登壇者プロフィール
1998年アクセンチュア株式会社へ入社。中央官庁や大企業向けのITコンサルティングプロジェクトに従事。
2003年、株式会社チェンジを設立し、代表取締役兼執行役員社長に就任。
明治大学在学中に株式会社エアトリの前身の会社を起業し、2007年に株式会社エアトリを共同創業し、取締役会長に就任。2016年に東証マザーズ上場、 2017年に東証一部に鞍替え上場。2018年に株式会社DeNAトラベルを子会社化。その後、子会社の株式会社まぐまぐが東証JASDAQに、グループ会社の株式会社ハイブリッドテクノロジーズが東証マザーズに上場。
1969年鹿児島県生まれ。私立鹿児島商工高等学校を卒業後、1990年株式会社光通信入社、すぐにトップ営業マンになる。
1995年静岡県富士宮市で起業、ビジョン設立。経営理念は『世の中の情報通信産業革命に貢献します』。電話回線、法人携帯事業、電話加入権、コピー機などの通信インフラディストリビューターとして、WEBマーケティングやCRMの仕組みによるモデルで業界トップクラスの販売実績を誇る。
2012年より海外用モバイルWi-Fiルーターレンタルサービス「グローバルWiFi®」を開始。現在200以上の国と地域で『世界中いつでも・どこでも・安心・安全・快適なモバイルインターネット』環境を提供中。2015年より訪日外国人旅行者向けに「NINJA WiFi®」を展開。2015年12月東証マザーズ上場、2016年12月東証一部へ市場変更。
1983年千葉県生まれ
両親は長崎県 五島列島の出身。
社団法人日本インバウンド連合会(JIF) 副幹事長
いばらき広報戦略アドバイザー
観光庁 広域観光周遊促進 登録専門家
SNSマーケティング・インバウンドマーケティングプロデューサー
新卒から10年以上IT業界でWEBマーケティングに従事し、株式会社オプトでSEMコンサルタント、トレンダーズ株式会社にてPRプランナーを経て、2015年より海外・SNS マーケティング事業を立上げ、2016年9月にインバウンドPRに特化したマーケティング会社である。株式会社BEYONDを設立し、代表取締役に就任。
自治体や大手企業の海外マーケティングの運営やインバウンド集客の200社以上のプロデュースに携わる。現在はインバウンドで地方を活性化させるため、全国の自治体や企業向けに現地人材育成研修や講演を多数行う。
グローバルな視点で取り組む地方創生
要は、人口がとにかく減少しているということ。例えば過去10年見ても、働く人、いわゆる生産年齢人口は約1000万人減っています。かつ、去年の日本の人口減少は、1年間で70万人。これは徳島県1県分の人口に値します。人口減少はどんどん加速し、ここから先もまだ人口が減っていくと予測されています。
地方で何か事業をやろうとしても人を採用できずに人材不足が起こり、消費者も減少して市場が小さくなっていきます。ではどうやって東京に集中している人口を地方にもシェアしていき、各地域を盛り上げるか、それぞれの地方が持続可能になるにはどうすればいいかを考えて実践するのが地方創生です。
今日のパネリストの方は、みなさん地方創生に主体的に取り組んでいる方々です。特に、グローバルな視点を持って実践している方々なので、自分のビジネスを地方創生のような政策に対応させていくために参考にしていただければと思います。
私は、株式会社チェンジの社長と、子会社であるtrustbankの役員をやっています。今、地方創生×DXとして、地方から地方にどうお金や人を還流させるか、また、地方から都市部への漏れをどう防ぐかという事業に挑戦しています。
例えば、ふるさと納税の「ふるさとチョイス」というプラットフォームや、災害時の海外からの寄付集めや、地域の中でお金を還流させるための地域通貨、エネルギー事業として電気の地産地消をやっています。ここからは、みなさんの地方創生の話を聞いてみたいと思います。
地方創生に関しては、2つの取り組みがあります。地方創生の一歩手前に当たりますが、地方にお金が落ちることが非常に大事だと思っています。
特にエアトリの旅行事業では、北海道や沖縄、大都市圏である大阪、福岡、名古屋は黙っていても売れていきます。観光客が現地でお金を落とせばそこで新たな仕事や新たな雇用が生まれ、新たな商品が生まれる。これは単純なことですが、それを大都市圏や北海道、沖縄といった分かりやすいデスティネーションだけでなく、それ以外の県に対しても地方発着など、地域同士で旅行や新たな商品を造成できるように取り組んでいます。
これによって、地方創生の一歩手前である、地方にお金が落ちることで消費を生みだす、ということにチャレンジしています。
