BDRとは?
BDR(Business Development Representative)は、アウトバウンドを中心とした新規開拓を行う大手のインサイドセールス手法です。
ターゲット企業を自社で設定して、電話やメール、DM、手紙を活用して開拓します。
これまでは飛び込み営業やテレアポが、代表的な法人営業として導入されていました。
しかし従来の営業では、下記の点が懸念点とされています。
- 人力でリーチ可能な顧客数には限度がある
- 活動に対する成果より、費やす労力が大きい
- 飛び込み営業やテレアポを好意的に受け入れてくれる企業が少ない
アウトバウンドに依存した営業活動は難しいとされていますが、事業を拡大させるには、自社のターゲット層に直接アプローチできるアウトバウンドは必要です。
そこから効率的にツールを活用して、新規開拓を行えるBDRが登場しました。
次に、下記の2つを解説します。
- BDRが重要視されている理由
- BDRとSDRとの違い
それぞれ解説していきます。
BDRが重要視されている理由
BDRが重要視されている理由は、下記の2つです。
- SaaS市場の台頭
- インサイドセールス導入企業の増加
ひとつずつ解説していきます。
SaaS市場の台頭
BDRが重要視されている理由として、SaaS市場の台頭があげられます。
SaaS(Software as a Service)とは、複数のユーザーがインターネットを経由してソフトウェアを提供できるサービスです。
これまでのパッケージソフトウェアとは異なり、ユーザーは必要な分量や機能だけを利用できます。
またDXやオンライン化の流れにより、下記のツールやサービスがSaaS市場に拡大しました。
- 電子契約サービス
- Web会議システム
- コミュニケーションツール
SaaSはサブスクリプションによって、継続的に安定した収益が得られるビジネスモデルです。
しかし1回の売上金額は少なく、資金回収の時間もかかってしまいます。
もし解約数が増えていけば、新規開拓を続けても資金回収が追いつかないでしょう。
そのためBDRを導入することで、付加価値額の高い企業を新規開拓を目指しています。
インサイドセールス導入企業の増加
BDRが重要視されている理由として、インサイドセールス導入企業の増加があります。
インサイドセールスが増えた要因は、新型コロナウイルスの影響です。
そのため、今まで対面コミュニケーションをメインにした営業活動ではなく、オンラインを活用した営業のニーズが増えています。
さらに、サブスクリプションビジネスの増加もインサイドセールス導入企業が増えた要因です。
こちらの記事では、インサイドセールスが上手くいかない時に試したいMAツール3選や上手くいかない理由を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
BDRとSDRとの違い
BDRとSDRでは、ターゲットとアプローチ方法が異なります。
それぞれの違いは下記の通りです。
ターゲット | アプローチ方法 | |
BDR | 中堅から大手企業 | 自社が取引したいターゲットに直接アプローチするアウトバウンド型 |
SDR | 中小企業や中堅企業 | 資料請求や問い合わせ、展示会などから見込み顧客を獲得するインバウンド型 |
SDR(Sales Development Representative)は、オフラインでの接点から獲得したターゲットを育てて、自社の顧客になってもらう営業手法です。
マーケティング部門で得られたターゲット情報を営業部門が引き継ぎ、商談化を実現させます。
SDRは顧客の関心や購買意欲で関係性は構築されていきます。
そのため顧客の関心・意欲が高い状態であれば、スピーディーな商談に結びつく可能性も高くなるでしょう。
BDRの具体的な手法
ここまで、BDRの概要や重要視されている理由、SDRとの違いをお伝えしました。
続いて、BDRの具体的な手法を解説します。
- MAツールの活用により高品質なコンテンツを配信する
- キーマンと商談する
- 未契約部門・他商材の商談をする
- 展示会・説明会で名刺交換をする
- SNSチャネルを活用する
ひとつずつ解説していきます。
MAツールの活用により高品質なコンテンツを配信する
BDRの具体的な手法として、MAツールを活用して高品質なコンテンツを配信しましょう。
MA(Marketing Automation)ツールとは、アナログで管理できないデータの蓄積・分析が可能な仕組みです。
見込み顧客の管理やスコアリング、属性別にコンテンツの自動配信できるので、自社のマーケティング戦略に合わせて簡易化もしくは自動化できます。
MAツールを活用することで得られる効果は、下記の通りです。
- 目標達成度と成果の可視化または共有
- 顧客の見込み度合いに沿ったアプローチ
- 適切なタイミングでのメールの自動配信
BDRでの課題も早期発見できるので、異なる部署間でも迅速な顧客対応を実現できるでしょう。
こちらの記事では、MAツール18社の費用や特徴を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
キーマンと商談する
BDRでは、キーマンと商談できるかどうかが最も重要です。
どんな企業でも意思決定までのプロセスが煩雑でも、キーマンとなる人物は存在します。
そのために下記の3つを把握して、「どんな情報がキーマンに有益なのか」を理解しておきましょう。
- 組織体制
- キーマンの情報
- ターゲットとなる企業の決済フロー
BDRにおける組織体制の理解には、非常に大きな意味があります。
例えば過去に商談経験がある企業の場合、キーマンと近い関係の人物と話しているかもしれません。
キーマンを絞り込むために今までの顧客接点を活用して、商談につなげましょう。
未契約部門・他商材の商談をする
BDRの手法として、未契約部門・他商材への商談があげられます。
