登壇者プロフィール
1983年千葉県生まれ
両親は長崎県 五島列島の出身。
社団法人日本インバウンド連合会(JIF) 副幹事長
いばらき広報戦略アドバイザー
観光庁 広域観光周遊促進 登録専門家
SNSマーケティング・インバウンドマーケティングプロデューサー
新卒から10年以上IT業界でWEBマーケティングに従事し、株式会社オプトでSEMコンサルタント、トレンダーズ株式会社にてPRプランナーを経て、2015年より海外・SNS マーケティング事業を立上げ、2016年9月にインバウンドPRに特化したマーケティング会社である。株式会社BEYONDを設立し、代表取締役に就任。
自治体や大手企業の海外マーケティングの運営やインバウンド集客の200社以上のプロデュースに携わる。現在はインバウンドで地方を活性化させるため、全国の自治体や企業向けに現地人材育成研修や講演を多数行う。
長崎県五島市文化観光課
UIターンを促進するプロジェクトの主な内容
4~5年前くらいに磯沖さんとご縁をいただき、いろいろとご一緒させていただいています。今日のテーマにもある、五島に注目されている方も多いと思いますが、転入者が転出者を上回り、若い移住者が増えています。朝ドラの舞台になるなど波が来ているのですが、五島市を引っ張っているキーマン、磯沖課長補佐にお越しいただきました。
五島市の人口は昭和30年がピークで、約9万人ぐらいの人口がおりました。2020年の国勢調査では、3万4,000人に減少しています。このまま何もせずいくと、2060年には1万人ぐらいになるという統計も出ています。それを避けるため、いろいろな取り組みをしています。
五島市の場合、全国と比べて20歳代の若者が極端に少なく、60代70代が多い少子高齢化の特徴的な自治体です。全国で高齢化率が28%の中、五島市は40%を超えています。人口が減っていって私たちが住めなくなるようなことを避けるため、UIターン促進のプロジェクトを平成27年ぐらいから本格的に始動しています。
平成27年度は、約52名の移住者を数えていましたが、子育て世代への負担軽減と、移住相談を増やすなどの支援制度や短期滞在住宅の提供などを行い、平成29年度は129名、平成30年度は200名を超す移住者出ています。令和3年度は226名の移住者になり、約70%弱が40歳未満になりました。
列島に来るのに旅費がかかりますが、面接や移住を希望する方には、6万円を上限に交通費等の助成をしています。子育て世帯の移住促進補助金では、引越し費用を15万円、40歳未満のご夫婦の方には25万円の補助をしています。また、奨学金の返還支援助成金として、35歳未満なら年間36万円を10年間補助、Iターン者には24万円の補助をしています。お試しで短期滞在したい方には、3ヶ月無料でお試し移住ができる住居を準備していますが、来年春ぐらいまで予約がいっぱいです。
その他、空き家活用促進事業として、家屋の回収品の半額、上限100万円を支給したり、雇用機会拡充支援事業補助金として、五島市で事業をする方に、創業費用の3/4を助成します。国の支援金では、東京圏から2人以上の世帯が移住すると100万円を補助するというものもあります。有人国境離島法による事業拡大の事業費を使って、五島市で事業をやっていただくのですが、平成29年度からの制度があり、雇用創出が500人を超えています。産業別では、商工業から観光業、農林水産の1次産業まで、大きく雇用者の創出ができています。
そのほか、移住相談の情報発信も積極的に行っています。
オンラインでの相談会を月に3回、必要があれば現地に赴いての相談と併せて行うとともに、SNSでの情報発信をして、移住促進をしています。事業費を使って五島ワーケーションとして、移住定住人口へつながる人口創出と施策も行っています。仕事をしながら五島でバケーションを楽しんでもらう事業として、令和元年の五島リモートワーク実証事業では、63名に参加いただきました。
また、「あえて、真冬の五島であいましょう」というチャレンジにも、全国各地から60名を超える方に参加していただきました。二拠点生活から最終的に移住につなげられればと思っています。2022年度もワーケーション事業を行い、56名ぐらいの参加者が出ています。それぞれが持っている技術と、地元の方との話から、地元の課題解決を行ったりしました。
