マーケティングと広告の関係性
マーケティングと広告の関係性が、いまひとつはっきりしないと感じる人も多いようです。まずは、マーケティングと広告の関係性について、掘り下げていきましょう。
マーケティングと広告に違いはある?
マーケティングとは広告宣伝活動を指すと思われている場合もありますが、それは適切な解釈ではありません。マーケティングは商品企画の前段階の市場調査・分析から始まり、企画して出来上がった商材の広告宣伝、販売促進までを包括的に担います。
マーケティングの本質的な意味については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にご覧ください。
広告はマーケティングにおける重要なピース
マーケティングは、広告がすべてではないという構造を前提とした上で、広告宣伝はその中の重要なピースであるのは間違いありません。インターネットが普及する前は、商品やサービスを精力的に告知するためには、広告宣伝なくして始まりませんでした。
今でこそ、Webマーケティングによる広告以外の集客アプローチが開発され、発達して洗練されてきましたが、それでもなお、確実に一定の固定票が獲得できるというメリットを広告は持っています。
規模が小さいビジネスは、むしろ広告に頼らない集客方法に徹することで、費用対効果の高いマーケティングに取り組むことも可能でしょう。しかしある程度の規模の企業であれば、やはり安定性がある広告をゼロにするのは現実的ではありません。
マーケティングにおける広告の仕事内容
マーケティングにおける広告宣伝の、具体的な仕事内容について見ていきましょう。アナログ広告もデジタル広告も、出稿する広告の内容、すなわち「原稿」を作るのが広告宣伝担当部門の仕事です。
原稿を作るとひと口に言っても、実に大変な作業となります。まずは広告宣伝の対象となる商品あるいはサービスを、徹底的に理解しておく必要があります。深い商品知識もなく広告を作ると薄っぺらいものになり、潜在顧客の心に響きません。
そして理解した自社商材の魅力を適切な表現で伝えるのは、感性とスキルが求められる作業です。同時に、顧客対象となるターゲット層に対しても、充分な理解が必要であるのは言うまでもありません。
顧客心理の理解の度合いが、出来上がる広告のクオリティに反映されます。ちなみに、その顧客心理を理解するために欠かせないのが、顧客との良好な関わり合いや顧客が抱く愛着を意味する「顧客エンゲージメント」です。
顧客エンゲージメントの概念について、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
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マーケティングにおける広告の種類
マーケティングにおける広告は、以下のような4つの大枠の種類に分類されます。
- マス媒体の広告宣伝
- Web媒体(オンライン)広告
- 交通広告
- その他の広告宣伝
個々の内容を見ていきましょう。
マス媒体の広告宣伝
マス媒体とはマスメディアのことで、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで放映・放送・掲載する従来型の広告です。テレビなら時間帯や曜日の「枠」によって費用が変わります。新聞や雑誌も、掲載場所によって費用はさまざまに変化します。
テレビなら多くの人が視聴する曜日や時間帯に流れるCM、新聞・雑誌なら目立つ場所での面積の広い枠を使った広告は、宣伝効果が高いけれど費用も相当かかります。そのため、そういう枠を購入するのは、ほとんどの場合大企業です。
そういう意味で担当者は、2番手3番手の枠を使って広告費用を抑えつつ、消費者に振り向いてもらえるインパクトがある広告を作れるかどうかが問われます。
Web媒体(オンライン)広告
Web媒体(オンライン)広告、いわゆる「Web広告」はインターネットの普及に伴って、活用するユーザー企業が増えてきました。デジタル広告とも呼ばれています。
Web広告が加熱気味に増えた末に、案外費用対効果が低いと評判を下げた時期もありました。さまざまな経緯を経てきた現在、広告形態の種類も多く、料金(課金)システムもさまざまです。
主なWeb広告の種類は以下のとおりです。
- リスティング広告
- リターゲティング広告
- ネイティブ広告
- アドネットワーク広告・DSP
- ディスプレイ広告
- アフィリエイト広告
- リワード広告
- メール広告
- デジタル音声広告
- 記事広告・タイアップ広告
- 純広告
- 動画広告・YouTube広告
- SNS広告