エンタープライズでは従業員数や部署の数も複数ある場合が多く、使用しているシステムも部署ごとで異なります。
もし、その内のひとつの部門が既存顧客になっていた場合、担当者を介して別部署を紹介してもらえる可能性があるでしょう。
つまり、BDRはアップセル・クロスセルの両方を狙えます。
ほかにも既存顧客から関連会社やグループ企業を紹介してもらうことで、他商材の商談も生み出せるはずです。
展示会・説明会で名刺交換をする
BDRは展示会・説明会などのオフラインイベントにおいて、顧客と接点を持てるチャンスです。
そのため、オフラインイベントに参加してターゲットと名刺交換を行い、積極的にきっかけを作りましょう。
本来BDRのリードは「質」を重視しますが、オフラインイベントでは多くの企業と名刺交換する必要があるので「量」を意識します。
ターゲットとの接点を増やして、少しでも多くの情報を入手しましょう。
SNSチャネルを活用する
BDRの手法として、TwitterやInstagram、FacebookといったSNSチャネルの活用があります。
SNSチャネルは、顧客との接点を増やす効果的な方法です。
また、今後はSNSをコミュニケーションチャネルとして役割を担うとされています。
それぞれのSNSの特徴は、下記の通りです。
- Twitter:フォロワー同士のコミュニケーションが簡単に取れて、短文での情報発信に向いている
- Instagram:画像や動画を活用して、視覚と聴覚に訴えるマーケティングに向いている
- Facebook:企業の情報や動向といった発信に向いている
さらに、SNSチャネルを活用することで、他社情報も入手できます。
複数のSNSチャネルを併用すると、多方面で顧客と関係を構築できるだけでなく、リードも獲得しやすくなるでしょう。
BDR成功に大きく影響するABM戦略
ここまで、BDRの具体的な手法をお伝えしました。
続いて、BDR成功に大きく影響するABM戦略を解説します。
- ABMとは?
- BDRの成果を高めるABM戦略のポイント
それぞれ解説していきます。
ABMとは?
ABM(Accounts Based Marketing)とは、取引実績や購買履歴から売上を最大化する企業を定義して、アプローチするマーケティング手法です。
アプローチする企業を、自社商品・サービスと相性が良い中小や中堅企業に絞ることで、親和性を高める効果があります。
市場全体の99%が中小や中堅企業といわれており、エンタープライズへのアプローチだけでは事業成長は見込めません。
ABMを活用してターゲットを明確にするメリットは、下記の通りです。
- PDCAの高速化
- 営業部門との連携
- ROIの効果的な活用
- リソースの最適分配
- 少数の顧客に集中できる
そのためBDRを成功させるには、「自社の優良企業」を選定して、最適なアプローチを可能にするABMは必要な戦略といえるでしょう。
BDRの成果を高めるABM戦略のポイント
BDRの成果を高めるABM戦略ポイントは、下記の2つです。
- LTVの高い顧客をセグメントする
- One to Oneキャンペーンを行う
それぞれ解説していきます。
LTVの高い顧客をセグメントする
BDRの成果を高めるためのABM戦略ポイントは、LTVの高い顧客のセグメントです。
LTV(Life Time Value)とは、「顧客が自社と取引を開始・終了する期間に、どれだけ利益をもたらしたか」を表す指標です。
ターゲットとなる企業を洗い出す方法として、下記があります。
- MAツールやSFAシステム、CRMを活用して既存顧客データを分析する
- 企業規模や属性、受注実績、継続契約実績といった定量情報を集める
- 自社の売上に貢献してくれそうな企業をターゲットとしてセグメントする
企業を洗い出す際は、自社が定めている重要指標を基準に検討しましょう。
例えば従業員数や利益幅、相性の良い業種や部門などの観点から分析を行って、顧客をセグメントしていきます。
こちらの記事では、SFAシステム10選の詳細や選ぶ際のポイント、実際の活用方法を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
One to Oneキャンペーンを行う
BDRの成果を高めるABM戦略には、One to Oneキャンペーンを行うことがポイントです。
One to Oneキャンペーンを行う際に意識する点として、下記の2つがあげられます。
- ターゲットとなる企業の事業や人材、戦略、広告投資に関する情報を収集する
- ターゲットとなる顧客のニーズや課題に対して、最適なタイミングで最適な情報を提供する
また、企業の決算情報やIR情報、企業予想といったデータも参考にしながら、ニーズに合った情報を発信しましょう。
One to Oneキャンペーンを通して顧客のロイヤリティを向上できれば、長期契約も見込めるはずです。
まとめ
今回は、BDRの概要やSDRとの違い、成果を高めるABM戦略のポイントを解説しました。
BDR(Business Development Representative)は、アウトバウンドを中心とした新規開拓を行う大手のインサイドセールス手法です。
また、BDRとSDRではターゲットとアプローチ方法が異なるとお伝えしました。
BDRの具体的な手法は、下記の通りです。
- MAツールの活用により高品質なコンテンツを配信する
- キーマンと商談する
- 未契約部門・他商材の商談をする
- 展示会・説明会で名刺交換をする
- SNSチャネルを活用する
本記事でお伝えした「LTVの高い顧客をセグメントする」「One to Oneキャンペーンを行う」といったABM戦略ポイントを参考にして、BDRを活用してください。
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