移住につなげるための空き家バンク制度も平成27年度から開始しています。住宅土地統計調査の平成30年度で、五島の空家は24%程度です。件数でいうと1,800件弱の空き家があります。空き家バンクで累計300件の登録があり、そのうち202件が成約しました。
移住者に対して顔の見える関係づくりをして移住を徹底的にサポート
五島市には、まちづくり協議会や市民が独自に地域を活性化する協議会があるのですが、そういった団体や地域のキーマンとの連携により、空き家を発掘して紹介する取り組みを行っています。学生向けには、平成28年からしま留学制度を設けました。これまで61名、高校生が43名と、100名を超える小中高生の留学生も受けています。
さらに、ベトナムの日本人学校を通して、海外からも誘致できるよう令和2年度から日本語学校を始めました。コロナ禍で移動も難しいところはありましたが、1期生、2期生で41名、今年度はさらに37名を呼ぶところです。平成29年度から令和3年度の5年で83.2%、移住者982名を数える中で800人強が定住しています。移住者と顔の見える関係作りをしっかりして、安心して移住してもらえるようなサポートを、職員一同させていただいています。これが移住につながる理由かと思っています。
このような取り組みが形として現れているのが、人口の社会動態です。令和元年度が33人、令和2年度が69人と、さまざまな取り組みを通して、人口の自然減が社会減を上回りました。離島の3月は仕事が変わったり卒業したりで転出者が増えて人口が激減し、4月には転入もあって増加します。令和3年度は自然減になっていますが、今のところ令和元年、2年と同じように推移していますので、このまま人口増加につなげたいと思っています。
その他の取り組みとして、洋上風力発電や、環境省の潮流発電の事業に採択され、ゼロカーボンシティ宣言を出すといった取り組みを頻繁に行っています。離島は人手不足問題も抱えており、ドローンなどの活用も行っています。観光面では、多様な地域資源の活用を行い、本年、日本のジオパークにも認定されました。長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産といった世界遺産・日本遺産、手つかずの自然など、環境を活かして観光客の誘客にもつなげていきたいと思っています。
令和元年は世界遺産の登録も後押しになって、25万2657名と五島市では過去一番の観光客数でした。コロナの影響で令和2年3年は観光消費が下がりましたが、コロナ後のV字回復を目指して、観光事業に力を入れていきたいと思っています。「もう1泊したい」と思わせるような島での食や体験を磨き上げたいと思います。
令和4年度は、13事業の取り組みを挙げています。観光コンテンツの醸成、受け入れ体制の整理をしっかりやっていきたいです。また、現地支払いの方の宿泊料金の50%、5000円を上限に「今だ!!五島へ行こう!!」という旅キャンペーンも行っています。
今年度は五島を日本一のフィッシング聖地にしたいと、道越代表と連携をして、ダイナミックな釣りができる環境、五島市の観光資源の活用、情報発信を組み合わせて聖地化していきたいと思っています。体験民泊もあり、島ならではの暮らし体験ができる環境も作っています。富裕者層向けのリゾート施設も2棟もできるようになっています。滞在型が可能なホテルもでき、体勢が整っていると感じています。
NHKのロケ地にもなりさらに持続可能な島づくりを推進
10月からは、NHKの連続テレビ小説「舞い上がれ」のロケ地にもなっていて、追い風が吹いてきているなと感じています。こういった事案を活かしながら、観光V字回復をさせて、ワーケーションの2拠点生活、移住へとつなげていきたいと思っています。五島市では、日本一の椿の島づくりや、マグロの養殖基地化、再生エネルギーの島づくりなどを掲げて、持続可能な島づくりをしていきたいと思っています。
226名の移住者で40歳未満がすごく多いということで、若い人が五島に来てくれたキーはなんでしょう。新制度を整えたり、手厚いフォローだったり、キーマンの発信だったり、一番大きなポイントはどういうところでしょうか。
まとめ
地方創生サミット2022 スポーツによる地方創生/地方自治体の取り組み Day4 アーカイブ
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