日本の現代マーケティングが抱える3つの問題点
現代日本のマーケティング分野における問題点を俯瞰して理解するために、以下のような3つの問題点に大分類すると、わかりやすいでしょう。
- コロナ禍の影響による問題点
- マーケターの実務上の問題点
- マーケティング戦略上の問題点
それぞれの問題点の、内容を見ていきましょう。
コロナ禍の影響による問題点
コロナ禍による影響から見た問題点とは、2020年に始まり未だ予断を許さない新型コロナウイルス感染症の影響による、マーケティング業務に関連する問題点を指しています。
マーケターの実務上の問題点
マーケター(マーケティング担当職・担当者)の実務上の問題点は、職務としてのマーケターから見た、業務上で改善すべき点や回避すべきリスクなどを指しています。
マーケティング戦略上の問題点
マーケティング戦略上の問題点とは、マーケティング活動の中核となる「マーケティング戦略」上で「進んで見つけるべき問題点」を指しています。その解決こそが、最もストレートに施策の成果に結びつくものです。
ここからは、この大分類した3つの問題点のそれぞれについて、具体的な内容と解決策について掘り下げていきましょう。
なお、「マーケティングとは何か」について、以下の特集記事で総合的に詳しく解説していますので、ぜひそちらも参考にご一読ください。
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コロナ禍の影響による問題点と問題解決策
まずは、コロナ禍によるマーケティング上の問題点を確認・整理し、解決するためのアプローチについて解説しましょう。
コロナ禍の影響によるマーケティングの問題点
コロナ禍によるマーケティング上の問題点を挙げると、主に以下の2項目に集約されます。
- デジタルシフトのハードルが生む足踏み状態
- ニューノーマルに対応するためにデジタルシフトは必須命題
それぞれを見ていきましょう。
デジタルシフトのハードルが生む足踏み状態
新型コロナウイルスによるパンデミックが猛威を振るい出して以来、「非接触」「外出自粛」「非対面」「行動制限」などの制約によって、企業のマーケティングや営業が遂行し難くなりました。
そのなかで多くの企業は、マーケティングや営業活動のデジタル化、リモート化などで活路を見出します。
その結果、あらゆる業務のデジタル化が進み、デジタルマーケティングを導入する企業が増えました。一方で、中小企業の多くはそれまでの流れから、デジタルシフトを急速に進めるのがさまざまなリソース面で難しい状況にありました。
そして、デジタルシフトの進行度合いの差が、如実に業績に反映し始めたのです。デジタルマーケティングがスムーズに導入できないために売上が縮小し、その結果デジタルシフトに要する予算が確保できなくなるという、悪循環に陥るケースが珍しくありません。
ニューノーマルに対応するためにデジタルシフトは必須命題
パンデミックのもとでデジタルシフトを断行した企業とそうでない企業では、たとえば商談機会ひとつとっても圧倒的に差が出ます。コロナ前のままでは、今後もビジネスの機会を逃し続けるのは確実です。
つまりマーケティングのデジタルシフトはいわば必須命題であり、なんとかリソースをやりくりしてでも断行しなくては、機会ロスがこれからも発生するでしょう。
なお、現代企業に欠かせないデジタルマーケティングについては、以下の特集記事で詳しく解説しています。ぜひ、参考にご覧ください。
コロナ禍の影響による問題点の解決策
コロナ禍によるマーケティング上の問題点の解決策としては、以下の2つの方法が考えられます。
- デジタルツールの導入
- SNS活用による認知拡大
それぞれの方法を見ていきましょう。
デジタルツールの導入
デジタルツールとはマーケティングオートメーション(MA)などの、デジタル技術によってあらゆるマーケティング上のデータを収集・分析・予測してマーケティング施策の実施を効率化するツールを意味します。
端的に言えばリード(見込み客)情報を集めて、自社プロダクトの購入プロセスの進展を促進し、商談につながるスムーズな流れを作る効果があるツールです。SFA(営業支援システム)と同様に、かつては大企業が活用して莫大な運用コストが掛かりました。
しかし現在では企業規模や目的に応じて、少ない負担で利用できるものが増えています。クラウド経由のサブスク型のSaaSが台頭してきたからです。マーケティングオートメーション(MA)の活用に踏み切り、早くデジタルシフトを完結しましょう。