※ただしCookie規制の強化から、リターゲティング広告の効果は従来より低減し、新たな展開が模索されています。
また、Web広告にはおおむね以下のような、5つのメリットがあります。
- 低予算から始められる
- ターゲティング設定がきめ細かくできる
- 広告掲載後にも修正・変更ができる
- 成果分析によって改善できる
- 短期的に効果が得られる
自社の商材や環境に応じて、メリットを活かしつつローコストで運営するのがWeb広告のポイントです。
交通広告
交通広告とは交通機関において、提示や表示、放送をする広告です。電車やバスの釣りポスターやつり革広告、最寄り駅での紹介アナウンス、車体に描く広告や構内の支柱などに設置されるポスターやパネル広告など、種類も多くあります。
商材と地域性の兼ね合いで活用できることや、多くの昇降客が目に(あるいは耳に)するので一定の効果は期待できますが、出稿費用も高額です。
その他の広告宣伝
新聞の折込(チラシ)広告も、スタンダードな手法です。新聞配達店の一定のエリアごとに手配できるので、想定した地域に集中して配布することも可能です。
Web広告が加熱していく時期に折込広告の利用率も減少し、新聞自体の購読率の低下も相まって全盛時に比べるとかなり減少しています。
しかしWeb広告が費用対効果の低さによって見直されるのとは逆に、「紙媒体」のチラシの良さも再評価される動きも生まれました。特に中高年層はチラシの効果がある程度期待できるので、業種によっては一定量の需要があります。
また、新聞などに織り込まずに、チラシをそのまま投函する「ポスティング」が、新聞折込の減少とは逆に伸びてきた経緯があります。
エリアや住宅形態の絞り込み(一戸建て・集合住宅・文化住宅)なども可能です。ロット(発注量)によっては新聞折込よりもローコストで配布できるので、必要な量だけ活用する企業も多く見られます。
また、A4版やB5版のフライヤー(小さめのチラシ)を、店舗や商業施設などに設置する鮎法もあります。美容室や飲食店、フィットネスクラブやスポーツジム、マッサージや鍼灸院などの地域密着型の店舗に有効です。
なお、マーケティングと「営業」の関係性については以下の記事で詳しく取り上げていますので、参考にどうぞ。
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マーケティングの広告内製と広告代理店の違い
マーケティングに関して、社内のマーケティング部門で完全に内製しているケースと、社外の広告代理店やマーケティング・コンサルティングファームに一部もしくはほとんどをアウトソーシングしているケースがあります。
どちらが正解というのはありません。費用面だけで考えれば、内製のほうがコストを抑えて回るでしょう。しかし、広告のクオリティが伴わず、売上に寄与しなければ費用対効果は低くなり、業績拡大にもつながりません。
広告代理店に委託すれば(もちろん業者のレベルによりますが)プロフェッショナルの仕事として、ある一定の効果を期待できます。
とりわけマス広告は広告代理店のクリエイティブ(制作部門)の力量で売上にはずみがつく場合も多いです。内製では、プロの人材をリクルートしないかぎり、そこまで期待するのは難しいでしょう。
また、短期的な効果だけでなく、中長期的なブランディングの視点も考えると、コストは掛かっても信頼できる広告代理店に任せるほうが良い場合も多いです。
あくまで、社内の人材・スキル・制作環境などのリソースと期待できる効果によって判断せざるをえません。最も現実的な考え方は、外部と内製の使い分けでしょう。
重要度の高いものはアウトソーシングし、それほどクオリティが問われないものは内製するスタンスです。
なお、広告制作に欠かせない「消費者インサイト」の概念について、以下の記事で特集していますので、ぜひ参考にしてください。
Webマーケティング広告運用に役立つツール
Webマーケティングにおける広告運用について、役立つツールをご紹介します。
マーケティングオートメーション(MA)
まずはマーケティングオートメーション(MA)です。その名の通り、マーケティング業務を自動化するツールです。Web広告の運用時に得られるさまざまなデータを集積し、分析や効果予測などに活用できます。
ひと昔前はコストも相当掛かるものだったので、おおむね大企業が使うものでした。しかし普及するにつれてユーザー企業が増えると、コストも下がってくるのは市場原理です。
現在では中小企業でも、活用しやすいコストで高機能を備えたものが選択できる時代です。マーケティングオートメーション(MA)の詳細については、以下の記事で詳しく取り上げていますので、そちらを参考にしてください。
