登壇者プロフィール
1990年 千葉県にて誕生。学生時代 小中高時代はサッカー部に所属。進学先の一橋大学ではボート競技が校技であったこと、「日本一」を目指す組織で活躍したいとの思いから競技転向し、体育会ボート部へ入部。週11回の練習、年間300日以上の合宿生活というボート漬けの日々を送り、大学4年時にはU23日本代表選手としてオランダで開催されたU23世界選手権に出場。
卒業後 新卒で(株)帝国ホテルに入社、国際営業等で2年半の勤務を経てデロイトトーマツコンサルティングへ転職。デロイト時代には、M&A系プロジェクトに3年(日系企業の海外進出支援・パートナー戦略、インフラ案件への投資支援、新規事業戦略策定など)、人事・組織系プロジェクトに2年(全社MVV策定、グローバルHRシステム導入支援など)従事。
2019年 共通の知人を介した高橋との出会いを機にスポーツXの存在を始めて知り、その後2019年11月に当社に入社。以来、経営企画部として資金調達・営業、子会社経営・運営等に従事。
スポーツX株式会社の紹介
弊社は、「咲かせようスマイル つなげようスポーツで」という経営理念で事業を推進しています。スポーツには、物心両面で人々を幸せにする力があると私たちも信じています。スポーツは、あらゆる人や組織、地域をつなぐ力があって、世界中の貧困差別格差などを解決するものであるとも信じています。世界中にプロスポーツクラブを作りながら、各地で人や地域、国づくりに貢献し、結果的に人々に笑顔の花が咲き誇るような世界を作っていきたいという思いで事業を行っています。
会社自体は2017年10月に設立し、前進となる会社をあわせると、約15年近くスポーツ業界で事業を行っています。前進の株式会社藤枝MYFCは創業者である小山が、地元である静岡県藤枝市に、当時資本金300万円で設立した会社です。ゼロから立ち上げたサッカークラブを、途中408社の株主に共同参画いただきながら、史上最速となる5年でJリーグクラブへ昇格させた会社です。
2017年に、当時J3の藤枝MYFCを、地場で一番大きな会社さんに譲ってほしいと言われたこと、ひとつのクラブをずっと良くすることも素晴らしいが、世界中に無数のクラブを展開していきながら、各地でプロクラブのある幸せを広げていきたいという小山の志から、藤枝MYFCを譲り、当時の中核メンバーが中心となってスポーツXを立ち上げました。創業から現在まで、約8億円ほど調達しながら、プロスポーツクラブの多店舗展開事業を進めています。
私以外にも、東京大学卒業後に選手兼任の社員としてジョインした者、東京電力社からジョインした者、伊藤忠商事社から来た者、大手コンサル会社さんから転職したメンバーなど、東京出身だったり、東京の企業出身で当社にジョインしてきている者がいます。東京や大企業から多くの転職者がいる理由としては、当然ながらスポーツやサッカーが好きということ以外にも、筋書きのないドラマ、通常の仕事ではなかなか得られない喜びや悲しみ、豊かな感情の起伏を求めてきているというところもあります。
スポーツクラブが解消する現代日本の課題
例えば、人材。後継者不足が地場産業の衰退につながり、魅力・安定した職の不足につながり、地域外の就職につながる。
別の方面では、里山環境の悪化や空き家空地の増加などにも波及するという感じで、課題が孤立しているのではなくお互いに伝播する、その課題がSDGsの17つの項目とどう関連しているのかなどがわかる書籍となっています。
著者の筧さんによると、持続可能な地域を作るにあたって課題をひとつずつ解決していくのもひとつのやり方であるものの、それではお金や時間、リソースがかかりすぎてしまうため、課題を絞って取り組むことで全体が大きく改善されるというレバレッジポイントを2つ挙げています。
そのひとつがコミュニティの弱体化であり、もうひとつが若者流出、地場産業の衰退です。逆に言えば、これらの課題を解決することが、課題の連鎖を断ち切るひとつになるんじゃないかと思います。コミュニティの弱体化については、地域のさまざまな分断が地域の人間関係を希薄にしてしまい、結果的に地域愛の低下につながる。すると、若者は県外に転出してしまい、地域内の人口が減少して地域が衰退していくというループです。
もうひとつは、地域内で魅力的な大人との接点の不足、手間暇かけて取り組む仕事への敬意の薄れ、地域の素晴らしさの伝承不足、東京や大阪など、圧倒的人口集中している都市の存在などが、若者流出地場産業の衰退につながると挙げられています。私たちは、この2つのレバレッジポイントの解決手段として、プロスポーツクラブが最適解なのではないかと考えています。
スポーツクラブがなぜそれを果たすのかについてご説明します。