マーケティングオートメーション(MA)についいては、以下の特集記事で詳しく取り上げていますので、ぜひとも参考にしてください。
SNS活用による認知拡大
Webやスマホの普及に伴い、消費者や企業がプロダクトを購入・契約する際に、まずはネット検索で粗選りして比較検討する作業を行うのが、一般的となりました。
その傾向はパンデミックによる非対面・非接触需要や行動制限でさらに進みました。購入前のWebでの検討は、企業にとって採用で言うところの書類選考と同じです。書類選考で選に漏れた場合、もはや比較検討の土俵に上がれなくなります。
そのため、企業の認知度や企業イメージを向上するブランディングの取り組みが、企業の存亡に関わるほど重要となっています。
デジタルマーケティングに注力し、ブランド認知拡大に取り組むことは、パンデミックによるマーケティング上の問題点をクリアするアプローチとなります。
デジタルマーケティングは「SNSマーケティング」や「コンテンツマーケティング」、「Web広告」「メルマガ」などに分かれます。いずれも、かつての不特定多数に向けたマスマーケティングに比べて、効率的にコストを抑えつつ取り組めす。
SNSマーケティングのなかでもInstagram(インスタグラム)を活用したインスタマーケティングについては、以下の記事で詳しく特集しています。ぜひそちらも参考にしてください。
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マーケターの実務上の問題点と問題解決策
次にマーケター(マーケター)の実務上の問題点を具体的に挙げ、解決のためのアプローチについて解説します。
マーケターの実務上の問題点
マーケターの視点からの問題点を見るために、さらに以下の3項目に分けて整理します。
- 短期的な問題点
- 中長期的な問題点
- 職務カテゴリー別の問題点
それぞれを見ていきましょう。
短期的な問題点
マーケター(マーケター)の目の前にある、現実的な問題点や取り組むべき課題として、主に以下のような項目が挙げられます。
- 収集したデータの活用方法の迷い
- 事業領域や競合他社に関するデータ不足
- 自社プロダクトの企画・開発力不足
中長期的な問題点
マーケターが、これから取り組んでいく問題点やテーマは、先の「短期的な問題点」の3項目に加えて、以下のような項目が挙げられます。
- DXへの対応
- パンデミックへの対応
- SDGsへの対応
職務カテゴリー別の問題点
業職務カテゴリー別での問題点を見ると、「社内のコミュニケーション」のカテゴリーでは以下の項目が挙げられます。
- 他の部署との情報共有と相互理解
- 部署内の目標の共有と認識の統一
- 部署間の立場やスキルに応じたコミュニケーション
「分析・データ活用」のカテゴリーでは以下の項目が挙げられます。
- データの可視化
- 必要な情報の選択・収集
- データ分析・戦略構築・施策立案
- ルーティン処理の自動化・省力化
データの処理もさることながら、選択すべき情報の見極めや分析に問題点が多い傾向です。
なお、マーケターの重要な仕事のひとつであるブランディングにおいて、顧客心理を理解するために欠かせないのは「顧客エンゲージメント」です。その概念について、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
マーケターの実務上の問題点の解決策
マーケターが抱える実務上の問題点の解決策として、以下の3つの方法が考えられます。
- ITインフラの刷新
- 営業支援システムの活用
- インサイドセールス部門の設立または外注
それぞれの方法を見ていきましょう。
ITインフラの刷新
DX推進の大きな流れの中で、社内のITインフラが未整備でなかなか着手できていない企業も多く見られます。DXは企業として次の時代を見据えてビジネスを展開するのであれば、必ず取り組まなければならないものです。
そのDXの推進のコンサルティングや、サポートサービスを提供する企業が増えています。インフラを刷新して体制を整えるのも有益な考え方です。それによってマーケターが抱える多くの悩みが解決に向かいます。
営業支援システムの活用
営業支援システム(SFA)は、以前では大企業が活用するもので、初期コストやランニングコストが相当掛かるものでした。
しかし今日では多種多様な営業支援システムが市場に出ており、企業タイプや目的、規模に応じて、コストを抑えつつ活用できるものが増えています。
自社に合う営業支援システムを無理のない範囲で活用することで、DX導入に近い効果が得られ、マーケターの実務上の問題点は改善に向かうでしょう。