SFA(営業支援システム・ツール)
SFA(営業支援システム・ツール)もマーケティングオートメーションと、同様の経緯が見られます。かつての大企業ユーザー向けのものから進化し、いまでは多くの中小企業が使えるシステム・ツールが市場に存在します。
マーケティングオートメーションと連携してデータの一元化が可能なものも多いです。優れたマーケティングオートメーションとSFAを連携し、マーケティングと営業が一体となって、効率よくビジネスを展開できる環境が整ってきました。
Googleビジネスプロフィール
Googleビジネスプロフィールは、Googleがビジネスオーナー向けに提供する情報管理ツールです。以前はGoogleマイビジネスと呼ばれていました。特に地域密着ビジネスにおけるローカル検索対策として、活用をおすすめします。
WebコンテンツはSEO(検索エンジン最適化)対策が必要ですが、こちらはローカル検索において上位表示をねらうためのMEO対策(マップ検索エンジン最適化)に使えるツールです。
Googleビジネスプロフィールに登録すれば、Googleマップおよび検索結果ページのサイドバーに表示される店舗の基本情報も編集できます。Googleビジネスプロフィールは、ほかにも多くの機能があるツールです。
それらの詳細は以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
Instagram(インスタグラム)プロアカウント
ソーシャルメディア(SNS)のInstagram(インスタグラム)のアカウントは、無料かつ簡単にプロアカウントへの切り替えができます。
プロアカウントは通常の機能以外にプロアカウント限定機能が使えるので、企業ユーザーにとってマーケティングに有効なツールです。広告を出稿する以外の機能は、基本的にすべて無料で使えます。
Instagram(インスタグラム)はビジュアル面のアピール力が強いので、アパレル店舗や飲食店、美容院などのBtoCビジネスを筆頭に、有効に使って集客に成功しているケースが増えています。
また、自社のブランディングやリードナーチャリング(顧客育成)に役立てている企業も多いです。BtoBビジネスにおいても、中長期のブランド構築に有効であり、特に自社製品の見た目が差別化に影響する業種において活発に使われています。
ソーシャルメディアの中で最も拡散力がある、Twitterとの連携も可能です。Instagram(インスタグラム)で魅力的な写真やリール(最長90秒の全画面縦動画)を投稿し、Twitterに乗せて拡散するパターンは効果的です。
そういったインスタマーケティングについては、以下の記事で詳しく特集していますので、ぜひお読みください。
マーケティングにおける広告戦略の成功事例
最後に、実際のマーケティングにおいて広告戦略で成功した事例をご紹介します。
3つのフェーズを経て多数のユーザー獲得|メルカリ
メルカリの初期の広告戦略は、若い女性にフォーカスしたものでした。とにかく新規ユーザーを増やすために機能をアピールするものや、ブランディングを意識したテレビCMが基本です。次第にストーリー性を加えていき、訴求する層を広げていきます。
FacebookやInstagram(インスタグラム)のWeb広告の有効性も活用し、2010年代中頃ではさほど浸透していなかったカルーセル広告(画像が次々と横にスライドしていく広告)をいち早く導入しました。
そんなメルカリの広告戦略は3つのフェーズにて、メリハリをつけて展開したのが成功のポイントだとされています。
第1段階は認知度の向上、第2段階では機能のアピールをメインにし、第3段階ではユーザーが得られるベネフィットをわかりやすく伝え、多くのユーザーを獲得したのです。
ちなみに、ベネフィットとメリットは似て非なるものです。メリットは企業目線のサービスの利点・強みです。ベネフィットはユーザー目線の(サービスの利用で得られる、金銭面以外も含む)利益です。
緻密なSNS広告で若年層に向けたブランディングに成功|資生堂
資生堂はマス広告がメインのスタンスから、若年層の顧客を増やすためにSNS広告にチャレンジしました。もちろん、マス広告から撤退するのではなく、従来路線も踏襲して既存顧客を温存しつつ、新たな広告チャネルとしての活用です。
Web検索以上にInstagramで「タグる」、つまりハッシュタグで探す傾向が強い若年層に向けて、ブランディングを意識した広告を展開しました。
Web広告の強みである、データ解析もスピーディーかつ緻密に、施策に反映するスタンスで活用しています。それらの取り組みが奏功し、若年層の顧客拡大に成功しました。
