登壇者プロフィール
カメラのサブスクリプションサービスGOOPASS(グーパス)事業責任者
風景写真家・観光系まちづくりプロデューサー
フォトグラファー・文学研究者。滋賀、京都を中心とした”Around The Lake”というテーマでの撮影がライフワーク。
カメラブ株式会社の紹介
弊社は、「カメラと人の新たな関係をつくり心が動く景色を次の世代へ。」というパーパスを掲げています。心を動かされるような風景や、カメラと皆様をつなぐお手伝いができればという会社です。
メイン事業は、GOOPASSというカメラのサブスクです。1,500種類を超える機材、カメラ、レンズ、ドローンなどを自由に入れ替えながらレンタルできる月額制のサブスクです。初期費用0円、契約期間縛りなし、休止・解約いつでもOKというサービスとなっています。
自治体や地域企業との取り組み事例
また、写真の街として北海道東川町が有名なのですが、その隣にある上川町の地域おこし協力隊と連携して、観光客や地元住民にカメラレンタルサービスを提供しました。日本一の星空といわれる、長野県阿智村で星空という観光資源を活かして、有名なクリエイターと撮影会を実施しました。常設型の機材レンタルブースも設置して、継続的な集客コンテンツを企画しました。星空撮影では夜になるので、宿泊が発生します。街にもお金が落ちてくると喜んでいただき、継続コンテンツとなっています。
現在進行中の構想としては、フォトグラファーや映像クリエイターの視点から、映えスポット、撮りたいと思える絶景を中心にめぐる、カメラ機材レンタル付きの旅行プランを行っています。例えば、朝日と雲海、星空と天の川といったプランを作っていきたいと思っています。地方で起こりがちなのが、二次交通の問題です。
そこにEVバイクなども用意して、移動アイテムと撮影機材をレンタルして、観光客の移動回遊性を高める取り組みも考えています。地域を撮影することは、地域の魅力に気づくことと同義だと思っています。SNS時代において、写真や映像の質が高まることは、魅力発信の強みと考えます。
【対談】地元の人が住む町の誇りを見失っている課題
地方を元気にするというのは、外向けの発信が大きく取り上げられますが、地方が疲弊する原因は、地元の人たちが誇りを見失っていることが一番の課題だというところに気づきました。そこからは、アウトプットと同時に、インナーブランディングのために、地元の人に写真を活用して、「自分の街がこんなにキレイなんだ」と地元を知ってもらうというのが入り口でした。
逆に言うと、毎日過ごしている現場で、小さい頃から当たり前に住んでいて見過ごしてしまう。そこに改めて焦点を当て、インナーブランディングという形で、柄木さんのまねごとを滋賀県でやってきました。
バズで終わらせない継続的な価値提供の重要性
イベントやSNSで人を呼べても、そこでお金を落とす仕組みができていないと、地元の人たちにとっては迷惑でしかない。重要なことは、来てもらってどう地元を巻き込み、地元主体でお金を落とす仕組みをつくるかという点を、発信と同時にコンテンツ化していく必要があります。しかし多くの自治体が、そこで頓挫してしまうんです。インフルエンサーを呼んで発信することはできても、そこで終わってしまっている。
重要なのはその先で、自治体もしくはクリエイターに寄り添って、カメラマンの仕事がどう生み出されていくか。もっといえば、地方の人が主体者となって地元が儲かる仕組みやコンテンツを継続的に作っていかなければいけないことに、自治体が気づいてほしいと思います。
例えば、以前、僕のフォロワーが数万人だった頃、周りにそれだけのフォロワーをもつ人はいませんでした。ところが、今や20代30代の若いクリエイターは、20万30万のフォロワーがいます。それが100人単位でいるので、毎日どこかで誰かがバズっている状態になっています。すると、どこかがバズった次の日に新しいところがバズるので、1回バズっても有名になった気がするだけで、実際は続かない。表現のコモディティ、観光地のコモディティ化の状態になっていると思います。
それをSNS上で見てしまうので、どこで起こっても同じに見えて、特別なものでもなくなり、結局誰もそこに行かなくなってしまう。これをどうするかを考えるのは、地方に現在住んでいる人、地方でクリエイティブをやっている人ではないかという想いから「#みんなの地元推し」という企画をコロナ禍に立ち上げました。