インサイドセールス部門の設立または外注
マーケティングにおいてリード(見込み客)の育成=リードナーチャリングは非常に重要ですが、そのためにはノウハウと優れたツール、そしてそれらを使いこなせる体制が必要です。
リードナーチャリングに注力するための人的リソースの余裕がない企業には、経済的リソースで補う、つまり外部委託を利用することも有効な考え方です。
業種や企業規模、予算に見合うインサイドセールス支援サービス提供会社を選び、検討してみる価値はあるでしょう。
なお、マーケティング戦略を学ぶためや、マーケティング業務の実践に役立つおすすめ本を厳選して20冊、以下の記事にてご紹介しています。ぜひ、参考にご覧ください。
マーケティング戦略における問題点と問題解決策
最後にマーケティング戦略上での問題点の発見方法を確認し、問題解決策について見ていきましょう。
マーケティング戦略上の問題点の発見方法
マーケティング戦略上の問題点を見つけるためには、主に以下の方法が考えられます。
- 市場調査
- SNSのアナライズ
- アンケート・インタビュー
- MROC(エムロック)
- 行動観察調査
個別に見ていきましょう。
市場調査
自社プロダクトの関連領域の市場調査を行い、その結果を分析することでプロダクトのウィークポイントやボトルネック、伸ばせる強みなどを発見する方法です。
SNSのアナライズ
SNSは自社プロダクトとつながりそうなユーザーの動向や興味の対象など、さまざまな情報が得られるデータの宝庫です。企業のSNS公式アカウントを作ってSNSマーケティングに活用し、メディアのアクセス解析機能によって、問題点を発見する法です。
アンケート・インタビュー
ユーザー企業の心理や消費者心理を理解するのに有効なのは、アンケートを含むインタビューです。とりわけオフラインやオンラインでの対面型インタビューは、アンケート以上に消費者の生の声が聞ける貴重なソースとなります。
ちなみにインタビューには以下の3種類があります。
【デプスインタビュー(DI)】
1対1のインタビュー形式で会話を通して情報を収集する調査方法です。プロダクトの利用現場の実態、購入理由、背景にある事情などを把握できます。
ターゲットの行動を調べる方法はいろいろありますが、消費者心理をストレートに理解しようとするならばこの方法が最適です。
【フォーカスグループインタビュー(FGI)】
集団面接法とも呼ばれるる、複数(5〜8人程度)の協力者に座談会形式で行います。協力者の各人が相互に刺激し合って、1体1よりも活発な展開が期待できます。
【オンラインインタビュー】
Zoomなどのコミュニケーションツールを利用する、リモートインタビューです。デプス型もフォーカスグループ型も可能です。ネット環境さえあれば実施できるので、ローコストで取り組みやすいが方法と言えるでしょう。
MROC(エムロック)
MROC(エムロック)は特定のテーマに興味を持つユーザーを集めて、オンラインコミュニティを形成し、メンバーの価値観などを一定期間調べる手法です。 “Marketing Research Online Community” の略称です。
数十日間の交流によって、メンバーと交流が深まり、正直な意見を引き出しやすくなります。
行動観察調査
行動観察調査は、消費者の心をつかむプロダクト開発、プロモーション実施のために有益です。リード(見込み客)の消費行動について、詳細なデータを収集して分析し、プロダクトの問題点を発見する法です。
上記の市場調査を含めて、アンケート・インタビュー・MROC(エムロック)・行動観察調査などの将来予測を兼ねた調査はマーケティングリサーチと呼ばれます。
なお、マーケティングリサーチにご興味を抱かれたみなさんは、以下の記事で調査分析方法の種類も整理して詳細に解説していますので、ぜひ参考にしてください。
マーケティング戦略上における問題点の解決策
マーケティング戦略上で見つけた問題点に対する、解決策について見ていきましょう。方法は数多くありますが、ここではマーケティングフレームワークを用いた方法を取り上げます。
マーケティングフレームワークは、マーケティングにおける考え方のパラダイム(枠組み)を示す思考ツール、もしくは論理モデルです。
考え方の流れや方向性、マーケティングリサーチで得た結果の情報をチャート図やマトリクスに落とし込み、分析および戦略構築の作業を効率的に進めるためのツールがマーケティングフレームワークです。
数あるマーケティング戦略上における問題点の解決策のなかで、取り組みやすくて効果がわかりやすい以下の3つにフォーカスします。
- SWOT分析