前進の藤枝MYFCには、408社の株主さんが当時いました。サッカークラブないしスポーツが、老若男女、業界問わず360度あらゆる人々、企業とつながる力があり、サッカークラブがハブとなってコミュニティを作り出せると考えています。実際に私たちが展開してきたクラブは、各地域のハブとなってサッカー経済圏なるものを生み出すことを目指しています。
この経済圏が、同じクラブや同じ選手を応援する、同じスポーツを愛するといったような、共通の価値観を持った人々や会社の集まりとなるため、コミュニティに属するメンバー同士の関係性も、お互いに尊重し合えるという素敵な関係性になっています。結果的に、ビジネスマッチングや新たなビジネス機会の創出にもつながり、それらが増加していくことで地場産業の発展に寄与できると考えています。
藤枝MYFCと地場企業の取組事例
甘信堂製菓さんは地元の農家さんと組んで作った公式キャンディを販売していくにあたり、地元でスーパーをチェーン展開している藤枝MYFCの別の株主企業さんにお話させていただく中で、そのキャンディを置くための棚をあけていただくようお願いし、快諾をいただきました。
さらに、甘信堂製菓さんが私たちのクラブの経済圏を上手に使ってくださり、藤枝MYFCの他の株主さん10社ほどにこの公式キャンディを持って行かれました。そのうちの1社が地場で売上120億円ほどの建材卸の会社さんでした。その会社さんに公式キャンディを持って行った際「ブルーベリー味のMYFCキャンディはいらないが、塩飴を扱っていないか」と話が広がりました。
夏の暑い時期の建設現場では、熱中症対策として塩飴が重宝されていたこともあり、甘信堂製菓さんが扱っているならうちで買いたいという背景です。
甘信堂製菓さんが塩飴も扱われていたこともあり、建材屋さんも同じチームを応援する仲間として藤枝MYFCのカタログにCMをのせてくださいました。結果的に、甘信堂製菓さんの塩飴がカタログに載り、毎年こう売られていくというような形に発展しました。このように、四方よしの事例もあります。
地元住民とクラブが交流できる活動拠点づくり
例えば、人工芝のグランド3面と、宿泊所を兼ねた隣接の建物などがあり、約600人ほど泊まれる施設があります。ここでは、平日の夜に地元の小中高生向けにスクールアカデミーの授業をやり、週末や長期休暇、夏休みなどは大会や合宿などが行われています。大会や合宿などが毎週末ないし長期休暇に行われるのですが、広島を中心とすると東側が関西、西側が九州、南側が四国と、あらゆる地域のチームの子どもたちがやってきて、サッカーあるいはスポーツを通じてここで出会うことで、地域間の連携が生まれるというような拠点になっています。
また、宿泊所の運営もしていますが、例えば地元のシルバー人材の方々に働いていただくことによって、仕事を通じて地域内外の子どもたちと触れ合うことができ、パワーや元気をもらえるといったお声もいただいています。こうした、リアルの交流拠点を今後私たちが事業を展開する各地域地域で作っていきながら、地域間交流や雇用を生み出していきたいと考えています。
スポーツクラブを多地域で展開することが地方創生につながる
また将来的には、各クラブを展開ていきしながらその地域を豊かにしていくために、地場の企業さんとも連携していく流れをとっています。例えば、京都の信用金庫さんのコーポレートベンチャーキャピタル部門、地場の電鉄オーナーさんなど、地場の産業が衰退して若者が地域外へ流出してしまうと、事業が困難になる企業さんが増えます。弊社にも株主参画して応援していただきながら、各地域を豊かにし、結果的にそこに人が移り住んでいくといったことをやっています。
当然、東京からパッと来て、すぐに地元の人や企業の皆様に受け入れていただくような話はあまりありません。地道に活動しながら受け入れていただき、少しずつ信頼を勝ち取っていって、結果的にクラブがその地域のシンボルとなりハブとなって、サッカー経済圏が作られていく。それらがいくつもできることで各地域が連携されていく、将来的には世界とつながっていく、そんなことを目指して活動しています。
最後になりましたが、大手企業や東京から地方への大量移住を実現というところにあたって、スポーツクラブを多地域で展開していくこと、結果的にそこにクラブの経営者やフロントスタッフ、監督、コーチ、選手が根付いていくことで、実現していきたいと考えています。
まとめ
地方創生サミット2022 スポーツによる地方創生/地方自治体の取り組み Day4 アーカイブ
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