2点目は、各都道府県のホテル様や観光施設様との契約を行う中での取り組みです。例えば、出張ベースで我々が訪問して打ち合わせや折衝、契約をするのではなく、今後は現地の雇用を生むためにも各都道府県に嘱託の社員をおいて、新たな施設開拓に取り組んでいきたいと思っています。
1つめは、情報通信サービス事業。スタートアップに集中した情報通信のサービスを提供しており、日本で約10万社あるスタートアップの6~7社に1社が、弊社の情報通信サービスを使っています。また、2つめが世界200以上の国と地域で使える「global Wi-Fi」です。さらに新しい事業としてグランピング事業に参入し、鹿児島県の霧島や、山中湖にグランピングの施設を作っています。地方創生に関することでは、佐賀のコールセンターで約100人を雇用していて、中には東京や大都市圏から移っているメンバーもいます。地方の方々が働きやすい環境をつくるために、そこにビジョンキッズ保育園という保育園も作りました。
グローバルWi-Fi関連でいうと、全国27個の空港で弊社のWi-Fiの受渡返却ができるカウンターを持っており、自社と地域の空港運営をしているような会社とパートナーシップを結んで、海外発着がある空港をほとんど網羅しました。地域によって賃金格差があるため、賃金が高くさまざまな可能性があるという期待感を持って東京にくる方がたくさんいます。しかし帰る方も圧倒的に多いことから、我々は地方給を廃止し、全国一律の賃金体系にしました。東京、大阪、地方、すべて同じ賃金です。
コロナ禍以前からテレワークも行っており、例えば旦那さんが転勤した地域にビジョンがない場合は、そこからオンラインで仕事をするということも数年前から認めています。
グローバルWi-Fiのコンセプトは「地球がオフィス」なので、地球上どこにいても仕事ができる状況を作り出そうと思いました。今では、さまざまな企業がテレワークを採用し、地域により多くの人たちが行くことで、お金だけではなく、その地域で新しいベンチャーを生み出していく動きも大切だと思っています。地方創生の最大のキーワードは、インバウンドの復活だとも思います。それによって雇用の創出だけではなく、外国人が来て地域の人がグローバルに触れる、コミュニケーションを取れることで、学生たちが海外に行かなくても、国内で視点を広げることもできると思います。
例えば茨城県の魅力度を上げていくための総合戦略アドバイザーや、観光庁で専門家として地域に入り、デジタルマーケティングのアドバイスをするなど、自治体のデジタルマーケティング支援などもしています。
五島列島では、何かナンバー1を作ろうと考え、手ぶらで行って釣りを楽しめるオールインワンパッケージを作り、フィッシングの聖地にしようという取り組みも行っています。弊社はインバウンド向けのデジタルマーケティングを得意としており、自治体や企業の海外向けのsnsマーケティングを300社以上手掛けています。コロナ禍でインバウンドが止まってしまったため、リモートワークでオフィスにライブ配信スタジオを作り、海外向けに日本の魅力を発信する動画やライブ配信の番組、オンラインイベントなども行いました。
これからインバウンドが戻ってくると思いますが、日本が好きで日本に残ってくれる在日海外出身者がキーになると考え、日本を発信したいという在日海外の方たち約150人に会員になっていただいています。その方々を「地域おこし協力隊」として地域に派遣し、地域の方たちと一緒にインバウンド誘致や情報発信をしてもらう取り組みも行っています。最近のインバウンド動向ですが、ニュースでも取り上げられた「世界観光開発ランキング」という、ダボス会議を運営している世界経済フォーラムが毎年発表しているランキングで、初めて日本が観光ランキング1位になりました。世界中の人が日本に行きたいという空気になっている今、早くインバウンドを再開してほしいと思っています。
また、円安で来てくれるお客さんも多いですが、観光収入を上げていく取り組みも全地域で行う必要があると思います。コロナ前は中国や台湾といったアジアの方が多い傾向がありましたが、世界情勢が変わる中で、ターゲットを1カ国だけでなく、広くとっていく必要があると考えています。タイや台湾、韓国は海外向けの情報発信やマーケティングもどんどん始めているので、私たちは世界がライバルになることを覚えておかなければという思いです。
また、地元の人自身が地域の魅力に気づいてないことも多いため、私たちは、豊かな自然といった地元の資源をもう一度見直し、発掘し、どこにも負けないナンバー1をつくる提案をしていきたいです。この2年はすごく変化がありましたが、そこに対応しながら今から取り組みをしていただきたいですね。
