で見てきたように、このような前提はもはや通用しません。
つまり、確かなことは、人々は確実に働き方に対してより柔軟性を求めるということです。より重要なのは、従業員が「コロナ禍でも仕事ができ、生産性が高いままであるなら前の日常に戻る必要はあるのか?」と疑問を持つことです。
確かなことが3つあります。
1つ:仕事における柔軟性はとても重要になること。
2つ:遠隔地での採用や分散型の採用により、これまでにない場所で人材を集める機会が広がり、これまでよりもはるかに多くの人材プールにアクセスすることが容易になること。そして3つ目は、職場でのコミュニケーションや協力の仕方が変わることです。
以前は、全てが同期的でなければならないという前提がありました。もう、それは取り払われました。ミーティングをZoomでどう行うかだけではなく、他にもあらゆる点で非同期型で協力し合う方法を考え出したため、人々は同じ時間に同じオフィスで働く必要がなくなりました。
これは、個人やチームごとレベルの話ではなく、確実に変わったことなのです。この3つの変化は、出社とリモートのハイブリッドか、完全出社かに限らず存在し続けるでしょう。
BtoBのスタートアップが伸びるために重要なこと
難しい質問ですね。BtoBは非常に興味深い分野です。というのも、Facebookに入る前、私は約15年間もMicrosoftにいました。BtoB企業がどのようにビジネスを行うか、Microsoftで見てきました。今はFacebookで、全く違う方法でBtoBビジネスをしています。今までとは全く違うやり方で、BtoBビジネスを学べる点が魅力的です。
私の言いたいことを3つの例でご説明します。1つ目は、Zoomを例に挙げると、パンデミック前後で企業の規模や成功の度合いが全く違いますね。Zoomがこれだけ成功した理由は、非常に早く行動し、文字通り数週間のうちに市場の需要に適応できたことにあります。
BtoB企業が大成功を収めるためには、このスピードとアジリティが、企業文化、DNA、人材の中核を成すものでなければなりません。そのため、1つ目は「企業としてどれだけ早く動けるか」です。
2つ目は、職場と同じテクノロジーを、家庭でも使用する人がますます増えているという点です。仕事用と家庭用、またはプライベートでのツールの違いは、もはや存在しないのです。企業向けソフトウェアであっても、一般消費者向けソフトウェアの使いやすさと同じレベルのものを期待しています。
つまり、一般消費者向けのソフトウェアのように優れた、かつ簡単なソフトウェアを作れば作るほど、BtoBプロダクトが成功する可能性がはるかに高くなるのです。カナダを拠点とするShopifyやZoom、我々が手がけたFacebookのWorkplaceなど、一般消費者にとって非常に使いやすい、モバイルファーストのUXを重視すればするほど、BtoBプロダクトが成功する可能性は高まります。
とても重要な3つ目としては、ほとんどの人が「BtoBソフトウェアを作ってそれをどう売るかは営業チームの問題だ」と考えている点です。しかし、それは誤りです。BtoBソフトウェアは、どのように販売するかを考えた上で設計されるべきです。直接売るのか、つまりサイトに来て登録すればすぐに使える、一人でも使えるようなソフトウェアにして、ユーザーに直接販売するのか。
または、BtoBソフトウェアを営業チームを通じて販売することを想定しているのか。または、パートナーネットワークで販売するのか。それを知った上で、そうした仕組みやバイラリティをソフトウェアに組み込むことは、BtoBソフトウェアを構築する上で非常に重要なことです。
コンプライアンス、セキュリティ、そして信頼性とスケールという点で行うすべてのことに加えて、それらのことは共通しています。しかし、スケールできるBtoB企業の違いは、どのように構築するかという3つの点にあります。
アジャイルでスピード感があるか?非常に簡単かつ迅速に販売できるプロダクトを作れるか?そして3つ目は、一般消費者レベルの手軽さの有無です。
グローバルなチームが協働する際のポイント
素晴らしい質問ですね。ご質問ありがとうございます。なぜなら「何を作るか」は、「誰がそれを作るか」にかかっているからです。つまり、チーム、カルチャー、リーダーシップチーム、マネジメントチーム、そしてどの顧客と契約するかは、どのようなプロダクトを作るか、どれだけ成功するかという点で非常に重要な要素です。
私が過去20年以上にわたって大企業と仕事をして学んだ3つの例を紹介しましょう。また、小さな会社の役員を務め、スタートアップにアドバイスもしています。それらの経験から、非常に重要な3つのことが見えてきました。
