マーケティング(ポジショニング)マップとは?
マーケティング(ポジショニングマップ)とは、意味が異なる2つの軸で作られたマトリックス上に、自社と競合他社の商品・サービスを配置した図表を指します。
自社と競合他社の商品やサービスを表に配置するメリットは、下記の2つです。
- 自社と競合他社の立ち位置を視覚化できる
- 自社の商品・サービスを展開すべき領域が明確になる
自社の商品・サービスの差別化や今後のマーケティング戦略に役立てることができます。
マーケティング(ポジショニング)マップでは、比例や相関関係のない独立した要素を当てはめることで、今後の展開すべき領域が見えてくるでしょう。
また既存のマーケティング戦略だけでなく、新しい商品やサービスを立ち上げる際にも、マーケティング(ポジショニングマップ)を活用できます。
マーケティング(ポジショニング)マップの活用シーン
マーケティング(ポジショニング)マップが活用されるシーンは、下記のケースです。
- 軌道の修正
- 方向性の確認
- 新規事業の立ち上げ
仮にマーケティング(ポジショニング)マップを活用してブルーオーシャンが発見できた場合、新しく立ち上げる事業の進むべき領域が明確化されるでしょう。
レッドオーシャンの場合も、事業の方向性を検討するきっかけになります。
また、既存事業の方向性が適しているか検討もしくは軌道修正する場合も、マーケティング(ポジショニング)マップは有効に活用できるでしょう。
ちなみに、こちらの記事ではマーケティングの正しい流れやステップ、フレームワークを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
マーケティング(ポジショニング)マップ制作のステップ
ここまでマーケティング(ポジショニング)マップの概要や、活用シーンをお伝えしました。
続いては、マーケティング(ポジショニング)マップ制作のステップを紹介します。
- 市場調査
- STP分析
- 3C分析
- マーケティング(ポジショニング)マップ制作完了
ひとつずつ紹介していきます。
市場調査
市場調査では、市場の動向や顧客ニーズを把握するために顧客の要望や不満などを収集します。
適切に市場調査を行えば、顧客が望んでいるものや不満に感じていることを明確化できるでしょう。
マーケティング戦略におけるデータ収集や市場調査は、事業を展開するうえで非常に重要です。
市場調査を行うメリットは、下記の2つです。
- 客観的な数字が得られるので課題解決につなげやすい
- マーケティング施策を実行する前にリスクや注意点が分かる
一方でデメリットは、個別企業が市場調査を行うのは時間や労力といった点で簡単ではありません。
そのため、調査会社やビックデータを取り扱っているマーケティング会社に依頼してみましょう。
STP分析
STP分析とは、セグメンテーション(Segmentation)とターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の頭文字から作られたマーケティング手法です。
マーケティングの第一人者としてアメリカの経営学者である、フィリップ・コトラー氏が打ち出しました。
それぞれのプロセスには、下記の役割があります。
- セグメンテーション:顧客の分類
- ターゲティング:自社のターゲット層の選定
- ポジショニング:ターゲットとなる顧客への自社の立ち位置を決定
詳細をひとつずつ解説していきます。
セグメンテーション
セグメンテーションとは市場調査で収集したデータをもとに、顧客をニーズや性質で細分化する方法です。
細分化する際は、下記の軸に基づいて分類されます。
- 行動変数(利用目的・利用頻度)
- 心理的変数(価値観・ライフスタイル)
- 地理的変数(人口・文化・気候)
- 人口動態変数(年齢・性別・学歴)
市場調査で収集したデータには、自社の顧客になり得ない顧客層が含まれています。
そのため、購買行動につながる確率の高い顧客を選定するための準備がセグメンテーションです。
また多様化する顧客のニーズを掴むことで、自社の利益を最大化できるでしょう。
ターゲティング
ターゲティングとは、セグメンテーションで細分化された顧客層の中から、自社がターゲットにすべき顧客を選ぶ方法です。
セグメンテーションよりも自社の商品・サービスに興味を持ち、購買行動を起こす確率の高い客層が選定できるでしょう。
ターゲティングを活用するメリットは、下記の2つです。
- 自社に適した市場を選べる
- 特定の顧客ニーズに対応した商品・サービスを展開するために戦略を策定できる
購買行動を起こす確率の高い客層が絞り込めれば、販売促進コストを抑えられるので利益を最大化できます。
つまり、適切なターゲティングが行われていないと、効果的なマーケティング戦略を構築できないでしょう。
ポジショニング
ポジショニングとは競合他社の商品・サービスと差別化を図り、市場における自社の立ち位置を決める方法です。
競合他社と商品・サービスで差別化を図り、顧客に認識されるためのポイントとして、下記の4つがあります。
- 顧客ニーズを正確に把握する
- 自社の理念や戦略との整合性を取る
- 顧客ニーズがあるポジションを選択する
- マーケティング(ポジショニング)マップを活用して相関性の低い軸を設定する
どんなビジネスでも、立ち位置を永続的に維持することは難しいです。
そのため、自社の独自性を打ち出して業績につなげるだけでなく、必要に応じてビジネスモデルの見直しを行いましょう。
3C分析
3C分析とは、市場環境(Customer)と競合他社(Competitor)、自社環境(Company)の頭文字で作られており、市場における関係性を理解する方法です。
マーケティング(ポジショニング)マップ制作における3C分析のメリットには、下記の4つがあります。
- 自社の強みと弱みが把握できる
- ビジネスの方向性が明確になる
- 顧客ニーズを知って競合他社との差別化を図れる
- 客観的な視点で事業を取り巻く外部環境を分析できる
注意すべき点は顧客ニーズと自社の強みが合致して、競合他社も強い領域の場合は避けましょう。
理由は、競争に競り勝つために価格競争を迫られる可能性があるからです。
