カスタマーサクセスとは?
カスタマーサクセスとは、自社の商品・サービスをスムーズに導入して、顧客のビジネス課題を能動的に解決する取り組みです。
直訳すると「顧客の成功」を意味する言葉ですが、カスタマーサクセスにおける成功の定義は、下記の2つがあります。
- 顧客が期待している成果を得られた
- 顧客が掲げてる目標を達成できた
カスタマーサクセスの基本的な知識を取り入れることで、「顧客へ能動的に関わる意味」「顧客の成功が自社の発展につながる意味」を理解できるでしょう。
そのため顧客が成功できるように、先回りして課題を解決したり、要望や意見をもとに提案・サービスを改善します。
続いては、カスタマーサクセスにおけるタッチモデルを見ていきましょう。
カスタマーサクセスにおけるタッチモデル
カスタマーサクセスでは、期待が持てるLTVに伴って顧客へセグメントを行い、限られたリソースを振り分けて全体の最適化を図る必要があります。
顧客をセグメントするメリットは、リソースが限られていたとしても効率的に費用対効果の高い対応が取れる点です。
カスタマーサクセスにおけるタッチモデルは、下記の3つに分類されます。
- テックタッチ
- ロータッチ
- ハイタッチ
それぞれ解説していきます。
テックタッチ
テックタッチとは顧客と個別での会話は行わず、セミナーやコミュニティ、一斉メッセージなどの方法でフォローしていく接し方です。
「自身でサービスの使い方を理解するためのヘルプページ」や「サービス画面に行うべき作業を示すガイドの表示」などがテックタッチに該当します。
カスタマーサクセスにおいて、テックタッチが重要だとされる点は下記の3つです。
- 顧客の多くにアプローチできる
- 属人化せずにサポートの質を維持できる
- 人的コストを削減して適切な領域にリソースを割けられる
テクノロジーを用いてサポートの自動化をする場合は、ユーザーの反応を事前に確認するために対人間で導入テストを行いましょう。
テックタッチが適切でないと判断できる場合も考えられるので、カスタマーサクセスを最適化するための最善策を意識する必要があります。
ロータッチ
ロータッチとは、テックタッチより優先度の高い契約顧客に対する接し方です。
サポート方法は、一般向けのセミナーや自社の商品・サービスを契約している企業を集めた研修会などの「1対複数」の形式で行われます。
ロータッチで取り組むべきポイントは、下記の5つです。
- ペルソナ設定
- セグメンテーション
- マーケティングとの連携
- コミュニケーションの設計
- カスタマージャーニーの策定
また、テックタッチよりも顧客を適切に分類・管理して、最適なコミュニケーションが求められます。
結果として、顧客のロイヤルティやエンゲージメントの向上につながるでしょう。
ハイタッチ
ハイタッチは、高額契約を行う顧客に向けて専任の担当者が手厚くサポートする接し方です。
サポート方法は、Web会議システムや対面、定例ミーティングなど「1対1」の形式で行われます。
ハイタッチにセグメントされる顧客層は、下記の3種類です。
- 知名度の高い顧客
- 見込めるLTVが高い顧客
- 自社にとって付き合うメリットの高い顧客
テックタッチやロータッチと比べて数が少ないので、個別の目標設定や定期的な進捗確認といった、コンサルティングに近いサービス提供といえます。
カスタマーサクセスの成功事例5選
カスタマーサクセスには、テックタッチとロータッチ、ハイタッチのタッチモデルについてお伝えしました。
続いては、カスタマーサクセスで成功した企業事例を5つ紹介します。
- SATORI
- Slack
- SmartHR
- セールスフォースジャパン
- ワークマン
ひとつずつ紹介していきます。
SATORI
SATORIは、顧客開拓を自動化するMAツールを提供している企業です。
MAツールを導入して顧客に成果をあげてもらうために、下記の施策を行なっています。
- SATORIを活用している様子の動画を公開
- ユーザー同士が意見交換できるコミュニティの運営
- 設定手順や本格運用など、活用フェーズごとのセミナーの開催
- 顧客に合わせた最適な使い方を提案するサポートセンターの運営
顧客がSATORIを活用して成功するための様々なサービスが提供されているだけでなく、顧客満足度の向上によって商品・サービスの解約率低下や、LTVの成長が実現されています。