まず第一に、リーダーシップチームの考え方に多様性があるかどうかです。多様性とは、様々なバックグラウンドを持つ人がいるか。単純なもので言えば、リーダーシップチームや取締役会に何人ずつ男女がいるかなどです。
グローバルなソフトウェアを作りたい場合、異文化や他のバックグラウンドを持つ代表者がいないと、ソフトウェアにグローバルな視点を取り入れることは非常に困難になります。そのため、1番に重要なのは多様性です。考え方や表現に多様性がありますか?もし無いなら、スケールに向けて異なる視点が必要な際、どこかしらで苦労することになるでしょう。
2番目は、「設立初日からグローバル企業を目指しているか」という点です。それとも国内企業、ローカルな企業からグローバル企業にしようとしているのか。大抵、後から修正するよりも、設立初日からグローバル企業として作るほうが簡単です。なぜなら、グローバル企業を目指すなら、ソフトウェアの構築段階から販売といった全ての段階において、適切なやり方で、簡単で世界中の人が利用可能な方法を初日から構築するからです。
初日から抱負を持つことは、最初の選択や決断において本当に大事なのです。企業にとって、「今まで国内だけだったが、これからはグローバルに変えたい」というのは非常に難しく、多くの工程のやり直しが必要になります。
3番目は、チームや文化の観点から「世界の変化の速さ」です。実際に現代の人口は5世代にのぼり、いわゆる、ベビーブーム世代である1970年や1980年代に生まれて働いている人たちから、2000年代に生まれて働いている人たちまで、5世代の人が一緒に働いています。
カルチャーはあるか?ツールはあるか?それをうまく機能させるプロセスがあるか?さまざまな世代の人が働いているにも関わらず、全ての人をサポートするツールやカルチャーが無いなら、従業員全体の可能性を引き出すことはできません。つまり、基本的には、多種多様な人材を活用するためのカルチャーやツール、プロセスが社内にあるかどうかということに尽きると思います。
これらをまとめると、1つ目が「多様性」。グローバルな考え・視点がなければそもそも難しいでしょう。2つ目は「初日からグローバルである」。初日からグローバル的思考で全てに取り組むこと。そして3つ目は、会社のツールやプロセス、カルチャーがグローバル人材を惹きつけるだけでなく、グローバルなトレンドから学び、アピールできるように設計されているかを確認する必要があります。
現在注目しているスタートアップは?
私が現在投資している多くのスタートアップの革新性の高さには、本当に驚いています。交通手段から買い物の仕方まで、あらゆるものが変わっています。eコマースも劇的に変化を遂げ、支払い方法も変わりました。以前は、モバイル決済は中国だけのものと思われていました。しかし、今では世界全体が使っています。
コラボレーションの仕方も変わってきています。簡潔にいうと、あらゆる分野のスタートアップに投資し、サポートやアドバイスをしてきました。ヘルスケア、FinTech、医療技術、教育技術など、将来は全てが技術によって支えられるようになるからです。
つまり、あなた方には計り知れないチャンスがあるのです。どんな分野でも、イノベーションを起こせる素晴らしいアイディアがあります。そのため、スタートアップコミュニティや、彼らが何を解き放つか、非常に楽しみです。
グローバル的思考をもち世界規模で成功するために
まず、お招きいただき本当にありがとうございました。これらについて、議論や会話できたことにとても嬉しく思います。これは、異なる方法で考えるための第一歩です。これは、日本の従来のソフトウェア開発とははるかに違う。自分たちの世界を、さらに大きくするための始まりなのです。そのため、このようなフォーラムが開催されることが大変嬉しいです。
1つだけ私からのお願いは、限界を突破し、大成功を収めてください。グローバル的思考が必要です。世界規模で成功するためには、自分たちのカルチャーやチーム、多様性について考え、邪魔になるような古い考え方やアイディアを捨てるべきです。
本当にありがとうございました。皆様のご活躍をお祈り申し上げます。
まとめ
ものすごいベンチャー展2日目『働き方改革』『HR』『福利厚生』
Youtube:https://www.youtube.com/watch?v=lxS_ZeNcsqo
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