コロナ禍でみんなが地元に縛られる、そこでクリエイティブを続けなければならない状態が続くのであれば、地元を見直そうと。それでタグを作ったところ、日本全国の地元のクリエイターが写真を出してくれて、一冊の本になりました。
それを見て、地方にも自分の地元を愛していて、盛り上げたいと思っているクリエイターがいることを実感しました。
駆け出しの若いクリエイターは、インフルエンサーのようにはバズらせられなくても、継続的に写真を撮っています。それは、SNSでコモディティで消費されるものとは違い、ひとつのロングテールの物語として機能するようなものだと思います。どの自治体も代理店も、そのようなまだ発見されていない地方の宝を核心にして、ひとつひとつの新しい環境、地元のクリエイター、地元に根差したクリエイティブの革新を、地方の次の展開として作っていかなければならないと思います。
地方の魅力が発信されることでお金が落ちる仕組みづくり
実はその写真には良いも悪いもなく、その人の好きなものを好きに撮っていることで、地元愛、シビックプライドを醸成する取り組みです。
今後、中学生、高校生に展開していくと、地元のまだ見つかっていない良いところがもっと世の中に発信されていくと思います。そして、若手のクリエイターがより地方のよいところを発信して、お金が落ちる仕組みづくりをしていくことに、教育の観点から貢献していきたいですね。
地方創生における写真の可能性が見直されていますが、それをコンテンツ化することで、多方面に広げられます。特に観光というセクションは、移住・定住にしても、写真は切っても切れないものになっています。写真を通じて、地域が写真をどう活用するか、観光素材として活用することも重要です。
また、コンテンツ化の中で地元クリエイターを使って、撮った商材をどう観光資源に変えていくのか、これは自治体にしかできないことですよね。このような企業ができないことに自治体が投資できる仕組みをどうつくるか、それをビジネス化する力が自治体は弱い。そこで、カメラブ社や我々や、別所さんのようなクリエイターがいかに自治体とクリエイターとの間をつなげるかが大切だと思います。
例えば、この豪円山ののろし台は、もともと誰も来なかった。それを大山観光局という組織とタッグを組んで、観光局がここを観光地化するためにポスターを作って情報発信して、受け入れを作った結果が今につながっています。もっと言えば、民間企業の大山ホワイトリゾート社を巻き込み、彼らの施設に人を流すことによって、おみやげを買う、ご飯を食べるといった収益性につなげました。そのように収益が上がる事例を見ると、協力してくれるようになります。
そういう流れを地元でコンテンツ化していく、見える化する、数値化することで、地域が循環します。その仕組みが作れないまま発信で終わってしまい、結局地方創生できずに苦しんでいるのが今の状態ではないでしょうか。
クリエイターと連携した地方創生の推進
例えば、新潟は最近好きですし、ちょっと前は沖縄、小笠原諸島などいろいろなところに行って魅力を見える化して行きました。見える化された先に、若いクリエイターたちの力を借りて、自治体とはカメラブ社のような企業につないでもらって、そこに大学も加わればさらにいいですね。
今後、もっとサービスを展開して、いろいろな方がシームレスに機材を使えるようにしたいです。そうすることでカメラと人の新しい関係を作るのと、心が躍る風景、景色を次の層に残すことも掲げています。しかし、僕らができることは限られています。素晴らしい写真、発信力といった足りない部分は、クリエイターの方と一緒にチームとして地方創生やより良い撮影体験など、動けたらいいと思っています。今日はありがとうございました。
まとめ
地方創生サミット2022地方創生とSDGs、Society5.0との関わりについてDay3アーカイブ
YouTube:https://youtu.be/OM1Qqnvlvcs?t=5805
【SNSフォローのお願い】
kyozonは日常のビジネスをスマートにする情報を毎日お届けしています。
今回の記事が「役に立った!」という方はtwitterとfacebookもフォローいただければ幸いです。
twitter:https://twitter.com/kyozon_comix