そのため競合他社が進出しておらず、顧客ニーズも満たされていない領域をポジショニングしていきましょう。
マーケティング(ポジショニング)マップ制作完了
マーケティング(ポジショニング)マップは、下記のツールで作成できます。
- Excel
- PowerPoint
- Googleスプレッドシート
自社と競合他社のポジションを縦と横の2軸に交差させた図に記載すれば、大まかなポジションは分かります。
しかし、それでは競合他社のポジションとなる根拠が曖昧です。
そのため市場調査に基づくデータを収集して作成する場合は、情報データから表を作成して、第4象限マトリックスグラフに取り込んでみましょう。
ちなみに、こちらの記事では代表的なマーケティング手法や分析方法を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
マーケティング(ポジショニング)マップ制作時の注意点
ここまで、マーケティング(ポジショニングマップ)制作のステップをお伝えしました。
続いて、マーケティング(ポジショニング)マップ制作時の注意点を紹介します。
- ターゲット層ではない軸を使わない
- 相関性が高い軸を使わない
ひとつずつ紹介していきます。
ターゲット層ではない軸を使わない
マーケティング(ポジショニング)マップを制作するにあたって、顧客の購買決定要因(KBF)にならない軸は使わないようにしましょう。
ターゲット層に合った軸を活用する理由は、下記の2つです。
- 自社の優位性を明らかにするため
- 自社独自のポジションを確保するため
例えば購買決定要因(KBF)の優先度から「機能性」と「素材」を2軸にした商品を、マーケティング(ポジショニング)マップとして作成した場合を仮定します。
その結果、自社と別の1社で重なりが判明したとしても、独自のポジションの確保にはなりません。
ただし、マーケティング(ポジショニング)マップの中で空白部分がある場合、以下のチャンスが考えられます。
- 自社の収益に生かせる可能性があるので、新商品の開発につなげられる
- ターゲット層に近い顧客に対して、マーケティング戦略を打ち出せる
相関性が高い軸を使わない
マーケティング(ポジショニング)マップを制作するにあたって、相関性が高い軸は使わないように注意しましょう。
相関性の高い軸を避けるべき理由は、下記の2つです。
- 右肩上がりの直線を描くだけだから
- 2つの軸を選択しても1つの軸しか使っていないのと同じだから
例えば「価格と品質」のような、相関性の高いマーケティング(ポジショニング)マップを制作したとしましょう。
横軸を価格、縦軸を品質として制作を進めたとして、図に示されるのは「低品質=安価」「高品質=高価」といった傾向だけです。
なので価格や品質に対する軸は、味やデザインなど相関性の低い要素を設定しましょう。
ちなみに、こちらの記事ではマーケティングにおけるターゲットの定義やターゲットとペルソナの関係性について解説しているので、ぜひ参考にしてください。
マーケティング(ポジショニング)マップ制作を補助するサービス・ツール
ここまで、マーケティング(ポジショニング)マップを制作する際の注意点をお伝えしました。
続いて、マーケティング(ポジショニング)マップ制作を補助するサービス・ツールを紹介していきます。
Freeasy|市場調査
「Freeasy」は、インターネット上でのアンケートを行い、市場調査を効率化するためのツールです。
料金プラン
プラン名 | スクリーニングアンケート | 本調査 |
---|---|---|
初期 費用 | なし | なし |
基本 料金 | なし | なし |
従量 料金 | 5問以内の場合、1000サンプルごとに5,000円(税別) 6問以上10問以内の場合、1000サンプルごとに10,000円(税別) | 設問数×サンプル数×10円(税抜) ※データクリーニングオプション利用時は、設問数×サンプル数×15円(税抜) |
マクロミル|市場調査レポート
マクロミルは、株式会社マクロミルが運営する国内1,000万人以上のモニターを抱える大手の市場調査レポート会社です。
提供サービスには、下記の6つがあります。
- オープンリサーチ
- コンサルティング
- グローバルリサーチ
- インターネットリサーチ
- デジタル広告ソリューション
- デジタルマーケティングリサーチ
市場調査の領域だけでなく、マーケティング領域全体にイノベーションを広げています。
料金プラン
プラン名 | お問い合わせください |
---|---|
初期費用 | お問い合わせください |
基本料金 | お問い合わせください |
従量料金 | お問い合わせください |
ITmedia|アンケートデータ収集
ITmediaは、調査のチカラが運営するインターネット上に公開されている無料のアンケートデータを収集したサイトです。
民間企業の調査結果から、国の統計まで幅広いデータが網羅されています。
料金プラン
プラン名 | 料金プラン |
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TOPページ:ビルボード(動画広告) | 1,000,000円(最低実施金額) |
ITmedia NEWS:テキスト | 250,000円 |
ITmedia NEWS:WelcomeScreen | 600,000円 |
ちなみに、こちらの記事ではプロも使っているマーケティングツールを9つ紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
今回は、マーケティング(ポジショニング)マップの活用シーンや制作ステップ、制作時の注意点などを解説しました。
マーケティング(ポジショニングマップ)とは、意味が異なる2つの軸で作られたマトリックス上に、自社と競合他社の商品・サービスを配置した図表を指します。
制作する際のステップは、下記の4つです。
- 市場調査
- STP分析
- 3C分析
- マーケティング(ポジショニング)マップ制作完了
また、本記事で紹介したサービス・ツールを活用して、マーケティング(ポジショニング)マップを制作してみましょう。
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