Slack
Slackはビジネス向けのチャットツールとしてリリースされて、様々な環境で場所を選ばず利用できるメッセージングアプリです。
カスタマーサクセスとして取り組んでいる施策には、下記の3つがあります。
- ユーザーと対面で満足度や意見をヒアリングするエグゼクティブビジネスレビューの実施
- Slackを使いこなしているユーザーや熱心なファンが成功事例を共有できるネットワークの運営
- ログイン回数や機能の使用回数などの指標を測りスコアリングすることによるコミュニケーションの最適化
Slackでは顧客満足度を高めるための施策を行い、機能の追加や契約の更新などにつなげる活動が行われています。
SmartHR
SmartHRは入社手続きや退職手続き、住所変更などの処理をクラウド上で管理できる人事労務ソフトです。
カスタマーサクセスとして取り組んでいる施策には、下記の4つがあります。
- 機能の使い方や設定方法などを動画で解説
- 運用方法を専任担当者にオンラインで個別サポート
- 人事や労務に携わる人が情報共有できるコミュニティの運営
- やりとりの履歴が残る・画像やリンクを共有できるチャットサポートの運営
他には、「解約につながっている顧客の特徴」や「解約を防ぐためのサービス・コンテンツの改善」などを分析して、最適なアプローチができる工夫を行なっています。
セールスフォースジャパン
セールスフォースジャパンは、企業に向けて顧客管理システムや営業支援システムなどのMAツールを提供している企業です。
カスタマーサクセスの施策として、下記の4ステップで行われます。
- 企業のゴールを設定する
- KPIに目標・戦略・施策を落とし込む
- 定着させるために運用ルールを策定する
- 業務を改善する
企業ごとに設定するゴールが異なるので、顧客に合わせた取り組みがカスタマーサクセスの成功につながっています。
ワークマン
ワークマンとは、現場作業や向上作業での作業服などを販売している小売業です。
カスタマーサクセスの施策として、下記の2つがあります。
- SNSを活用した徹底的なリサーチ
- 顧客の意見や口コミをもとにした製品開発
ワークマンでは、製品情報の発信をSNSで行なっており、熱心なファンに対して「ワークマン公式アンバサダー」として活動を依頼しています。
また、アンバサダーやファンの声を取り入れて、製品の開発・改善に活かす点も、カスタマーサクセスを成功させる事例のひとつです。
ちなみに、こちらの記事ではカスタマーサクセスのKPIや設定時の注意点、達成ポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
成功事例から学ぶカスタマーサクセスのポイント
ここまでカスタマーサクセスにおいて、成功している企業の事例を5つお伝えしました。
続いては、成功事例から学ぶカスタマーサクセスのポイントを4つ紹介します。
- 顧客の成功を第一に考える
- 会社全体で取り組む
- 他の担当者との情報交換の場を増やす
- カスタマーサクセスツールを活用する
ひとつずつ紹介していきます。
顧客の成功を第一に考える
カスタマーサクセスのポイントとして、顧客の成功を第一に考える必要があります。
顧客の成功としてあげられる点は、下記の2つです。
- 顧客が商品・サービスを購入した後も継続的にアプローチして売上に貢献する
- 商品・サービスを利用中に課題や問題が発生した場合、効用を高めて期待した成果を達成するまで関わる
「機能を活用して課題を解決」や「追加プラン提案」など、顧客の利用状況や課題への提案を通して顧客の成功を第一に考えましょう。
会社全体で取り組む
カスタマーサクセスとしての取り組みを、一部ではなく会社全体で供する点も成功のポイントです。
どんなに優れた商品・サービスを導入したとしても、導入決定者と担当者の意思疎通ができていなければ、スムーズな運用ができなくなる可能性があります。
会社全体にカスタマーサクセスの重要性を浸透させる方法は、下記の2つです。
- 営業や開発、カスタマーサポートなどの多くの部署と連携する
- 顧客の要望や意見を実現するために必要なアクションを実行できる環境を整える
部署間のコミュニケーションの不足から契約後のギャップを発生させないために、情報共有と丁寧な説明を行いましょう。
他の担当者との情報交換の場を増やす