インバウンドを地方創生につなげるには二次交通が鍵
ご存知の通り、政府は観光立国を目指し、2030年にインバウンド6000万人を目標にしています。なかなかチャレンジングな数字ですが、6000万人という量的な拡大だけでなく、付加価値を上げていくとか、質を上げていくといったところを含めて、インバウンドはホットなマーケットになるでしょうし、2030年以降も日本の基幹産業として大事な産業になっていくと思います。このあたりについてどういったご意見、考えを持ってらっしゃるかお聞きできますか。
日本はコンテンツが豊富な国
日本では2泊3日の弾丸旅行も多いと思いますが、世界中で、オンラインでビジネスができる時代になると、1カ月海外にいながら日本とビジネスするような動きができる、いわゆるグローバルワーケーションの時代になると、ビザの期限内であれば、仕事もしながら日本全体を楽しめるようにしていくことを一つの文化にしていく必要があると考えています。
日本は食文化などコンテンツが豊富な国なので、オールニッポン、そして地域でいうとオール九州とか、そういった取り組みが必要不可欠になってくると思います。
また、インバウンドの人数が注目されがちですが、人数だけではなく滞在日数を延ばして単価を上げることも大切です。2019年もアジアからのインバウンドが多いですが、円安だからこそ人数だけじゃなく単価を上げるための取り組みが必要です。官公庁でも、宿の磨き上げや高付加価値なコンテンツを作る予算が出ていますが、高級なホテルを作ればいいという安易な考えのところが多い。しかし、高級なものを作ればそれでいいわけではありません。
そこでしかできないプレミアムな体験や、例えば民泊で地域のおばあちゃんと一緒に何か体験するほうが、実は満足度が高い。工夫次第でいくらでもコンテンツはできると思います。それから、世界から日本への、自然への期待が実はすごく高いんです。これは地方の資源だと思うので、こういうものを上手く使って世界の方たちに楽しんでもらえる高付加価値のコンテンツを作っていくことが重要です。
地方のハブ化でインバウンドの単価を上げる
お三方はそれぞれ課題認識をもってテーマ設定をし、取り組んでこられたと思います。その中で、インバウンドにおけるビジネスチャンスとして、「こんなものがあるんじゃないか」といったことをお聞かせいただきたいなと思います。
一方、国にとってはインバウンドがプラスになっていることは間違いないので、インバウンドにしっかり取り組んでいただきたいとも思っています。我々は航空と鉄道を契約しているので、沖縄や北海道のような、人気のデスティネーションだけではなく、現地でお金を落としてもらう必要のある県への旅行を開拓、開発していく必要性を、今日改めて感じました。
本当の地方へのインバウンドはなかなか厳しいので、我々がもっている航空や鉄道を活かして、大都市圏や人気のデスティネーション以外の所へ送客をしていく必要があります。現状を直視すると、どうしても東京や大阪に入国してくる人が集中するので、いわゆるゴールデンルートに集中し、地方までその恩恵がいきわたらないという現実がある。
例えば、日本の中で九州のポテンシャルをしっかり味わいたいという人、北海道で1カ月スキーしていろんなところに行って楽しみたいといった人を受け入れるためには、結局、飛行機が飛ばなきゃ解決できないわけですから。大石さんに期待しています。
さらに、インバウンドが増えたのは、ビザの発給条件を極めて緩和したという背景があります。こういった、国の政策やルールだったり、我々民間でのコンテンツ作りだったり、道越さんのような情報の発信などが重なることでようやくインバウンドが地方創生につながるということになっていくのかもしれません。
また、さきほどの単価アップについてですが、地方の事業者は単価が安くないと人が来ない、ものを買わないと思い込んでる方が非常に多いのですが、欧米の方はむしろ安い価格だと不安になることもあるため、勇気を持って視点を変えていってほしいです。私は、観光税とか観光客価格にして、その部分で雇用を増やしたり受け入れを整備したりするところに充てていけばいいと思います。
今日は、地方創生とはどういうものか、人口が減少する日本でどう持続可能な地域を作るかといったテーマの一つとして、インバウンドに着目して企業経営者のお三方にお話しを伺いました。みなさんありがとうございました。
まとめ
地方創生サミット2022 地方創生により日本全体の活力を上げる Day1 アーカイブ
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