- STP分析
- 7S分析
それぞれを見ていきましょう。
なお、マーケティングの過去の代表的な成功事例については、以下の特集記事で取り上げて詳しく解説しています。ぜひ、参考にご一読ください。
SWOT分析
企業を取り巻く環境を外部環境と内部環境の2つに分け、企業の身の丈に合う適切な戦略の構築に有効な分析方法です。BtoBビジネスのマーケティングや広告宣伝・販売促進プロモーションなどにも多用されています。
内部環境としての「強み:Strengths」と「弱み:Weaknesses」を挙げ、外部環境としての「機会:Opportunities」と「脅威:Threats」を挙げます。それらを掛け合わせたSWOTクロス分析により、有効なアイデアを出すことで戦略構築に役立つでしょう。
なお、マーケティング上で重要な、消費者の内なる欲求「インサイト」の概念を理解するためには、以下の特集記事での詳細な解説をぜひ参考にしてください。
STP分析
顧客とすべき適切なターゲット層と、プロダクトの適切な位置づけを見極めるフレームワークです。以下のS・T・Pの3つのフェーズで実行します。
Segmentation:セグメンテーション
市場をプロダクトと関連する属性によってグループ分けするフェーズです。主に以下のような要素で分けますす。
- 地域
- 年齢
- 職業
- 価値観
- ライフスタイル
- 趣味
属性を確定するためには、裏付けがあり情報をもとに進める必要があります。SNSのアクセス分析やインサイト解析機能を使えば、プロダクトと関連する属性を持つ消費者動向を知るのに役立つでしょう。
Targeting:ターゲティング
プロダクトや市場環境にもとづき、企業がアプローチする客層を決定するフェーズです。セグメンテーションによって市場を分類してから、プロダクトや市場環境にもとづいて、どのセグメント(区分)を標的としてフォーカスすべきかを決めます。
Positioning:ポジショニング
ターゲット層に応じて、プロダクトの優位性を認識し、市場内での位置づけを明らかにするフェーズです。
ターゲットが決まったら、プロダクトの優位性をよく認識して市場内での位置付けをするポジショニングを行います。ポジショニングには以下のような「ポジショニングマップ」を使います。
プロダクトと関連性が強い軸を2本設定し、自社および競合他社を書き込むポジショニングマップは、関連する市場が一覧できるので、戦略を考える際のツールとして有効に使えます。
なお、マーケティングにおけるターゲット設定の戦略的意義を、コトラーやドラッカーの理論を交えつつ以下の記事で解説しています。ぜひ参考にご覧ください。
7S分析
企業組織のリソースを頭にSがつく7つの要素に分類して個別で分析し、戦略構築の材料とします。7つのSは改善に時間がかかるソフト4Sと、短期間で改善できるハード3Sに分かれます。
ソフト4Sは人材に関する以下の4つのSです。
- Shared Value:共通の価値観
- Style:経営スタイル
- Staff:人材
- Skill:能力
ハード3Sは組織の構造に関する以下の3つのSです。
- Strategy:戦略
- Structure:組織構造
- System:システム
これら「SWOT分析」「STP分析」「7S分析」の実践的な活用方法については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひそちらも、参考にご覧ください。
まとめ
今日のマーケティングが抱えている問題点について3つに大分類し、それぞれのディテールを現場レベルの身近な例を挙げながら解説しました。マーケティングとは尽きない問題点解決の連続であることがよくわかると思います。
マーケティングに携わり、問題点を感じているみなさんは、ここでご紹介した情報を参考に、現状に合った問題解決策を見出し、業績拡大路線を邁進してください。
また、当メディア「kyozon」ではマーケティングに役立つ、さまざまなサービスの資料が無料でダウンロードできます。マーケティング担当者や責任職のみなさんは、ぜひご利用ください。
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※当サイトの読者のみなさんが携わっていると思われるサブスク型ビジネス、とりわけSaaSビジネスにとって最重要課題ともいえる「カスタマーサクセス」を以下の記事で特集しています。ぜひご一読ください。
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