カスタマーサクセスを成功させるには、他の担当者との情報交換の場を増やす点も重要です。
成功事例としてあげた企業は、商品・サービスを利用する担当者が募って、情報交換できるコミュニティを運営しているケースが多く見られます。
仮に商品・サービスの仕様に関して顧客が不満を抱えていたとしても、カスタマーサクセス部署の担当者では実際の改善は難しいでしょう。
また、新規顧客へのPRや活用方法を提案する際には、マーケティングやセールス担当の協力が必要です。
そのため普段から他の担当者と悩みの相談や情報を交換できる場を増やしておきましょう。
カスタマーサクセスツールを活用する
カスタマーサクセスを成功させるには、ツールの活用も方法のひとつです。
カスタマーサクセスツールとは、自社の商品・サービスを「どうすれば今よりユーザーに利用してもらえるか」を考えて、顧客の課題解決や活用支援活動を効率的に行うためのツールです。
ツールを活用するメリットには、下記の3つがあります。
- 解約率を押さえて定着率を上げる
- アップセルやクロスセルによる売上の向上
- カスタマーサクセス部門における1人あたりの工数を削減
もしカスタマーサクセスツールを導入しない場合、顧客データが散乱してしまうため、効果的にデータを分析できないでしょう。
データの一元管理やデータドリブンでの意思決定をするためにも、ツールの活用を検討しましょう。
ちなみに、こちらの記事ではカスタマーサクセスが学べるレビュー星4つ以上のおすすめ本を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
カスタマーサクセスを成功へ導くためのサービス・ツール3選
カスタマーサクセスと成功させるポイントとして、「他の担当者との情報交換の場を増やす」「カスタマーサクセスツールを活用する」などを解説しました。
ここからは、カスタマーサクセスを成功へ導くためのサービス・ツールを3つ紹介していきます。
チャネルトーク|チャットボット
チャネルトークは、CRMとチャットボットが一体化したコミュニケーションツールです。
LINE公式アカウント・InstagramDMとも連携が可能で、自動的に顧客とメッセージをやり取りすることができます。そのため、機会損失を防ぐこともでき継続的な売り上げが期待できるAll-in-oneツールとしての呼び声が高いです。
料金プラン
プラン名 | – |
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初期費用 | なし |
基本料金 | サイトのアクティブユーザーによります |
従量料金 | CRMマーケティング、サポート強化のオプション機能有り |
helpfeel|FAQツール
helpfeelは、98%の検索ヒット率を誇る対応業務の効率化を大幅に実現した革新的な検索型FAQシステムです。
導入後の分析や改善アクションが不要で、既存のFAQシステムからの移行もサポートしてくれます。
料金プラン
プラン名 | 基本プラン |
---|---|
初期費用 | 要問い合わせ |
基本料金 | 要問い合わせ |
従量料金 | 要問い合わせ |
coorum|コミュニティ構築
「coorum(コーラム)」は、コミュニティを活用してファンへと醸成するためのマーケティングサービスです。
企業と顧客、顧客と顧客など、双方向のやり取りを行ってエンゲージメントを向上させます。
料金プラン
料金プラン | 詳細 |
---|---|
初期費用 | 要問い合わせ |
基本料金 | 要問い合わせ |
内容 | 顧客プロファイルの管理、顧客のモニタリング、 |
まとめ
今回は、カスタマーサクセス成功事例から学ぶ成功のポイントやおすすめツール・サービスを紹介しました。
カスタマーサクセスの基本的な知識を取り入れて、能動的に顧客へ関わることが自社の発展につながります。
企業の成功事例から、下記が成功するためのポイントと言えるでしょう。
- 顧客の成功を第一に考える
- 会社全体で取り組む
- 他の担当者との情報交換の場を増やす
- カスタマーサクセスツールを活用する
本記事を参考に、顧客が成功できるための施策を検討してみてはいかがでしょうか。
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