「あなたは自分が思うより美しい」が共感を呼ぶ|Dove
パーソナルケアブランドのDove(ユニリーバ)によるイメージ広告動画「リアルビューティースケッチ」(2013年)は、ひとは誰しも自分が思っているより美しいというメッセージを静かな映像で伝え、世界中で反響を呼びました。
ユニリーバは自分を美しいと思う女性はわずか2%しかいないという、消費者調査の結果に注目したのです。競合ブランドの多くは「完璧な美女」を広告に使っていたので、98%の女性は、自身との違いを突きつけられていた可能性があるわけです。
そこでDoveは、ひとそれぞれの美しさをドキュメントタッチの動画広告で表現しました。
多くの女性が持つ「私はあまり美しくない」という思いを一旦受け止めた上で、自然な形で自己肯定を勧めるアイデアを形にして、ブランドイメージを大きく向上させました。
LINE広告にフォーカスして顧客数倍増!|白瀧酒造
白瀧酒造は、リアルの顧客接点をLINEとシームレスにつないで広告効果を高めました。
LINEアカウントで利用できるデフォルトのリッチメッセージ)に加えて、リッチビデオメッセージやカードタイプメッセージなどを積極的に活用していることが特徴です。
また、季節やイベントに合わせた広告を配信し、LINEの友だちの数を増やしました。さらには、パンデミックで大幅に減少したリアルの顧客接点を補うために、LINE NEWSやトークリストに「友だち追加広告」を配信します。
LINEを本格的に運用し始めてから、友だち数が数倍に増え、今では数量限定商品の宣伝直後、またたく間に品切れになるほど重要な広告チャネルとなっています。
売り込まず、対話と捉えた広告で集客増を実現|ニトリ
ニトリはマス媒体の広告も打ちますが、Web広告にも注力して集客の増加を実現しました。Googleの来店コンバージョンの解析をベースに、それまで手動で調整していた広告入札を、AIを活用して自動化させることから始まります。
その結果、来店客数が実に36%も増加する成果を上げたのです。また、広告の運用においても、担当者だけで考えるのではなく、さまざまな意見を参考にしました。
それによって、売り込むのではなく、ニトリを使うことで得られる豊かさというベネフィットを伝えようと考えたのです。宣伝というより顧客との対話=コミュニケーションと捉えた広告を発信し、反響がありました。
大御所スターよりリアルな「デキる男」をイメージ|アサヒスーパードライ執を断ち切った英断
アサヒビールはCI(コーポレートアイデンティティ)を刷新した流れで、スーパードライでビールのコンセプトの一新を図りました。
消費者調査によって、特に若年層が「苦味と重さ」よりも「コクとキレ」を求める嗜好が強いことを突き止め、商品開発に反映されます。
広告もテレビCMと新聞広告で積極的に行われましたが、従来の大御所スターを起用したイメージ広告から、現役バリバリで活躍しているスポーツ選手やジャーナリストなどのリアルな「デキる男」を登場させ、爽快な躍動感を表現しました。
商品開発の秀逸さと相まって、広告史上に残る大ヒット商品となったのは周知のとおりです。
ファミリーで楽しむイメージで需要喚起!|Nintendo Switch
さまざまな家庭用ゲーム機およびソフトを販売してきた任天堂は、WiiUの販売台数がさほど伸びなかったことを教訓として、SwitchのテレビCMでは明確に「ファミリーでワイワイ楽しむ」イメージを強調しました。
また、在宅の据え置きと外出時の携帯の両方で使えることやシェアプレイなどの、ゲーム好きの客層に見られるゲームライフのパターンに合わせている面も、ニーズに合致しました。
さらにSwitch Liteの展開は価格を抑え、お子さんが何人かいるファミリーでも追加購入のハードルが低く、持ち運びやすい軽さが好評を博しました。
なお、広告以外も含めた観点でのマーケティング成功事例を、以下の記事で特集していますので、ぜひ参考にご覧ください。
まとめ
一見関係性がわかりにくいマーケティングと広告について、いくつかの観点から解説しました。広告はマーケティング活動の中で重要なピースであることがご理解頂けたと思います。
さまざまな広告手法や、それを効率的に推進するためのシステムやツールが選択できる時代です。また自社のリソースで賄えない場合は、アウトソーシングも活用できます。
効果的な広告を展開しマーケティング戦略を成功させるために、消費者インサイトや顧客エンゲージメントを理解し、顧客の共感を呼ぶ「売り込まない広告宣伝」の施策に取り組んでください。
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